生活の一コマが特別な瞬間になったり、クスッと笑えたり。
日常がちょっと楽しくなる。そんな個性的なプロダクトを生み出し続けている会社があります。
アッシュコンセプト株式会社。「デザインで、世の中を元気にしたい」という想いを持って、デザイナーと一緒に製品の開発、販売をしている会社です。
今回は、三つの職種を募集します。
一つ目は、デザイナーのアイデアをもとに製品を生み出す企画開発。製品開発やプロダクトデザインの経験がある方を求めています。
二つ目は国内営業、三つ目が、海外営業のスタッフです。
デザインの力で社会を変えることができる。そう信じている人に届いてほしい求人です。
アッシュコンセプトの本社は、蔵前駅から徒歩1分。
案内されたショールームの棚には、ヒトの身体の形をしたフラワーベースや、小鳥のようなペーパーナイフなど。見ているだけで楽しい気持ちになるものがずらりと展示されている。
これらのプロダクトはどんな想いで生まれているんだろう。
代表の名児耶(なごや)さんに話を聞く。
この日はアメリカの展示会から帰国したばかりとのことで、オンラインで話を聞くことに。
「デザインバカなんで」とちゃめっけたっぷりに笑いながらも、強い想いを語ってくれる。
「社名のh concept(アッシュコンセプト)は、「h」で始まるいろんな言葉を意味しているんです。ひとつがハッピー、それから挨拶のハロー、あとはハハハ!っていう笑い声。デザインを活用して、社会が元気になれるようなことをやっていきたいという想いを込めています」
名児耶さんがアッシュコンセプトを立ち上げたのは23年前。
それ以来、デザイナーがプロダクトに込めた想いやメッセージを世界に届ける「+d」や、生活用品の新たなスタンダードを提案する「h tag」など5つのオリジナルブランドを展開。2000種類以上のユニークなプロダクトを生み出し、世界中に届けてきた。
その原点とも言えるのが、「アニマルラバーバンド」。
さまざまな動物をかたどった色鮮やかな輪ゴムで、世界30カ国で販売される人気商品だ。
「可愛いでしょう。使い捨てられていた輪ゴムにデザインを加えることで、大切に使おうという気持ちになる。『ものを大事にしなさい』という命令ではなくて、自然と人の心が動く。そういう力が、デザインの素晴らしい部分だと思うんだよね」
「販売から23年。アニマルラバーバンドは、いまだに進化を続けているんですよ」と名児耶さん。
新しいパッケージを開発したり、さらに丈夫で長く使える素材に改良したり。使う人のことを考えながらアップデートを続けている。
「デザインって形になったら終わりだと思っている人が多いんだけど、僕はそうは思わなくて。つくってからが始まり。実際に使ってみると、いろんな課題が見つかるから、もっと良くしていく。まずは80点でもいいから世に出して、100点、200点にしていけばいいと思うんだよね」
「いくらかっこよくても、使いづらかったら嫌じゃない。使っていて楽しくなるような生活用品にしたい。僕たちの仕事は、デザイナーと一緒になって『作品』を『製品』にしていく仕事なんだよ」
デザインやアートと聞くと、日常とは少し離れたイメージ。でも、それを生活に落とし込み、より身近なものにしているのがアッシュコンセプトの特徴。
デザインを大切にしながら、使う人の目線にもとことんこだわる。そのバランスがあるからこそ、長く愛される製品が生まれているんだろうな。
「やっぱりデザインが大好きな会社なんでね。美術館巡りが好きとか、好きなクリエイターがいるとか、心の中にクリエイションを持っている人がいいな」
「一緒に働くメンバーは、プロであってほしいと思うんです。考えて終わりじゃなくて、実際に行動してみてほしい。やってみてダメなら、修正すればいい。一緒に世の中に、素敵なデザインを届ける仲間が来てくれたらうれしいですね」
プロダクトを生み出す企画開発とは、具体的にどんな仕事なんだろう。
続いて話を聞いたのは、名児耶さんの長男の海さん。14年前に入社し、デザイン部や企画開発、営業を経験。現在は企画開発と営業の両方を統括している。
「企画開発ではオリジナルブランドの製品開発などを担当しています。デザイナーが持ち込んでくれるたくさんのアイデアをもとに、素材を見つけたり、形やつくり方を考えたり。製品としてプロデュースしていくのが企画開発の仕事です」
たとえば、といって教えてくれたのが「キノメ」。
セラミックのコーヒーフィルターの真ん中には、愛らしい芽が生えていて、コーヒーの粉をいれると鉢植えのように見える。
「これは、コロナ禍でコーヒーを淹れる機会が増えたことをきっかけに生まれたものなんです。いそがしい日々の中、作業になってしまいがちなコーヒーを淹れる時間を、新芽に水をあげて愛でるような優しい気持ちになる時間に変えたい。そんなデザイナーの想いが込められています」
デザイナーのアイデアを製品化するため、まずはじめたのは素材探し。
セラミックフィルターという素材に目をつけ、市場で販売されているさまざまな商品を取り寄せて、色合いや、目詰まりのしづらさ、味などを考慮してキノメに合う素材を選んでいった。
「いくらデザインがよくても、コーヒーの味が美味しくなかったり、メンテナンスが大変だったりすると、ユーザーががっかりしてしまう。味や使いやすさを追求するなかで、長崎県波佐見市のある職人がつくるセラミックフィルターに出会いました」
