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旅先の発見、日常の好き
あらゆるときめきを
このノートに詰め込んで

初めて訪れる場所ってワクワクします。

すれ違う人の声や、建物の看板、漂う香り。

五感を使ってその場所から感じる取れることは、きっと人それぞれだと思います。

トラベラーズノートはその名の通り、旅にお供するノート。

そして、旅するように毎日を過ごしてほしいという願いも込められているノートでもあります。

トラベラーズノートをつくっているのは、株式会社デザインフィルのトラベラーズ事業部のみなさん。母体であるデザインフィルは、デザイン文具を扱うブランド「ミドリ」なども手がけている会社です。

今回は、「トラベラーズファクトリー」の店舗スタッフを中目黒、成田空港、京都新風館内の3店舗で募集します。

お客さんと好きを共有しながら、働ける仕事だと思います。



東京・中目黒。

駅前の大きな山手通りから一本入った、落ち着いた住宅街の路地を歩いていく。

民家に囲まれた少し奥まった場所に、トラベラーズファクトリーの中目黒店を見つけた。

今日は定休日の火曜日。閉まっているドアをノックする。

店奥の階段から降りてきてドアを開けてくれたのは、トラベラーズ事業部長の飯島さん。トラベラーズノートの生みの親だ。

お店に入り、ぐるりと中を見渡す。ノートにステッカー、カバンやコーヒーミルなど、あらゆる商品が並んでいる。

面白そうな商品に目を奪われながら、飯島さんについていき2階のカフェスペースへ。

「ここでお茶をしながら、お客さん同士でトラベラーズノートを見せ合って、コミュニケーションが始まることも多いんですよ」

革製のカバーと中身のノートを自由に組み合わせて使うことのできる、トラベラーズノート。

アメリカのACE HOTELとコラボレーションした限定モデルや、tokyobikeとつくった自転車「TRAVELER’S BIKE」など、手帳や文房具に限らず、さまざまな企業とのコラボレーションも生まれてきた。

飯島さんの手に握られているトラベラーズノートを、早速見せてもらうことに。

書かれているのは、先週行ったという新潟の自転車旅の記録や、最近気になる世の中のトピック、趣味の音楽のことなどなど。

感じたことや考えたことが、雑誌さながらにまとめられている。なんだか飯島さんの頭の中をのぞいているよう。

ノートの表紙にはたくさんのステッカーが。まるで、旅行好きな人のスーツケースみたいですね。

「そうなんですよ。スーツケースにいっぱいシールが貼ってあるのって、かっこいいじゃないですか。自分の旅路が刻まれていって、持っているだけで気持ちが上がるというか」

「トラベラーズノートは、人によって書いていることも手帳の状態も全然違うんです。とくにカバーは革のツヤとか傷の付き方で、その人らしさも感じますね」

飯島さんいわく、トラベラーズノートは自分の分身のようなもの。

トラベラーズノートが誕生したのは、18年前。

当時、母体であるデザインフィルで商品企画をしていた飯島さん。仕事で訪れたタイのチェンマイにある工房で、若い夫婦がつくっている革製品と出会った。

味わいのある革製品だけれど、出来栄えにばらつきがあったりして、量産品として商品化するのはむずかしかったという。

「それなら、この革を一枚のカバーにして、書くことにこだわったうちの紙と組み合わせたら、個性のあるいいノートができるんじゃないかと考えたんです」

「旅行のお供にしてもらうのに加えて、ノートを持つことで旅するような気分で毎日を過ごしてほしいという思いもあるんですよ」

毎日旅するような気分、ですか。

「そこに一枚のチケットが貼ってあるんですけど、これは初めてトラベラーズノートがコラボレーションした、香港のスターフェリーのチケットなんです」

ノートとセットで販売した乗船チケット。今は期限が切れてしまったけれど、当時は実際にスターフェリーに乗れたという。

「香港島と大陸をつなぐ渡し船で、乗船時間は10分ぐらいなんです。値段も日本円で100円くらいで。船体は古くて味があって、とくに夜だと、香港の夜景をすごくきれいに見られる魅力的な船なんですよ」

香港の色鮮やかな摩天楼の光。その光が反射する暗い水面を進んでいく船。どんな感じなんだろうと、想像がふくらむ。



「本当に香港まで乗りに行ってもらうのもうれしいし、チケットがあることでその船の様子を想像してもらうのも、すごくいいなと思ったんですよね」

ノートを手にした人が、どんな人やモノ、場所と出会い、どんなことを感じるのか。

「たとえば、毎日歩き慣れた道って、見過ごしているものが多い。でも、なにかノートに書こうと思うと、建物とか看板とかをキョロキョロ見るようになるんですよ」

たしかに、旅で初めて訪れる場所はすべてが新鮮。一方で、普段生活している土地は、進む方向だけをぼんやり見ている気がする。

毎日なにかを発見しようと思って過ごしたら、いつもの景色も違って見えてくるのかもしれない。

「トラベラーズノートを使っている人って、まるで我が子のようにノートを見せてくれるんですよ」

かつてイベントを開催したとき、どんなふうにノートを使っているか、うれしそうに話してくれるユーザーと何人も出会った飯島さん。

そんな人たちが集まる場をつくりたいと考えてできたのが、この中目黒店だった。

そして、成田空港や東京駅、京都といった旅と関わる場所にトラベラーズファクトリーの店舗は広がっていく。

「一緒に働くなら、旅行や日記を書くことに限らず、『これが好き』というものをなにか持ってる人がいいな、と思いますね」

 

