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「ユニコは病院でも学校でもない、子どもたちが楽しむために来る場所。だから、働くスタッフも一緒に遊ぶ感覚でいたいなと思うんです」
神奈川県相模原市で、「重症心身障がい児」のための児童発達支援・放課後等デイサービス「ユニコ」を運営している株式会社プレイエルの代表、岩野さんはそう話します。
重症心身障がい児とは、重度の知的障がいと身体の障がいの両方がある子どものこと。呼吸器の管理や、体温調節など、さまざまなサポートが必要になります。
一般的には、そうした「ケア」の部分に比重が置かれがちだけれど、ユニコが大切にしているのは「楽しむこと」。
大阪万博をテーマにしたイベントを企画したり、「推し活」をテーマにうちわをつくってみたり。子どもたちも、働く自分たちもワクワクする。そんな時間を大切にしています。

今回は、看護師と保育士を募集します。
福祉の世界を遠く感じている人も、そうでない人も。
子どもが好き、ケアだけでない深い関わりをしたい。そんな気持ちがあれば、まずは記事を読み進めてみてください。
JR横浜線の相模原駅から徒歩14分。
桜並木の続く大通りの入り口に、「ユニコ」がある。

看板に描かれた、ピンクの大きなユニコーンのロゴがかわいらしい。
施設の写真を撮っていると、代表の岩野さんが笑顔で迎えてくれた。

「障がい者の方向けの施設って、目立たない場所にあったり、色合いも暗かったりするものが多いなと感じていて」
「大袈裟かもしれないけれど、ユニコは、そんな福祉の世界を彩っていく存在でありたい。だって、おしゃれでワクワクする空間のほうが、子どもたちも、働く僕たちもうれしいと思うんです」
ユニコの施設はシンプルでありながら、アート作品が飾られていたり、木の温もりを感じられる机や椅子があったりと、気持ちのいい空間。
今年の12月からは、新しく成人向けの生活介護施設を隣にオープンする予定なんだそう。
「児童発達支援・放課後等デイサービスは未成年が対象。高校を卒業したあとに、通える施設がとても少ないと親御さんから相談を受けていたんです。それで、子どもたちが大きくなっても通えるように、新しく施設をつくることにしました」
ユニコに訪れるのは1日最大7人。その子たちを、看護師3人、保育士2人、介助員2人の体制で見守っている。
新しく施設をオープンすることで、受け入れられる利用者の数も2倍に。そのため、今回は新しい仲間を募集することにした。
「ちなみに新しい場所は、『スターバックスが福祉施設をつくったら』っていうコンセプトで考えているんですよ」と笑う岩野さん。
間接照明を取り入れたり、グリーンのカウンターを設置したり。天井の一部をくり抜いて、装飾を展示できるようにするなど、遊び心が詰まっている。
ユニコでの子どもたちの遊びも、ポップなものばかり。
手づくりのマリオカートのコースを使ったゲームや、段ボールのお神輿をみんな担ぐアクティビティなど。大人でも夢中で遊べそう。

「もちろん、子どもたちの命を預かっているという緊張感はあります。でも、楽しむことを大切にしたい。自分たちがこの仕事を面白がることが、10年後の福祉のイメージを変えていくことになると思うんです」
10年後の福祉を変える、ですか。
「重症心身障がい児のためのサービスって、担い手がすごく少ない。しかも、担い手の多くが障がいのあるお子さんの親御さん。つまり、当事者が当事者を支えているのが現状なんです」
これまで福祉の分野に関わりがなかった人にも、興味を持ってもらいたい。そのためにも、気持ちよく働ける職場を目指している。
「ちょっとおしゃれなオフィスで働きたいとか、楽しい仕事がしたいっていうのが本音だと思うんです。そう思った時に、ユニコが選択肢の一つになれればいいなと思っています」

岩野さん自身、もともとは福祉とは無縁の生活を送っていた。この世界に飛び込んだきっかけは、18年前にお父さんがALSと呼ばれる難病にかかったこと。
ALSは、筋肉が次第に痩せて動かせなくなり自力で呼吸することも難しくなる病気。岩野さんのお父さんも、人工呼吸器をつけて在宅で24時間の介護が必要になった。
当事者になってはじめて、医療的ケアができるヘルパーが不足している現状を知る。
「医療的ケアをするためには、研修を受けて資格を得る必要がある。でも、ケアができても事業所に入る報酬はほとんど変わらないんです。だから、わざわざ研修をして担い手を育てようとする事業所はほとんどなくて」
ほかの患者の家族からも話を聞くうちに、同じように困っている人が実はたくさんいることを知る。自ら資格を取り、2012年に在宅での医療的ケアのニーズに応える事業所を立ち上げた。
重症心身障がい児の在宅ケアも担当するようになり、こうした子どもたちが通える施設が少ないという相談を受けて開設したのが、今のユニコ。

