求人 NEW

新しいスタイルの
都市型水族館から
まちと文化をつくる

美しいクラゲや色とりどりの魚たち。爬虫類やペンギンの姿。

水族館や動物園などの生きものを扱うミュージアムは、基本的に郊外にあります。しかし最近は、都会の真ん中にそういった施設が増えてきました。

そのひとつが、北海道・札幌のど真ん中にある「AOAO SAPPORO」。昨年オープンしたばかりの都市型水族館です。

まちづくりや場づくりに取り組む株式会社青々。ミュージアムをデザインする、をテーマに、企画と運営の事業を展開しています。

今回はここで企画、広報、営業として事業を推進していく人をそれぞれ募集します。

生きもののすぐそばで働くことはできますが、飼育員の募集ではありません。

動物や魚たち、そして飼育員などのスタッフに活躍してもらうために。札幌のまちの魅力の一つとなるために。

これまでの固定観念を打ち破って、新しいサービスを生み出す仕事です。

 

羽田空港から2時間弱。新千歳空港からは電車で40分ほどで札幌駅に到着する。途中の北広島では、できたばかりのエスコンフィールドHOKKAIDOが見えた。

「AOAO SAPPORO」があるのは、札幌駅の南、すすきの付近。

狸小路商店街に面した商業ビルの4~6階が水族館になっている。外から見ても、ここに水族館があるとは想像できない。

中に入り、4階へ。取材まで時間があったので、見学してみる。

3つのフロアにわたって広がる水族館にはそれぞれテーマがあり、最初は水族館の裏側の展示。どのような装置で水を供給しているのかなどがわかるようになっている。

それらを過ぎると、水族館のバックヤードが公開されていたり、6階には広大な海の世界にいるような没入感を味わえるデジタルアートがあったり、熱帯の緑が繁茂するミニ植物園があったり。ビルの中とは思えない、本格的な水族館だ。

生きものと本がセットで紹介されている展示もあり、一見すると生きものとは直接関係のない選書もあって面白い。

メインのキタイワトビペンギンたちは6階で元気そうに過ごしていた。

この日は平日だけれど、お客さんは多い。

家族連れや外国人が多いので、観光客がほとんどだろうか。

飲食を楽しむ人、椅子からゆっくり水槽を眺める人など、思い思いに過ごしている。

 

青々が手掛ける「AOAO SAPPORO」の企画や運営の特徴について、経営企画担当の神林さんに聞いた。

「実際にご覧いただいてどうでしたか?」

なんていうんでしょう…。まずこのビルの中に水族館があるということが驚きで。

あとは、大きい魚がたくさんいるわけではないけど、本とセットにしたり、説明書きが変わっていたり。見せ方や企画へのこだわりが強いんだなというのが印象的でした。

「ありがとうございます。まさにそういった狙いでつくっているところもあって」

「広大なスペースがあるわけではないぶん、座る場所をたくさんつくって、ぼーっと過ごしてもらったり、水槽周りのデザインや解説の手法にこだわって、生物をじっくり観察してもらえるようにしたりと、たくさんの工夫で大人も子どももたのしんでもらいたいというのが、都市型水族館なんです」

大きな特徴が、青々はあくまで運営マネジメントのみを担っているという点。飼育や飲食や物販などは、業務委託でほかの会社に任せている。

各分野のプロフェッショナルが集まった、レベルの高いサービスを提供できる体制である一方で、会社がバラバラなぶん、ひとつの目標、理念に共に向かっていけるかどうかが大きな懸念点だった。

「それを解決しようとつくったのがブランドブックです。AOAO SAPPOROがどんな思いでつくられたのか。それを明文化して、みんなで読み合わせやワークショップをして共有する。そんな時間をたくさんつくりました」

アルバイトスタッフ含め、全スタッフに伝えるために20回ほどワークショップをおこなった。

そのおかげもあって、異なる会社のスタッフでありながら、一体感があり、理念や思いを共有した組織をつくることができたという。

「責任者同士も、毎日細かいことまでめちゃ共有するんですよ。そこはかなり意識してますね。他社同士が集まっているわりには、違和感なくいろんな人が働けているんじゃないかな」

またAOAO SAPPOROでは、札幌の中心部にある強みを活かした取り組みもおこなっている。

たとえば、コワーキングスペースやまちのイベント会場としての活用をはじめ、音楽ライブや落語、環境問題や生物多様性の研究者によるトークライブ、札幌の経営者やアーティストなどのミートアップ、北海道産の食材のマルシェなどなど。

さまざまなことにチャレンジし、幅広い人たちとのネットワークができている。

「にぎわいづくりがベースにあるので。スタッフは自然や生物に興味を持っている人が多いんですが、もっと増やしていきたいですね」

今後はどんな展望を抱いているんでしょう。

「うちは夜22時まで営業しているのが強みなので、まわりに150くらいあるホテルのお客さんにも来てもらえたらいいなと思っているところです」

「一方で、地元の人が仕事終わりに来ることも多くて。一杯飲みながら水槽を眺めるとかね。そういう場所があるのはいいんじゃないかな」

青々としては、現状札幌しか施設がない状態。今後は別の地域にも新しいスタイルの水族館をつくっていきたい。

今回加わる人も、まずは札幌で働いてもらいつつ、ゆくゆくは別の場所で活躍する可能性もある。

「とにかく強い想いを持って働いてくれる人がいいですね。物事を進めていく熱意、というのかな」

「あとは柔軟かつ粘り強い人。施設運営しているといろんなことが起きるので、そこに柔軟に対応しないといけない。いろんな人が働いているなかで、ときには自分の意見を通す強さもあるといいですよね。あと元気な人がいいです(笑)」

