※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
もっとこうしたら楽しいんじゃないか?
子どものとき、公園で友だちと遊んでいると、あっという間に空が暗くなっていました。
好奇心の赴くままに動いていると、だんだんと目の前のことに無我夢中になって、時間が経つのも忘れてしまう。
loop&loopのみなさんと話していて、その感覚を思い出しました。
loop&loopは、イスラエル発の革靴ブランド「NAOT」を取り扱っている会社。
奈良に本店を構え、全国に出張して靴の受注会を開催。そのほかにも、アーティストを招待したライブや、本の出版、アパレルブランド「entwa(エントワ)」の展開など。
お客さんに喜んでもらいたい、という気持ちと同じくらい、自分たちの好奇心を大切にして、事業の幅を広げてきました。
今回は奈良と東京で働くメンバーを募集します。
まずはお店に立ちつつ、その人の得意や興味にあわせて、Webコンテンツの企画制作をしたり、商品開発に関わったりなど、ブランドに関わる仕事を幅広く担当していきます。
よく笑い、よく話し、エネルギーがある。そんな印象がある会社です。
京都から近鉄に乗り、近鉄奈良駅で降りる。
駅を出てすぐのならまちエリアは、どこを歩いても楽しい。にぎわいのある商店街に古い町屋、一本道を外れると隠れ家的な飲み屋さんもある。
ゆっくり見て回りたい気持ちをおさえて進んでいくと、ならまち大通りに目的のビルが見えてきた。
階段を登って3階へ。扉をノックする。
「どうぞ〜」と元気な声が返ってきて、中へ入るとloop&loopのみなさんが迎えてくれた。
興福寺の五重塔や春日山などがくっきり見える、見晴らしのいい事務所。
loop&loopのはじまりは、イスラエルの革靴「NAOT」の販売から。
クッション性が高く足裏全体にフィットする靴は、履くほどに足に馴染み、「育てる靴」として愛用している人も多い。
創業から約12年。代表の宮川さんに話を聞いた。
「外から見たら靴屋さんって思われることもありますけど、僕らは企画制作やデザインも手がけている、クリエイティブチームなんです」
クリエイティブチーム、ですか。
「たまたま靴を販売しているだけで、どうしたらお客さんに喜んでもらえるかな、感動してもらえるかな、僕らがわくわくするかな、っていうことが根っこにあって」
「そのための表現が靴の販売であったり、服をデザインすることであったり。音楽イベントも本の出版も、すべてが同一線上にあると考えてやってきました」
たとえばNAOTのWebマガジンでは、気になる作家やアーティストに声をかけてNAOTの靴を履いてもらいながら散歩する企画や、プロの漫画家さんとコラボした漫画を掲載。
さらにはYouTubeやInstagramでのライブ配信など、さまざまな企画をおこなっている。
また、コロナ禍を機に、通称“宮川企画デザイン”というチームを社内でつくり、新たにfuaiというブランドを立ち上げたそう。
「最近、NAOTをやり始めたときのことを思い出して。みんなお店の前を素通りするから、せっかくやったらチラシつくろうと思って、フォトショとイラレを勉強したんです」
「そのときの気持ちって、純粋に誰かに何かを伝えたいってことなんですよね。そのときが一番夢中になってたし、いまもこの新しいブランドを始めて、めちゃくちゃ楽しいんです」
わくわくすることを形にしていく。
事前の打ち合わせで、宮川さんは「できたばかりの新ブランド『fuai(ファイ)』は、まさに新しい可能性を模索するものなんですよ」と話していた。
実際にオンラインショップを覗いてみると、アウトドアシーンで活躍しそうなコートや靴下などのアパレル以外にも、栗の木のお皿や、もみの木のお香などの雑貨もある。
いったいどんなブランドなんだろう。
疑問に思っていると、隣で話を聞いていた永田さんが話してくれた。
もともとentwaというブランドで洋服や紙媒体のデザインなどを担当していた方。現在は宮川さんと同じチームに所属して、すべてのプロジェクトに関わっている。
「fuaiってかなり実験的なブランドなんです。背景としては、靴の販売や服の製作のほかにもやりたいことがいっぱいあって、それらも仕事にしたいねってところからスタートしました」
「お客さまに喜んでもらえるものであれば、本当になんでもありで。特にみんな食べるのがめちゃめちゃ好きなので、食に関することができないかなって。それでわたし、散歩しながら食べられる、クレープが喜ばれるんじゃないかって思ったんです」
思いついた永田さんは、すぐに行動に移す。クレープを試作しては宮川さんやスタッフに食べてもらい、味を改良していった。
はじめは宮川さんに全然刺さらなかったけれど、だんだんとまわりも巻き込み、クレープ専用の鉄板を買ってもらえることに。ついにはNAOT奈良の店舗の前でクレープ屋台を実現させた。
