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ついつい触りたくなる質感、ふわりと広がる木の香り。
キシルの家具に出会い、五感で気持ちいいと思える家具があることを知りました。

日本は国土面積の7割が森林で、その大半は建築など木材として使うために人工的に植えたもの。一方で新築の需要は減っていて、山には木が余っている状態なんだとか。
森で出番を待っている多くの木々を使い、日本の木のよさを伝えているのが、キシルです。
浜松に本社を構え、国産の木にこだわり、製材から加工、販売まですべて自分たちでおこなっています。家で長い時間をともにする家具は、心身の健康に深く影響すると考え、素材や塗料・接着剤の安全性にもこだわってきました。
自然だけでなく、使う人にとっても優しいキシルのオーガニックな家具。
今回は、そんなキシルの世界観をお客さんに伝えるショップスタッフを募集します。あわせて浜松本社で、販促企画に携わるスタッフも募集します。どちらも商品の特性やブランドメッセージを伝える仕事です。
渋谷駅から電車で30分ほど、みなとみらい駅に到着。
改札を抜けると、商業施設「マークイズみなとみらい」につながっている。
平日にもかかわらず、若者や子連れのお母さんたちでにぎわっている様子。
そんな施設の3階に、キシルのお店を見つけた。大きなアーチのデザインが特徴的で可愛らしい。

無垢材の温かみある家具のほかにも、オリジナルのランドセルが並ぶ。
迎えてくれたのは、代表の渥美(あつみ)さん。本社のある浜松から新幹線で駆けつけてくれた。

創業当初から、日本の木を大切にするブランドとして家具をつくってきたキシル。
「日本の山はいま、林業の担い手不足や安価な外国産木材に押されて、木を伐って使うサイクルがうまくいっていないんです」
手入れの行き届かない山が増えると、土砂災害が起きやすくなる。
キシルは、直接山から木材を仕入れ、価値あるものに加工し届けることで、国内の木材需要を生み出し、林業の活性化に貢献してきた。木を適切に伐ることで、森林本来の機能が維持され、山が健やかさを保つ。
また、同時に家具を使う人の健やかさも大切に考えてきた。
「長く使うものだから、気持ちよく使ってほしいんです。せっかくいい木を使っても、化学塗料でベタベタに塗ったら触り心地が良くないですよね」
「キシルの家具は、植物系のオイルを塗って仕上げます。だから2日待たないと次の工程に行けない。その代わり、塗る人も使う人もまったく健康に害がないですし、口に入れても大丈夫なくらい」

立ち上げた当時は、化学塗料を多用した家具メーカーも多く、健康被害を訴える人もいたという。健康的な家具を求めて、わざわざ遠方からキシルに足を運ぶ人も多かった。
「ただ、これまではデザイン性を追求してきた部分もあって、いつの間にか『人の健やかさ』という大切なメッセージが薄まってしまっていました」
あらためて原点に立ち返り、自分たちの大切にしたい価値観を言葉にしたのが4年前。
そんなメッセージを深掘りして、「オーガニックファニチャー」という考え方を打ち出した。
「たとえば、ヒノキにはカビや虫を防いだり、リラックス効果や記憶力を高めるような成分も含まれているんですね。だから、うちのヒノキでつくった学習机を使うと、理論上は頭が良くなるはずです(笑)」

おしゃれな家具屋さんを目指すのではなく、使う人の心身の健やかさによりコミットしていきたい。
いまはブランド全体で表現の仕方を整理しているところ。インターネットやSNSで発信力を高め、お店は商品の良さをしっかり体感できる場にしようと、運営を進めている。
お店にはどんな変化が生まれているんだろう。
アルバイトスタッフの鈴木さんに話を聞いてみる。

「オーガニックファニチャーを打ち出すようになってから、来てくださるお客さんもちょっと変わったかなと思います」
「やっぱり健康面に気を遣っている方が多いですね。ヒノキには、喘息やアレルギーの原因にもなっているダニやカビを防ぐ効果もあるので、インターネットやSNSで検索して来店される方が増えました」
家具だけでなく、オーガニックのマットレスも販売しているキシル。カバーには、世界基準のオーガニック認証をクリアしたコットンを使用。無蛍光、無染色、無漂白なので、肌が弱い方や赤ちゃんでも安心して使える。
またマットレスの中材がポリエチレン樹脂でできているため、シャワーで丸洗いでき、ダニやホコリを防ぎ、清潔に保てる。
マットレスの購入から、キシルを知る人もいるのだとか。
お客さんからはどんな質問を受けることが多いですか?
「使用しているオイルについてよく聞かれます。化学塗料にアレルギーを持っている方もいらっしゃるので、食品衛生にも合格した植物性のオイルを使っていることを丁寧に説明しています」

