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オリジンオブジャパン
日本が生まれた地から
違いをたのしむ旅をつくる

大人になって、新しい出会いの機会が減った。友だちと飲んでいると、よく出てくる話です。

運良く僕の周りには、人と人とをつなげたいと思う人がいて、友だちを紹介してもらう機会が多いです。

気が合ったり合わなかったり。ときどき疲れてしまうことも。

けれど、新しい人との出会いは、自分の考えや生き方に思いがけない気づきや発見をもたらしてくれることもある。

今回募集するのは、地域おこし協力隊。「インバウンド向けの旅事業の立ち上げ」、「淡路島の企業に人材をつなぐ島の人事部」の2つのテーマで活動していきます。

共通しているのは、人と人を上手くつなぐにはどうしたらいいか、きちんと考えること。経験は問いません。

海外の方と関わることもあるので、英語を使う機会はあります。日常会話ができれば大丈夫とのこと。

あたらしいチャレンジや、人との出会いを楽しめる人にぴったりな仕事だと思います。

 

新神戸駅から三ノ宮へ向かい、バスに乗り込む。1時間ほどで、県境を結ぶ明石海峡大橋が見えてくる。

橋を渡って20分ほどで、最寄りのバス停に到着。

歩いてすぐの事務所で、淡路ラボ代表の山中さんが声をかけてくれた。

「せっかくなので、車で島を回りましょうか。淡路島は自然が自慢ですから」

地元の土壁メーカーが工場の一角に構える「土のミュージアム」や、パワースポットとして知られる西濱神社など。観光スポットを回りながら島のことを丁寧に教えてくれる。

「淡路市には線香のまちがあって、日本の生産量の約7割を担っているんですよ」

窓を開けると、甘くやさしい香りが海風に乗って車内を包み込む。

淡路ラボのオフィスに移って、山中さんのこれまでの歩みを聞いてみる。

山中さんは2001年、学生向けに長期インターンシップのコーディネートをするNPO法人 JAEを創業。20年間で約800人の学生をコーディネートしたそう。

2017年からは、そこでの経験を活かして、東京の大正大学で教育による地域創生について教鞭を取っていた。

「生まれが関西だったので、そのうち戻りたいと思っていまして。大学に相談したところ、淡路島で事業を立ち上げることを勧められたんです」

大正大学と淡路市は包括連携協定を結んでおり、大学からの業務委託というかたちで、2020年に淡路ラボを立ち上げた。

当時はコロナ禍の真っ只中。淡路島では、どの企業も働き手を探していたけれど、解決策を見出せずにいた。

「一方で、サークルもできず友達もつくれず、学校生活を十分に楽しめない学生も多くいました。なかには、何年も前から予定していた留学を諦めた子もいて」

「チャレンジしたい人がたくさんいるけれど、それをつなぐ人も場所もなかった。それなら淡路島を拠点に、経験のある僕がつなげようと考えたんです」

地元の酒造や建設会社、製造業など、さまざまな会社と全国の学生や若手社会人をつなぎ、長期インターンシップに参加できるようコーディネート。2年間で55人の若者が参加した。

「長期インターンシップとしては、日本で1番人数が多かったんじゃないかな」

「酒造へインターンをした子が、そのまま移住・就職して蔵人になっちゃって。僕らも驚きました」

ほかにも、あわせて6人が島内で就職。

「島のためにもなったし、僕らとしても成功体験になりましたね」

このときの経験が、今年からはじまった「島の人事部」事業のきっかけになった。

今では、長期インターンのコーディネートに加えて、島での暮らしや仕事に関する情報を発信している。

さらに、淡路ラボが今年から新たに取り組もうとしているのが、「淡路島と世界をつなぐ」をテーマにしたインバウンド向けの旅事業。

その最初の取り組みとして参加したのが、2月に行われた「世界青年の船」。

年に一度、各国から10〜20代の若い人が日本各地を訪れ、国際交流とリーダーシップの育成を図るプログラム。

今年は、日本を含む世界14カ国から、約230人が参加。淡路ラボは企画から運営を全面的にサポートした。

淡路島でのテーマは、Origin 。

淡路島は、日本最古の歴史書である『古事記』に、国生みの島として登場する。つまり、日本が始まった場所。

参加者は、国生みの神様をお祀りする伊弉諾(いざなぎ)神宮の参拝や、淡路人形浄瑠璃の鑑賞、陶芸などを体験。地域の歴史やものづくりを学んだ。

「伊弉諾神宮を参拝したとき、参加者のひとりが『世界中の宗教を超えて、世界平和を祈る経験がすごく良かった』って言ってくれて」

「みなさんそれぞれに、信仰があったりなかったりする。生い立ちも考え方もみんな違う。けれどその場所では、ひとつになることができる、という感じがして」

違いを互いに受け入れて、つながりを持つ。そのために山中さんが意識したのは、対話。

体験後には必ず、主催者と参加者が交流する時間を設け、自分たちの暮らしや仕事にまつわる対話が自然に生まれるようにした。

たとえば伊弉諾神宮の参拝では、参加者が島の歴史や文化、参拝の意味などについて対話する時間をつくった。会話を重ねることで、共感したり、理解し合えたりする部分が見えてくる。

「単純な観光ではなく、島の人やほかの参加者との出会いを通じて、人とつながる幸せを感じたり、他者を理解することで自分の新しい一面を知ったり。価値観が変わる、そんなきっかけをつくりたいんです」

