求人 NEW

つくって、喋って、広げて
地域を盛り上げる
今治産クラフトビール

地元のプロサッカーチームの試合をみて、地元でつくられたクラフトビールをぐいっと飲む。

放牧され自然に近い環境で育てられたグラスフェッドの牛乳を使ったチーズをつまんで、温泉や豊かな自然を活かした宿に泊まる。

このどれも、運営しているのは同じ会社。

地域にある良いものを、どう磨き上げてみんなに喜んでもらおう?

そんな妄想を膨らませ、絵に描き、そして形にしているのが、株式会社ありがとうサービスです。

愛媛・今治を拠点とする、ありがとうサービス。リユースや飲食店のフランチャイズ事業を軸にしつつ、この10年ほど力を入れているのが、食や温泉、宿泊など、地域に眠る資源を活かす地方創生事業です。

今回募集するのは、今治発のクラフトビールをつくり販売している「今治街中麦酒(いまばりまちなかばくしゅ)」で働く人。

日々ビールの醸造をしながら、夜は地元の人や観光客にクラフトビールをふるまう。

未経験でもクラフトビールづくりに興味がある人はもちろん、ビールから地域を元気にしたい、地方創生に関心がある。そんな人は、ぜひ読み進めてみてください。

 

今治へは、空路だと松山空港が近い。空港から松山駅までは、バスでおよそ20分。松山駅からは特急に乗って40分ほどで今治駅に到着する。

この日はいい天気。気持ちよく歩きながら、今治街中麦酒がある商店街まで、10分ほど歩いて向かう。

アーケード街に入って2、3分でお店を見つけた。

「よろしくお願いします!」と迎えてくれたのが、今治街中麦酒の担当、𠮷﨑稔(みのる)さん。

5年前にクラフトビール事業を始めた店長と二人でお店をまわしている。

12月で今の店長が独立し、松山に自分のお店を立ち上げることになったそう。今後は稔さん中心に店を運営していくことになる。

「この数年でお店をまわす土台はできているので。先輩がいなくなるのは残念ですが、気持ちを新たにチャレンジしていきたいと思っています」

四国や九州、東南アジアなどで、ブックオフなどのリユース事業や、モスバーガーなどの飲食事業をフランチャイズ展開しているありがとうサービス。

地方創生事業では、愛媛を中心にチーズ工房や温浴施設などの運営にも関わっている。

おいしいものや、美しい景色、温泉。全体のビジョンを描きつなげることで、しまなみ地域全体の魅力を高める。そんな想いからスタートした、「しまなみサンセバスチャンプロジェクト」。

今治街中麦酒も、そのプロジェクトの1ピースだ。

「大学院のころからお酒に関わる研究をしていて、日本酒づくりも経験しました。酵母とかの微生物にすごく興味があるんですよね」

「酵素を活用した商品がある医療機器メーカーに就職して。そのときに今の店長と部署が同じだったんです。店長はクラフトビールづくりをしたいという想いで転職して。僕も面白そうだなと思って、ここで働くことを決めました」

信頼できる先輩がいるとはいえ、始まったばかりのクラフトビール事業に飛び込むというのは、すごくチャレンジングに感じる。

「当時はけっこう楽観的だったんですよね。ずっと研究職で、製品をつくるのも一部分しか関われない。そうじゃなく、ものづくり全体に携わりたいと思ったのも大きかったです」

「奥さんにも相談したら、困ったら養ってやるから行ってこい、みたいな感じで(笑)」

入社したのは、2020年10月のオープンから約4ヶ月後。

ビールづくりは初めてだったけれど、日本酒づくりなどで学んできた知識と経験が活きた、と稔さん。

クラフトビールづくりは、原料となる麦の破砕から。ぬるま湯に入れ、おかゆのような状態にすることで酵素が活動し、甘い麦汁ができる。

麦汁を煮沸後、ホップをどの程度入れるかでビールの苦味などが決まるそう。加えてフルーツなど、香りづけのための材料を入れることもある。

さらに酵母を入れ、4週間ほど温度調節をしながら発酵させることで、ビールができる。

「酵母が麦汁の糖を分解するんです。温度やpH、酸素量とか、ちょっとしたことで出来上がりに差が生まれます」

日中ビールの仕込みをしたら、夕方からの営業に向けての準備。

食事はフィッシュ&チップスや、グラスフェッドミルクでつくったチーズなど、簡単に出せるものを。ビールはそのときによって出すものが変わる。

毎年開催されている「JAPAN GREAT BEER AWARDS」でいくつものビールが受賞するなど、味もお墨付きだ。

「カウンターしかないので、一人ひとりとお喋りできます。最初はビビってましたけど、慣れてきたら逆に楽しいですよ」

お客さんは、地元の人と観光客が半々くらい。最近は欧米系の人が多いのだとか。

これまで一番面白かったできごとを聞くと「『恋するしまなみエール』を開発したときかな」と稔さん。

「道の駅の運営会社さんとコラボして、ここでしか飲めないビールをつくろうと」

「ラベルも、しまなみ海道と夕陽、そして恋人たちっていうイメージでつくりました。実際の写真をもとにつくってもらったんですが、実は座っている恋人のモデルは僕と妻なんですよ(笑)」

ビールの色合いもデザインに合わせるために、愛媛の宇和島産のブラッドオレンジを使用。モルトのコクとホップの香りと苦みを活かし、甘くてほろ苦いフレッシュな味に仕上がった。

