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神山まるごと高専は「テクノロジー×デザインで人間の未来を変える学校」をコンセプトに掲げる高等専門学校です。
15歳から5年間でテクノロジーとデザイン、そして起業家精神を学べる全寮制の学校として、2年前に開校。企業からの支援を受ける仕組みを構築していて、学費無償で通うことができます。

まだ世の中にない学校をつくるため、集まっているスタッフのキャリアはさまざま。スピード感のある、スタートアップ企業のようなチームです。
募集しているのは、パートナーリレーション、デザイナーの2職種。
まだないものをつくることにワクワクできる人に、合う仕事だと思います。
徳島空港から車で1時間ほど。
山間にある神山町は、日本仕事百貨の取材で何度も訪れているまち。

20年ほど前からアーティスト・イン・レジデンスを実施していたり、企業のサテライトオフィスが点在していたり、あたらしくお店を開く人がいたり。
「やったらええんちゃう」を合言葉に、さまざまな人が移住して活動を続けている。
そこで2年前、大きな注目のなか開校したのが、神山まるごと高専。

地元の中学校を改装して寮と学食として活用しつつ、授業を受けるオフィス棟をあらたに建設。1学年40名の学生を受け入れている。
春休みにも関わらず学生たちが集まって、なにやら作業しているようすを横目にエントランスへ。
出迎えてくれたのは、事務局長の松坂さん。

「企業でいうとCOOみたいなポジションです。僕はいわゆる先生でもなければ、学校で働いたこともありませんでした。企業で働いたり起業した経験を活かしながら、ここで仕事をしています」
やわらかさのなかにも、きりっとした印象を受ける方。
ここで働くまでの話を聞いてみる。
「人間って生まれた瞬間は強い意思を持って生まれてくるわけではないのに、大人になって社会にでた瞬間に、めちゃくちゃ意思を問われますよね。学校で学んでいる期間に、意思を持って行動できるようになっていく準備をするべきだと思うようになったんです」
大学では教育学部に進学。
人材教育をする会社で働いたあと、人事コンサルの会社を起業した。
そんなある日、神山まるごと高専の立ち上げ準備に携わっていた知人から、プロボノで関わらないかと声がかかったそう。
人口約5000人のまちに、全寮制で学費無償の学校をつくる。そこで学生たちはテクノロジーとデザイン、そして起業精神を学ぶ。
話を聞けば聞くほど、自分がここで働くべきだと思うようになった。
「このプロジェクトチームに足りないピースは、自分が埋められると思っちゃったんです。やるなら全力で、移住してフルタイムでやらないとおもしろくなさそうだなって」
「この学校をかたちにすれば、教育を変えていくことができる。その可能性を信じたんですね。先生にならなかった自分が学校をつくる機会は、これを逃したらないだろうと思って移住を決めました」

「教育を変える」というのは、具体的にどういうことなんでしょう。
「まず子どもたちにとって、自分に合うと思える選択肢が世の中にあることはすごく重要だと思っています。この学校ができることで、選択肢を広げることができれば、自ずと教育は変わっていくはずなんです」
「もう一つ、考えていることでいうと、ちょっと大きな話になるんですが。学校が変わり続けていくことができるモデルをつくりたいと思っています」
学校が変わり続ける。
「こんなにも社会が揺れ動きながら変わっているのに、学校はその変化に対応できていない。その結果、不登校が増えたり海外進学が増えていたり、いろいろな課題が生じる原因になっているような気がしています」
「社会が変わっているんだから、学校も変わっていこうよって。願わくば、学校が変化していくことで、社会の変化をリードできるというのが理想的なこと。社会に対して変わり続けていく学校でありたいし、そこからつくり出せる未来の社会があると思うんです」

開校してから丸2年。
現在は2学年合計80名の学生が、基本となる授業科目を受けながら、自分の関心がある活動に取り組んでいる。
「学生がひとつの目標に向かって挑戦している姿には、やっぱりぐっとくるものがあります。なにか開発していたり、商品をリリースしてみたり、起業した学生もいて。その過程にはヒリヒリするようなこともたくさん起きるけど、それぞれに乗り越えていくんですよ」
学び、挑戦しようとしている学生たちと関わるとき、神山まるごと高専のスタッフが大切にしているのは、応援する姿勢。
「隣で『いいね、がんばれ』って応援する。すべてのことは、そこからはじまるんじゃないかと思っているので。『やってみたい』という気持ちに対して、大きく背中を押してあげる環境を用意することにこだわっています」
アフリカにボランティアに行きたいという学生もいれば、まちのなかで映画の上映イベントを開催しようとクラウドファンディングを立ち上げた学生もいる。
いろいろなことが起きていく現場で、一緒に悩みながら応援していく。
「前例がないことばかりなので、とにかく正解がないんです。どうしたらいいのかを常に考え続けて、永遠に渦中であり永遠に未完成。そのなかで成長や幸せみたいなものが、きっと生まれてくるだろうと思っているから」
「まずはやってみること、そして変わり続けていくことを大事にしていきたいです。最初の学生たちが5年生になったときに、『想像以上でしたね』っていいたいですね。自分たちが思っている以上に、学生たちには可能性があるはずなので」
そんな松坂さんとともに学校をつくっているスタッフの1人が、、視察を受け入れたり、応援してくれる企業とのコミュニケーションを担当している河野さん。

