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Tourism Exchange Japan(TXJ)は、地域の観光事業者やDMOと、世界中のメディアや旅行会社をつなぐ会社です。
広島県庁で長年経験を積み、2013年のせとうちDMO設立から運営の中枢を担ってきた村木さんと、アメリカ政府観光局の日本オフィスでPR・プロモーションを経験してきたホワイトさん。異なるバックグラウンドのおふたりが、2019年に共同代表として立ち上げ、互いの強みを活かしながら事業を展開してきました。
今回は、PRとシステムという、TXJの2本柱に横断的に携わる人を募集します。
国内外から観光客を呼び込むネットワークやノウハウと、観光事業者が商品やサービスの流通から販売まで一気通貫して行える、独自の仕組み「TXJシステム」。
PRとデジタルの両輪で、事業として観光に携わる人たちと、旅に訪れる人のニーズを満たす“観光エコシステム”をつくっていくのが仕事です。
コミュニケーション力や英会話力は、高い水準で求められます。PRやプロモーション、システムエンジニアなどの経験は、あるに越したことはありませんが、必須ではないとのこと。
勤務形態はフルリモートで、海外や全国の地域とつながりながら働く。働き方の多様性に関してもオープンな環境です。
(取材はオンラインで行いました。現地の写真は提供いただいたものを使用しています)
TXJの拠点があるのは、広島市と、長崎の五島列島・福江島。今回募集する人はフルリモートでの雇用なので、全国どこからでも働くことができる。
まずは共同代表の村木さんに話を聞いた。
長く広島県庁に勤め、せとうちDMOの立ち上げ時に担当係長として配属された村木さん。
2016年から本格的にマーケティングをはじめると、3年間で『NATIONAL GEOGRAPHIC TRAVELLER』や『Conde Nast Traveler』といった欧米の大手旅行雑誌にトータル1060回も取り上げられ、瀬戸内エリアを訪れる外国人観光客は20万人ほど増加。
その実績や培ったノウハウをもとに、全国の地域へインバウンドマーケティングを普及していこうと立ち上げたのが、TXJだった。
「コロナでインバウンドが止まったなかでも、我々は業績を上げてきました。最近も、複数県にまたがるエリアからご相談をいただいて。インバウンドが本格的に回復するなか、間違いなく需要は高まるので、今のうちにチームを補強しておきたいというのが今回の募集の目的です」
TXJの強みのひとつは、PRやプロモーションを通じて築いてきた国内外のクライアントとの信頼関係。
海外の旅行会社やメディアに対して、現地のニーズを汲みながら、適切なタイミングで情報を提供する。たとえば、食を通じた健康に関心が高まっているなかで、日本の発酵食文化を紹介すれば、メディアは取材がしやすいし、旅行会社もツアーを組みやすい。
ときにはワインバーを借り切って交流の場を開いたり、現地視察をアテンドしたり。
その一方で、自治体やDMOとも綿密にやりとりを重ね、取材やツアー関係者との調整、情報発信に必要な素材集めや各種申請などを通じて、受け入れ態勢を整えていく。
インバウンド観光に携わるさまざまな人たち同士をつなぐ、パイプの役割を担っている。
そしてもうひとつの強みが、独自に開発した「TXJシステム」という仕組み。
自治体の観光サイトなどにこのシステムを導入すると、そのエリアに存在する宿や飲食店、アクティビティ事業者などが、商品・サービスの流通から販売まで一気通貫で行えるそうだ。
この仕組みがあれば、Webサイトを持たない事業者であっても、オンライン上で自分たちの商品やサービスを観光客向けに届けることができる。
最近では、京都府の伊根町でTXJシステムを導入。舟屋が並ぶ特徴ある街並みが魅力の地域で、舟屋の見学やガイドツアー、船釣りなどのアクティビティを提供してきた。
「以前は電話やメールで予約を受け付けていましたが、その対応に追われ毎日大変な状況であったようです。TXJシステムを導入してからはオンラインで省力化も進み、直後から毎日のように予約が入っていますよ」
「それまでは、どんな人が訪れているのか、何がよく売れているのかとか、来訪者の情報ってわからなかったんです。TXJシステムを導入することで、顧客データを全部見れますから、マーケティングのレベルが格段にアップする。そういった効果もありますね」
そのほか、新潟県や福井県、横浜市、岡山県でも導入されているとのこと。
また、関西の大手バス会社と共同で、アプリも開発したのだとか。
「オンラインのバスチケットと合わせて、バスの周遊ルート周辺の体験サービスや飲食店の予約手配ができるアプリケーションをつくりました。コロナ前は、およそ5万人がこのバスチケットを利用していて。交通インフラと絡めることで、新たな広がりも見込めます」
スペイン・バルセロナでは、1992年のオリンピック開催後、地元のDMOが周遊バスの運営に力を注いだことで、観光客数を急速に伸ばした前例もある。
今後はPRとシステムを武器に、観光に関わるさまざまな事業者との連携を深めながら、より大きなムーブメントをつくっていきたい。
「マーケティングの基本であるPRと、今欠かせなくなっているデジタルの仕組みづくりの両方に携われる人ができれば2人ほしいなと。Webまわりの経験があって、コードをいじれる人。かつ、旅行業界に関心がある人だといいですね」
