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壁にはお手製の棚をつけてお気に入りの写真と植物を。床は無垢材を使ったフローリングに。
住まいや店舗用の物件を選ぶとき、自分の手で空間をカスタマイズできるかどうかが、より重視されるようになってきました。
そんな人の大きな味方になってくれているのが「DIYP」。
2010年から始まり、今では多くの人が利用するサイトに成長しました。
今回は、不動産仲介スタッフとして働く人を募集します。主にDIYPに掲載する物件の取材からお客さんとの契約まで、一貫して関わる役割です。
カフェを巡るのが好き、ファッションに興味があるなど。空間やそこに集う人の雰囲気にアンテナを張っている人には、おもしろい仕事だと思います。
不動産サイト「DIYP」を運営しているのは、株式会社PAX。
週に2回、PAXが運営している古民家レンタルスペース「並木橋OLDHAUS」でミーティングが開かれているとのことで、そちらに向かう。
渋谷駅からは歩いて10分ほど。路地に入ると、渋い外観の建物が現れた。
中は和洋が混ざったモダンな空間が広がっていて、撮影などでも使われているそう。
大きなテーブルがある洋室に入ると、ちょうどミーティングが終わり雑談しているところだった。
最初に話を聞いたのは、PAX代表の村井さん。
お会いするのは今回で二度目。気さくにユーモアを交えながら話してくれる方。
都内の物件を中心に、スタッフ自ら足を運び、建物の雰囲気や設え、空間の特徴などを文章と写真で紹介している。
改装可能範囲や、原状回復は必要か、などの情報も記載。普通の不動産サイトでは見られないような古い物件や、変わった間取りをした物件なども掲載されていて、見ているだけでも面白い。
メールでの物件探しサービスもおこなっていて、「こんな物件ないですか?」という問い合わせにもスタッフが返信している。
「最近の傾向として、メールサービスでの問い合わせが多くなってきました。利用してくれているお客さんも、ファッションやコスメとか、いろんなジャンルの方が見てくれていて」
「物件を更新しながら問い合わせにも対応するとなると、今のままでは人が足りない。それで今回募集したいなと。あと、人がいっぱいいたほうが楽しいからね」
加えて、今後新しいサービスを開始する計画もある、と村井さん。
「コロナ禍を経て、空間とか場に対する人の認識が変わってきていると感じていて」
「この場所だって、週に2回、ミーティングのとき以外は場所貸ししている。使うときだけ借りる、みたいな行為が一般的になったと思うんです」
コロナ禍をきっかけに、リモートワークを取り入れた会社は少なくない。固定のオフィスを解約して、対面でのコミュニケーションが必要なときだけ場所を借りる、といった企業も出てきた。
「今後はレンタルスペースを紹介して、必要な人とマッチングさせるサービスも考えています。せっかく空いている空間があるなら、1日貸し、1ヶ月貸しとかが増えても面白いんじゃないかな。週末だけパン屋さんやりたい、みたいな人が使えたらいいよね」
楽しそうに今後の道筋を話してくれる村井さん。根っこにあるのは、空間がもつ可能性を信じることと、面白いことをやってみたい気持ち。
賃貸でもレンタルでも。想像力を働かせて、お客さんと空間のいいマッチングを実現させていくことが理想だ。
「カフェをしたいっていうお客さんに、この物件でテラスをつくればいい雰囲気のカフェになりそうですよ、とかね。そういう提案ができる人だといいなと思っていて」
「空っぽだった空間に、お客さんの思いが加わって、いろんな人が集う。自分が関わった物件で新しい出会いとかドラマが生まれていたら、すごく面白いしうれしいですね」
自分が紹介した空間が、いいマッチングによって生まれ変わり、人と人のいい化学変化が起きる。そんな一連の変化を想像できる人だといいのだろうな。
「建築に興味があるとか、お店巡りが好きとか。そんなふうに、空間と人の関係性を面白がれると、お客さんに寄り添った仕事ができると思います」
「根っこにあるのは、面白い人たちに対して面白い物件を紹介するっていうこと。そこはぶれずに、これからもいろんなことをしていきたいですね」
「今のチームは、正社員6人と業務委託、というかたちです。人が増えていくので、ここからみんなでPAXをより良くつくり変えていくフェーズになるんじゃないかなと感じています」
そう話すのは、不動産仲介を担当している馬渕さん。働きはじめて7年ほどで、今回新しく入る人にとってはいい先輩になると思う。
取材や掲載などをしながら、契約関係の業務もするというのは大変じゃないですか?
「そうですね… もちろん大変ではありますが、すごく楽しいです。やりがいがあります」
やりがい、というと?
