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自然のままがいい
雑木の庭がある暮らしを
土からつくる

人が歩けるくらいの細い土の道。両脇には、さまざまな種類の木々が茂っていて、木陰をつくっている。

間を縫うように入る陽の光と、そよそよと吹く風。歩いているだけでも気持ちいい。

そんな里山にあるような庭をつくっているのが、株式会社ナインスケッチ。造園や外構を手がけている会社です。

自然の植生を活かした庭づくりと、「大地の再生」による土中環境の整備。この二つを武器に、環境改善の活動にも取り組んでいます。

今回募集するのは、現場仕事を中心に、環境改善を新しい事業として広げていく人。二足のわらじを履くような仕事ですが、現場に出るからこそ学べることも多いと思います。

あわせて、設計と積算・図面補助スタッフも募集します。

環境改善に興味がある人はもちろん、木や植生、庭づくりに興味がある人も。ちょっとしたきっかけから、自分の好きなことを広げていける仕事だと思います。

 

ナインスケッチの事務所があるのは、静岡・浜松市。

最寄りは遠州鉄道の自動車学校前駅で、駅から歩いて10分ほどの場所に事務所がある。

入口に続く道には、さまざまな木々が。歩いていると山の中にいるような心地になるから不思議だ。

中で迎えてくれたのは、代表の田中さん。

「僕自身も経営だけじゃなく、プレイヤーで。具体的に言うと、お客さんと打ち合わせをして、要望をもとにプランニング、見積もりとプレゼンをさせてもらう。一緒に現場作業もしています」

会社を立ち上げたのは、2013年。

学生のときは農業土木を中心に学び、いくつかの会社で造園や外構、建築関係の仕事を経験した。

「漠然と環境に関わる仕事をしたいとは思っていて。そうすると、水質調査の会社とかが出てくるんです。けれど、もっと自分の手でなにか形に残す仕事がしたいなと」

自分の考えやアイデアを、形に残せる仕事。そこで、造園に行き着いた。

お客さんの要望を聞き、プランをつくる。さらには、現場で木を植え石を据え、実際の形にする。

田中さんにとっては、好きなことが詰まった仕事だった。

いくつかの会社を経て、2013年に独立。そのころに出会ったのが、「雑木の庭」。

「当時『雑木の庭』っていう切り口で仕事をしている人がいて。その庭を見たときに、これは自分が身につけないといけないと思ったんです」

見た瞬間にそう思ったと。

「そう。僕がそれまでやってた庭づくりは、単に人の好みだけでつくっていた。『この木がほしいから、この花がきれいだから、あの木を植えよう』、みたいなことです」

「雑木の庭はそうではなくて。自然の植生に倣った庭づくりなんです。木が健康に育つから、すごく心地がいい。これをしていかないと、本当に心地いい住まいは提案できないと思いました」

自然の山の植生を見ると、高木、中木、低木、下草、落ち葉、と階層的になっている。

高木は太陽の光がないと育たない木で、高く育てば育つほど、下の枝がなくなって幹だけになる。その幹に強い風や光が当たると、乾燥して頭枯れの原因になってしまうことも。

その幹を中低木が守るというのが、階層的になっている恩恵なのだそう。お互い助け合いながら生きているのが自然の植生だ。

そしてもう一つ、田中さんが実践しているのが、「大地の再生」という考え方。雑木の庭をつくるなかで、自然の植生に則っても木が健康的に育たないときに、この手法に出会った。

「これもある方に教わったんですが、『あなたは地上の組み合わせしか考えてない』、と。土壌のことも考えないといけないよって。この学びも大きかったですね」

土の中には空気と水を循環させる水脈が張り巡っている。たとえるならば、人の血管のようなもの。

その水脈が、今はコンクリートやアスファルトなどによって遮断されたり、圧をかけられたりしていて、空気と水の循環が損なわれていることが多いそう。

大地の再生について学ぶことで、土壌から雑木の庭づくりが可能に。より健康的な庭をつくることができるようになった。

「これって環境改善なんですよね。自然に負荷をかけないように土壌を改良するっていう」

「これを新しいビジネスコンテンツとして提供していきたいと思っていて。企業がゴミ拾いとか植林活動をしたりしますが、もう1歩踏み込んでもらって、大地の再生の視点で企業の人に自然に触れてもらう」

足の裏や手のひらで触れたり、匂いを感じたり。

五感で感じ、人間的な感覚を取り戻していくことが、現代社会の人たちに必要なのではないか、と田中さん。

「環境改善もできるし、感覚豊かな人材育成もできる。これからの企業に必要なことだと思っていて。そういうパッケージをつくるのが、新しい事業構想です。新しく来てくれる人には、新事業を進めてもらいつつ、現場にも携わってほしいなと思っています」

たとえば、今は浜松市と提携した事業をおこなっている。

浜松市が持っている森林に業務委託で入り、大地の再生を通した環境改善を参加者と一緒におこなう。今年は2クール目を開催し、参加者からも好評だそう。

知識や技術はなくても大丈夫。

環境改善の視点や技術は、ふだんの造園業をしながら学ぶことができる。まずはその部分をしっかり習得したうえで、新しい事業にも目を向けてほしい。

「未経験でもいいので、まずは興味があることが第一条件かな。環境を良くしたいとか、自然が好きだとかっていう、そういう気持ちの面が大切かなと思っています」

 

ナインスケッチで働く社員は、田中さんを含めて3名。

現場仕事はどんなものなのか、入社して1年ほどの中村さんに話を聞く。

「だいたい朝から現場に行って、作業をして17時くらいには事務所に帰ってきます。そこから見積もりや積算のお手伝いを今はしていますね。できることが増えるにつれて、任せてもらえることが増えてきました」