「店前でクレープを焼いていると、今まで通り過ぎていただけの方にもお店を知ってもらえたり、話が弾んだり、いろいろと発見があって面白いんです」
「これからも、やってみたいことから仕事をつくって広げていけたらいいな、と思ってます」
loop&loopでは、ブランドごとにチームがあるけれど、その垣根を越えた仕事も多い。
たとえば、fuaiでつくりたいコートをアパレル専門のentwaチームと一緒に開発したり、クレープ屋台の運営もNAOTのメンバーと協力したり。
「全員攻め、全員守りみたいな形で。お店が忙しかったらヘルプで立つし、在庫管理も検品作業もやります」
新しく入る人もどこかのチームに配属されることになるけれど、明確な仕事は決まっていない。
接客が好きで得意であればお店を中心に立つかもしれないし、経験やスキルがあれば書籍の企画や洋服のデザインを担当するかもしれない。
「決まったルールがほとんどないので大変です(笑)。でもそれに慣れてもらうしかないですね」
fuaiに加え、作家さんとブランドを立ち上げたり、グッズ制作や美術館の展示演出も担当したりしている宮川企画デザイン。
「はじめて美術館の演出をしたときに、天井のディスプレイの取り付けがあって。いざ現地でとりつけてみたら、イメージしていたものと全然違ったんです。すべて取り払ってみたけど、次の案がなくてどうしよう、みたいな」
「結局、配置の仕方をギリギリまでめっちゃ計算して。それでなんとか間に合いました。納得のいく空間がつくれたし、お客さまも喜んでくれたのでうれしかったですね」
どうしてそこまで頑張れたんでしょう。
「話をもらったときは不安もあったけど、せっかくやるならいいものにしたい!って想いが溢れてくるんですよね」
「その想いに向かって動いていけば、形にできるんだってことを展示会を通して実感して。あそこで考えるのをやめてしまったら、違う結果になってたやろなって思う」
柔軟な考え方が魅力的なloop&loop。一見好きなことを自由にやっていて、華やかなイメージが先行してしまいがちだけど、想いを形にするために毎日試行錯誤したり、議論を重ねたり。
お客さんの喜ぶ顔のために、クオリティを突き詰めていく姿勢も特徴だと思う。
あとは会話好きなところも。
さまざまな企画やアイディアは、会話のなかで「これやってみよ!」「それええやん!」というところから生まれることが多いという。
「本当に会話の量がすごく多いので、好奇心が多ければ多いほど会話に参加できるし、成長の機会もたくさんあると思います」
「自分たちで全部やるから、経験が1番の自信にもなるんですよね」
NAOTのYouTube企画も、会話から生まれたもの。
担当の冨田さんが話してくれた。永田さんと同じく宮川企画デザインの一員だ。
「わたしたちのチームで、アウトドアのイベントへ視察に行ったときに、スマホで動画を撮っていたんです。そしたら、ある俳優さんが、永田と宮川の目の前を通ったんですよ」
「でもふたりは全然気づかなくて。その瞬間がすごく面白かったので、移動中に動画を編集したんです。その動画を宮川が面白がってくれて、そこからNAOTの映像を担当することになりました」
どんなことをしたんですか?
「NAOTの情報発信の1つとして、まずはNAOTのメンバーの素顔を知ってもらえるような動画をつくることにしました」
「第一弾は、NAOTにまつわるクイズを宮川含むスタッフ3人で答える動画なんですけど。わたしがスタッフたちの面白さを一番知っているからこそ、それをどうしたら伝えられるか。そのためにどんな編集をすればいいか、すごく考えました」
クイズの出し方やテロップなど、冨田さんのこだわりが垣間見えて、クスッと笑ってしまう。
スマホで動画編集をすることはあっても、専用のソフトを使った経験はなかった冨田さん。一から独学で勉強していった。
「機能がいっぱいあるので、なんかもうわけわかんなくって。でも、永田とかのまずやってみる姿勢を日々見てるから、わたしにもきっとできると思って。家でもずっとやってましたね」
「たぶん見る人はそんなに気にならないだろうけど、ちょっとした0.1コンマの間を詰めるとか。最終的には楽しいが勝って作業してました」
宮川さんは、こんなことも話していました。
「仕事を真面目にしすぎないほうがいいと思うんです。どうせやらなあかんときはあるから、気持ちだけでも余裕を持って楽しむ」
「いろんな仕事をするのも、テレビ番組のチャンネルを変えるぐらいの気持ちでいいと思います。このチャンネルしか見ません!って、しんどそうじゃないですか。いろんな楽しい番組を見たほうがいいと思うし」
常に楽しそうなloop&loopのみなさん。
なんでも楽しむ土壌があるからこそ、自然とまわりにも楽しいことが集まり、どんどんその輪が広がっていく。
この人たちとなら、自分自身も楽しみながら、なんでもできそうな気がします。
(2023/12/08 取材 杉本丞)