次に話を聞いたのが、統括マネージャーの青山さん。企画や仕入れなど、全店舗のあらゆることをまとめている方。

「旅行の前後のような姿の人や、会社帰りの人とか、あらゆる方がいらっしゃいますね。お客さまの様子を素早く見極めて、接客していく力が大切だと思います」

営業や人事などを担当したのち、4年前にトラベラーズ事業部に異動。はじめは京都店の店長として、お店に携わった。

「あるお客さんが、お父さんから譲り受けたというトラベラーズノートを持ってこられて。パイロットだったお父さんは、仕事で行った国のスタンプをノートにたくさん押していたんですね」

先日お父さんが亡くなり、形見となったトラベラーズノートを大切に使っていきたい。そのことを涙ながらに、話してくれたという。

「トラベラーズノートがこんなに人の人生の一部になっているんだと思ったら、私まで感極まっちゃって」

ほかにも、つらいことがあってリフレッシュにリフィルを買いに来た人、トラベラーズノートを書くことが生き甲斐で、やっと初めてお店に来られたという人。

お客さんたちがお店に足を運ぶ背景を知るごとに、トラベラーズノートが持つ魅力を感じたという。

「京都店が2周年のときは、植木鉢を持ってお祝いに来てくださる方もいて。トラベラーズへの愛が強いお客さまが多いんですよね。本当に恵まれているなあって思います」

トラベラーズノートを仕事に使うことが多いという青山さん。ピンクやオレンジのビビッドなカラーが革のカバーからのぞいていた。

「これは10周年限定のノートなんです。ハッピーなカラーなので、このノートはこれから仕事でやってみたいことを書いたり、お客さまからもらったお手紙を貼ったりして、自分のモチベーションになっています」

青山さんはどんな人と一緒に働きたいですか?

「コラボレーションしているブランドさんもたくさんあるので、まずは自分の得意分野とか好きなものを見つけられると、すごく楽しめると思います」



「たとえばうっちーならカメラ、ですね」と紹介してくれたのは、うっちーこと内田さん。

「カメラはここで働きはじめてからハマりましたね。商品のなかにヴィンテージのフィルムカメラもあるんですが、3秒でもお客さまがカメラを見つめていたら、すぐに話しかけちゃいます。カメラの楽しさを伝えて、ワクワクしてもらえるのがすごくうれしいんです」

京都店から異動して、今は中目黒店の店長として働いている内田さん。

入社したきっかけは、前回の日本仕事百貨の記事だった。オーストラリアでエステティシャンとして働いていたときに、京都店のスタッフ募集の記事を見つけたそう。

「日本に帰ったら、京都で暮らしてみたいと思っていて。トラベラーズノートは知っていたんですけど、入るまで使ったことがなかったから大丈夫かなって気持ちはありました」

実際に入ってみてどうでしたか?

「商品数の多さには驚きました。しかもトラベラーズノートを使ったことがなかったから、お客さまに使い方とか手入れの仕方を質問されても、はじめは全然答えられなくて」

「大事にしていたのは、知ったかぶりをしないで、素直に『教えてください』ってお客さまに聞くことでした。とくに販売当初から使っているお客さまには、いろいろ教えてもらいましたね」

経験を重ね、今ではお客さんに自信を持って話せるようになってきた。

勤務の初日に買ったというトラベラーズノートは、京都限定でお寺の柄が入っている。

中を見せてもらうと、お気に入りのカメラで撮った写真がたくさん。気になったのは、英語の筆記体で書かれているページ。

「仕事帰りの電車で書くことが多くて。電車って他の人との距離が近いから、『お腹減った』とかも筆記体で書けばバレないかなって…(笑)」

「このページはよくお客さまにお見せするんです。これがきっかけで万年筆買って、筆記体勉強します!って話してくれる方もいて。そんなふうにいろいろな出会いがあるのもうれしいですね」

接客の仕方も自分なりに工夫しているそう。

「『いらっしゃいませ』じゃなくて、『こんにちは』って言うようにしていますね。そうすると、お客さまも挨拶を返してくれたりして。それだけでもいい気分になるんです」

事務のマニュアルはあれど、接客の方法については店舗ごとのミーティングなどで、相談して決めていく。

トラベラーズノートの自由な余白のように、働く環境にも余白があるからこそ、それぞれの得意や苦手を認め合って働けるのかもしれない。

大事なのは、トラベラーズファクトリーを好きな気持ちを、お客さんと共感し合えること。

「コロナ禍になって、気軽に旅行ができなくなったぶん、お客さまから旅の話を聞けるのがすっごく面白くて」

「世界一周にこれから旅立つという方が立ち寄ってくださったり。お店にいるだけでゲストハウスのような出会いが日々あって、本当に面白いですね」

取材の終わり、トラベラーズファクトリーを出て空を見上げると、お店の上を一機の飛行機が飛んでいきました。

世界中の旅人が持つトラベラーズノートに、今日はどんなページが刻まれていくのだろう。そんなことを楽しく想像できるような仕事だと思います。

(2022/8/23 取材 小河彩菜、2023/10/20 更新 槌谷はるか、2024/11/13 再更新 田辺宏太)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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