奈良出身。東京の大学を経て、山梨で結婚式のプランナーをし、その後は有機農業、IT、と幅広い経験を重ねてきた。

「好奇心が強いんだと思います。あれもこれもって感じで」と笑う。

「YouTubeでフォローしてた作家さんの動画を見ていたら、たまたまナインスケッチのことが出てきて。気になって調べたら、日本仕事百貨で求人が出てたんです」

有機農業をやっていた経験もあり「面白いことをやっているな」と感じて、応募を決めた。

「自分のなかで共通しているなと思うキーワードは、身体性と直接性。学生時代に陸上競技の走り幅跳びをしていて、プロになるかどうか、くらいのレベルだったんです」

「陸上って身体的だし、直接的に結果がわかる。あと土と触れ合ったり、風を読んだり。そういう世界観も合っているなと感じました」

加えて農業の経験も、今の仕事と地続きになっている。

「有機農業をやっていたので、土からつくる、土壌改良の考え方とかはわかります。ここでやっていることも、農業と共通言語がある気がしているんです」

現場での仕事のメインは、植栽。それに加えて石工事や土壌改良、水脈づくりなど、環境を整える作業もある。

基本的には田中さんがプランニングしたものに沿って作業をしていくけれど、現場でしかわからないことも多いので、田中さんもよく現場にいるそう。

電動工具や重機を使う作業もある。土を掘り起こすといった力仕事もあるので、ある程度の体力がある人でないときついかもしれない。とくに夏場は、暑さが非常に厳しい環境のなかでの作業になる。

たとえば、自然の地形から水の流れを読み、それが空気の通り道にもなる。その道を考えながら、現場でどう地形をつくるかを決めていく。

そうした田中さんのアプローチが、腑に落ちる感覚があった。

ただ実際に働いてみて、現場の作業スピードには驚いた。

「すごく早いです。土壌とか水の流れとか、こだわるところはしっかり時間をかけるぶん、それ以外のところのスピードを上げないといけない。工期は決まっているので。ほかの現場から手伝いに来てくれた人も、早いねって言っていましたね(笑)」

とことんこだわるからこそ、図面通りではなく、現場で実際の土の状態や地形を見てから判断する。

「やり直す手間がかかるけれど、そのほうが多くの場合、お客さんに本当に合ったものができるんですよね。それはすごいなと思います」

「未経験の方が入ってきた場合、何がわからないかもわからない、という状況になりやすいと思います。ただ僕も未経験の状態で入ったので。次に来る方には、自分が伝えられることはあるんじゃないかな」

楽しさも、もちろんある。

「毎日現場が違うんですよ。今日は畑で植栽用の樹木を積んで、明日は鎌倉の現場へ遠征、みたいな。石屋さんに行って、大きな石をワイヤーかけて積み込む日もあります。毎日やることが決まっていないのが、自分には合ってますね。飽きないので」

現場は田中さんと、業務委託のスタッフ1人の3人が基本。

どんな人と一緒に働きたいか聞くと、少し考えてからこう話してくれた。

「ピュアな人、というか… がめつくない人、かな。それを言い換えると、自然が好きっていうことなのかもしれないですけど」

 

最後に話を聞いたのが、木村さん。もともとインテリアの仕事をしていた方。

「結婚して一度仕事を辞めて。その時期に家を建てたんですよ。それで木を家族で植えたりなんかして。自分で手入れもしていたんですけど、それがすごく面白かったんです」

「木々がある空間もいいなって。子どもたちも庭で遊ぶのが大好きなんですよ。家の中と外がつながるって、豊かなことなんだなっていうのを実体験したんですよね」

主な仕事はアフターフォロー。庭をつくってから半年後の点検に行ったり、植物が根付いてきたころに連絡して困りごとがないか聞いたり。

また、木村さんたっての希望もあり、現場に行くこともある。

「田中さんも女の人だから、みたいな感じがなくて。現場にも出たいですって言ったら、じゃあお願いすると思うけど、力仕事とかいろいろあるけどいい?って。それで私も本気でやろうと思って、自動車学校に行ってダンプに乗れるようにしました」

「木の知識を得るために資格をとりたいって田中さんに伝えたくらい、木が好きなんです。もうずっと見てられます。だから事務所にいると、窓からずっと見ちゃいますね」

浜松市の事業も木村さんが市役所とのつなぎ役になって開催している。

自然も手入れすれば価値が高まる、ということを新しく入る人も一緒に伝えていけるといい。

「庭をつくって、『毎日外に行くのがすごく楽しみになりました』、って言ってくれる方もたくさんいて。写真撮ってこんなに大きくなりましたとか、こんなお花が咲いたとか。連絡をくれる方もいます」

それはすごくうれしいですね。

「そうなんです。こっちまでうれしくなっちゃう。このやりがいはアフターフォローをしっかりしてこそだと思うので、現場の人にも還元していきたいですね」

最後に、どんな人に来てほしいか、田中さんに聞きました。

「体力に自信があること、それと嘘をつかないことかな」

「あとは、自分で見つけてチャレンジできる人。話してくれたふたりは、自分がやりたいことからうちを見つけてくれたんですよね。だからそんな人がいいなって思います」

 

木々の健康は土の中の循環から。

ナインスケッチでは、より自然に寄り添った造園がおこなわれていました。今度はそれを、造園以外のところで広めていきたい。

土の中からより良い自然をともにつくる仲間を探しています。

(2024/10/17 取材、2026/04/21 再編集 稲本琢仙)

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