地元は神山のとなりの石井町。
就職を考えていたときに出会ったのが、神山まるごと高専の理事長が運営しているSansanという会社だった。
東京で営業やマーケティングの経験を積んだあと、出向というかたちでパートナーリレーションを担当することになったのが1年半前のこと。
「教育に関わった経験もなければ、プロフェッショナルが多い環境のなかで私にできることがあるのか、正直不安もありました。それでも学生たちの選択肢を増やすこの学校に関わりたいと思って、徳島に戻ってきたんです」
寄付やサポートをしてくれるのは、個人から大企業までさまざまな人たち。金銭的なサポートもあれば、物的支援や持っているスキル、経験を共有してもらうこともある。単発のこともあれば、継続的な関係が続いていることもある。
「代表的な課外活動の一つが『起業家講師Night』です。星野リゾート代表の星野佳路さんや、株式会社ディー・エヌ・エー代表の南場智子さんといった、各界を牽引する起業家の方々が、毎週のように来校し、特別講座を実施しています。起業家講師のみなさんとのリレーション構築も、私たちの業務の一つです」

また、スカラーシップパートナーと呼んでいる11の企業からは、それぞれ10億の寄付または出資を受けることで、学費の無償化が実現している。スカラーシップパートナーと学生との協働の促進や、奨学金運用のサポートも、河野さんたちパートナーリレーション担当の仕事。
先日は視察に来た製作所の人から、駐輪場を寄付したいという申し出があったそう。
ただ設置するだけでなく、デザインの授業と連動し、外装アイデアを学生から募ったり、神山の景観に馴染むよう考える時間をつくったりするプロジェクトに広がった。
「うちの学校に共感してもらって、学生にとって学びの機会に、学校にとっては資産に、企業さんにとっては若い世代へのブランディングになる。こんなにwinが重なる瞬間に立ち会えるのは、ありがたいことだなと思います」

人との出会いが多い役割で、華やかに思われがちなものの、普段の仕事は地道なことも少なくない。
学校の取り組みに対して共感が生まれるきっかけをつくるために、徳島にゆかりのある方が集まるイベントに参加して、ポスターを貼ったり、話す時間をつくってもらったりすることも。
「共感してくださる人は多いんですが、それが寄付というかたちにつながる文化がまだ日本にはまだ根付いていないんじゃないかなという感覚があります。小さなきっかけが、大きなプロジェクトにつながることもあるので、できることを試していきたいですね」
最後に話を聞いたのが、クリエイティブディレクターの村山さん。

学生時代、いくつか掛け持ちしていたアルバイトのひとつが、東京スカイツリーの展望台での案内スタッフだったそう。
「特別な空間に世界中から人が集まってきて、東京での1日を楽しんでいる姿を目にして。こういうリアルな体験が人生を彩っていくんだということを感じたんです。この経験がどうしたら仕事につながるだろうと考えたとき、広告という業界に出会いました」
就職したのは電通のグループ会社。リアルなイベントの企画から制作に特化していた。
村山さんはドバイ万博の日本パビリオンをつくるチームに入り、さまざまな経験を積んだ。
担当していた万博が一段落した3年前、この学校で働かないかと声がかかった。
「体験が人生に大きなインパクトを与えられるということを、めちゃくちゃ信じているんです。万博もよかったけれど、イベントってやっぱり一過性というか、打ち上げ花火みたいなものですよね」
「命を費やしてきたものが、一瞬で終わってしまう。イベントが与える影響の限界っていうのを感じたときに、学校という選択肢が出てきて。学校ってすごく体験が詰まっているというか。その人の一生、何十年経っても残るなにかになるかもしれないと思ったときに、この場にすごく魅力を感じました」

任される範囲は徐々に増え、今はクリエイティブディレクターとして、広報やデザイン全般を担うチームを率いている。
「私の役割は、社会と学校の接点をデザインすることだと自分のなかで定義していて」
「ウェブサイトやSNS、空間のデザインやイベントの企画、ブランディングみたいなところに携わっています。私たちが育てたい原石のような人たちを集める入試も、大きな仕事のひとつです」
開校から3年目を迎える今、力を入れていきたいのは、今後より活発になっていくであろう学生たちの活動や成長、想いの変化などを外部に伝えていくこと。
学校の広報としてネタを探す視点を持ちつつも、優先するのは、注目を集めることによって学生にどういう影響があるかということ。
「先日、学生が起業する瞬間を撮るテレビの取材があったんです。話が来たのは2ヶ月ほど前で、そのときは対象の学生はモジモジしていて。まだ自分のプランに自信がないというか、伝えたくないという気持ちが強かったようなんです」
取材を受けるかは、学生本人の意思次第。
チームで悩んで考えた末に受けると決めた取材では、資料やサービスのデザインもきれいに整え、臨むことができたそう。
「この機会を存分に活用させてください!っていえるところまで仕上げました。社会と関わることで、大きな経験になったはずです。こういう機会が、20年後、30年後に日本の未来を変えることにつながるかもしれないと思っています」

人間の未来を変える。
このチーム、この学校なら、向かっていくことができると信じている。
3人がそれぞれの言葉で、迷いなくそう話してくれたのがとても印象的でした。
ピンとくるものがあれば、ぜひ、会いに行ってみてください。
(2025/3/11 取材 中嶋希実)


