※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
こんな商品がほしい。おいしいものが食べたい。この課題をどうにかできないか。
誰かのやりたいことや必要としていることに応えていくのが、仕事の基本だと思います。
目の前の人が求める空間に対して、一番いい答えを返したい。
そんな想いで、誰かの「やりたい」を後押しする空間づくりに取り組んできたのが、G.U.styleのみなさんです。
13年前の創業以来、営業は一切せずに、紹介や知り合いのつながりで仕事を受けてきました。住宅や店舗、事務所など、手がける空間は多岐にわたります。
今回は、内装工事の管理を中心に、空間のデザインや企画提案などにも幅広く携わる人を募集します。
建築だけでなく、不動産の取得や管理、さらには店舗をはじめるにあたってのコンセプト立案やデザインまわりのことまで、まるっと相談に乗れるのが強み。
新しく入る人も、関心があれば不動産分野に手を伸ばすこともできるし、事務所の1階にある日替わりパティシエのお店でたまにコーヒーを淹れる、といった関わり方もできます。
施工管理をはじめ、何らかの形で建築に関わってきた経験者を求めているとのこと。
誰かを応援するだけでなく、自分も何かやりたいことや、いつか叶えたい夢がある。そんな挑戦する気持ちがある人を求めています。
東京・大田区。
3両編成の東急池上線に乗って、池上駅へ。100年ほど使われてきた木造駅舎から、現在の形へリニューアルされたのは2021年のこと。商業施設や区立図書館が入居する駅ビルには、まだ真新しい空気が漂っている。
駅前から北へまっすぐ伸びる通りを7〜8分ほど歩くと、川を渡った先に白い建物が見えてくる。ここの2階がG.U.styleの事務所だ。
1階は、日替わりパティシエのスイーツが楽しめるお店「ノミガワスイーツ」。自社で企画・施工管理を手がけ、運営もしている。
お店のなかで待っていると、代表の小薬(こぐすり)さんが出先から戻ってきた。パティシエさんと少し談笑して、一緒に2階へ。
大学で建築を学び、新卒でゼネコン系の設計事務所に入った小薬さん。3年ほど設計を担当したものの、パソコン作業が続くしんどさを感じて、グループ会社で住宅の現場監督になる。
その後、独立を見据えて店舗の設計・施工を手がける会社へ。さらに上流の仕事を知るために、不動産開発の会社でも働いた。
そして2012年にG.U.styleを立ち上げる。
「当時はマンションのリノベーション全盛期で。知り合いの不動産屋さんから『この予算でかっこよくしてよ』くらいのザクっとした依頼を受けて、自分のアイデアで、お金のバランスを考えながらつくって売る、みたいなことをしていました」
次第にさまざまな相談が寄せられるように。営業はせず、仕事が仕事を呼んで今に至る。
「内容はさまざまですね。住宅や事務所、店舗もつくりますし、不動産の管理もしているので、細かいものだと退去後の補修やクリーニングもやります。あとは1階のノミガワスイーツから独立したパティシエさんのショップ改装とか。新築だけはしないという感じですかね」
“こんな空間をつくる会社です”という、一貫した軸みたいなものはあるんでしょうか?
「個人的にはあまり軸ってなくて。誰かのやりたいことを応援したい、っていう気持ちはありますね」
やりたいことを、応援したい。
「建築とか不動産って、特殊というか。絶対みんな関わるけど、専門的でわかりにくいじゃないですか。そのハードルを下げるサポートがしたいと思っていて」
「ノミガワスイーツだったら、パティシエさんの“自分がつくったものを食べてもらいたい”っていう気持ちを応援したいし、住宅なら“こんな暮らしがしたい”って想いを叶えたい」
建築と不動産の分野でさまざまな経験を積んできたから、どんな相談にも柔軟に応えることができている。
加えて、声をかけやすい人柄も大きいと思う。たとえ事業計画や空間のイメージが漠然としていても、まず話してみようと思えるやわらかな雰囲気を、小薬さんからは感じる。
「頼まれると断れない自分がいて。なんでも応えたくなっちゃうので、たまにスタッフから怒られます(笑)。逆に、自分じゃなくてもいいことはやりたくない。よく工事だと相見積もりとかあるんですけど、そういう仕事は受けたくないんですよね」
今回募集したいのは、内装工事の管理者。
従来は小薬さんがひとりで担ってきたものの、今後案件が増えていきそうなため、一緒に進められる人に来てもらいたい。
「現場単位で分けていくのか、エリアで分けるのか、自分が営業・設計・見積もりぐらいまでやって、現場がはじまったらパスするのか。本人がどこをやりたいか、まず聞きたいです。やりたくないことは、やれないじゃないですか」
G.U.styleでは、空間の企画やデザインから依頼されることも多い。工事がはじまる前段階から関わることもできるし、興味があれば不動産の案内も担当できる。週に一度はノミガワスイーツでコーヒーを淹れる、なんて関わり方もありかもしれない。
施工管理を中心として、本人の興味関心が活きる形を考えていきたい。
「現場に張りつくシーンももちろんあるんですけど、事務作業をしたり、ノミガワスイーツに来た人と会話したり、そこから仕事につながったりもするので。いろいろやりたい人がいいかもしれないですね」