鈴木さんは、美大を卒業して、もともと舞台演出の補佐をしていた。
仕事は楽しかったものの、もう少し小さな空間でできることはないか考えるように。マークイズみなとみらいにはよく遊びに来ていたそうで、たまたまキシルの求人を見つけた。
「直感で自分に合ってそうだなって思って」
「その感覚は入社してからもありますね。まず、スタッフのみなさんがすごく人がいいです。自然と互いの得意不得意を補っているし、ちっちゃいことでもすごく褒めてもらえる。『レジ打ちをすぐに覚えてすごい!』とか(笑)。働くモチベーションにもつながっていますね」
店舗スタッフの仕事は、接客や販売、商品のディスプレイが基本。加えて、売上や商品の在庫管理、商業施設のサイネージにフェアの情報を載せるなど、業務内容は多岐にわたる。
「お店づくりは慣れるまで苦労しました。お客さんが興味を持って入ってくれるにはどうしたらいいか。動線の配慮も必要で、『ここはベビーカーも通れるように、しっかりスペースを空けた方がいいよ』と先輩に教えてもらったり」
「棚の下にラグを一枚置くだけでも、家具を部屋に置いたときのイメージがしやすくなるので取り入れてみたり。だんだん分かってきて、楽しくなってきました」

月に一度は全店舗でミーティングが行われ、フェアの告知や新商品の説明が共有される。渥美さんも参加しているので、木や山の話についても気になるところは聞いてみるといいと思う。
最後に話を聞いたのは、店長の脇川さん。入社して6年ほど、いまは吉祥寺店と横浜店の店長を兼任している。

「たとえば学習机は玄関までお届けするんですが、『ぜひ家族全員が集合してから、箱を開けてください』ってお話していて。箱を開けたときのひのきの香りは格別なので、ぜひみなさん一緒に体験してもらいたいんです」
「ほかにもマスクを嫌がっていたお子さんが、学習机にマスクを入れるようにしたら、ひのきの香りがするからつけてくれるようになった、っていうお話を聞かせてもらったこともあります」
キシルの家具は、機能的なデザインも特徴。スタッキングできる収納箱に、サイズを調節できるベッドフレーム。安心安全だけでなく、幅広いライススタイルに対応できるのも魅力に感じる。
もともとCDショップで働いていて、よりつくり手に近いものを販売したいと思い、キシルに入社した脇川さん。
「木のことは全然詳しくなかったけど、接客していくうちに、一緒に香りを吸い込んだり触ったりして、『いいですよね』って。やっぱり土台があるので、入ってからどんどんブランドの良さを感じられるようになると思います」

運営をしているうえでの課題はありますか。
「しっかりとデータをとって、お店づくりをしていく必要があると思っています」
たとえば、案内件数に対する販売数の割合。
たくさん案内して多く売れる場合は、人気商品としてもっと提案していきたい。案内件数が少なくても、根強い売れ方をしている商品があれば、ディスプレイの変更でさらに買ってもらえるかもしれない。
そんなふうに数字から店舗運営を考えることも大切。
商品のポップもお客さんの反応を見ながら、こまめに本部スタッフと連携して変えている。
ブランドに関わるみんなで世界観を伝えていけるのは、仕事のやりがいにもなると思う。
「あるお母さんが来られて。息子さんがうちの学習机を使ってくれていたそうなんですね。中学生くらいかな。お子さん本人は来られなかったんですけど、うちの机の手触りや香りがいいからベッドもキシルがいいと言ってくれたそうで」
「思春期とか反抗期とかで、親にはなかなか素直に気持ちを伝えてくれない時期なのに、正直にそう言ってくれた。家具がご家族の生活に寄り添い、お子さんの心にもちゃんと届いているんだなと感じられて、すごくうれしかったですね」
あらためて今後の展望について、代表の渥美さんに聞いてみた。
「僕らは『グローカルブランド』を目指しています」
グローカルブランド?
「世界中の人がいいと思うグローバルな価値観を、浜松というローカルから発信していく。山にいい木を使い、人の健康にもいいオーガニックなものづくりって、誰が聞いてもいい取り組みだと思うじゃないですか」
浜松の天龍地区には、日本で賞を獲るようなお茶畑もあるそう。家具だけでなく、お客さんにとってブランドがもっと身近になるよう、お茶の商品開発も検討中。
「売り上げを考えるなら、合板を使って海外でつくったほうがいい。でも、こうやって家具づくりに深く関わるのが、やってて気持ちいいんです。こんなヘルシーなことはない。だからこれからも声高に、自信を持ってオーガニックファニチャーを広めていきたいです」

キシルが目指すのは、日本の山を、そして使う人の心身を健やかにすること。これまでの取り組みが山主にも認められ、山の所有について相談を受けることも増えてきた。
ここまで誇りをもって働ける環境も珍しいと思います。まずは自身で触れて、香りを感じ、五感で感じたその「いいな」を、お客さんに伝えていく。
キシルのこれからを一緒につくる人を求めています。
(2025/08/19 取材 杉本丞)


