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たいやきは楽しいお菓子
一匹にギュッと詰まった
嘘のない仕事

ともえ庵は、東京・阿佐ヶ谷にお店を構えるたいやき屋さん。

全国におよそ140店舗しかない「一丁焼き」という手法で、一匹ずつ丁寧に焼いています。

あんこの甘さは極限まで抑え、皮もパリパリ。

頭から尻尾までびっしりあんこが詰まっていて食べ応えは十分ですが、パクッと食べ切ってしまうほど軽い。

原料から製法まですべてこだわり、確固としたポジションを築いてきました。

今回は、そんなともえ庵で働くスタッフを募集します。

未経験でも大丈夫。独自の教育方法で、2週間ほどでお客さんに提供できるレベルまで持っていくことができます。

食品ロスを減らす取り組みをしたり、休日や労働時間など働きやすい環境を整えたり、飲食業界ならではの問題解決にも取り組んでいます。

甘いものが好き、自分がつくったものでお客さんに喜んでもらいたい。そんな人におすすめです。

 

J R阿佐ヶ谷駅の南口を出ると、すぐ近くににぎやかな商店街がある。

およそ700mも続くアーケードには、飲食店やアパレル、整骨院など、多様なお店がずらり。平日にも関わらず、多くの人が通り抜け、地域に密着しているように感じる。

ともえ庵もそんな日常をつくる一員。

店内と外にはベンチがあって、腰掛けてホッとひと息休んでいるお客さんの姿も。

焼き場には女性スタッフが立ち、手際よく一匹ずつたいやきを焼いている。

はじめに、代表の辻井さんに話を聞く。

ともえ庵を運営しているのは、有限会社ともえ産業情報。

辻井さんが1999年に設立した会社で、行政との調査研究事業や地域活性化事業などに取り組んでいる。

いい店があれば、そこに人が集まる。同じように人を呼び込もうとする店ができ、競争が生まれる。その流れのなかで商店街の価値は上がり、まちの魅力も高まっていく。

それに気づいたら、自分でも試してみたくなった辻井さん。

2011年に、中野にともえ庵をオープンし、2014年にここ阿佐ヶ谷へ移転してきた。

「よかったら、まずはうちの定番のたいやきを食べてみてください」

パリパリな皮から、熱々のあんこが顔を出す。

甘さも控えめなので、すぐに食べ切ってしまった。

「あんこ単体の甘さでいうと、知りうる限りのたいやきのなかでは2番目に甘くないものを使っています。どのスイーツも甘さ控えめのほうがおいしいと思うんです。あんこの場合、砂糖を減らすと小豆の風味が前に出てくる」

「それと同時に、皮の薄さとそこからくるパリッとした食感にこだわってまして」

鼻先から尻尾の先までパリパリしていますね。

「あんこをびっしり詰めてプレスすることで、生地が押し出されて端まで薄く仕上がるんです。薄皮のお店はほかにもありますが、丸ごと一匹、皮の厚さを1mmに仕上げられるのは、うちのお店ぐらいだと思います」

メニューに並ぶのは、定番のたいやきのほか、10年以上販売されている名物商品の白玉たいやき、12種類の月替わりたいやき。

そのほかにも、夏にはかき氷、秋から春にかけてはじゃがバターたいやきや、秋刀魚の形を模したさんま焼きなど、ユニークな商品が並ぶ。

「おいしいものをつくることにこだわりを持っているけれど、楽しくなかったら意味ないと思うんですね。たいやきって結局楽しい気分で食べるもんじゃないですか」

「定番のたいやきを入れる袋は3種類デザインしています。友だちと一緒に食べるとき、みんな違う袋だったらちょっとうれしいですよね」

そのほか、月替わりたいやきを入れる袋には、12種類のスタンプを用意。これを面白がって袋を集める人も出てきたので、もっと楽しんでもらおうと、スタンプを集める御朱印帳ならぬ、「御鯛印帳」も制作した。

辻井さんは話し上手。

ポンポンと出てくる話を聞いていると、ともえ庵の魅力が伝わってくる。

「うちが働く人に対して一番提供できるものは、後ろめたくない仕事だと思ってます」

「自分たちがおいしいと思えるものを出すのはもちろんのこと、素性がしっかりした原材料を使い、管理もきっちりとやる。もうひとつ、『嘘がないこと』も大切です」

嘘がない。

「たとえば、春になるとピンク色のお菓子がたくさん出ますよね。あれ“嘘”だと思うんです。本物の桜はあんなにピンクじゃないから、桜由来じゃない着色料で色をつけていることになる」

「うちの『さくら白玉たいやき』には、色をつけていません。あんこに桜葉をたっぷり混ぜているので、一口食べれば誰でも桜だとわかるから」

「うちの店の“嘘”は、たいやきに鯛が入っていないのと、さんま焼きに秋刀魚が入っていないことくらい」と笑う辻井さん。

そのほかにも、焼いて20分以上経ったたいやきは店頭から下げている。冷めておいしくなくなったものを売りたくないからだ。それらは、オリジナル菓子「たいやきの開き」に再加工し、無駄なく使い切っているという。

どうしてそこまでこだわれるのでしょうか。

「もうずっと昔のことですが、働いていた証券会社が、お客さんの資産を増やすことより、どれだけ手数料を稼ぐかを考えているような会社で。それが嫌で嫌でしょうがなくてやめてしまったんです。だからお客さんの目をまっすぐ見て、いいものを売れる店がつくりたかった」

「うちの店のたいやきは、少し値段が高いんです。ちゃんと代金をいただくかわりに、うちを選んでくれる方々のためにできることは全部やろうと。長く店をやっているなかで、ミスをしたりお待たせしたりしてお客さんに申し訳ないと思うことはありますが、後ろめたいと思ったことは一度もありません」

 

辻井さんの想いを聞いたところで、現場で働くメンバーにバトンタッチ。

店長の安部さんに話を聞く。食品の卸売会社や個人事業主を経て、5年ほど前に入社した方。

「始業は8時から。あんこや生地の仕込みが始まり、10時半から店頭準備をして、11時に開店。あとは焼きながら、かき氷のシロップや白玉、たいやきの開きなど、翌日用の仕込みも並行して19時半に焼き終わり。最後に片付けて退勤します」

「よそから遊びに来るというよりも、ご近所の方の普段使いがメインなので、馴染みのお客さんも多いですね。『今日のたいやきはいつもよりおいしいね』とか、毎回評価してくれるお客さんもいて(笑)。そういう会話も楽しいです」

焼くときに気をつけていることはありますか?