課題を知るたびに、それを解決するための取り組みを続けてきた岩野さん。どうしてそこまでできるんでしょう。
「悔しいんだと思います。人工呼吸器をつけるか判断を迫られたとき、父が『生きてていいのか』って訊いてきたんです。地域福祉のサポート体制が望めれば、家族への負担を理由に生きる選択を諦めなくてもいいはず。それなのに、父がそんなことを言わなきゃいけない状況が悔しかった」
「あのときの悔しさを、ほかの人も感じなきゃいけない状況に納得がいかないんだと思います。とくにうちに通う子どもたちの親御さんは、子どもが自分より先に旅立ってしまうかもしれない不安も抱えている。だからこそユニコは楽しく安心して子どもを預けられる場でありたいんです」
ユニコでの「楽しい」を生み出しているのが、保育士の本間さん。
息子さんに重度の心身障害があり、在宅支援としてユニコのヘルパーを活用していたんだそう。
6年前に11歳で息子さんが旅立ち、「これまで支えてくれた人たちへ恩返しがしたい」と、ユニコに関わるようになった。
「これは、万博をテーマに遊んだときにつくったミャクミャクの顔はめパネル。保護者の方にもすごく好評だったんですよ」
そう言って、パネルの奥から笑顔を見せてくれた。

保育士の仕事は、遊びの内容を考えたり、小道具をつくったり。子どもたちと一緒になって遊ぶことも、大事な役割の一つだ。
「ここに通う子どもたちも、高校生ならネイルに興味があるかもしれないし、『推し活』をしてみたいかもしれない。夏になったら、お祭りや、今流行りの万博にも行きたいと思うんです」
「でも、実際に行くのは難しい。だったらここに持ってくればいいよねって。そういう想いでいろんな遊びを考えています」
障がいがあるから、とか、施設でのアクティビティだからとか。「できそうなこと」ではなくて、「したいこと」を起点に考えていきたい。
たとえば、と話してくれたのはブラジル旅行をテーマにサッカー体験をしたときのこと。
「足を動かせない子も多いんです。だから、靴をくっつけた棒をつくって。手で動かすことでボールを蹴れるようにしました。サッカーボールも少し触っただけで簡単に向きが変わる、機械式のものを見つけてきて」
「できないことがあるなら、どうしたらできるか考えればいい。簡略化したり、道具を使ったり工夫していきたいと思っています」

成人向けの新しい施設では、年齢に合わせた遊びも考えてみたいと本間さん。
アロマリラクゼーションを体験してみたり、刺繍ミシンで好きなデザインのものを作製してみたり。子ども向けとは違った内容も考えているんだそう。
新しく入る人は、両方の施設に関わる予定。人を喜ばせることや、いろんなことにアンテナを張って面白いことを見つけるのが好きな人なら、活躍できる仕事だと思う。
とはいえ、一般的な保育園で働いていた人にとっては、はじめて障がいのある子どもと接する人も多いはず。
経験がなくても、大丈夫なんでしょうか。
「技術的なことは、いくらでもお伝えできるので安心してほしいです。それよりも、目の前の子どもたちが今どういう気持ちなのか感じ取ろうとする姿勢や、小さい変化を一緒に喜べる気持ちを持っている人が来てくれるといいな」
ユニコに通う子どもたちの中には、言葉や、笑顔などで気持ちを伝えられない子も多い。
だからこそ、ちょっとした表情の変化や仕草をみて気持ちを感じ取ることが大事になる。

「毎日見ているとだんだんわかるようになってくる。『今、○○ちゃん笑ったね』とか『いい表情してるね』って誰かが気づいて、みんなで共有できる雰囲気で」
「はじめのうちはわからなくても、一人ひとりの一瞬の変化に気づけるようになっていく。子どもたちの成長の変化を見守れる、そんな喜びを日々感じられる場所だと思います」
「ユニコでは、看護師も保育士の資格を取ることが推奨されていて。看護師も一緒に子どもと遊ぶし、遊びの内容を保育士さんにリクエストすることもあるんですよ」
そう教えてくれたのは、看護主任の荻野さん。

もともとは、大学病院の新生児病棟で早産児などの治療や家族のケアを担当。その後、縁があってユニコに関わることに。
「病院で働いていたころ、手袋やマスクをして子どもたちに接することに違和感があって。医療としてのサポートだけじゃなくて、もっと深く関わって、発達を促してあげたいなと思っていました」
「ユニコで子どもたちと関わっていると、いろんな変化が見えて。それがうれしいんです」
たとえば、最初はお互いに緊張していても、関わっているうちに笑顔を見せてくれたり。問いかけに対して指がすこし動いて反応がわかったり。
治療をするための病院とは違い、ユニコは生活に寄り添う場。だからこそ、子どもたちを長い期間見守りつづけて、関係性を築いていくことができる。

ケアの仕方も、一人ひとりの子どもたちに合わせたもの。
「親御さんたちに、普段どういうケアをしているかヒアリングをしています。たとえば、おむつ交換の仕方を一つとってもそれぞれの子の体や動きによってポイントが変わってくる」
「なるべく家と近いやり方のほうが、安心して過ごせる。子どもたちやご家族に寄り添ったケアができればいいなと思っています」
医療を提供するだけではなく、もっと目の前の子どもに向き合っていきたい。そんな想いを持っている人にとっては、やりがいの持てる環境だと思う。
「最初は子どもの命を預かるということで、ハードルを高く感じる人もいると思います。もちろん、急な発作など緊急時には看護師が判断をしないといけない。そういう緊張感はあるけど、一人に判断を任せることはないので安心してほしいです」
「なにより、楽しいことのほうがずっと多い。だから、少しでも興味があれば、まずは一度飛び込んでみてほしいなと思います」
ユニコのみなさんが、自分の仕事を「楽しい」とまっすぐに表現する姿が印象的でした。
目の前にいる子どもたちとの時間が、豊かなものになるように。
寄り添いながら、遊びながら、働く。そんな福祉のあり方を一緒に体現していきませんか。
(2025/9/16 取材 高井瞳 )


