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越前鯖江エリアが面白いです。
半径10km圏内に、漆器、和紙、打刃物、箪笥、焼物、メガネ、繊維の7つの産業が密集。
毎年3日間、このまちの70以上の工房が一斉に開かれ、4万人以上の人が訪れる産業観光イベント「RENEW」が開催されています。
訪れた人は、工房見学やワークショップなどを通じて、つくり手の顔や、技術、想いを間近で体感し商品を購入することができます。
参加21社の小さなイベントから、回を重ねるごとに参加事業社も訪れる人も増え、現在では120を超える企業が参加するほどに。
参加事業者が自社ブランドやファクトリーショップをつくったり、訪れた人が越前鯖江に移住してきたり。ほかにも、新しいお店や宿ができるなど、RENEWからいろいろな流れが生まれています。

「持続可能な産地をつくる」というRENEWのビジョンを、年間を通して体現できるように立ち上がったのが、一般社団法人SOE。
RENEWの企画運営のほか、通年観光型ツアーの開発や宿の運営、ふるさと納税の推進など、6つの事業を走らせています。
これらの多様な流れを整理し、情報を発信する広報スタッフを募集します。
誰にどのような情報を、どのように伝えられると効果的なのか。全体を俯瞰しながらも、人の心を動かす熱量も大事な仕事です。
外部から、広報の専門家にも関わってもらい、体制を整えているところ。戦略や設計の経験があるといいですが、未経験でも大丈夫。SOEのビジョンに共感し、持続可能な産地に向けて取り組める人を求めています。
あわせて各事業に関わるスタッフも募集中です。
東京駅から新幹線と特急を乗り継ぐこと約3時間で、鯖江駅に到着。
駅からはタクシーで15分ほど、田んぼ道を走ると、SOEの事務所が見えてきた。
1階には、今年の7月にオープンしたばかりの観光案内所「Craft Invitation」が入っている。
パッと目に入るのは、漆で塗られた朱色のカウンターテーブル。よく見ると手前から奥に向かって淡い色彩へと変化している。
ほかにも漆で塗られたレンタルサイクルに、木地を加工したランプシェード、7つの工芸品の展示など。産地ならでは、職人さんの技術を間近で体感できる空間だ。

「前回の募集で入社してくれた子も活躍してくれてますよ」
明るく迎えてくれたのは、SOEの副理事を務める新山さん。地域特化型のデザイン事務所「TSUGI」の代表でもある。

TSUGI を立ち上げる前、鯖江市からの依頼で100人の漆器職人さんに話を聞きにいった新山さん。技術はあるのに、みんなが悲観的なことに危機感を抱いたという。
調査を続けてみると、大都市では鯖江の漆器がほとんど売られていないことが判明。
何が原因なのか、その後もヒアリングしていくうちに、デザインの視点が必要なことに気づく。
そこで、市役所に勤めながら独学でデザインを学び、2013年にTSUGIを結成。
ものづくり企業の商品支援だけでなく、自社でもメガネの端材を活用したアクセサリーブランドや、オリジナルプロダクトを開発してきた。

取り扱うのは、漆器や和紙などの工芸品。単純に百貨店に卸すだけでは、十分に商品の魅力を伝えきれないと考えて、直営店「SAVA! STORE」もオープン。
TSUGIを通して、デザインと販売から、鯖江のものづくりを支えてきた。
もうひとつ、新山さんたちが力を入れてきたのが、産業観光イベント「RENEW」だ。

「RENEWを10年ぐらい続けていくなかで、いい影響もたくさんあったけれど、産地全体の売上は下がっていて。新しい稼ぎ口として通年型の産業ツーリズムをやっていこうというのが、SOEの創業背景の大きなひとつですね」
SOEのビジョンは、「産業観光を通じて、持続可能な地域をつくること」。
RENEWの運営のほか、通年型観光事業、宿泊施設や産業観光のメディア、就労支援プログラムにふるさと納税の運営など、大きく6つほどの事業を走らせている。
2年前からは通年型の観光事業として、クラフトツーリズムを始めた。
体験型とツアー型に分かれ、合計で15種類ほど。
「たとえば、工芸体験だったら和紙漉きや、持ち込んでもらったメガネをサングラスに変える体験とか。ツアーでは、SOEの観光チームスタッフがアテンドして、紙の神様を祀っている神社や産地内の工房などを巡っていきます」

「海外からも、ツアー客だけでなく、コアな包丁好きの人がピンポイントで訪れるとか。少しずつお客さんが来てくれるようになっていて。たぶんもっと伸びると思う。やっぱりこのまちってめっちゃ面白いから、もっとみんなに知ってほしいという気持ちがあるんですよね」
今年の11月には、宿がオープン予定。ゆくゆくは、分散型の宿泊施設にするため2棟目も進行中。また、オープンファクトリーを始めたい人たちの伴走支援も始まるという。
あまりの取り組みの数に、びっくり。
「産地に必要なピースを埋めている感覚なんですよね。ものづくりの土台を押さえながら、RENEWや宿の運営、就労支援プログラムとか。産業観光とそのまわりを支えながら、よりよい地域をつくろうとしているのが、SOEの役割かな」
「今後は、めちゃくちゃ広報が必要になっていくと思います。たとえば、『Craft Invitation』って言葉も、この観光案内所だけでなく、メディアも宿も同じ名前を使っているんですけど、微妙にターゲットが異なるんですよね。そこの定義から見直してもらうとか。自社メディアもほとんど手がつけられていない状態だったりして、やることは多いと思います」