現場では専門用語も多く飛び交う。手取り足取り教えられる環境でもないので、経験者が望ましいとのこと。
「職人さんとやりとりする場面も多いので、ハキハキ話をすることも大事です。あとは車を運転できる人。エリアとしては東京23区内とか横浜、川崎、埼玉のほうの現場もあります。コストを下げるために、材料を自分たちで手配して持っていったり、現場でものを動かすのを手伝ったりもするので、力仕事も多少出てきます」
お酒の場が好きな人、というのも条件のひとつ。社内外の関わる人たちと月に一度くらいは飲み会をひらいているそう。
「定例の会議とかはまったくないんですけど、飲みには行きます(笑)。お酒が飲めなくても全然いいので、そういう場を楽しめる人がいいですね」
G.U.styleのメンバーは、小薬さんを含めて社員が3名と、パートの方が2名。全員がもともとのつながりや人づての紹介がきっかけで働いているという。
10年前に入社した永吉さんは、不動産の担当。新卒で最初に入った会社の、すぐ隣の部署で働いていたのが小薬さんだった。
「当時は仕事上の接点はそんなになかったんですけど、プライベートで仲良くしていただいてたんです。ご飯に連れて行ってもらったり、スノボに行ったときは小薬さんたち先輩が運転してくれて、新入社員の自分たちは後部座席で寝たり(笑)」
「その会社を辞めてからも、連絡はとり続けていて。『独立するときは絶対声かけてくださいよ』って言っていたら、本当に誘ってくれたというのが馴れ初めです」
スーツ姿で第一印象はかっちりした方なのかと思いきや、話の端々に心地よい余白を感じる。小薬さんとも波長が合っているんだろうな。
「一緒に働くなら、自分の守備範囲を固めすぎずに、連携して動ける人に来てもらいたいですね。そのほうが仕事もしやすいですし、ふと思いついたことでも、投げかけたら一緒に形にしていけるチームだと思うので」
アイデアを、チーム全員で形にしていく。
そのひとつの例が、売買物件の内覧から引渡しまでの諸手続きをすべて平日で調整した場合、仲介手数料が半額になる「平日不動産」。
“家族との楽しい週末の時間を大切にしてほしい”という想いが込められたサービスなのだけど、もとを辿れば永吉さん自身の気持ちが出発点だったそう。
「子どもがまだ小さいので、土日はなるべく家族で過ごしたいなと思って提案したんです。それから美緒ちゃんがデザインをしてくれて、サイトができて、会社の新しいサービスになった。それぞれのやりたいことを、みんなで応援していく感じはすごくありますね」
自分たちの「やりたい」ことを大事にするからこそ、お客さんの「やりたい」気持ちにも寄り添うことができるのかもしれない。
ノミガワスイーツの運営を中心に、デザインや企画も手がける青野さんにもやりたいことがある。
「大学3年生のときに、半年間のインターンで能登に行ったんです。滞在先のシェアハウスに漁師さんや市議会議員さん、スーパーの人とか、毎日いろんな人がやってきて。その経験が、自分の世界をすごく広げてくれたんですよね」
「いずれは自宅のリビングをオープンにして、地域の人たちや仕事に悩む同年代、子どもたちもそこで遊べるような半公共空間にしたいなと思っています」
もともと建築や不動産を学んできたわけではないそう。前職のブライダル会社を退職して次のステップを考えているときに、知人から紹介されたのがG.U.styleだった。
「ウェディングプランナーの仕事はすごく楽しいけれど、結婚式が終わればそこで関係性も途切れてしまう。ここで自分の夢を叶えようとしているパティシエさんたちと一緒に歩んでいけたらいいなって思ったんです」
昨年の夏には、パティシエさんがひとり独立。お店を構えるにあたって、コンセプトや事業計画書のお手伝い、ロゴの制作などを青野さんが担当した。
不動産の契約から、内装のデザイン・施工、その後の商いや暮らしまで。一気通貫で関われることが、この会社の強みであり、ここで働くおもしろさだと思う。
これから入る人も、自分の持ち場だけでなく、この会社全体の取り組みを一緒におもしろがれる人だとよさそう。
「少人数の会社で、距離感も近いです。プライベートに踏み込まれたくない人は合わないだろうなと思います」
「それから、これはギャップにつながるかもしれないので言っておくと」と青野さん。
「前職ではスケジュールもメールも、全員に共有していたんですよ。でもこの会社ではまったく共有しないんです。何時に帰ってきますか?今どこにいますか?みたいには思うけれど、それで大丈夫というか」
代表の小薬さんが続ける。
「自分自身、会社に干渉されるのが苦手なんですよ。管理し合う関係性じゃ意味ないなと思っていて。わかんないけど、眠かったら寝てもいいし、仕事中に髪切りたかったら行ってもいい。ちゃんとやるべきことをやってくれたら、それでいいんです」
「商いと暮らし全部含めての自分だと思っていて。長時間働けってわけじゃないけど、そこに区切りがない人のほうが合うかもしれません。自分で決めて自分で動ける人だといいですね」
線引きがない人たち。
話を聞いていて、そんな印象が残りました。
仕事上の役割も、プライベートと仕事との間にも。明確な線を引かないほうがおもしろいし、心地よいと感じる人たちが集まっている。
感覚が近いなと思ったら、一度話をしてみてほしいです。
(2025/04/25 取材 中川晃輔)