「けっこうマニアックかもしれないですけど、自分のなかではリズム」

リズム?

「生地を敷いて、あんこを盛り、焼いてひっくり返して焼き上がり。その一連の動作が感覚として染み付いているので、焼き上がりのタイミングがわかるんですよね」

これまでは一連の流れを通しで教えていたところ、数年前に動作をすべて分解し、一つずつ反復して覚える方法に転換。

順番に動作を覚えていくため、通しでやったときに漏れが少ない。やってみて足りないところだけピンポイントで練習し直す。

より効果的な教育を行うことで、従来の4分の1程度の期間でお客さんに提供できる商品がつくれるまでになった。

「やっぱり、自分が焼いたものを食べてもらえるとやる気が出ますから、新人さんは少しでも早く出せるレベルにしてあげたい。そのあと、焼くスピードを身につけるには、それなりの期間が必要ですが」

数年前から社員も増えて、細かい掃除や商品開発など、やりたいことにも手をつけられるようになってきた。

「練乳アイスたいやき」のリニューアルも、そのひとつ。

店内でつくる練乳アイスをたいやきに挟み込んだオリジナル商品だ。

「はじめは焼きたてのたいやきに、そのままアイスを挟んで出していたけど、一口目のアイスが硬くて。アイスが溶けて食べやすくなるころには、逆にたいやきが冷め始めてしまう、みたいな」

そこで、一口目をもう少しだけ柔らかくできるように、生クリームをアイスに混ぜ込んだ。さらに冷凍庫から出すときに少しだけ電子レンジにかけて温めることに。熱々のたいやきと冷たいアイスの両方をはじめから堪能できるようになった。

商品企画のアイデアは、代表の辻井さんが考えることが多いけれど、具体的な材料の配合など、形にするのは現場スタッフたち。

自分たちが売るものを、開発するところから関われるのは、働く人にとって大きなやりがいだと思う。

 

最後に話を聞いたのは、前回の日本仕事百貨の記事をきっかけに入社して、3年目の梶屋さん。

「新卒でIT系の会社に入ったんですが、コロナ禍だったこともあり、一人在宅で仕事をすることが多かったんです。接客はあまり経験がなかったけれど、もう少し人と関わりたいと思っていたので興味を持ちました」

「前回の記事を読んで、原材料にまで責任を持って、嘘なく正直に自分たちで商品をつくっているところ、自信を持ってそれを売っているところに魅力を感じました」

面接に来ると、まずたいやきを出してくれたという社長の辻井さん。1時間以上話し込んで入社を決めた。

働きはじめていかがでした?

「最初は慣れないことばかりでした。でも自分が焼いたたいやきにその場でリアクションがもらえるところは、モチベーションにつながるし、この仕事を選んで良かったと思う部分でもあります」

「自分たちで試行錯誤して、正直にいいものをつくっている。その裏付けがあるから、働く人全員が『うちのたいやきはおいしい』と自信を持てるんだと理解できましたね」

辻井さんいわく、「入ったときは声が小さく、食も細くて心配だった」という梶屋さん。

成長の大きなきっかけになったのは、入社数ヶ月目のころ、地域のお祭りの日に店を任されたこと。

「当日先輩方の都合が合わなくて、まだ焼けるようになったばかりなのに、いきなり現場を回す立場になったんです。今思うとかなりの重圧でしたが、まずは何とか店を回すことだけを考えて。本当に無我夢中で、気づけば声が大きくなり、みんなとも仲良くなっていました」

日々の営業に慣れ、店舗運営のミーティングにも関わるように。

いまは月に1回、代表の辻井さんも含めて売り上げや商品企画について話すミーティングがある。たとえば、毎月恒例イベント「ともえ庵の日」のオペレーションについて話すこともあれば、新しい商品についてのアイデアを重ねることも。

「以前は大きい会社で与えられた仕事をやっていたので、もう少し裁量を持って働きたいと思っていたんです。だから今、社長とも直接話せるし、決まったことがすぐに店頭で実践できることは楽しいです」

新しく入る人はどんな人がいいですか。

「やっぱり暑さが大変で。汗をいっぱいかくので、体力はあるに越したことはないと思います。あとは真面目で一生懸命な人がいいかな」

「焼いてれば当然失敗もあるので、落ち込むこともある。でも、僕もできる限りフォローするので、チャレンジする気持ちを大事にしてほしい。そこは不安に思わず、元気にやってもらえたらうれしいです」

 

取材中、おいしそうにたいやきを食べるお客さんの姿が印象的でした。

ともえ庵がオープンして、もうすぐ15年。

ほかのまちで独立してたいやき店を開業したスタッフもいれば、同じ商店街でコーヒスタンドを始めた人もいるそうです。いいお店づくりが、着実にまちに影響を与えているようにも感じる。

頭から尻尾までこだわりをギュッと詰めて。

お客さんの喜ぶ顔のために、たいやきをつくる仲間を求めています。

(2025/09/12 取材 杉本丞)

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