「いろんな人と一つのものをつくることに、すごくやりがいを感じます。意見を集結させてまとめるのは難しいですが、実現できたらやっぱりうれしいですよね」

ビールづくりも、接客も、ほかの企業とのコラボレーションもある。クラフトビールづくりと一言でいっても、さまざまな仕事が含まれている。

なかでも、力仕事が大変だと稔さん。

「体力面はけっこうきついです。麦が入った袋を運ばなきゃいけないので、男二人でもしんどい」

「タンク一つを仕込むために、100キロ以上の小麦を運ばなきゃいけないので。体力に自信があるほうがいいと思います。やりながら鍛えられますけどね」

ビールづくりの知識はここで学ぶことができる。興味を持って、いろんなことをやりたいという気持ちがあったら大丈夫、と稔さん。

まずは一緒に働いて流れを覚えつつ、ゆくゆくは一人でも店を回せるようになってほしい。

「あとはサンセバスチャンプロジェクトの一部だっていう意識も大事ですね。たとえばうちだと、市役所と連携して、フードロス削減のために廃棄される里芋でビールをつくることもしていて。FC今治とのつながりも強いですし、ビールを通して地域を元気にすることにも興味を持ってくれたらいいなと思います」

 

話がひと段落したところで、車で10分ほどの距離にある、ありがとうサービスの本社へ。

5年ぶりに会ったのが、社長の井本さん。以前は今治街中麦酒が立ち上がる直前に話を聞いていた。

「ひさしぶりやね。ちゃんと覚えてるよ、今回もよろしくね」

井本さんはもともとコンサルティング会社の船井総研で働いていた方。地元・今治に戻り、2000年にありがとうサービスを設立した。

フランチャイズ事業を軸とする一方で、地元を元気にしたいという思いから、県リーグ時代から育てたFC今治のスタジアムを建設したり、サンセバスチャンプロジェクトを構想して地域創生事業部を立ち上げたり。さまざまな事業を動かしている。

今回、店長が卒業して新しい体制になるということで、あらためてクラフトビール事業のことを聞いてみる。

「そうなんよ。松山でいい物件が見つかったみたいでね。引き留めとかはしないよ、彼も大人やから。うちで何年か経験してやってみようって思えたなら、それでええんじゃないかなと思ってる」

我が子が旅立つような表情で話してくれる井本さん。

クラフトビールだけでなく、温浴施設やチーズ工房など、運営に困っているさまざまな施設や事業を引き受けて、地域の魅力を高めていこうとしているありがとうサービス。

「我々がやりたいのは、地域にあるものをどうやって磨いていくか。儲けたいじゃなく、磨いていることに対して『それいいね』って感じてくれる子たちが集まって、お互いに助け合いながらつくり上げていく。これがやりたいことなんよ」

スペインのサンセバスチャンは、美食の街として有名な場所。競合でもある飲食店同士がレシピを教えあい、まち全体でレベルアップしていこうと、人と人のつながりで成長してきた地域だ。

「FC今治なんかも地域創生の一つでね。ああいうことをしていると、面白そうとかやってみたいっていう人が集まってくる。独立する店長も稔ちゃんもそうやったから。だからね、やっぱ人やと思うけん」

人、ですか。

「人が大事。FC今治も、縁あって昔から知り合いやったサッカー元日本代表監督の岡田武史氏に株を51%譲ってオーナーを任せて。県リーグからJ2に昇格もしたからね。地元にスタジアムができてサッカーが盛り上がると、今3歳とか4歳の子たちは、今治にはこんなすごいのがあるんやと思って育つんやないかな」

「10万人ちょっとのまちやけど、子どもたちが成長したころには『この間浦和レッズが来て3対1で勝ったよ』とかね。自慢できる故郷になるといいよね」

5年間やってきた今治街中麦酒については、売上面より、スタッフが工夫し、継続できていることを評価しているそう。

場所的にも人通りが常に多いわけではないなかで、お店を新しくつくること自体、損益以外の部分で地域のプラスになっているように感じる。

「売上がどうこうっていうのは、稔ちゃんたちの責任やなくて、わしの責任やと思ってる。もちろん良くしていこうと思ってるけどね。ようやっとると思いますよ」

最後に、サンセバスチャンプロジェクトの今後はどう考えているのだろう。

「ビールは形になってきたから、あとは温泉。湯布院の玉の湯とか亀の井別荘とか、素晴らしいお宿があるんやけども、そういうお宿が5つくらいつくれたらいいな」

「そのへんができたら、あとは島やね」

島!

「瀬戸内海の大島。もう自社の広い土地はあるから、何をしていくか。地元の漁師さんや地元で料理つくっている人がいるから、その人たちと一緒においしいものを提供できる宿とかをつくりたい。たぶんあと10年くらいかかるんじゃないかな(笑)」

「そのころには多分、FC今治がアジアチャンピオンズリーグに出て、海外の有名なチームが普通に今治に来て試合してね。来てくれた外国の人たちが、ここは地中海かと思うくらいすばらしい、みたいに思ってくれたら、しまなみにサンセバスチャンができてるんやないかな」

 

つくって、ふるまって。

ビールを通して、誰かの時間を豊かにする。そんな循環が、地域をあたためていくのだと感じました。

「面白そう」と思った今が、きっと動きどきだと思います。

(2025/10/08 取材 稲本琢仙)

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