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本のある場づくり
想像が未来をひらく

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

本をひらく。ページをめくる。

あるときは、冒険に連れていってくれる。またあるときは、知らない国の料理を教えてくれる。

本をひらくたび、いくつもの世界が広がっていることを感じます。

株式会社ひらくがつくるのは、そんな本に出会い、旅をするような場所。

「本と出会うための本屋」として入場料のある本屋を運営する文喫事業、外部企業の業態開発や企画サービスの設計をするプロデュース事業、図書館などの公共施設の計画策定や運営事業をおこなう公共プレイス事業で、生活にうれしい時間を提供しています。

今回募集するのは、プロデュース事業のディレクター、ブックディレクター、プロジェクトマネージャー。

どの職種も、クライアントの相談や要望にチームで考え、応えていく仕事です。

プロジェクトの構想からプランニング、実装、運営、伴走まで。

想像力を持って誰かを思える人、頭だけでなく手足を使って汗をかける人。

本が好きでも、そうでなくても。人がよろこぶ場をつくることに関心があれば、ぜひ読み進めてほしいです。

 

高輪ゲートウェイ駅からすぐのニュウマン高輪。

ファッションやフードが充実していて、サウナも入れる。1日いても飽きない場所。

South 5階にあるのがBUNKITSU TOKYO。

1000坪の広いフロアに、約10万冊の本がずらりと並ぶ。やわらかなカーブの書棚やカラフルなアートは、自由で楽しい本屋というコンセプトを表している。

代表の染谷さんに店内を案内してもらう。ふと立ち止まったのは、ある児童書の前。

「この『ガリバー旅行記』の新訳、すごく面白いんですよ。もともと母は推理小説好き、父はロックが好きで。カルチャーに囲まれた環境で育ってきたように思います」

文化的な仕事に就きたいと、本や雑誌の流通を担う日本出版販売株式会社に入社。

2015年に新規事業部が立ち上がり、染谷さんはその一員に。

出発点は、書店から客足が遠のき、本が売れなくなっている出版業界の課題。

「最初は書店のリノベーションを2件担当しました。でも、内装だけきれいにしても変わらないと気づいたんです。書店の方と足並みがそろわなくて、なかなかうまくいかなかったですね」

失敗は、大きな未来につながる。人のお店ではなく、まず自分たちで本がある場所をつくろうと「箱根本箱」「文喫 六本木」のプロジェクトが始まった。

「箱根本箱」は、本に囲まれて暮らせるようなブックホテル。館内の書籍はライブラリーでもあり、すべての本を購入できる。

「ブックホテルにしようと決めたはいいものの、事業経験もノウハウもなくて。そこで里山十帖などのホテルを手がけている自遊人の岩佐さんをクリエイティブディレクターに迎えました」

日本ではじめてのブックホテルとして人気を呼んだ。高価格帯にもかかわらず、常に高い稼働率を維持している。

入場料のある本屋「文喫」。六本木にある一号店は、青山ブックセンターの跡地。新しい形で本屋が戻ってきたと話題になった。

「あこがれの経営者とお仕事ができたらと、スマイルズの遠山さんに直筆の手紙を送りました。一冊だけの本を売る、銀座の森岡書店さんにもサポートしてもらいながらプロジェクトを進めました」

「どちらも、オープンしてからたくさん注目してもらえて。新しい本の楽しみ方を世の中に提案できたかなと。自分たちで投資して運営して、必死になれたのもいい経験でした」

業界以外にも評判は広まって、さまざまな依頼がくるように。自社事業とクライアントワーク、公共事業、3つの軸が定まっていく。

2022年、日販のグループ会社として、ひらくが設立。

「本をひらく。選択肢をひらく。社会に対しても、日販の未来もひらく。開く、拓く、啓くなど、漢字で表すとさまざまな意味もあります。この言葉が持つ、懐の深さと解釈のやわらかさを社名に込めました」

社員のほとんどが日販からの採用で、今いるのは30名。染谷さんは毎年、手書きの手紙を社員に手渡している。

「会社の方針を一人ひとりに配っています。それだけではなく、期待していることや感謝していることを一言添えるようにしていて。次のステージへ、全員で向かっていきたい」

染谷さんは、どんな人を待っていますか。

「まずは元気で朗らかな人ですね。お客さまあっての仕事なので、礼節と愛嬌も必要です。相手の意向を汲むことと、自分が納得できる企画を打ち出すこと、その両面を意識できる方と一緒に働きたいです」

 

取締役でプロデュース事業責任者の武田さんは、新規事業部時代から10年以上、染谷さんとひらくのページをめくりつづけている。これから入る人にとって、上司にあたる存在。

「僕は胸を張って本好きって言えるような人間じゃなくて。どちらかというと生活者の感覚で、本がある場所を考えつづけています。客観的に、広い視野でプロジェクトを眺めるタイプ」

初めは、染谷さんが箱根本箱を、武田さんが文喫を、それぞれプロジェクトマネージャーとしてチームを束ねた。

文喫は入場料制というこれまでにない書店で、出版業界からはさまざまな意見や懸念の声が上がった。

「出版社説明会を開いたり、書店に出向いたりと、できることは全部やりました。理解いただける方が少しずつ増えていき、なんとか開業までたどり着くことができました」

既存のビジネスモデルのあり方を見直す必要性は、書店・取次ともに高まってきている。変化の激しい時代において、常に新たな可能性を模索しつづけなくてはいけない。

「それなら、まずは自分たちが次の一手を打とうと心に決めました。業界の空気と流れを絶対に変えたいという気持ちで、突っ走りましたね」

武田さんの熱意は、空間や本棚を通して多くの人を納得させた。入場料を払ってでも、ここに行きたい。ここで本と出会いたい。今日も文喫にはそんな人がきている。

「福岡の百貨店や名古屋の商業施設から『うちでも文喫やりませんか』と声をかけていただいて。このBUNKITSU TOKYOも、ルミネさんからのご依頼で、フロア全体のプロデュースを手がけています」

