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基本の“き”から
フォレストワーカーへ
はじまりの1年間

いつか自然の中で働いてみたい。身体を動かして、健やかに暮らしたい。

その選択肢の中に林業があるかもしれません。

頭の片隅に憧れはあるけれど、林業で生きていくとなると、現実味があまりない。

実際にチェーンソーで木を伐ったり、専門家から話を聞いたり。身をもって体験することができたらどうだろう。

とくしま林業アカデミーは、林業従事者を育成するための研修機関。

1年間で座学、実習、インターンをしながら、資格を取得。就職先まで見つけられる場所です。

今回は、林業従事者として働く一歩手前。学んで実践して、実力をつける研修生を募集します。

運営するのは、公益社団法人徳島森林づくり推進機構。県内の森林を守るため、林業従事者の育成にも力を入れています。

入学した人の研修費用や資格取得費はすべて徳島県の支援金によりまかなわれるため、費用はかかりません。就業予定時に45歳未満であれば、さらに緑の青年就業準備給付金をもらうことができます。

林業に興味はあるけれど、いきなり飛び込むのは不安。基礎をしっかり身につけたい。そんな人にぴったりの場所です。

 

東京から1時間ほどで徳島空港に到着。レンタカーを走らせ30分ほど経つと徳島市内に入る。

全国に20を超える林業学校。山間部にあることが多く、まちなかにあるのはめずらしい。徒歩圏内にスーパーやショッピングセンターもあり、生活には困ることは少なそう。

県庁所在地である徳島市。その中心地にある眉山(びざん)と呼ばれる山の麓にとくしま林業アカデミーの校舎はある。木の温もりが感じられる校舎だ。

「どうぞどうぞ」と元気に迎えてくれたのは、常務理事の後藤さん。

実習を引率したり、日々のサポートをしたり。これから研修生として学ぶ人にとって身近な存在。中の会議室に案内してもらい、話を聞く。

全国の林業学校は2年制の専修大学系と、1年制の研修機関の2つに分けられる。

とくしま林業アカデミーは後者の研修機関。

県土の76%を森林が占める徳島県。戦後、植林が進められたことで、スギ・ヒノキなどの人工林の割合が高く、全国的に見ても林業が活発な地域だ。

ただ、林業従事者の高齢化にともない、担い手不足が年々深刻に。県内の林業従事者の育成を進めるため、2016年にとくしま林業アカデミーが開設された。

「2年制の学校は、専門的な知識を学ぶための座学の時間が長く設定されています。一方、とくしま林業アカデミーで、現場へ出向く実習やインターンなどの実践をメインにしていて、卒業後、すぐに林業現場で働くことを前提にサポートしています」

「林業と言っても、植林、木材生産、保育もあれば、森林調査などの測量をする分野もあって。仕事はさまざまなんです」

アカデミーでは1年間、学校のように授業を受けつつ、確認試験やアカデミー施設内外での実習を経験。それらと並行して、林業をするうえで必要な11の資格を取得する。

「学ぶ過程で、自分の得意分野を知っていく。徳島県内は、林業の就職先も豊富にあるし、その前にインターンに行く機会も設けているので、自分と合う事業体を見つけることができると思います」

インターンは11月ごろから本格的に始まり、1事業体につき1週間の体験ができる。ほとんどの人が10ヶ所もの事業体でインターンを経験し、就職先を決めるそう。

昨年の求人倍率は約4倍。アカデミーでさまざまな資格も取得している研修生の需要は高い。就職先をじっくり選べる状態で、これまでの卒業生の就職率は100%なんだそう。

選択肢が多い一方で、自分に合う就職先を確実に選ぶことも大切。

「『就職マッチングフェア』っていうイベントをアカデミー内で開催していて。昨年は約30社の事業体に参加いただき、事業体概要をプレゼンをしてもらったり、人事担当者や役員等と直接話せる場をつくったり。気にいったところがあれば、インターン先として選ぶこともできますよ」

「ただ、インターンを経て就職していても、どうしてもミスマッチはある。それでも、林業に携わりたいという思いがあれば、卒業後も相談にのって別の事業体を紹介するアフターアカデミーもやっています。とくしま林業アカデミーは、とにかく立地が良くて就職先もたくさんある。安心して来てほしいです」

 

今年度の研修生は14名。高校を卒業したての人もいれば、定年を過ぎた人も。さまざまな人が同じ学舎で1年間過ごしている。

なかには、林業に興味はなかったものの、別の理由で飛び込んだ人もいる。

その一人がアカデミー現役生の清崎さん。

徳島出身で、高校卒業後、公務員の専門学校に入学したものの、途中で別の道に進もうと決意。探してたどり着いたのが、とくしま林業アカデミーだった。

「僕はお金持ちになりたいんです」

「高校を卒業して警察官を目指していたんですけど、自分には合わないなと感じて。ほかの道を探し始めたときに、知り合いが林業をやると聞いて。おもしろそうって思ったんです」

潔く話す清崎さん。たしかに、林業は独立する人も多く、働き方によっては大きな収入を得られる業界でもある。

さまざまな理由でアカデミーに入学する研修生。いろいろな人と切磋琢磨しながら技術を磨けるのも、面白さの一つ。

「18歳の人もいれば、62歳の人もいて。歳が離れているぶん、ものの見方も違う。そういう見方もあるんだ、って知れるのが面白いんです」

「いきなり大きな重機を操作することはできないので。はじめはシミュレータを使って、ゲームみたいに練習する。みんなでタイムとか点数を競っていますね。負けないように頑張ろうってなるし、残って練習することもあります」

