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着ると知りたくなる
おとなの道具服

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「ものづくりを頑張っている国内のレディースブランドって、本当に数が少ないと思います」

「トレンドに合わせて買ってもらうんじゃなくて、もの自体のすごさで、『あ、なんかこれすごいかも』って思ってもらえるようにする。そこはすごく意識してます」

そう話すのは、「lelill(レリル)」のデザイナー児玉さん。

lelillは株式会社マイク・グレーが展開する、レディースアパレルブランドのひとつです。

コンセプトは、「道具服」。

見た目のデザインはもちろんのこと、どんな天候でも着ることができる機能性や、身体に馴染む着心地のよさなど。

毎日使う道具のように、生活に寄り添うベーシックウェアを提案しています。

今回募集するのは、丸の内の直営店で働くアンバサダー。

マイク・グレーでは、ブランドとお客さんの架け橋となる直営店スタッフのことを「アンバサダー」と呼んでいます。

デザイナーとの距離が近く、商品の特徴や想いも直接聞くことができる環境です。

ファッションも接客も好きでもっと知りたい人は、ワクワクすると思います。

 

新丸ビルは、東京駅丸の内北口から目と鼻の先。すぐ近くには皇居がある。

ビルの地下フロアでマイク・グレーのみなさんと待ち合わせをし、専用口からお店に案内してもらう。

コスメショップや雑貨屋など、どのお店もまだオープン前。舞台裏を見ているようでワクワクする。

すぐにlelillのお店に着いた。

店内はシンプルで落ち着いた雰囲気。

洋服のほかに、器やジュエリー、レジ横の棚には美味しそうなジュースが並べられている。

「lelillだけでなく、僕が昔から付き合いのある作家さんの商品や、マイク・グレーのオーガニックジュースも取り扱っているんです」

大きな黒ぶちメガネがよく似合う、デザイナーの児玉さん。

「キャリアのスタートはデニムの会社で。最初から婦人服をつくりたかったんだよね。メンズの服って限られているというか。レディースは、パンツもワンピースもあって、雰囲気がガラッと変わる。アイテム数が増えれば、いろんな構成を組めるからさ」

前にいた会社では、別のブランドのデザインをしていた児玉さん。16年続けるうちに、新しいブランドをつくりたいと思うように。

そこで注目したのが、婦人服にハイテク素材を取り入れること。

「ハイテク素材って、アウトドア系メーカーの専売特許みたいなところがあって。でもアウトドアウェアをまちで着ると、微妙に浮いてしまうなって感じていたんです。だったら自分で納得できるものをつくってみようと思って」

そうして5年前からスタートしたlelill。

「道具服」って、具体的にどんな洋服なんだろう。

「たとえば、目の前のニットボレロかな」と、紹介してくれたのは、ブラウンのカーディガン。

おへそあたりにボタンが1つあって、カシュクールの着こなしもできるようだ。シンプルでいて、遊び心も感じる。

「ニットって、ウールや綿でつくられていることがほとんどだと思うんだけど、湿気のすごい日は繊維が毛羽立って着心地がわるくなってしまう」

「このボレロはそれを解消するために、ハイテク素材を使っていて。洗濯しても1時間後には乾くぐらい、速乾性に優れているんです」

また、パターンのほとんどが長方形で構成されているという。それによって洋服をたたみやすく、気軽にバッグのなかに入れて持ち運びができるし、伸縮性にも優れているため、シワにならずさっと着ることができる。

長く着たい服って、見た目と同じくらい着心地も大切にしたいから、うれしい機能だ。

ハイテク素材はlelillの代表的な特徴でありつつ、ほかにも天然素材、デニム素材を使った2つのレーベルがある。

「その日の気分に合わせて、着る人が好きに選べるようにしているんです。雨の日にハイテク素材の洋服を着ていれば、水を弾いて濡れないので、ストレスもない。ただ、天気のいい日にわざわざハイテク素材を着る必要もないじゃない?」

「そういうときは一番着心地のいいものを選べるように、天然素材のレーベルがあって。で、その2つの接点になるのが、デニム素材。だから、3種類あるわけです。つくるのはすごく大変だけどね(笑)」

冗談も交えながら洋服への想いを話してくれる児玉さん。

こだわりは細部ほど際立つ。

たとえばデニムのポケット。よく見ないと気づかないけれど、同じポケットのステッチでも、場所によって色や太さが微妙に違っている。

デニムと一緒に糸もバランスよく経年変化するように。そんな狙いで変えているそう。

「表面的に着飾るっていうのは、そんなにむずかしくないんだよね。でも個人的には洋服の裏地を見て、ロック始末の糸が一個も見えないでつくられていると、美しさを感じて。そんなふうに、気づく人だけが気づくような洋服をつくりたい」

「細かい話もいろいろしたけど、デザイナーが一方的にこだわりを伝えるのも違うと思っていて。そこはいつも気をつけながら、アンバサダーやお客さまとも会話しています」

 

「児玉さんのものづくりは、異常だと思いますよ」

アンバサダーの秋本さんが話を続けてくれる。

lelillの直営店は、2023年の4月にオープンしたばかり。新しく入る人は、秋本さんと一緒にお店をつくっていく。

「もともと、マイク・グレーが展開する『PONT DE CHALONS(ポンデシャロン)』ってブランドが好きで、2023年の1月に入社したんです。でも、最初の配属先が期間限定の出店だったので、期間満了で社内異動することになりました」

「lelillで働き始めて、まだ4ヶ月ぐらいかな」

移ってみていかがでした?