とはいえ、両方の経験を持っている人はなかなかいないように思います。
「最初からスペシャリストでなくてもいいと思っていて。スキルはもちろん、あるに越したことはないですが、あとから身につけることもできます。それよりも、曖昧さとか、不確実さへの耐性のほうが重要かもしれません」
曖昧さや不確実さへの耐性。
「スケジュール調整ひとつとっても、関係者が多くてむずかしい。文化的背景の異なる人たちの間で、常に答えのないなかで動いていくので、一つひとつ指示がほしいタイプの人はストレスになっちゃうだろうなと」
そんな環境のなか、村木さんとともに1から事業をつくりあげてきたのが、共同代表のホワイトさん。
もともとPRやマーケティングが専門で、海外のシステム開発チームとやりとりを重ねながら今の事業の基盤をつくってきた。
TXJの仕事は幅広い。
常時4、5カ国のパートナーをハンドリングしながら、日本側のクライアントである自治体やDMOとやりとりして、お互いをつないでいく。
さまざまな関係者との調整、地域をPRするための素材の整理や、プレゼンテーションのためのシナリオづくりなど。裏方の仕事も多いし、時差の関係で、海外とのやりとりが朝から晩まで続く日もある。
そのうえさらに、PRとシステムに横断的に関わるのは大変なように思うのですが、今回なぜそのポジションを募集するのでしょう。
「PRもシステムも、単独では経済効果を生まないんですよね。新たな消費や雇用を生んで、地域振興にまでつなげていくには、人を呼び込む仕掛けと、観光客が旅先の商品やサービスにちゃんとリーチできる仕組みの両方が必要で」
「目指しているのは、民間版JNTOなんです」
民間版JNTO?
「JNTOは、日本政府観光局、日本全体をプロモーションする公的組織です。その民間版として、ありとあらゆる観光商品をTXJシステムに接続させて、TXJのPRを活用したら、世界中に日本のことを広められるような、観光エコシステムをつくれると思っていて」
「PRとデジタルの両面から、総合的なソリューションを提供していく流れがこの1、2年で加速していくと思います。そこを見据えて、より広い視野で観光に携わっていきたいという、挑戦心のある人に来てもらいたいですね」
PRとシステムそれぞれに専任者を置く形から、全員で横断的に関わる形へ。社内体制や人材育成の流れも見直しているところ。
それはホワイトさんの言う、大きな目標を達成するためでもあるし、会社としてのリスクヘッジにもつながっている。
「案件が立て込むと、専任者にどうしても負担が集中してしまうのが課題でした。PRもシステムも経験したメンバーが育っていけば、いざというときお互いをサポートしやすくなりますよね」
直近でも1人、産休中のスタッフがいるそう。それぞれのリズムを大事にしながらチームとして長く働き続けるためにも、横断的な知見を養っていってほしい。
現在、TXJの社員は10名。大企業のように安定した基盤があるわけではないし、少数精鋭のベンチャーらしい企業風土がある。
メンバー全員が満足できる給与水準を満たすためにも、一人ひとりが売り上げに貢献していく意識を強く求めている。
「売り上げがあがれば当然、それに貢献したメンバーにはボーナスを支給するなどして還元していきます。会社の利益=自身の利益と考えて、売り上げにもしっかり意識を向けながら取り組める方でないと、うちの会社には合わないと思います」
今回募集する人は、勤務地は問わない。ホワイトさんのように福江島に住みながら関わることもできるけれど、まずはしっかりと仕事に向き合える環境で働いてほしいという。
「週末はパラダイスにすぐ行ける、めちゃくちゃ素敵な環境ですよ。だけど、仕事量は東京の会社と本当に変わらない。島はゆったりした時間が流れているので、どうしてもギャップが生まれやすいんです」
「だからまずは仕事に専念して、リズムを掴んでほしい。十分に経験を積んだら、働く場所の選択肢をさらに広げることもできると思います」
全員で顔を合わせる機会はあるんでしょうか。
「月曜の朝礼は全員が参加します。それに加えて、今後は年に2回、福江島に1週間ほど集まって働く時間を設ける予定です」
顔を合わせて働くことで、メンバーの人となりも見えてくるし、クライアントとのコミュニケーションの温度感や機微も共有していきたい。
たとえば国内の自治体職員と海外のメディア関係者とでは、やりとりする際に意識を置くポイントは異なる。ホワイトさんは、話の進め方やテンション、表情や仕草に至るまで、関わる相手に応じて少しずつチューニングしているそうだ。
年に2回の来島中は、TXJとして新たに運営をはじめる一棟貸しの宿に滞在できる。定期的に福江島を訪ねられるのだから、福利厚生と捉えてもうらやましい。
「出張もありますよ。国内は年に4〜5回、英語が堪能な方であれば年に1〜2回は海外にも。基本はリモートで働きつつ、出張も楽しめるような、フットワークの軽い人がいいかもしれません」
好きな場所に暮らしながら、海外や全国の地域とつながってバリバリ働く。自分の仕事を通じて、日本の観光に大きなインパクトを生んでいく。
PRとシステム。仕事とプライベート。ローカルな深堀りと、グローバルな広がり。
いずれかをとるのではなくて、すべてをとりにいきたい。成長の機会を貪欲に求めているタイミングの人なら、この環境をフルに活用できるように思います。
(2022/8/8 オンライン取材、2024/5/24 更新 中川晃輔)