“コンサルタント”と聞くと、どこかスマートで、上から指示を出すようなイメージを思い浮かべるかもしれません。あるいは“物流”と聞くと、裏方の仕事を想像するでしょうか。
株式会社CAPES(ケイプス)は、そんな先入観を、現場のど真ん中からひっくり返していく会社です。
土台は、コンサルティング。倉庫の移転や業務改善を通じて、合理的な仕組みをつくり、現場に根付かせる。
その上で、職場環境のデザインや、現場を労うオリジナルビール・アパレルグッズの開発などのブランド事業まで、一気通貫して手掛けています。
今回募集するのは、企業からの相談に乗り、現場の人たちと一緒に仕組みや環境をつくっていく物流現場のパートナー。

物流とコンサルティングの知識や経験は問いません。
現場を知り、話を聞いて、よりよくしたいという想いを持つ。長いスパンで目の前の仕事に丁寧に向き合っていきたいという人には、やりがいを感じられる環境だと思います。
京王井の頭線の神泉駅を出て、中目黒方面へと歩く。
マンションや飲食店が並ぶ通りを抜けた先に、CAPESのオフィスを見つけた。
迎えてくれたのが、代表の西尾さん。

新卒で通販会社の物流現場に。大手ECの物流センター長などを経て、2018年にCAPESを創業した。
「世の中が便利になって、みんなネットで買い物をするようになると、当然荷物は増えていきますよね。でも、誰かが運んだり処理したりしなきゃいけないのに、日本の労働人口は減っている。シンプルに、物流に関わる人がいなくなってきているんです」
物流の基本は、毎日同じサイクルで正確に注文を処理し、出荷する地道なルーティンワークの積み重ね。
毎日を維持することにいっぱいいっぱいで、企業の成長や課題解決のために、次の一手を打とうとしてもむずかしく、そもそも知見を持っていないこともある。
「新しい物流センターへ引っ越しをする場合や、最新の自動化設備を導入するとか。企業にとっては、何十年に一度の非定型業務、いわゆる『スパイク』なんですよね。現場の労働力や知識だけでは、到底対応しきれない。だからこそ、僕らが必要とされるんです」
現場だけに不足しているリソースや知識の空白を埋める。それこそが、CAPESのベースとなっているコンサルティング事業。

「実際のところ、コンサルティングそのものが直接業界のイメージを変える仕事になるわけではなくて。コスト削減や効率化、あるいは人手不足の解消といった、目の前にあるシビアな課題を解決していくための土台なんです」
コンサルティングで現実的な課題をクリアにし、そこで得た利益を、業界の見え方を変えるためのクリエイティブに注ぎ込んでいく。
「単にかっこいいものをつくりたいわけじゃなくて、これがないと業界のイメージって変わっていかないんですよね。だからこそ、まずは土台となるビジネスの仕組みをしっかり回す必要があるんです」
そのうえで、西尾さんは「コンサルタント」という言葉の響きには、少しばかり抵抗があるという。
「言葉から受ける印象って、現場で知識あるやつが腕くんで、上から指示を出すイメージじゃないですか。僕、それはめっちゃ嫌なんですよ。だから自分たちのことを、いわゆる物流コンサルタントとはあまり名乗りたくなくて」

目指しているのは、徹底して現場の目線に立つこと。
「僕たちは泥くさく現場に行って、現場と一緒に悩みながらも若干リードしている、パートナーのような存在でありたいんです」
それを身をもって体現しているのが、澄田さん。
前職はジュエリーブランドのPRや映画の宣伝などを経験。物流も、コンサルティングの経験も一切なかった。

以前担当した、東北にあるパン工場のプロジェクトのことを教えてくれた。
「最初は、『今後の人手不足を見据えて、できあがったパンを仕分ける工程を機械化・自動化できないか』っていうご相談だったんです。でも、実際に現地へ行ってみたら、とてもロボットがスイスイ走れるような環境じゃなくて」
昔から使われ続けている、人間の手で動かすための工場。床の歪みや通路の幅は、精密な機械をスムーズに稼働させるには不向きだった。
「通路に商品が高く積まれていて、人ひとりが通るのがやっとの状態なんですよね。しかも、どこに何を置くかっていうルールが一切なくて、すべてベテランスタッフの皆さんの勘で動いている。属人化の極みだったんです」
機械を入れる以前に、まずはオペレーションと作業環境を整える必要がある。そう判断した澄田さんは、現場の実態を知るために、1ヶ月にわたって現地の工場へ働きに行くことに。週の半分を仙台や盛岡の工場に滞在し、夜勤のシフトにも入った。
「自分が経験していないと、現場の人たちから『知らないくせに』って言われちゃうじゃないですか。だから、まずは業務を一通りやってみようと思ったんです」
「実際に現場で一緒に働いてみると、私みたいな素人から見ても『絶対に改善したほうがいい』ってわかる部分が、たくさん見つかったんですよね。たとえば、通路に荷物がはみ出ていて人すら通れなかったり、全部同じ緑色のコンテナに入っているから、中に何が入っているのか外から全然わからなかったり」
現場に転がる当たり前に対して、素朴な疑問と提案を投げかけていった。

