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建築屋が食堂?
in designを合言葉に
枠を超える働き方を

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

古民家を改装した食堂。お昼は地域の人とスタッフを中心に、多くの人で賑わっている。

その近くには、スタッフが選書した本が置いてあるライブラリー。ほかにも、お花屋さんやお茶屋さん、会社のオフィスとして使われている古民家に、もともと鶏小屋や鯉小屋だった建物など。

「okiza」と名付けられたこの建物群。運営しているのは、I.D.Worksという建築会社。

「in design」をキーワードに、建築の枠を超えたチャレンジをしている会社です。

今回は設計・管理の担当と、不動産・ライフスタイルデザイン担当として営業職のような役割で働く人を募集します。

建築に関する資格を持っていれば、即戦力として働ける環境。資格を持っていない人は、働きながら取得することもできます。

建築に興味がある人。すでに建築の世界にいるけれど、何か違和感を感じている人。そんな人にとっては、いい意味で大きな転機になる仕事だと思います。

 

新幹線の新山口駅で在来線に乗り換えて、山口駅へ。

気持ちのいい秋晴れで、遠くに山々が連なっているのがよく見える。空もすっきりと晴れていて、秋の始まりの空気が心地いい。

I.D.Worksのオフィスは、駅から歩いて5分ほどの場所にある。

迎えてくれたのは、代表の田丸さん。2014年に設立した際の創業メンバーの一人だ。

昨日までの三日間、6グループほどに分かれ、それぞれ希望の場所に行く社員旅行があったそう。田丸さんは沖縄へ行ったと、楽しげに話してくれた。

まずは会社の成り立ちについて聞いてみる。

「前職も建築関係で、最初は営業、そのあと資格をとって設計もするようになりました。会社でナンバー2くらいのポジションになっていたんですが、いろいろあって辞めることになって」

「ここを一緒に創業した福田っていうスタッフも、前職がおなじ会社だったんですよ。辞めるタイミングもほぼ一緒で、彼女も独立しようとしていたので、一緒にやらないかって声をかけて始まったのがI.D.Worksなんです」

福田さんは、設計やデザインをメインに。田丸さんは工事や施工がメインの会社をつくろうとしていたので、一緒にやることで設計から現場仕事までワンストップで完結できる会社になった。

独立にあたって考えていたのが、気持ちよく、楽しく、そして長く働けるような会社にしたいということ。

「おかげさまで、初年度から売上は多かったです。本当にありがたいことで。ただ、仕事が切れるのが怖くて、来る仕事は一切断らず受けていたので、無理をしてしまった1年目でしたね」

I.D.Worksの特徴が、建築で「型」をつくらないこと。

おなじようなデザインの建物をつくるのではなく、常にオーダーメイドで、お客さんの要望を反映したものを形にしている。

「上質な空間づくりを突き詰めていった結果、そうなりました。たとえば、いかにコストを抑えて安く販売するかっていう会社もあります。でも、自分たちがやりたいのはそっちじゃない」

「ちゃんとお客さんと向き合って、本当に喜んでもらえて、快適に住める家。それを突き詰めていきたい。社員みんな、その気持ちを持っていると思います」

設計やデザインで迷ったときも、軸にあるのは「お客さんにとっていいことはなにか」という視点。

「うちは新築もやるし、リノベーションも店舗もするし、不動産もやる。そして食の事業も。全体をうまく活かしながら進んでいきたいと思ってます」

田丸さんが話す食の事業というのが、オフィスのすぐ近くにある「まるまつ食堂」。I.D.Worksが運営していて、ランチとカフェを営業している。

もともとは、お客さんにもらった野菜などを使って、社員が自主的にランチをつくっていた文化を発展させたもの。

「社員食堂があったらいいねっていう話は、ずっとあって。たまたまうちのスタッフと関わりのある料理人さんがフリーになるということで、じゃあ一緒にやりましょうよと昨年オープンしました。これも縁とタイミングですね」

 

タイミングが合ったとはいえ、建築業を営みながら食堂も運営するというのはなかなか異色に見える。

すると、となりで話を聞いていた共同創業者の一人、福田さんが話してくれる。

「わたしたちのイメージとしては、建築だけをやりたいっていうよりも、もっと広い領域で考えていて。建築じゃなく、デザインを軸にいろんな業種の領域をカバーできたらいいねって話していたんです」

見せてくれたのが、I.D.Works立ち上げのときにつくった事業計画書。

「in design」という言葉を中心に、建築だけでなく、カフェ、食堂、さらにはアパレルなど、さまざまなイメージが描かれている。

軸を建築だけにしないことで、いろんなことに挑戦してみようという土壌がI.D.Worksにはある。

その思いを具体化させたのが「okiza」。

まるまつ食堂も含め、ぜんぶで9つの古民家などが細い路地に立ち並んでいるエリア。お花屋さんなどのテナントや、スタッフが選書した本を置いたライブラリーなどがある。

ほかにも、中を改修してI.D.Worksのオフィスとして使っていたり、スタッフが自由に仕事や食事ができるスペースとして開放されていたり。畑もあるし、迷い猫だったというかわいい猫もいた。

