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オズの魔法使いの世界観を体験するいちご狩り、バラに囲まれた空間での執事とお茶会イベント。さらには、極彩色のアートフラワーで飾られた筑波山のロープウェイ。
これらすべてを一からプロデュースしているのが、オフィスミゴトです。
今回募集するのは2つの職種。
1つ目は、プロジェクトマネージャー。まずは代表の芳賀(はが)さんのサポートからはじめて、いずれは右腕として、プロジェクト管理や企画も担います。
企画の経験は問いません。クリエイティブの現場を支えたい人や、未経験から企画の仕事に飛び込んでみたいという人に知ってもらいたい仕事です。
2つ目は、グラフィックデザイナー。企画で使う看板や、ポスターなどのデザインを担当します。
どちらの仕事も、基本はリモートワーク。
夢の世界をつくっているのは、どんな人たちなんだろう。気になった人は、一度覗いてみてください。
大手町駅から東西線に乗って、約40分。千葉県の八千代緑が丘駅で降りる。
駅から15分ほど歩くと、目的地の京成バラ園に到着した。
園内では、オフィスミゴトがプロデュースした不思議の国のアリスのイベントの真最中。色とりどりの薔薇が咲くガーデンを通り抜けて、メインアトラクションである「アリスツアーズ」の会場へ。
会場につくと突然、真っ赤な車が走ってきた。車を停め、ポーズを決めるキャストのお兄さん。
「ぜひアリスツアーズを体験してみてください!」
「え、わたしが乗るんですか?」
爽やかな笑顔に圧倒されつつも、車に乗り込む。
こうなったら、全力で楽しむしかない。
「お茶会が開かれている」という会場に向かうと、マンドレイクたちがお出迎え。
「あれ、みんなで食べるはずだったりんごがない!」
どうやら1匹のマンドレイクが、リンゴを持って行ってしまったそう。
そのマンドレイクを探して、危険な崖を降ったり、霧のトンネルを通ったり。途中で寄り道をして、水鉄砲を使った的当てゲームに挑戦したり。
そんななか、古いテントの中へ進むと、そこには、全長2メートルのドラゴンが!
うなり声をあげて怒っている。
その場に居合わせたハートの国の女王様と白ウサギによると、昔、りんごをあげてドラゴンと仲良くなった人がいるんだとか。
「このりんごを、ドラゴンの口に投げてください!」キャストのお兄さんがりんごを手渡してくれる。
チャンスは一度きり。ドラゴンまでの距離は数メートル。
わたしのコントロールで大丈夫かな・・・。
えいっ!
宙を舞うりんご。口を開けるドラゴン。
結末は、想像にお任せします。ちょっと意外なクライマックスもあるので、気になる人はぜひ体験しに行ってほしい。
こんな世界観をつくり出すオフィスミゴトの代表、芳賀さんはどんな人だろう。
場所を移動して、ようやくご対面。
隣にはなぜか、赤りんご好きのオリジナルキャラクター「ダム」の姿も。
「楽しんでもらえましたか? ダムに会えるとは思わなかったでしょう(笑)。なるべくたくさん体験してもらおうと思って」
オフィスミゴトは芳賀さんと秘書の方1名の会社。少人数でこれだけ手の込んだイベントをすべてプロデュースしているってすごいなあ。
「ドラゴンをつくったり、メリーゴーランドをつくったりする人生ってなかなかないですよね(笑)」
「企画書の時点では紙の上だけだった話が、形になっていく。今回のイベントも、車が納品されて、ドラゴンができて、声優さんの声が入って。想像していたものが形になった瞬間は、今でもゾワっとします」
仕事の話をしている芳賀さんは、本当に楽しそう。
頭の回転が早くて、言葉が湯水のように湧いて出て来るから、気を抜くと話においていかれてしまうかも。
芳賀さんは、東京ディズニーランドとディズニーシーでキャストを経験。ほかにも、旅行会社の添乗員や、携帯会社のショップスタッフなど17職種を経験してきた面白い経歴の持ち主。
会社員として働いていたホテルでイベント企画を任されたのをきっかけに、この道に進んだそう。
2017年に独立してオフィスミゴトを設立。京成バラ園や筑波山のロープウェイを中心に、イベントのプロデュースや、PRを担当している。
「面白いし、キラキラして見える仕事。でも、それ以外のところもちゃんと知ってもらいたい。だから今日は外面をよくせず素直に話します」
憧れや好きという気持ちだけでは務まらない。高いクオリティが求められるし、事務作業や調整業務なども多い。これまでも、華やかな業界に憧れて来てくれた人はいたけれど、それだけではなかなか続かないのが現状なんだそう。
プロジェクトマネージャーとして入る人は、どんな仕事をするんでしょう。
「まずは、芳賀を管理してほしい。番頭さんのような役割を担ってもらいたいです」
芳賀さんを管理?
