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高円寺を巻き込んで
飯が豊かな町の
アンテナショップを面白く

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

東京・高円寺にある、小さなアンテナショップ。

名前は「IIDE(イイデ)」。

高円寺からおよそ350km離れた山形県の飯豊町(いいでまち)のアンテナショップです。

高円寺の純情商店街とつながりのあった山形県の飯豊町。

IIDEは町産のお米を使ったおにぎりやお弁当の販売、イベント参加など、高円寺と飯豊町をつなぐ役割を担っています。

運営しているのは有限会社HOT WIRE GROUP(ホットワイヤーグループ)。

毎年約20万人が訪れる「高円寺フェス」や、商店街連合会の公式キャラクター「サイケ・デリーさん」のプロデュースなど。イベントやデザイン制作に留まらず、高円寺の町のにぎわいをつくる事業を展開してきました。

今回は、アンテナショップの店長候補と店舗スタッフを募集します。

日々の業務は調理や販売などルーティンが多いけれど、興味があれば飯豊町へ足を運んで食材を選び、メニュー開発をしてみたり、高円寺を巻き込んだ企画を考えてみたり。イベント制作の会社が母体にあるため、チャレンジを形にしやすい環境です。

都心に居ながら地域の活性化につながる仕事をしてみたい。そんな人にはぴったりだと思います。

 

向かったのは、ホットワイヤーグループの事務所。

高円寺駅から線路に沿って歩いていくと、5分ほどで「KJH」という高円寺純情ホテルの看板が。建物の1、2階が自社で運営しているゲストハウス、3階がオフィスになっている。

入口のチャイムを鳴らすと、代表の佐久間さんが迎えてくれた。

落ち着いたトーンで話しやすい方。実は、高円寺が古着の町になった立役者でもある。

「最初は設計の仕事をしていて。学生時代に起業した会社が軌道に乗ってきて、資金をつくってはアメリカにいっていました」

「ずっとアメリカの古着や車が好きだったんですよね。せっかく行くなら、ただ遊ぶだけではもったいない。ビジネスをしたい気持ちがあったので、古着の仕入れをはじめて、地元に近かった高円寺に店を持つことにしたんです」

ちょうど、NIKEのエアマックスやリーバイスのジーンズなどが流行していた時代。高円寺にある古着店は5店舗ほどだったけれど、佐久間さんの店の出店以降、10年ほどで200店舗以上に。

当時は、ただ古着屋の店舗が集まっているだけの状態。それらの店をまとめてPRしたのが、佐久間さんだった。

「そのあと、新しくメキシコ料理店を出店して。宣伝のためにフリーペーパーを作成したんです。せっかくつくるなら、捨てられずに手元に置いておきたくなるようなものにしたくて」

「知り合いのカメラマンやライター、デザイナーと協力して、町の古着屋さんをまとめて紹介してマップにしたり。町全体を紹介する冊子をつくりました」

フリーペーパー「SHOW-OFF」の作成をきっかけに、町の人たちとのつながりができるように。

その後も、高円寺の人たちを巻き込んで「高円寺フェス」を企画するなど、周りを少しずつ巻き込みながら、商店街や地域の人たちから

信頼される存在になっていった。

「金額的に会社の負担が大きくなってしまうものは断りますけど、なんでもチャレンジしてきました。その積み重ねで、だんだんネットワークができてきて、高円寺の商店街や杉並区をはじめとした自治体も協力してくれるようになりましたね」

今回募集するアンテナショップ「IIDE」も、純情商店街の相談から始まった事業。

もともとは、高円寺の小学校と飯豊町の農家さんが農業交流をしていたことがきっかけで、飯豊町が出店していたアンテナショップ。

「当時は、店内飲食がメインで日本酒も提供していました。ただ、純情商店街の入り口すぐにあるのに、気軽に入りにくい雰囲気があって。お店のことを知っている人も少なかったんです」

「そんなとき、商店街から『店舗運営をしている方が辞めてしまうので、手伝ってもらいたい』と声がかかって。頼まれたらやりますって言ってしまう性格なんですよね。なので、よし、ひと肌脱ぐかって」

2017年に引き継ぎ、2年間のリニューアル期間を経て店舗をリノベーション。コンセプトも変え、飯豊町で採れたお米を使ったおにぎりをメイン商品に、「IIDE」として再出発した。

リニューアルから6年、今の売上は以前の5倍以上に。常連さんも増えてきている。

「アンテナショップがある意味は、少しでも飯豊町を知ってもらって、町に観光に訪れたり、移住につながったりすることだと思うんです」

「小さなアンテナショップでも、アイディア次第で無限に可能性は広げられる」と佐久間さん。

最近では、高円寺名物の阿波おどりとも縁がある台湾に進出を考えているんだそう。昨年、台湾で開かれた交流イベントでは、純情商店街の一員として、IIDEのおにぎりを800個販売してきた。

「どんどんいろんなことをやりたいって言ってくれる人が来てくれるとうれしいです。イベント会社としてのノウハウも、地域のつながりもあるから、一緒に形にしていけると思います」

飯豊の魅力が伝わる場所になるように。やってみたいアイデアがあれば、高円寺を巻き込んだイベントや、飯豊町へのツアーの企画など、アンテナショップにとどまらない活動ができると思う。

 

