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なんでもありの図書館
3年間で見つける
ものづくりのある生き方

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

2024年9月28日、新潟県小千谷(おぢや)市に、図書館を中心とした「ひと・まち・文化共創拠点」がオープンします。

名前は「ホントカ。」。

ただの図書館じゃありません。

3Dプリンターなど加工用機械を備えたものづくりスペースや、ダンススタジオなど。「本当か?!」と思わず驚いてしまうような、自由な取り組みや出会いが詰まった場を目指しています。

今回は、ホントカ。のものづくりスペースで一緒に働くスタッフを募集します。

江戸時代から続く伝統的な麻織物、小千谷縮(おぢやちぢみ)など。地域に根付いたものづくりの技術を、知って、伝えて、新たな価値を創造していきます。

地域おこし協力隊のため、任期は3年。決まった業務はありません。ものづくりを軸に、自分の関心や得意分野に応じて仕事をつくっていくことになります。

地域の人とのつながりや、ものづくりの技術も学べる環境だから、3年後はその経験を生かして起業できるかもしれないし、地元の企業に就職する道もあるかもしれない。

「ものづくり×◯◯で生きていきたい」と思う人に挑戦してほしい仕事です。自分だったら何をしようか、想像を膨らませながら読み進めてみてください。

 

新潟県小千谷市までは、東京から新幹線と電車で約2時間ほど。

信濃川が中心を流れるこのまちは、日本有数の豪雪地帯。この日も雪だけれど、道は綺麗に除雪されていて歩きやすい。

小千谷駅から車ですぐの商店街では、この秋オープンするホントカ。の工事の真最中。カーブを描いた独特な建物の形が面白い。

近くの図書館に移動して、まずは小千谷市役所の土田さんに話を聞く。土田さんは、今回のプロジェクトを立ち上げ当初から担当している立役者。

「ホントカ。のオープンに伴って、今使っている図書館は3月末に閉館するんです」

「閉館イベントとして、図書館でDJイベントをしようと思っていて。市内で活動しているDJや、ラッパーを集めて演奏してもらう予定です。アルコールもオッケー、17時から23時半まで自由に音楽をかけて楽しめるようにしたいと思っています」

DJイベントですか。面白いけど、意外です。

「図書館って真面目で硬いイメージがあるでしょう。けど、ホントカ。は、既存のイメージに捉われず、色々な活用ができる場所にしたくて」

「だからまずは市役所で働く自分たちが、こんな使い方もできるっていう例を見せていきたいなと思っています」

ホントカ。は中心市街地の活性化を目標としてオープンする。そのためにも、多様な人に足を運んでもらえるような新しい公共施設を目指している。

具体的にはどんな施設になるんだろう。

「図書館としての機能だけじゃなくて、多様な過ごし方ができる場所にしたいです」

そう言って、見せてくれたのは施設のイメージ図。

細長い形をした建物には、「アンカー」と呼ばれる空間がところどころに散らばっている。

施設の南端にあるのが、食事ができる「食」のアンカー。その隣には、郷土資料などが置かれた「博」(はく)のアンカー。ほかにも、ダンスや演劇の会場としても使える「演」(えん)のアンカーなど。

その中のひとつが、今回募集する地域おこし協力隊がスタッフとして携わる「発」(はつ)のアンカー。

ここには、3Dプリンターや3Dスキャナー、レーザーカッターなどの加工機材が用意され、利用者が自由にものづくりをしたり、まちの伝統技術を学んだり、発信したりできる場になる。

「それぞれのアンカーは壁の一部をガラス張りにするなど、中の様子が外から見えるように工夫しています。そうすることで、互いに刺激を受けて新しい発見にもつながっていく」

たとえば、本を借りに来た人が、たまたま立ち寄ったものづくりのアンカーで小千谷の伝統技術に興味を持つかもしれない。ダンスの練習をしに来た人は、展示されている郷土資料を見て伝統の踊りをダンスの振り付けに活かすかもしれない。

本来なら交わらない人や知識が集まることで、予期せぬ出会いや発見が生まれる場をつくっていく。

「ただ読書をする場としての図書館ではなくて、もっと暮らしに役立つ、日常が豊かになる場になってほしいと思っています。」

新しく加わる人は、この施設でどんな役割を担うんだろう。

「具体的な業務は決めていなくて。来てくださった方と一緒に仕事をつくっていきたい」と、土田さん。

業務を決めていない。

「決めてしまうと、その範囲のことしかできなくなってしまう。行政が考えられることって限られているし、時代の価値観も日々変わっていく。だからこそ、新しく入る人の視点が活かせたり、そのときどきに合わせて変わっていけたりするような余白が必要だと思うんです」

 

「業務に関する詳しい説明は、ぜひ彼に聞いてみてください」と紹介されたのは、学芸員の白井さん。

「まずはこのまちの歴史から話さなくっちゃね。話し始めると3時間くらいかかっちゃうけどいい?」と笑う白井さん。

「今から400年前、小千谷市の人たちはまだ誰も住んでいない野原から、自分たちの力でまちを切り開いていったんだ。そのときにつくり上げたのが、小千谷縮。なんと、江戸時代には年間100億円ぐらい売り上げていたんだよ」

小千谷縮は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている伝統的な麻織物。湯もみをして独特のシワをつけるのが特徴で、一つの布ができるまでには、約140もの工程があるそう。