「本のある場づくりを求められることが多いけど、単純に本棚をつくるわけじゃない。その場所に来る人が、どれだけ笑顔になれるかを考える仕事だと思います。本をベースに、こんな場所になったらいいよね、こんなサービスがあったらうれしいよね、と思索してもらえたら」

今回募集するのは、3つの職種。

クライアント・社内外メンバー・予算・スケジュールをまとめる、プロジェクトマネージャー。

場のコンセプト、体験設計、企画提案から実装までを推進するディレクター。

ただの選書だけでなく、その場に本がある意味を編集し可視化するブックディレクター。

どの職種でも、根っからの読書家じゃなくていい。ちがう業種から飛び込んでいい。必要なのは、思いやりと想像力。

「本に詳しい人は社内にいっぱいいるので、食とか建築とか写真とか、ほかの分野から来てもらえると。日販以外から人が入ることで、これまでにない流れが生まれる予感がします」

「相手が何を考えているのか想像して、思いやれるかどうか。それはクライアントだけじゃなくて、チームメンバーに対しても。あとは、正論より汗をかいてほしいなって思います。その姿にみんながついていくし、共感する。ひたむきさは、シンプルに大事かな」

 

そこにいるだけで、空気をぱっと明るくする人がいる。屈託のない笑顔を向けてくれたのは、ディレクターの清原さん。一緒にプロジェクトを進めていく、頼もしい同僚になると思う。

幼いころから好きな本を起点に、いろんなことをしてみたいと7年前に日販へ入社。

「明るく元気が取り柄で、書店営業として4年間働きました。本の売り場や発注を書店員さんと考えるのは、一種のクライアントワーク。やっていくなかで、空間をもっと変えてみたい、とにかく新しいことをやってみたいと思うようになって。そのとき、ひらくに異動できる話があり、手を挙げました」

ひらくの印象は、本の可能性を広げて、果敢に挑戦するチーム。かっこよさと同時に、尖っているイメージもあった。

「書店が次々に閉店してくなかで、新しいやり方で抗っている会社だなと。入ってみると、明るく個性的で、やわらかい人が多くいるように感じました。柔軟にチーム全員で協力しあっています。ただ、泥臭い仕事もあります」

泥臭い仕事?

「書店営業のときは業務が決まっていたけど、ひらくでは何をつくるかが決まっていないところからのスタートで。ゼロから場所をつくるのは、こんなにも大変なんだと思って。地道な過程が長くつづくし、考えることも次から次へとやってくる。根性が試されている気がします」

案件の大まかな流れは、クライアントの現状や課題を聞き、業態やコンセプトを考えてプロジェクトの土台をつくる。

そこに社内外必要なメンバーをアサインしてチームを編成。ディレクターが企画の具現化を進めていく。

ひらく「らしさ」でもあるブックディレクターは、本でその場や企画に魂を宿す役割。本を一つひとつ選ぶこと、文脈を持たせること、新しい世界へ誘うこと。イベントやワークショップの企画実行も担う。

清原さんは主にディレクターとして、常にプロジェクトを3つほど担当している。なかには、4年ほどの長期スパンで進めるものも。

取材をしていたニュウマン高輪のMIMURE(ミムレ)にも清原さんが関わる場所があり、案内してもらう。

本とコーヒーをじっくり味わう「OGAWA COFFEE LABORATORY HON : 273」は、食にまつわる本があり、有料エリアはこだわりの椅子が並ぶ。思わず、時間を忘れて読みふけってしまいそう。

「小川珈琲の宇田社長が本好きなこともあり、ご縁が重なって企画につながりました。『小さな幸せの積み重ね』を体験できる場をつくりたいとの高い志に共感し、絶対におもしろい場所にしたいと思ったんです」

プロジェクトを進めていくなかで、苦労することも。

「コンセプトと運営オペレーション、事業性とのバランスを取るのが難しく、調整に時間がかかりましたね。お客さまに提供したい価値を念頭に、実現できるラインを細かな打ち合わせで探っていき、形になりました」

「オープンしたとき『お客さまからよろこびの声がありました』とスタッフさんから笑顔で報告をいただいて。最後まで走り抜けてよかったです」

完成した場所には、定期的に足を運んで、状況を聞いたり、次にどんなことをしたいか話し合ったりする。

どんな言葉や行動が、その人、その場をもっとよくできるのか。清原さんはいつも想像しているんだと思う。

「相手のやりたいことを、いかに自分ごととして考えられるか。私が誰よりもおもしろいと思える場所にしたいんです。本好きな人だけじゃなくて、いろんな人が足を運びたくなるような場づくりをつづけていきたいな」

 

帰り際「この本、好きだと思いますよ」と染谷さんが一冊、差し出してくれました。

たった数時間話しただけなのに、感性にぴったり合うものを選んでくれた。

1冊の本から、ずっと遠くの世界へ行ける。

本がある場づくりは、未来をひらくのかもしれません。

(2026/05/13 取材 久保泉)

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