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99%の人が
まだ知らない
手袋のこと

寒い冬に手をあたたかく包んでくれる、手袋。いくつか持ち合わせている、という人は少ないのではないでしょうか。

毎日着る服を替えるように、手袋に選択肢を増やす。暮らしも気持ちも、ちょっぴり豊かになるかもしれません。

香川県東かがわ市を拠点に、手袋産業を盛り上げていこうとしている人たちがいます。

株式会社tet.(テト)。革素材を使った高級なものから、子ども用まで。あらゆるジャンルのメーカーをパートナーに迎え、各メーカーの得意とする技術をプロダクトに落とし込み、全国に発信しています。

現在の社員数は2名。宮本さんと、松下さんのご夫婦で運営しています。

今回募集するのは、オンラインストアのページ制作・編集担当者。

オンライン上でもお客さんがたのしく、わかりやすい買い物ができるためのしつらえを考えます。

やってみたい気持ちがあれば、商品企画などほかの領域にもチャレンジできるとのこと。

東かがわ市は、国産手袋のうち9割の生産量を誇っている日本随一の手袋のまち。取材を通して、手袋の未来はまだまだ広がっていく予感がしました。

 

東京から飛行機に乗って1時間20分。徳島阿波おどり空港に着いて、そのままバスで徳島駅へ。

宮本さんが迎えてくれた車で、オフィスへと向かう。

東かがわ市は、徳島と香川の県境に位置している。車があれば関西へも日帰りで行けるだろうし、海と山に挟まれていて、休日の暮らしも充実しそうだ。

到着したオフィスには、tet.のロゴマークと… 株式会社マツシタ?

実は、松下さんのご実家は事務機器などの設備を地元企業向けに販売する商社なのだそう。tet. とマツシタで、シェアオフィスをしている。

東かがわの手袋産業のはじまりは、遡ること130年以上前。

カジュアルなアイテムとしてはもちろんのこと、ゴルフやスキーブームで生まれたスポーツ手袋や、製造ラインで用いられる作業手袋など。

ニーズの変化に合わせながら、国内外屈指の手袋産地として生産を維持し続けてきた。OEMが主流で、メーカーそれぞれが販路を持っている。

けれど、「東かがわ産」であることはまだまだ認知されていない。

さらに後継者不足や海外製との価格競争、暖冬が進んでいることなど。ものづくりを取り巻くさまざまな環境から、200社ほどあった手袋会社は50社程度まで減少している。

課題も多くあるなか、松下さんがどうしてtet.をはじめたのか、話を聞いてみる。

大学進学を機に上阪し、卒業後も大阪東京で就職した松下さん。家電メーカーで計5年間ほど勤めていた。

そんなとき、人材業界で働いていた松下さんのお姉さんから話が舞い込む。

愛媛で、今治タオルをはじめとした地場産業のブランド化を事業としているエイトワンという会社が、東かがわを拠点に手袋事業を立ち上げるとのこと。

工場に足を運び、それぞれが得意としている技術を理解し、それらを活かした商品を開発する。東かがわ手袋のオールスターを販売するというブランド化事業だった。

「両親が商売をしている影響で、手袋産業は身近なものでした。けれど県外に出てみると、自分の周りで東かがわが手袋のまちと知っている人ほとんどいなかった」

「PRするきっかけをつくれるのは意義のあることだけれど、私自身ブランドづくりの経験があるわけではないし、力になれるか分からない。悶々としていました」

決め手となったのは、「東かがわで生まれ育った自分がやる意義」。

「この地域に由来のある自分が始めることに、意味があるんじゃないかって」

「実家の会社のクライアントさんが、近くにたくさんある。幼いころから、地域全体でさまざまな人が支え合い、暮らしが成り立っていると言う実感がありました。まちが衰退するなかで、チャレンジしてみようと思いました」

最初は、エイトワンからサポートを受けるかたちで、2016年に、tet.をスタートさせた。

「まずは各メーカーへご挨拶にまわりながら、手袋についてとことん勉強しました。職人さんのなかにはおしゃべり好きな方も、シャイな方もいて、お話をするのはとても楽しかったです」

「いくつものメーカーでつくられる商品を、ひとつのブランドに集約して商品を展開することは地場産業とってこれまでにない挑戦でした。お取り組み先を決めつつ、それぞれのメーカーが得意とする素材や製法を活かした手袋を考案していきました」

まずは販路開拓のため、東京で開催された展示会へ出展。

三越伊勢丹や高島屋、銀座の伊東屋、BEAMSなど。縁あって、初年度から全国の百貨店・ショップに展開することが決まった。その後も取り扱い店舗は続々と増えている。

ブランドを立ち上げて8年。順風満帆のように見えるけれど、壁にぶつかることはなかったのだろうか。

「それが、パッと思いつくことはないんです…。クライアントさんとの連絡が滞ってしまうなど、手が回らないときはありましたが、なにせ少人数のチームなので、乗り越えるしかない!と思って頑張ってきましたね」

「100年以上の歴史と、その発展を支えてきたメーカー。言葉にし尽くせない尊敬があるからこそ、責任感を持って続けられています」

新しく入る人は、主にオンラインストアの運営に携わる。最初は教えつつ進めていくとのことなので、未経験でも大丈夫。

“秋冬”や“防寒”のイメージが強い手袋。ポップアップや卸先の店舗も、まだまだ冬用のアイテムとして扱われることが多い。

けれど、自転車に乗るときや、庭仕事のときなど。用途やシーンに合わせて活躍してくれるもの。洋服と同じように、素材やデザインに種類があって、使い道はとても幅広い。

常に開いているオンラインストアだからこそ、もっと気軽に手袋を手に取るきっかけを提案してほしい。

主に、写真撮影や商品ごとのページづくりなど。ときに季節やテーマを設定して特集を組んだり、つくり手の方への取材に行ってコラムを書いたり。客観的な視点で、tet. を切り取っていく。