「小千谷縮をはじめとしたものづくりって、やっぱりこのまちの根幹。これは伝えていかなきゃいけないし、その技術を今の時代にあった新しい価値に変換することが求められる。そのために、ここにものづくりのスペースをつくったんです」

新しく入る人は、まずは地域のものづくりを知るところからはじめてほしい。

「施設にとどまらず、どんどんまちに出て、いろんな人と知り合ってほしいと思っています」

機織り機の部品をつくる木工細工の職人や、機織りの名人、湯もみの技術を持っている人など。

そこで知り合った人にホントカ。でトークイベントをしてもらってもいいし、ワークショップを企画してもいい。ほかにも、まちの技術を動画や文章でまとめて紹介するのもいいかもしれない。

伝統の技術を知るなかで、別の何かと組み合わせていく。それが新しい価値をつくることにもつながれば、と白井さん。

「たとえば、自動車で有名なトヨタ。あそこは元々織機をつくっている会社だったんだ。その織機の部品って応用すると車のエンジンにもなる。それが、100年くらい前に起こったイノベーション」

「同じように、このまちの技術も、今の時代にどう活かせるかを考えなきゃいけない。でも、それって一人でやるのは難しい。たとえば、木工の職人やウェブデザイナー、プラモデル好きなおじさん、建築を学んでいる学生とか。いろんな視点を持った人が集まって、アイディアを出せば、新しい価値が生み出せるかもしれない。そんな期待があるんです」

たとえば、職人の技術をまとめたデジタルアーカイブができるかもしれないし、ファブ機器を活用した土器づくりができるかもしれない。

それは、トヨタのような大「発明」かもしれないし、もっと身近な変化かもしれない。でも、その積み重ねが、まちの技術を未来につないでいくことになるんだろうな。

「あとは、まちを彩る。そういう仕事もしてほしいと思っていて」

まちを彩る。

「ここでつくったものを活用して、ホントカ。や、まちの商店街を賑やかにしていってほしいと思っています」

「小千谷縮を活用してホントカ。のダンススタジオで踊る人の衣装をつくったり、子どもが遊ぶ空間で使うおもちゃをつくったり。この場所でできたものをつかって、まちを賑やかにしていってほしい」

施設の中にとどまらず、商店街の看板やお店に飾る小物など。ホントカ。での活動を通じてつくったものが人気になれば、それを販売することもできる。

やりたいことが定まっていない人にとっては、できることが多すぎて何から手をつけていいか迷ってしまうかもしれない。一方で、やってみたいことがある人にとっては、自分の興味を仕事に活かせる面白さが詰まった仕事。

いろんな仕事があって面白そうだけど、全部を一人でやるんでしょうか。

「全部を一人でやらなくてもいいと思っています。ものづくりだけを淡々とやっていたいっていう人はそれでもいいし、つなげるのが得意っていう人はどんどんまちに出ていってほしい。僕たち役所の職員も含めて、それぞれの得意を活かして、フォローし合いながらやっていきたい」

3年間の任期が過ぎたら、どうなるんだろう。

「実は、小千谷市をチャレンジのまちにしようと考えていて。商店街も空き店舗になってしまっているところが多いから、ビジネスをしたいと思う人に活用してもらえたらと。店舗が必要になれば行政も汗をかいて協力します」

「3年間でまちの人を知れるし、リアルな声を聞けるからまちのニーズや課題にも触れられる。そういう意味でも、任期終了後も新しいことに挑戦しやすいんじゃないかな」

 

小千谷での生活について、地域おこし協力隊の先輩である豊田さんにも話を聞く。

「元々地方移住をして農業をしたいと考えていて。いろんな地域おこし協力隊を調べていて小千谷市を見つけたんです」

「『おぢやクラインガルテンふれあいの里』という田舎暮らしを体験できる施設のホームページで見た景色がすごく綺麗で。芝生や山の美しさにグッと来てしまって。こんな場所で子育てできたらいいなと思って、気づいたら面接を申し込んでました(笑)」

小千谷に移住して2年半。移住してみての生活はどうですか。

「毎日、景色が違うんですよ。霧が出る日は雲海が見えたり、白虹(はっこう)っていう白い虹が見えたり。自然が豊かで、本当に綺麗ですよ」

「それに、花火もすごいんです。小千谷って直径800メートルもある世界最大級の花火が上がる。大阪にいたころは、花火は人混みの中一生懸命立って、ビルとビルの間から少し見えたらラッキーっていう感じだったけど、ここではもう人だかりもなく座って見られるんですよ」

まちの魅力を力強く語ってくれる豊田さん。ここでの生活を楽しんでいることが伝わってくる。

最近は、これまでの経験を活かして、地域おこし協力隊が働きやすい環境をつくる取り組みも始めた。

「移住って勇気のいることだと思うんです。そうやって小千谷に来てくれた人たちが、長く住み続けられるようにサポートできたらなと思っていて。悩みを聞くとか、協力隊同士の横のつながりをつくるとか、そういうかたちでサポートできたらなと考えています」

新しく来る人も、なにか不安なことがあればいつでも聞いてほしいとのこと。豊田さんみたいな先輩がいれば、新しく移住する人も安心だと思う。



ホントカ。は、今までにない新しい図書館。

どんな施設になるかも、仕事の内容もこれからみんなでつくっていける余白がある。

だからこそ、自分のやりたいことや挑戦してみたいことを試せる3年間になると思います。

(2024/2/8 取材 高井瞳 )

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