取り組みが多岐に渡るからこそ、情報の交通整理をして効果的に発信していくことが欠かせない。いまは社内に専任スタッフがいないため、今年の5月から業務委託契約で広報の専門家に関わってもらっているという。
「Craft Invitationのオープンが2週間くらい前にあって。彼女の協力の元、プレスリリースを打ったら、多くのメディアに取材してもらえたんです。ちゃんとやることを整理して、情報を発信したらこんなにすごいことになるんだって」
「彼女には、新しく入る人のトレーナーもお願いしています。スキルはあるに越したことはないけれど、それよりも越前鯖江のことが好きで、産地の伝え手として頑張っていきたい人に来てもらえるとうれしいです」
新山さんが紹介してくれたのは、SOEの広報を主導している中川さん。金沢在住で、普段はフリーランスでPRの仕事をしている。SOEの広報はリモートでミーティングを重ねながら携わっている。
もうひとりSOEのスタッフが広報担当になる予定で、新しく入る人も含めて3名で取り組んでいくことになりそう。凛とした雰囲気で、意見や考えもはっきりと伝えてくれる方。

「広報って人によってやり方もそれぞれあると思うんですけど、私の場合は、目的設定が先にあって、そこから逆算してそのイメージを目指していくんです」
「今回のプレスリリースで言うと、RENEWをきっかけに、まちが変わり始めているということを、Craft Invitationのオープンを通して、地元の人たちにも知ってもらいたいと思ったんですね」
越前鯖江のものづくりが、いま国内外で注目されていること。RENEWを通じて、ファクトリーショップが10年間で40店舗もできていること。Craft Invitationの内装や素材に、産地の技術や文化が詰まっていることなど。プレスリリースの記事には、具体的な情報が盛り込まれている。
通常、観光案内所のPRは外から人を呼ぶことが主な目的になりやすい。一方で中川さんが手がけたプレスリリースでは、まちの誇りを可視化した場としても描かれている。
記事の発信と同時に、SOEとつながりのある地元メディアにも個別で連絡。結果として4社からの取材にもつながった。
「告知する媒体の選定も目的によって異なる。今回はメディアを通じたほうが伝えたい人に届くだろうなって。場合によっては、地域の回覧板や掲示板で伝える方法もあると思います」
「『いつオープンするのか、ずっと気になっていたんですよ』、と記者の方からも喜んでもらえて。あらためて取材いただくことで、第三者の目線を通して、この産地の機運を伝えてもらうひとつのきっかけをつくれたのかなって」

どこから着手していくかは現在整理中。RENEWや滞在型お試し就業プログラム「産地のくらしごと」など、季節ごとに開催されるイベントに向けた発信もすれば、ローカルガイド「Craft Invitation」の情報更新に、宿の開業に向けた集客も行いたい。
「SOEの広報スタッフは、鳥の目、虫の目、魚の目を意識できる人がいいと思うんですね」
どういうことでしょう。
「鳥の目は全体を俯瞰して見れる、虫の目は反対にグッと寄せて見ること。そして魚の目は流れを読めること」
「SOEって、『産業観光を通じて、持続可能な地域をつくること』というビジョンに対していろいろな事業がつながっているんですね。なので全体を見る力が大切。情報を通して誰かの心を動かすには、一つひとつの言葉への感度も欠かせない。それでいて社会や産地の状況なども踏まえて、発信のタイミングも読む必要があります」
事業ごとに関わるチームも異なるので、社内メンバーとの連携は重要だ。また、産地でいま何が起きているのか、その温度感を肌で感じるには、地元の職人さんやものづくり企業との日常的な交流もできるといいと思う。
鯖江には、シェアハウス文化が根付いていて、20代〜30代の若い世代が集まっている。興味があれば、住んでみるのもよし。共同生活や地域行事への参加を通じて、自然とつながりも生まれ、仕事にも暮らしにもいい影響があると思う。

「私の出会ってきたPRパーソンは情熱的な人が多いんですね。誰かのためにとか、社会のためになるっていうことをモチベーションにしてる人がすごく多くて」
「今回の募集もやることは詳細に決まりきってないけど、SOEのビジョンに共感して、横断的に何でもやります!みたいな人だとミスマッチがないかなって。衰退していく工芸の未来に対して、まち単位で、それも民間が中心となって取り組める場所って、そう多くないと思うんです」
新山さんは、今後についてこう語る。
「これまでは越前鯖江のことだけを考えていたけれど、それだけだと持続可能な産地をつくるのは難しいとも感じていて。北陸全体を巻き込んだコミュニティが、そろそろ必要かもしれない。新しい産地のあり方は、これからますます重要になると思います」
越前鯖江には、半径10km圏内に7つの産業が集まり、伝統や文化を大切にしながらも、次々と新しい挑戦が生まれています。そんなものづくりの中心地で、社内外・地域内外を横断しながら、多様な人を巻き込み、動かしていく。
これからの持続可能な産地づくりに向けて、ともに発信し、関わってくれる仲間を求めています。
(2025/08/13 取材 杉本丞)