「まずはやってみる。という気持ちを大事にしている職場だと思います」

そう話すのは、ホットワイヤーグループでIIDEの運営を担当している稲田さん。

ウェブニュースのライターやイベントの企画運営など、多岐にわたって活躍している。

現在IIDEは、アルバイトが10名。店長として働いていた人が独立したため、稲田さんがマネージャー的存在として運営中。

新たに店長候補となる人は、稲田さんの業務を引き継ぎながら、店舗業務を覚えていくことになる。

どんな日常なんだろう。

高円寺駅の北口、純情商店街の入口すぐにあるお店へお邪魔させてもらう。

中に入ると、壁一面に商品が。

山形県産のお米を使ったお煎餅や、だだちゃ豆のポテトチップスなど、飯豊町以外の名物商品も。

「基本的に毎日3人ずつで回していて。朝8時から10時の開店まではお弁当とおにぎり、お惣菜の仕込み。そのあとは、明日以降のお惣菜の準備の担当と、店頭の販売担当に分かれて作業しています」

「日替わり惣菜のメニュー考案は、今働いてくれているメンバーにほぼお任せしていて。新しく働いてくれる方も、慣れたらメニューのアイデアも出してほしいですね」

飯豊町にはどんな食材があるんでしょう。

「お米が一番の特産品だけど、春から秋にかけては町産の野菜や山菜を仕入れています。山菜を使ったお惣菜は人気ですし、丸ナスとか山形県特有の野菜もめずらしがって食べていただいていますね」

「玄米とか手づくりのお惣菜とか、ヘルシーなものを提供しているので、健康志向のお客さんも多いです。あとは、スーパーじゃなくてIIDEでお惣菜を買いたいって、ほぼ毎日来るご近所さんもいて。世間話を楽しみにしている方もいます」

食材の仕入れは週に1度、稲田さんが飯豊町の直売所と電話をして決めているんだそう。

「つい、電話が長くなっちゃうんです」と笑う稲田さん。

「私が千葉出身で、山菜に馴染みがなくて。天ぷらをつくって失敗したって話をしたら、『この種類はおひたしにすると美味しいよ』って教えてくれたり。逆にこちらの話を聞いて、そんな調理法もあるんだって面白がってくれたり。温かさを感じますね」

仕入れる食材や商品は、自分たちで決められる環境。新しく入る人も、直売所の人と話して仕入れる食材を選んでほしい。もっと地域のことを知りたいなら、直接町に足を運ぶこともできる。

まずは、日々の業務をまわせるようになるところから。その上で、飯豊の魅力を伝えるためのイベントを企画することも。

「去年は、『高円寺ハーヴェスト』という地方の野菜を高円寺のお店で使ってもらうイベントに参加させてもらって」

「飯豊町産のシュガーコーンって、とっても甘くて美味しいんです。高円寺のさまざまな飲食店に声をかけて、期間中は飯豊町のシュガーコーンを使ってもらいました」

そのまま蒸したり、揚げたり。ケーキやババロアなど、スイーツとして使ったり。「今年もやらないの?」とお店の人たちから声がかかっているほど好評のイベントになった。

最近は、農家さんの様子も発信しはじめた稲田さん。

「つくっている人の姿を見てほしくて、Instagramに動画をアップしています。農家さんに日々の作業の動画を送ってくださいって連絡したら、すごく熱心に食材を紹介してくれて」

そんなアイデアも、稲田さん自身が定期的に飯豊町に足を運んでいるから見えてくるものなんだと思う。

「新しく入る人にも、飯豊町の魅力を伝えるための発信や、町ぐるみのイベントに挑戦してもらいたいです。可能性は無限大。面白いことがどんどん生まれていく、飽きない仕事だと思いますよ」

 

最後に話を聞いたのは、飯豊町長の嵐さん。オンラインで話を聞く。山形弁があたたかい。

「『飯が豊かな町』と書いて飯豊。稲作が盛んで、米沢牛など畜産関係にも力を入れています」

「わたしは、この町の匂いが好きなんです。春は田んぼに肥料を撒く季節で、独特な匂いがする。夏前の水を張った田んぼや、秋の稲刈り時期もまた匂いが変わる。それが面白いなって」

最近は、観光にも力を入れている飯豊町。

ゆり園やスノーパークなど季節で楽しめるものから、「白川湖」の水没林でおこなわれているカヌーツアーなど。昨年は文化庁からスポーツ文化ツーリズム賞を受賞している。

「それでも知名度はまだまだ。アンテナショップは、町を知っていただくためにも大事な存在。町全体で協力していきたいと思っています」

IIDEにお米をおろしている農家さんが、直接高円寺まで車でお米を届けてくれたり、アンテナショップで買い物をした人が、役場に飯豊町の観光について問い合わせしたり。

アンテナショップがあるからこそ、人と地域のつながりが生まれている。

「昨年、飯豊町で大きいお祭りがあって。アンテナショップのつながりで、高円寺の阿波おどりの団体に飯豊町へ来ていただいたんです」

「とても圧巻でした。飯豊町には踊ったり練り歩いたりする伝統文化はないので、すごいなって。町民の方にとってもいい体験だったと思いますし、今後も地域ぐるみで交流ができたらなと思っています」

「百聞は一見にしかずだと思うので、まずは来てもらいたいですね。タイミングが合えば、僕も町を案内したい。アンテナショップを介して町に行ってみようって思ってくれる人が一人でも増えてくれたらうれしいです」

 

アンテナショップの運営は、日々の仕込みや接客など、地道さも求められる仕事。

一方で、挑戦したいと思えば外に飛び出して、どんどん面白いことをつくっていける。

日々の淡々とした業務も、町を巻き込んだイベントも。フットワーク軽く働きながら、地域に貢献できる仕事だと思います。

(2025/02/19 取材 大津恵理子 高井瞳)

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