ほかにも、毎年需要が高まる冬季には、全国20店舗以上のポップアップストアを回る。それらのフォローや出荷業務、オフシーズンには、検品などの軽作業も担当することも。

会社を動かしていく3人目として、気づいたことがあれば、率先して手を動かす能動的な姿勢は大切だと思う。

「2人ではどうしても限界があって。効率化できること、やりたいけれどできていないことがたくさんあるんです。よりよく変えていくことを伸びしろだと思って、素直に楽しめるポジティブさは大切だと思っていて」

「夫婦の間に3人目として加わるハードルはどうしてもあるので、ケアできる環境は整えたいと思っています。誰かが加わり、変わっていくことに私たちは前向きです。なんでも言ってもらえるとうれしいですね」

 

tet.には、どんな商品があるんだろう。

宮本さんがカタログを広げて教えてくれる。

たとえば、と紹介してくれたのは、tet. とtokyobike のコラボ企画「コミューターグローブ」。製造を担当したのは、お取り組み先のなかでも、スポーツ用の手袋を得意とするサングローブ株式会社。

甲の部分にはリフレクター、生地はフリース素材で保温性があり、スクリーンタッチにも対応。自転車を乗る人にとってうれしい機能が備わっている。

指先には革が使われていて、高級感がありつつコーディネートにも馴染みやすい。

「tet.の商品の特徴は、カジュアルとほどよい上品さの両立。ディテールには、メーカーさんの高い技術が光るような機能性が備わっている」

「カラーも、なるべく多く展開するようにしています。日常で着け分けても楽しいようなラインナップを心がけていますね。今日はどうしようかな? と選ぶ楽しさがあると思うんです」

ブランドを立ち上げた当初、83種類だった商品も、現在では200種類を超える。提携するメーカーは、11社にのぼる。

「ギフトに選んでいただくことも多くて。国内だけでなく海外の方に人気をいただいているのも、僕らにとって大きな自信になっています」

うれしそうな表情で話してくれる宮本さん。tet.へはブランドが立ち上がった1年目から参加していて、今は会社の代表を務める。

宮本さんは大阪の出身。東かがわで生まれ育っていないからこそ見える客観的な視点で、地域の課題に向き合い、産業やブランドの進むべき方向を一緒に模索してきた。

「松下がtet. を立ち上げると決めてから、一人で奔走している姿をそばで見ていて。地元で根を張って0からブランドをつくるって、相当な熱量が必要やと思うんです。けれど、一緒にやる人が見つからない、という理由でとん挫しそうになっているのを知って」

「そんな理由で、この挑戦がなくなるのはもったいないと思ったんです。これは一緒にやるしかないと。パートナーと一緒に、やりたいことに取り組めるなんてすごくラッキーなこと。これを機にと、結婚して東かがわに移住しました」

仕事を通じて、だんだんと手袋の世界にも愛着を感じるようになった。まち、歴史、つくり手のこと。手袋の一歩奥にある背景を、純度高く伝えていきたいと考えている。

「手袋産業がいきいきとすることで、まちの景色が変わっていくと思うんですよね」と、宮本さん。

服と同じように、手袋を選ぶ価値観が当たり前のものになれば、手袋の価値は上がっていく。そうすれば、手袋産業に携わる人たちも自信が出るし、まちの人も地域に誇りが持てる。

その先で、手袋産業に携わりたいと思う人が増えていくかもしれない。

「人の手の数だけ、手袋の広がりはあるんです」

「一人ひとりがお気に入りの手袋を持っていて、自分の手を大切にしている。そんな未来に、少しでも寄与できたらと思っています」

 

製品についてもぜひ知ってもらいたい、とのことで、コミューターグローブを共同開発したサングローブ株式会社へ移動する。

車で10分ほどの一帯に、手袋工場がひしめいている。

工場に着くと、目の前にはサングローブ株式会社が運営するセレクトショップ「UNWASTED(アンウェイステッド)」が。

アウトドアやフィッシングを中心に、カジュアルでも使いやすいアイテムが揃う。

別室で、専務取締役の内海さんの話を聞く。松下さんの幼馴染なんだそう。

tet. ができたことは、手袋産業にどんな影響を与えたんだろう。

「僕らはものづくりはできるけれど、売り方はわからない。tet. さんは地場産業特有の苦しみを根本から変えてくれる存在だと思っていて」

どんなことにこだわって商品づくりをしているのか、それぞれのメーカーの強みはなにか。俯瞰するような立ち位置で、手袋のこと、ひいてはまちについて発信していくことで、手袋自体の価値を高めることにもつながる。

「手袋の売値って2〜30年間変わっていないんです。つくられる背景を発信することで、手袋の価値をちゃんと評価してもらえるようになる。ただ、自分の会社のPRはできるけれど、よそさんのPRをするのは筋違いなことで」

「メーカーではない、俯瞰的な立場だからこそ、それぞれの魅力を発信できる。背景に見合う適正価格で販売することで、産業もまちも元気になっていく。この業界で、100年以上できてないことを担ってもらっていて。まさに、新しい風を吹き込んでくれる存在です」

 

99%の人が手袋のことをまだ知らない。

多くの人がまだ気づいていない、手袋と、地域と、ブランドのこと。

おもしろい! の気持ちに素直になって、切り取ったりつなぎ合わせたり。編集していくような仕事だと思います。

その先で、東かがわの手袋産業も変わっていくのかもしれません。

(2024/02/26 取材 田辺宏太)

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