職人に直接電話をして想いを伝え、なんとか開発に関わってもらえることに。
素材が決まってからは、形や厚み、サイズ感などを細かに調整。100個以上の試作を繰り返して、ようやくキノメができあがった。
「工場の職人にとっては、普段つくらない難しいものに挑戦してもらうことになる。こちらの要望を伝えるだけじゃなくて、直接足を運んで人間性を知ってもらったり、一緒に頭を捻ってつくり方を考えたり。相手への敬意やいいものをつくりたいという僕たちの想いを伝えることが、不可欠だと思います」
デザイナーや職人、素材メーカーなど、いろいろな人と協力しながら、今までにないものづくりをする仕事。
知識や経験だけでなく、関わってくれる人たちが「この人と一緒にものづくりをしたい」と思える人間性も大事なんだろうな。
「どのプロダクトも、最初は『絵』でしかないんです。それをどうやったら形にできるんだろうと考える。絵を形にするって本当に難しくて。何百万円も使って金型をつくったけど、結局うまくいかないこともある」
さまざまなデザイナーから寄せられるアイデアのなかから、実際に形になるのはたったの数%。試作の段階までいっても、製品化するのが難しく頓挫するものも少なくない。
「できない理由って、あげればいくらでもあるんです。でも、チャレンジし続けてどうにか形にしようとする。できると信じて道を切り拓いていくから、みんなが笑顔になるようなものが生まれる。今までなかったものが生まれる瞬間は、やっぱり感動するんですよね」
「デザインで社会を元気にする。それを信じて、ユーザーに喜んでもらうために汗をかける人。そういう人がすごく活躍してくれる会社だと思います」
想いを込めてつくられたプロダクトを多くの人の手に届けているのが、営業スタッフ。
入社1年目で、海外営業と国内営業の両方を担当している女性スタッフの方からも話を聞く。
「営業は、プロダクトをお客さまに広めていく役割。プロダクトの物語や魅力を愛情を持って伝えていきたいと思っています」
営業チームは現在、国内・海外を合わせて5人。主なお客さんは、全国のセレクトショップやミュージアムショップで、主に既存のクライアントや問い合わせがあった店舗に対応していく。
ほかにも、ポップアップやイベントの企画などプロダクトの良さを伝えるためのさまざまな仕事を担当。
国内営業は全国のお客さんに会いに行ったり、取扱店の売場づくりを企画したり。海外営業は世界各国の展示会への出展など年に数回の出張に加え、オンライン商談や、来日したバイヤーとの会食などを通して商品の魅力を発信。
NYから来日したMoMAのバイヤーとの会食など、海外からお客さんが訪れる機会も多いのだそう。
国内・海外に共通して大切にしているのが、お客さんにあったものを提案するという姿勢。
最近印象に残っているお客さんとのやりとりを教えてくれた。
「台湾で日用品を扱うECショップを運営しているお客さまから、日本のキッチンツールはすこし値段が高いという相談をもらって。h tagの『スパチュラ』をご提案しました」
h tagの『スパチュラ』は、1つあれば、お玉としても、フライ返しとしても使えるお得な製品。
「値段も手頃で、中華料理などとも相性がいいので向こうの人の生活にも合うんじゃないかなと思って」
オンラインで実際に使い方を見せながら、こだわりを説明した。
「面白い製品だと感動してくださってうれしかったですね。営業の仕事は売り上げも大事だけど、ただ売れればいいというのではなくて。お客さまの店舗がどんなものを扱っているかを調べたり、ヒアリングをしたり。それぞれのお店の客層やテーマに合ったものをご提案したいなと思っています」
「あとは、ちゃんと物語を伝えたいなと思って。アッシュコンセプトで取り扱うものって、背景につくり手の物語があるんです。それを知ることで、バイヤーも愛着を持ってくれて販売するときにお客さまに伝えてくれるんです」
営業スタッフも製品の開発会議に参加。営業の視点から意見を伝えるなど制作過程を間近で見ているからこそ、良さや物語を伝えたいという想いも強くなるんだろうな。
前職では、メキシコやフランスのリゾートホテルで勤務。出産をきっかけに一度仕事から離れたものの、新しい仕事を探しているなかでアッシュコンセプトと出会った。
「海外から帰ったときに日本の良さをすごく感じて。その良さを海外に届ける仕事がしたいと思っていたときに、アッシュコンセプトの求人を見つけて、ときめいたんです」
「初めての子育て中ということもあり不安もあったんですが、職場にも働くママさんがいたり、心強い先輩がたくさんいて。ここで頑張ってみたいとすごくポジティブに思えました」
実際に働いてみて、どんな会社でしょう。
「面接のときから、嫌だなと思う人が一人もいなくて。そんな組織あるわけないって思っていたんです。でも、入社してからもその印象は変わらなくて。部署が違う人も、お互いの仕事をリスペクトしながら、必要なときはサポートしてくれる。すごく働きやすいなと思っています」
デザインの力で、毎日を楽しくおもしろく。
ユーモアと、優しさが詰まっている製品を生み出して、世の中に発信していく。
そんな未来にワクワクしたら、ぜひ一度アッシュコンセプトのみなさんの話を聞いてみてください。
(2025/05/02 取材 高井瞳 )