「いろんなお客さんと会うことができて、いろいろお話をすることができる。そうやって商談を進めていくプロセスがわたしは毎回楽しくて」
コミュニケーションを交わすのが楽しい、と。
「そう。楽しいし、成約して無事にお店がオープンしたところを見ると『わー、こんな場所になったんだ!』って、うれしくなります。思いを持った人が、自分のお店をつくる。そのプロセスに関われるのがありがたいです」
たとえば、と話してくれたのが「MIA MIA」という豊島区南長崎にあるカフェ。昔ブティックだったお店をDIYPで掲載したところ、申し込みがありカフェとして生まれ変わった。
「物件自体も雰囲気が良くなって、すごく人気のカフェです。いざ契約するとき、お客さんも『やっとこれから始まる』って、感動して泣いていたんですよ。それを見て、他人の人生のすごく大事な瞬間に立ち会わせてもらえる仕事なんだなって、あらためて感じました」
カフェを開いたお客さんはご夫婦で、旦那さんがオーストラリア人なのだそう。日本の喫茶店文化が好きで、みずからオープンするに至った。
空き物件にお店が入ることで、新しい人の流れが生まれる。
それによってさらに新しいお店が生まれるかもしれないし、自分もなにかやってみたいと思う人も出てくるかもしれない。まちの活性化にもつながっているのだと思う。
物件を改装することで、新しい何かが生まれていく。
そこに共感して入社したのが、3年目の玉井さん。馬渕さんと同じく不動産仲介の仕事をしている。
もともとアパレルの販売をしていた。アパレル自体は好きだったけれど、大量生産大量消費の現実に違和感を持ち、辞めることに。
「母親が不動産を持っていたのもあって、不動産業界に興味を持って。新築でガンガンつくるというより、古いものとか既存のものをリノベーションして貸す。それってすごく意義のあることだなと感じたんですよね」
意義、というと?
「古い建物を活用することで、新築とは違った付加価値がつく。それが面白いし、これからの世の中に必要なことなんじゃないかなと。それでいくつか不動産の会社を経験して、PAXに入社しました」
それまで働いていた会社と異なり、PAXは自由度が高く、働き方も大きく変わった。
「少人数であるぶん、一人ひとりがちゃんと動かないといけない。規模が大きい会社も経験しましたけど、あんまりシステマチックすぎるよりは、自分たちでつくっていくほうが面白いなと、わたしは感じてますね」
「あとは、DIYPで紹介している物件は店舗や事務所向きがメインなので、成約するまでが長いなって感じました。住居だと多くて内見2回くらいで決まるんですが、店舗だと内装工事が必要なので、業者さんともう一回見に行ったり、そのための打ち合わせをしたり」
契約も確認や調整事項が多いので、半年かかることもある。最初は時間の使い方に慣れなかったけれど、今はだんだんコツが掴めてきたという。
大切なのは、申し込みから契約までのプロセスを大切にすること、と玉井さん。
どんな人と一緒に働きたいですか。
「そうですね… 社会人経験があって、コミュニケーションを交わすのが好きな人が向いていると思います。不動産経験があるとなおよしって感じかな」
「DIYPでは他社さんが扱いづらい古い物件も得意にしているので、取材や契約で手間はかかると思います。やることはどれも一緒なんですが、物件が全然違うから、飽きない面白さはありますね。それは裏を返せば毎回違うから大変ということでもあるんですけど(笑)」
「DIYPで紹介しているのは、クセのある建物が好きな人が喜びそうな物件、みたいな感じですかね」
そう加わってくれたのが、隣で話を聞いていた鈴木さん。営業を担当していて、前回の仕事百貨の記事を読んで入社した方。
「ミーハーっぽい人、っていうんですかね。カフェ好きとか、アパレル好きとか。そういう人が好きそうな建物を扱っているのかなと思います」
入社して1年半ほど。すでに一人でお客さんを担当しているけれど、契約書などの重要な書類に関しては、先輩のふたりにチェックしてもらいながら進めている。
個人プレーになりがちな仕事だけれど、営業のチームとしてフォローし合える環境は整っているようだ。
「自由度の高い職場なので、その分自分で決めなきゃいけないことが多いです。今日はどの仕事から取り掛かるかとか、内見の時間管理とか」
「契約書もむずかしいものだと1日かかってしまったりするので、最初はとくに先輩にフォローしてもらいながらになると思います。うまくいかなかったとき、すぐ相談できる人だといいですね」
みなさんが話しているのを聞いて、「自分で付加価値をつけられる余白がある物件」を扱っていることが、PAXの価値であるように感じました。
建物や不動産が好きな人は、ぜひ応募してみてください。面白い物件や、人と空間が生み出すドラマに、たくさん出会えると思います。
(2023/9/4 取材、2024/3/11 更新 稲本琢仙)