「okiza」の名前の由来は「置き座」という昔の家具から。

腰掛けてお茶を飲むなど、コミュニケーションが生まれる家具として親しまれていたものが家屋に残っていて、それにちなんで名付けられたそう。

食堂は福利厚生も兼ねているため、平日は社員用の席が確保されており、半額程度で食べることができる。

この日も平日にも関わらず満席に近い状態で、売上もしっかり立てられているそう。

「本業の建築と不動産でしっかり会社の基盤をつくって、いろんなことに挑戦していく。それが地域のためになったり、社会貢献につながったりすればいいなと思うんです」

福田さんはどんな人に来てもらいたいですか。

「わたしは建築って図面を描くことしかないと思ってたんですよ。でも働いてみると、広報をしたり、今だったら営業をしたり。思ってもみなかった仕事をしていて」

「建築を勉強したり、建築の業界で働いたりしてる人って、勉強や労働が過酷で、もう建築なんかいいやって思っちゃう人もいると思うんです。そういう人にとっては、うちはいろいろできて面白いんじゃないかなって。逆に建築会社で営業してるけど、図面を描いてみたい、とかね。そういう人でもいいと思います」

 

続いて話を聞いたのが、不動産・ライフスタイルデザイン担当の矢田さん。入社して9年目になる方。

「ライフスタイルデザインというのは、いわゆる住宅営業みたいな役割です。お客さまに伴走して、設計担当と一緒に要望を具体化していきます」

「ぼくはそれと並行して、不動産事業も担当していて。良さそうな物件を買ってリノベーションして再販する、というのが主な仕事ですね。一人だとなかなか手が回らないので、人を増やしてこれから強化していきたいと思っているところです」

もともと、山口市内の不動産屋で働いていた矢田さん。そのころから代表の田丸さんたちとは面識があった。その縁もあり、I.D.Worksに入社。

「入社した当初から言っていたのは、社員がやりがいを持てる会社じゃないと続かないよねっていうことでした」

「わたしがやりたいと思っていたリノベ再販も、最初から任せますみたいな感じだったので(笑)。やりがいはあるし、自分次第でできることも広がっていく環境だと思います」

ライフスタイルデザイン担当として入る人は、矢田さんから学ぶことも多いと思う。

主な仕事は、お客さんからのヒアリングをもとに、設計と協力してプランを提案すること。注文住宅が多いので、たとえば中古住宅を買ってリノベーションしたいのであれば、お客さんと資金の話もしながら、手が届く範囲で最善のものを探っていく。

「4年前くらいに担当した案件なんですけど、たまたま店の前を通ったのをきっかけに入ってきたお客さんが、ぼくと話して『この人にやってもらいたい』って思ったって。すでに契約しかけていたほうを断って、うちに来てくれた。その話を最近聞いて」

「うれしかったですよね。感動したというか。大した能力も持っていない自分ですけど、そうやって言ってくれる人もいる。がんばらないとなって、あらためて思いました」

建築や不動産は、個人にとって決して安い買い物ではない。一生に一度かもしれないライフイベントに関わるのは、責任と同時にやりがいもある仕事だと思う

「ご主人が若くてね。予算的にどうしようかっていうところからスタートして。コンパクトですけどロフトをつくったりして、変化に富んだ家を建てました」

「ロフトがご主人の趣味部屋になっていて。最近は猫を飼い始めたらしくて、猫の部屋みたいになっているそうですけど(笑)」

お客さんの要望だけを形にすると、どれもおなじような家になってしまうことが多い。できるだけオリジナルなものになるよう、設計と一緒に独自の提案をすることを心がけている。

「一緒に働くなら、気遣える人がいいですね。もう、それだけでいいっす。能力とかよりも、まわりのことを気遣えるかどうかっていうのが、働く上では大事だと思っているので」

 

最後に話に加わってくれたのが、設計を担当している竹橋さん。入社6年目で、もともと大阪で設計の仕事をしていた。

「固定したスタイルがないのは、めずらしいところなのかなと思っていて。デザインもいろんなテイストのものを提案できるので、お客さんのご要望に広く応えていけるのがうちのいいところだと思いますね」

設計の仕事としては、今のところ7割が住宅で3割が店舗という割合だそう。

会社の事業の幅広さについては、どう感じていますか。

「創業から一貫していると思います。食堂も主に内勤の社員が活用してますね。自分も結構食べるんですけど、食材とかも、地域のものを使ったりしていて、すごくおいしい。おいしくて感動するときもあるくらい」

「仕事のことを考えながら食べることが多いんですが、あまりのおいしさに、考えごとが飛んじゃうというか。それくらいのクオリティの食堂が働く環境にあるのは、すごくありがたいです」

竹橋さんも、この日は自席でなく空いている別の古民家で食事をしていた。そんなふうに、ちょっと息を抜ける場所が複数あるというのは、働きやすさにもつながっているのかもしれない。

「縁とかタイミングって、あると思うんです。食堂もそう。この会社は、そういった縁にすごく恵まれているんだろうなって。もしくは、縁を引き寄せる何かを持っている人たちが多いんじゃないかな」

今空いている建物も、今後別のテナントが入るかもしれないし、自分たちの別の事業に使うかもしれない。

新しく入る人も、まずは建築の土台を固めつつ、自分のアイデアからなにかチャレンジできる可能性は大いにあると思う。

デザインを軸に、いろいろな未来への可能性を持って進むことで、会社だけでなく地域にとってもいい影響があるし、それは同時にまちおこしのようなことにまで行き着くようにも感じる。

単純な建築会社ではありません。型を持たず、お客さんの希望を全力で具現化する建築と、「in design」を軸にした多角的な事業。

建築経験のあるなしに関わらず、I.D.Worksでは面白い仕事に取り組むことができるように思いました。

(2023/10/19 取材 稲本琢仙)

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