「現場の人も『本当はここに収まってなきゃいけないんだけどねえ』なんて言って。だったら、床にラインを引いて置き場をしっかり決めましょうとか、案内表示を貼りましょうって、すごく地道なことを一緒にやっていきました」
最初は、こうした変化に対して現場からの反発もあったという。ギリギリの人数で業務を回している現場のスタッフからすれば、外からの急な意見は、戸惑うことも多い。
「どうせ何も変わらない」と諦めているような空気も漂っていた。
「けれど続けるうち、『これ、もう少し目立つように赤色にしとくね』って、自主的に工夫してくれるようになって。小さなやる気が現場に芽生えていくのが、すごく嬉しかったんですよね」
仙台の工場で1年かけて改善の土台を終えた後、現在は盛岡の工場にフェーズを移して、今も継続して毎週オンラインで現地の改善担当者と壁打ちを続けている。およそ2年にわたる、息の長い伴走だ。
現場に泥臭く向き合ううち、次第に人の意識が変わり、働く環境を一緒により良くしていく方向へと動いていく。そこにたしかなやりがいを感じている。
そんな現場の空気を誰よりも肌で知る澄田さんだからこそ、生き生きと取り組めているのが、ブランド事業。
物流現場で働く人たちをねぎらうためにつくられたオリジナルクラフトビール「LOGI BEER」。

ほかにも、物流現場の定番アイテムである軍手にオリジナルデザインの滑り止めを施したり、ユニフォームをデザインしたり。
現場で働く人たちに光を当て、仕事に誇りを持てるようなきっかけづくりにも取り組んでいる。
「物流におけるブランド事業って、ブルーオーシャンなんですよ。ほかのジャンルでは前例があっても、物流というフィルターを通すだけで、一気に新しくなる。何をやっても業界初になるのが、すごくワクワクするんです」
仕事の割合は、クライアントワークが7、8割で、残りは一般消費者向けのブランド活動。コンサルティングとブランド事業の比率は、およそ五分五分なんだそう。
「どちらの仕事も、実際は地道で泥臭いことを一つひとつ積み上げる時間のほうが圧倒的に多いんです」
「きらびやかなイメージだけを持って入社すると、泥臭さにギャップを感じてしまうと思います。目の前の課題に、這いつくばって向き合うプロセスこそがCAPESで働く一番面白いところですね」
赤池さんもまた、現場に深く入り込んでいるひとり。この日はオンラインで話を聞くことに。

「前職は農業法人でデザイナーをしていました。現場にちょっとした案内を置くだけで、お客さんの動きがスムーズになったり、働くスタッフの負担が減ったりしたんです。デザインって、単に見た目をきれいにするだけじゃなくて、現場のリアルな課題を解決できるんだなって気づいて」
もっと自分の手で、その力を活かせる場所はないだろうか。そう探していたときに出会ったのが、CAPESだった。
入社してすぐに任されたのは、ワイン専門商社の巨大な倉庫移転プロジェクトの進行管理。
CAPESでは、一つのプロジェクトを個人で担当するのではなく、代表の西尾さんとタッグを組んで進めるチーム体制が基本。
プロジェクトを動かす窓口のような存在として、クライアントとの連絡や定期的な会議の進行、現場に足を運んでの状況確認を一つひとつ進めていく。
最初は専門用語すらわからない状態だったけれど、知ったかぶりをせず素直に聞き、西尾さんにサポートしてもらいながら乗り越えた。
「移転を完了させるために、いつまでに棚のレイアウトを決めるのか、いつ発注するのか。まずは全体のスケジュールを引いて、隔週のミーティングで『次の定例までにこれを決めましょう』と一つひとつタスクを整理していきました」

赤池さんが担ったのは、画期的な改善案を出すことではなく、移転という大きな変化に対して、通常業務で手一杯なクライアントの横に寄り添うこと。
「現場の責任者の方お一人だと、これで本当にいいのかと最終的な判断を下すときに、やっぱり心許ない部分があるんです。だからこそ『進めるうえで何か障害になりそうなことはありますか?』と細々とした課題をヒアリングして、専門家としての西尾の言葉で後押しすることが求められていたんだと思います」
膨大なタスクを取りこぼさないようにコミュニケーションを取り、少しでも同じ解像度で話せるように現場へも足を運んだ。
およそ1年にわたって伴走した倉庫移転プロジェクトは、無事に完了。こまめに状況を整理しつづける真摯な姿勢が、現場にとっての大きな安心感につながっていった。

案件を重ねるたび、少しずつ物流の解像度を上げていった赤池さん。
ある化学品専門商社の新センター立ち上げプロジェクトでは、WMSと呼ばれる、倉庫の管理システムの導入と、休憩室や案内表示の環境改善を並行して進めた。
サインの設計も極めて機能的。危険物を扱う庫内向けはパキッとしたトーン、外向けは優しいトーンに。誰向けの情報かによって見せ方を使い分ける。

「休憩室も、靴を脱いで休める畳の空間をデザインしたら、女性ドライバーさんから『本当に感動した。ずっとここで働き続けたい』って声が届いて。現場を大きく変えられるんだって、すごく嬉しかったです」
「何かを判断するとき、西尾からは『これって本当に現場のためになってるか?』とよく問いかけられます。それを同じ温度感で共有して、一緒にお客さまに並走できることが、この仕事で何より大事なんだと思います」
左脳と右脳、両方を動かして、物流の世界をアップデートしていく。
そんなわくわくを、一緒に味わえる人を待っています。
(2026/06/05 取材 小菅綾香、田辺宏太)