「そうそう。アリスツアーズを実施するのにも、音楽会社、制作会社など30社くらいの関連企業を動かさなくちゃいけない。やらなきゃいけないことがたくさんあるし、どんどんアイデアが湧いて自分で仕事を増やしちゃう。そういうなかで、僕が取りこぼした業務を拾ったり、サポートしたりしてもらえたらとても助かるなと思っています」
日程や仕事量の調整以外にも、関係会社さんとのメールや資料作成なども担当してもらうことになる。
メール一つをとっても、たくさんのパートナー企業に気持ちよく、効率的に仕事をしてもらうための気遣いが必要。
たとえば、PR会社にイベント内容を伝えるとき。
「情報を渡せばなんとかなるだろうっていう考え方じゃなくって、渡す前に相手がどんな情報がほしいかを想定して、取捨選択をすることが大事だと思っています」
添付する資料も見やすいように花をジャンル別に分けたり、写真をつけたり。どの時期に何の花がどれくらい咲いているかが一目でわかるように表にまとめるスキルも求められる。
「ハサミを人に渡すとき、握りやすいように相手のほうに持ち手を向けて渡すでしょう。現実は業務に追われて理想通りにはいかないけれど、そういう会社でありたいと思ってるんです」
何十もの会社と協力しながら一つのイベントをつくっていく。だからこそ、気遣いが重要になってくるんだな。
「新しく入る人が最初からできるとは思っていなくて。何がポイントで、どんな言葉を添えて、何に気を遣って書けばいいか。かなり細かく、丁寧に説明します」
忙しい業務のなかで、どうしてそこまで手間をかけて指導するんでしょう。
「作業効率だけ考えると手間ですよね。なんでも口出ししたいわけじゃないし、すべてをコントロールしていたら、後任は育たないって思う。でも、今は成果を出し続けないと、次の仕事につながらない。だから、クオリティは落とせないんです」
一方で、この仕事に興味を持つ人は、クリエイティブに携わりたいと思う人も多いはず。企画に携わる機会はあるんでしょうか。
「もちろん。『このセリフどう?』とか、『どんなデザインがいいと思う?』とか。日々の業務でたくさん意見を聞きます。それに、いいアイデアはどんどん採用しますよ」
キャストのネームタグも、スタッフの提案から生まれたもの。
「複数の人のアイデアが入ったほうがいいものができる。今は自分でやっていますけど、新しい視点をくれたらうれしいです」
「なんでも自分でやりたいわけではないんです。でも、大変さを知っているから、安易に任せないし、すぐ覚えられるって気休めは言わない。企画を完全に任せられるまでに少なくとも数年はかかると思います」
「細かい指導」や「下積み」と聞くと、トップダウンの環境に思えるけど、芳賀さんは話を聞いて、いい部分は柔軟に取り入れてくれる。
言われたことを吸収したうえで、自分で考えて工夫や、応用をしていける人のほうがいいんだろうな。
「ノウハウはいくらでも見せるし、出し惜しみはしません。一人でできることには限界があると思っていて。
新しい人が育ってくれることで、よりスケールの大きいプロジェクトに挑戦できるようになる」
「そういう未来をすごく楽しみにしていて。だからこそ、いよいよ!っていうときに独立しないでほしいな。オフィスミゴトのなかでしっかりと活躍できる舞台を用意しますので!(笑)」
オフィスミゴトが企画するイベントにキャストとして関わりながら、企画などもお手伝いしているという榎(えのき)さん。
「芳賀さんのお願いなら!」とオンラインで参加してくれた。
「芳賀さんは全然社長っぽくないですね(笑)。すごくフランクで、意見とか相談もしやすいです」
一緒に仕事をしているなかで、アイデアを聞かれることも多いという。
「芳賀さんがプロデュースしているイベントの一つに、ロープウェイで執事が朗読するものがあるんですけど、そこで読むストーリーは丸ごと僕の提案を採用してもらいました」
「やっぱりうれしいですよね。自分は執事役として実際に出演しているので、お客さんの反応も見られて、充実感がありました」
考えたものが形になって、お客さんを楽しませられる。オフィスミゴトで働いていたら、そういうやりがいや面白みを感じる機会はたくさんあるんだろうな。
「芳賀さんはまず受け入れてくれて、その上でアドバイスをしてくれる。自分の企画に対して、プロから意見をもらえるのは、すごくありがたいです」
「取捨選択は社長に任せるつもりで、どんどん提案して。そのうち1個でも当たればいいみたいな気持ちで働ける人だと楽しいのかなって思います」
アリスのキャラクターを作成したイラストレーターの打木(うちき)さんにも話を聞く。
一緒に仕事をするようになったのは、1年半ほど前。アリスの絵を描ける人を探していた芳賀さんから声をかけられたそう。
「初めてお話ししたときから、私がSNSにあげている作品を全部見てくれていて。大昔に描いて忘れていた絵についても、『この絵はここがいいよね』みたいな感じですごく熱く語ってくれました」
一緒に仕事をする上でも、その熱量は変わらない。
打木さんが、アリスツアーズに登場する白ウサギのイラストを見せてくれる。
「これは、当初のウサギのイメージで。初老の執事みたいな設定だったんです。芸能人の藤村俊二さんみたいなイメージで!って言われて描きました」
「でも、そこから元気なウサギに方向転換して。性格に合わせて表情を考えたり、細かな修正を加えたり。イベントがはじまってからもずっと更新し続けているんですよ」
芳賀さんと一緒に働く人は、どんな人がいいと思いますか?
「無茶振りが面白いと思える人かな。たとえば、キャラクターの性格や生い立ちがすごく細かく書かれた分厚い資料を渡されて、キャラクターデザインを依頼されることもある。そういうクリエイティブな指示を面白いと思える人だったらすごく楽しいと思います」
キラキラした世界の裏には、企画を楽しむ純粋な気持ちと、細部までこだわり尽くす職人の顔がありました。
一緒に仕事をしてみたい。いいもの熱量を持ってつくっていきたい。そんな想いを持つ方を待っています。
(2023/4/30取材 高井瞳)