 

続いて話を聞いたのは、企画を担当している竹市さん。

ブランドブックのワークショップも、竹市さんが中心になって実施したそう。

「部署を分けて、比較的若めのメンバーでチームをつくって、いろんなメンバーで読み合わせをしました。ワークショップは大きな経験になったと思います」

企画担当として働いている竹市さん。常設展示をどう面白くしていくかを考えつつ、日々さまざまな企画やイベントについてアイデアを練っている。

印象に残っているのは、北海道のむかわ町から声をかけられたことがきっかけで始まった、全身の80%が発掘された草食恐竜「カムイサウルス」の化石の展示。全身8メートルの全身復元骨格をAOAOで展示しようという話になった。

「スケジュールは詰め詰めで。去年の9月くらいにその話が出たんですけど、1ヶ月後の10月末には持ってこようと。どう見せたら効果的かも考えないといけないし、むかわ町の町長にもご挨拶に行って話を進めていって。いろんな人に協力してもらいました」

「恐竜が組みあがったときには、『ああぁ~』と思いましたね(笑)。本当に恐竜来ちゃったよ、みたいな。一年目としてはいい展示ができたんじゃないかな」

恐竜の展示も、ただ化石を持ってくるだけでなく、どこに展示するべきか、化石と海を紐づけるにはどんな説明や展示物が新たに必要か、恐竜の進化の過程をどう説明するか、など。

さらには、北海道大学の専門家をゲストに呼び、北海道の自然史をテーマにしたイベントも開催。企画の立場で考えることはたくさんある。

「企画の仕事は、生きものに興味があるほうがいいのかなと思っていて。詳しくなくていいんですけど、生きもののことを面白いねって思える人がいいのかなと」

「飼育チームと一緒に、これ面白いよねって、共感してお客さんに提示する。水族館はそうあるべき場所だと思っているので。老若男女みんなが、面白いねって思える生物の不思議。それを見てもらえる場所をつくっていけたらいいなと思っています」

 

そんな竹市さんたち企画の仕事を内外に発信しているのが、広報の芝田さん。

企画展示や体験プログラム、イベントなどに加えて、水族館で生活している生きものに関する館内のニュースを発信している。

テレビ局や新聞社、地元のコミュニティ誌やウェブのキュレーションサイトなど、メディアとの関係は親密で、慌ただしく、いろいろな人と話をする毎日だ。

旦那さんが札幌に転勤した関係で札幌に移住。

開業前は営業担当に。地元の商店街の人とコミュニケーションをとったり、まちづくり会社を訪問したり。市役所など公共施設を訪問して、新しい水族館ではこんなことができる、という具体的な提案などもしていた。

開業後、しばらくして広報担当に異動。

ちょうどフェアリーペンギンの赤ちゃん「ラムネ」が誕生するなど、お知らせが続いた時期には、一ヶ月間でプレスリリースを4本書いたそう。

情報を得て、いろんな人に確認をとりながらプレスリリースを書き、取材対応の際はほかのチームと協力し、全力で館を紹介する。

「ファジーな言葉なんですけど、どのチームもいい人たちが集まっているなって思います」

「取材とかがうまくいくと、この場所の魅力を伝えたいって思いが他チームの人とも通じ合ったなって感じがして。すごくいい人たちなので、日々感謝ですね」

外側に向けて発信するイメージがある広報の仕事。場の価値をきちんと伝えていくためには、中にいる人たちのことを知ろうとする姿勢がとても大事、と芝田さん。

芝田さんが感じているAOAOの価値、というのはどういうものなんでしょう。

「札幌のような都市で、こんなにきれいでゆっくりできる水族館って、まだほかにない。子どもたちがたのしめる体験型の催しがあったり、おいしい飲食があったり。生きものたちにも会える」

「すごく居心地のいい場所なんですよね。働いている人にとっても、お客さまにとっても。そんな唯一の場所という意味で、すごく価値があるとわたしは思います」

自信を持ってそう話してくれる芝田さん。

館内を案内してくれたときも、「仕事の合間にちょろっと生きものを見に行って癒されるんですよ」と、働く人自身も、水族館という場をたのしんでいる雰囲気が伝わってくる。

また、生活協同組合が主催するビーチクリーンにAOAO SAPPOROとして参加するなど、環境保全活動にも積極的に関わるようにしている。

自分たちが実際に動いている姿を伝えることで啓蒙活動にもつながるし、いま水族館を都市のなかにつくる意味を、世の中に考えてもらうきっかけにもなっているように感じる。

生きものと仕事をするのは初めて、という人も多いと思います。最初はわからないことも多いかもしれないけれど、それはお客さんと同じ目線があるということ。

セオリーがないからこそ、自分で考える力は求められる。そのぶん、生きものやこの場の魅力を伝えたいと思う気持ちがあれば、形にしていける職場だと思います。

 

気候変動や海水温や海洋汚染など。地球環境に関わる問題が多くあり、また、地方都市の衰退や高齢化といった、まちづくり・コミュニティに関する課題に対応ができていない現代社会。

大切なのは、やる気と興味と使命感。気になったらぜひ、一歩踏み出してみてください。

(2024/08/26 取材 稲本琢仙)

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