実際にシミュレータを体験させてもらう。

見せてもらったのは、木を伐ったり、倒したり、枝払いのできるハーベスタという重機。画面にはゴツゴツとした斜面が映っている。両手のコントローラーにはいくつものボタンと、両足にもペダルがあって、まるで本物に乗っているみたい。

覚えるのは大変だけれど、機械や重機に興味がある人なら楽しく学べると思う。

入学して1ヶ月の座学を終えたあとは、実習がメインに。週に3日程度、5人ほどでの班で現場を回る。

「基本的には、メンバーで一斉に作業するけれど、個人の能力で作業内容を変えることもあります。みんなの体力の消耗具合や天候とか、午前の進み具合とか。その都度グループごとで決めていきます」

昨日は、植林するための目印を刺す作業をしていた清崎さん。

「予定では1人50本で、200本を刺す予定だったんです。でも、みんなでもっと頑張ろうって。僕が体力的にいけそうだったので、1人で300本ぐらい刺して、合計で750本全てをやりきりました」

「これは、傾斜が30度くらいのところ。現場によっては、30分くらい山を登って作業をすることもあって。チェーンソーや道具を持っての移動は、身体的にしんどいこともありますね」

はじめのころは体力がなく、登るだけで精一杯になることも。

就職後は少人数で作業することがほとんど。ここでなら、チームワークの大切さも自然と身に付くし、繰り返しているうちにだんだんと体力もついてくる。

「ここに来るまでは、朝は10時に起きて夜中の3時とかに寝たりしていて。でも今は実習があれば、遅くても夜の11時に寝て、朝はアラームなしで5時半には自然に目覚める。めちゃめちゃ健康にはなれると思います。アカデミーに来たら、誰でもできるようになると思いますよ」

「山道を運転しているとき、以前は森は背景にしか見えなかった。でも今は、あの木はどんな種類なのかとか、見える景色が全然違っていて。解像度が上がったなって、感動する瞬間ですね」

 

最後に向かったのは、徳島市内から車で40分ほどの美波町。ウミガメの名所として知られている。

阿部(あぶ)地区のとある山。ここで待っていてくれたのは、一昨年度の卒業生、フォレストワーカーの青木さん。

神奈川県の鎌倉から移住し、研修生となった方。昨年の4月から、研修生時代のインターン先に入社している。

「私が今勤めている『四国の右下木の会社』は、徳島の林業のなかでもちょっと特殊で、樵木(こりき)林業という方法を行なっています。県内は、スギとヒノキを取り扱う事業体がほとんどですが、ここではウバメガシと呼ばれる海辺の山に生えている広葉樹を備長炭に加工しているんです」

「木を伐って、加工、販売するまで一貫しておこなっているところってめずらしいし、一昨年設立された会社で、なんでも自分たちで考えて挑戦していく。インターンとして来させてもらったとき、面白そうだと感じて入社を決めました」

入社して1年4ヶ月ほど。せっかくなので、伐っている様子を見せてもらうことに。

「危ないので、少し離れてくださいね。ウバメガシはほかの広葉樹より硬いので、木屑が飛びやすいんです」

真剣な表情に切り替わる青木さん。

チェーンソーの音が響くなか、木陰は風が抜けて涼しく、目線を上げると穏やかな太平洋が広がっているのが見える。

「木を伐ったら、枝を落として、まとめて。本当に体力のいる仕事です。今はもうずいぶんなれましたが、アカデミー在学時から入社して半年ほどの間に10キロ痩せましたよ(笑)」

幼いころは家族でキャンプに行くことがよくあり、自然のなかで過ごすことが好きだった青木さん。いつかは自然に囲まれて働きたいという思いをもちつつ、東京でサラリーマンとして働いていた。

「毎日、満員電車に乗って。電車を降りた後も大勢の人がエスカレーターに乗るために並んでいて。あるとき、疲れたなって感じたんです。そのあと、コロナ禍に入って、このタイミングしかないと仕事を辞めて。次にするなら自然の中での仕事がしたい。それなら四国だなと」

「その少し前に、高知と香川の知人に会いに四国を訪れていたんです。車で瀬戸内海沿いを走ったときに、自然の雰囲気がすごく好きになって。もともとテレビや映画で林業に興味があったこともあり、仕事を探し始めました」

ちょうど都内で開催されていた「森林の仕事ガイダンス」というイベントに参加。四国のさまざまな林業の事業体に話を聞くなか、とくしま林業アカデミーのブースが目に留まった。

「丁寧に説明してもらったのが印象的で。未経験な自分があまり知らない会社にいきなり入社して林業に携わるのは不安だったから、お金をもらいながら必要なスキルが学べるここしかない! ってすぐに決心できました」

その翌年度に入学。同期だった研修生とは今も遊ぶほど仲がいいという。

今は美波町に住みながら、ご近所さんから魚をお裾分けしてもらったり、お酒の席に誘ってもらうこともしばしば。移住者が多いこの地域は、地元の人も受け入れてくれる土壌ができている。

「木を伐ると、一気に視界が開ける。この景色が好きなんです」

「体を動かして、山も健康になる。そんな仕事だと思います」

 

早寝早起きの生活や、木を伐ったときの清々しさ。

フォレストワーカーになると、スカッとするような暮らしが待っている気がします。

自分の未来を少しでも動かしたい。そう感じたなら、まずは話を聞きに行ってみてください。

(2024/07/29 取材 大津恵理子)

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