 

「そのきっかけづくりのために、彼女と一緒に旅事業を考えてほしい」と紹介されたのが、高木さん。 

Webの仕事をメインに、東京や大阪、香川など、いろいろな場所で働き、9年ほど前に淡路島へ移住。

現在はフリーランスとして、淡路島の企業の広報のサポートや、淡路ラボ事務局でコーディネーターとして関わるなど、幅広く活躍している。

「来年の大阪万博開催に向けて、インバウンド向けの旅事業の企画を進めています。私はディレクションを担当しておりまして」

まだ企画段階のプログラム。これから入る人が、最初に携わっていく事業になる予定。

高木さんは、テーマやコンテンツを考えていくところから伴走してくれる存在になる。

「最近、『トランスフォーマティブ』という言葉が気になっていて。旅行という非日常の体験で得たものを、旅行から帰ったあとも日常に反映させて、人生を豊かにする、という意味なんです」

日常をも変化させる、自己変革の旅。

「2月の『世界青年の船』も、この考えに通じていると思っていて。参加した方々は、さまざまな背景を持った人との違いを知ることで、自分の原点を見つめ直す時間になりました」

今はプログラムをつくっていく段階。「世界青年の船」を参考にしたり、気になるキーワードを深掘りしてみたり。いろんな考え方を取り入れながら、積極的にアイディアを出していくことが求められる。

旅事業を中心に、並行して進めていくのが、島の人事部。島内にある中小企業と、島外からの人材をつなぐコーディネート業務だ。

「まずは、淡路島の企業を回って、何に困っていて、これからどんな姿になっていきたいのか、取材のようにヒアリングをします。日々のリサーチが大事ですね」

「東京にいながら、リモートで副業したい人とか。淡路島に移住して、週3日ぐらいで働きたい人とか。企業のニーズに合わせて、適切な人材をつないでいきます」

旅事業も島の人事部も、人と人とをつなげるという意味では共通した仕事。

「淡路ラボと関わったことで、出会いの幅がぐんと広がった気がします。いろんな人と話を重ねるなかで、自分の引き出しや、できることも増えた。この環境にいることが、すごく楽しいんです」

高木さんは、どんな人と働きたいですか。

「自然も食も豊かな島。いろんなことに関われる余白があると思っています。自発的な姿勢は求められるけれど、そんな環境を楽しめる人に来てほしいです」

 

淡路ラボに初期から関わっている大畑渉さんは、新しく入る人にとって心強い存在になると思う。

「ほかのスタッフからは、『わたぽん』って呼ばれています」

こちら側の緊張もすっととれるような、穏やかな話しぶりの方。

京都の大学に通っていた大畑さん。コロナ禍を機に、淡路ラボにインターンとして参加し、そのまま事務局へ就職した。

現在は、淡路ラボに常駐して事務的な手続きなどを担当するバックオフィス的な役割。これから入る人のサポート役として、プロジェクトを一緒に進めていくことになる。

日々、どのように仕事に臨んでいるのでしょう。

「これまでは、対人のコミュニケーションが本当に苦手で。前に立って、ものごとを動かすことができなかったんです」

「だけど、新しいことは好きで。ここにいると毎日のように、島内外のいろんな人との出会いがある。その度に、ああしたらいい、こうしたらいいって話し合いが生まれるんですよね」

日々いろいろなことが起きるなかで、連絡や進捗管理などのマルチタスクを求められるのは大変な気がします。

「そうですね。できるできない以前に、やらないといけなかったっていう言い方もできるかも」

これから入る人も、最初は淡路のいろんなところに行って、いろんな人とご挨拶することからはじまる。

「積極的にコミュニケーションをとれる人が向いていると思います。山中さん、会わせたがりなので」

会わせたがり。

「淡路ラボに関わっている人って、たくさんいるんです。ここを拠点に、人が円のように広がり、重なりあって出会う。運とか、タイミングとか、ご縁とか、そんな不思議なことがつづいていく楽しさがありますよ」

人と人をつなげる仕事。

ついつい、自分の友達を誰かに紹介したくなっちゃうような人が向いているんだろうな。

すると、となりで聞いていた山中さん。

「大畑さんは、入ったころは控えめな性格だったのが、今では真反対みたいで。前向きに、どんどん動いていってくれるんですよ。頼もしいです」

あらためて山中さんにも、どんな人と働きたいか聞いてみる。

「最長3年という制度ではありますが、淡路の良さを知ってもらって、移住するほど好きになってもらうことも、ひとつのゴールだと思っています」

今回入る人も、淡路ラボで経験を積んだあと、独立したり、新しい事業を始めたりするのは大歓迎とのこと。

「以前、淡路ラボで地域おこし協力隊として働いていた女性がいて。1年半ほど経験を積んだあと早めに卒業して、淡路に住みながらデザインの仕事をしています。ときどき会ったりしますよ」

「淡路ラボと一緒に島全体を盛り上げていくパートナー的な存在に、いずれなってくれたらうれしいですね」

自分から動けば、土地のさまざまな魅力が見えてくる。温暖ですごしやすいこの土地には、オープンな心を持っている人が向いていると思います。

人が好き、新しいことが好き。そんな人の挑戦を待っています。

(2024/05/22 取材 田辺宏太)

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