「はじめはめちゃめちゃ戸惑いました(笑)。PONT DE CHALONSのカラフルで可愛い雰囲気が好きで入社したけど、lelillはその逆でベーシック。着こなせるのかな?商品の魅力を自分の言葉にできるのかな?って不安で」

「でも、ある1枚の白シャツを着させてもらったときにすごく驚いたんです」

それまでベーシックな白シャツはほとんど着たことがなかった秋本さん。

「キャッチーじゃないっていうか。1枚では様にならないと思っていたんですけど、lelillのシャツを着てみたら、めちゃくちゃ様になったんです」

「こういうことなのか! と思って。同じ白シャツでも、コンセプトや製造方法の違いによってこんなに見た目も違うんだっていうのは、新しい発見でした」

アンバサダーの役割のひとつは、洋服にこめられたデザイナーの熱量をお客さんに届けること。

はじめは素材や縫製についての知識がなくて大丈夫。月に1回、児玉さんも交えた商品の勉強会を開いているので、直接学ぶことができる。

社販も好きな洋服を選ぶことができるので、自分の興味のある洋服を実際に着てみて、商品への理解を深めていけるといい。

「仕事はわりとマルチタスクな感じです。早番と遅番の2人体制で、1人でお店に立つことも多いし、商品の入荷作業や在庫管理もします」

「あとは発送業務もあったりして、売り場との時間配分を考えながら進めることは大切ですね」

印象に残っているお客さんはいますか?

「つい最近なんですけど、ふらっと立ち寄ってくださったお客さまがいて。お話するうちに、『実は洋服はたくさん持っているけど、何をどう着ていいかわからない』って打ち明けてくれたんです」

どんな洋服を持っているのか聞いたうえで、それらに合うようなニットを提案したところ、お客さんも共感して購入してくれた。

「それだけでもうれしかったんですけど、翌日も来てくださったんです」

翌日もですか?

「昨日のお買い物がすごく楽しかったからって、もう一度来店してくださって。接客の自信にもつながったし、ブランドとお客さまをつなげることができたと思いました。アンバサダーとしての役目を果たせて、すごくうれしかったです」

ベーシックスタイルを追求しているlelillは、一部の年齢層に限らず、幅広い層から選ばれている。

トレンドは気になるけど、派手すぎたり奇抜な洋服はちょっと違う気がする。そんなふうに、何を着ていいか悩んでいる方もよく来店するそう。

価格も決して安くはないし、パッと見では、商品の魅力がすべて伝わりきらないからこそ、親身に寄り添って接客する姿勢は大切になると思う。

 

最後に話を聞いたのは、ショップディレクターの森さん。

デザイナーの児玉さんとは、前職からのつながり。長年、店舗マネージャーとして経験を積んできた。

「lelillは、デザイナー、生産、PR、実店舗、オンラインショップがひとつのチームで動いていて。全体のリーダーを任せてもらっています」

「わたしもお店にも立ちながら、ブランドの成長とともに、女性が長く活躍できる環境の整備や、そのための育成にも力を入れてます」

実は、lelillの正社員はまだ秋本さんひとり。そのほかにふたりのアルバイトがいて、森さんも加えた4人で運営している。

「平日だと数人しかお客さまの入店がない日もあって。それが続くとモチベーションも下がりやすい。自分をずっと同じ状態へ持っていく技術も必要だと思います」

それぞれの技術やモチベーションを高めるために取り組んでいるのが、タグ帳と呼ばれる勤務ノート。森さんに見せてもらう。

まずはページの左上に、1日の売り上げ目標と出勤したアンバサダーが考えたその日の接客課題が書かれている。そして、その日売れた商品のタグが貼ってあって、お客さんとの印象に残った話が書き込まれている。

また、商品ごとの月間販売目標をまとめた紙もつくっていて、進捗が確認できる。

「洋服が良くても、お店の雰囲気がいまいちだったら、あんまり買いたいと思わないじゃないですか。アパレルショップって、それぐらい一人ひとりの人間力が、顧客づくりや売り上げを左右するんです」

「販売スタッフを経験したあとに、本社業務にキャリアチェンジを考える人もいるけど、それはもったいないと思っていて。販売の仕事はお客さまを笑顔にできる、やりがいのある仕事です。そこに共感してくれる方と一緒に、もっと成長したいです」

森さんは、接客は待機している状態からすでに始まっていると教えてくれた。

lelillの洋服と同じように、見えていないところほど気をかける。

洋服へのこだわりが接客にも通ずる。奥深い世界だと思います。

(2023/12/13 取材 杉本丞)

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