老朽化による建て替えによって、まちのシンボルだった建物が姿を消し、新しい風景へと移行していく。
そんなまちの移り変わりは、現代の都市において日常かもしれません。
従来の解体業は、建物を壊して更地にする、一方通行の「スクラップ&ビルド」の仕事と捉えられがちでした。
この構造に異なる視点から疑問を投げかけているのが、都市テクノです。
解体業を軸にしながらも、解体こそが新しいまちづくりや価値を生み出す「都市再生のはじまり」であると位置づけ、解体直前の建物を舞台にした地域一体型イベント「解体祭」を企画・運営しています。

まちの風景をスムーズに、そして温かく次の世代へ引き継ぐために。
工事が始まる前に、地域の人々を巻き込むイベントを仕掛け、単なる取り壊しを新しいまちへの期待へと転換していく。それが、今回募集する営業部企画課のメンバーです。
担う業務は大きく分けて3つ。
「解体祭」の企画・運営と、デベロッパーへの提案営業、そして解体祭が終わったあとも続く地域の営みを新しいまちの風景に引き継ぐ新規事業の企画です。
単発のイベントを開催する断片的な関わりではなく、持続的にまちの再生に関わっていく。
学校の文化祭の運営に、寝食を忘れて熱中した記憶がある人なら、きっと深く惹かれるはずです。
東京タワーが大きく見える芝公園駅から歩いて3分。
閑静なオフィス街にあるビルに都市テクノの事務所がある。
エレベーターで5階へ上り、植栽豊かなオフィスへ到着。

都市テクノは、代表の島村さんが2009年に設立した会社。
解体事業を展開するなかで、「なぜ解体屋は、地域の人に挨拶に行くと嫌な顔をされるのか」「なぜ壊して終わりなんだろう?」という業界への違和感を感じていたという。
解体は、建物の最期と捉えられるけれど、再開発の計画があって、何か新しいことをするための始まりでもある。
決して、建物をゼロにする悲しい仕事ではない。
そこで「どうせ現状復帰しなくていいなら、建物の最期に、地域の人やクリエイターが思いっきり遊べる自由な空間をつくったらどうなるだろう?」というアイデアが生まれる。
そして、以前から親交があった、コンクリートのリサイクル研究を行う教授や美術大学と連携し、2023年に東京・港区で、「Daiwa御成門ビル解体祭」が第一回目の解体祭が開かれた。

50年間、オフィスビルだった建物。
東京タワーを訪れた観光客が休憩に立ち寄ったり、平日はビジネスマンたちが打ち合わせをしたり。オフィス街の御成門周辺にはめずらしく、日曜日も店を開け、地域住民の憩いの場としても愛され続けてきた場所だった。
まちの人に支えられた50年分の感謝を込めて。
都市テクノは、ビルに入居していたテナントと協力し、まちの人に向けて商品を無料で振る舞うマーケットを開催。さらに、子どもたちが壁や天井に四方八方、自由に絵を描くダイナミックなペインティング企画などを実施した。
建物が紡いできた地域の記憶を住民と「ひもとく」と同時に、終わりを寂しいものではなく「地域と繋がる始まりのお祭り」へと昇華。

解体祭の事業が始まって3年目。
今年の春までに東京や神奈川で4回開催し、1,000人〜2,300人の来場者を毎回集めるほどの実績をつくってきた。今後はさらに開催の頻度を多くし、場所も全国へ広げていきたいと考えている。
今回募集する営業部企画課のメンバーは、受注したビルやマンションの特性に合わせて「この場所なら、こんな解体祭が合っている」という提案書を作成し、企画・運営を担う役割。
現在、5人の少数精鋭。入社年数に関わらず一人のプレイヤーとして打席に立つ機会は多い。
昨年入社した営業部企画課の高橋さんはそのひとり。

教育系の大学で美術を専攻し、教育施設でアート講師として働いていた高橋さん。
より視野を広げ、アートを掛け合わせた地域創生ができないかと、転職先を探したところ、都市テクノの求人を見つける。
「単発でイベントを企画開催するのではなく、地域とのつながりからイベントを企画していくことに魅力を感じて、応募を決めました」
入社してすぐに担当したのが、昨年の6月に開催された神奈川・川崎で食品製造を行っていた「高津工場」の解体祭。

川崎市内でも高津区は製造事業所がとくに多いエリア。
解体元となるクライアントや、区役所などの行政にヒヤリングしながら「地域の想いと産業の力で紡ぐ、未来のデザイン」というテーマが決まった。それをもとに当日のイベント内容を考えていく。
たとえば、地元のものづくり企業と共同して「ロボット型ストラップづくり」などの、ワークショップを企画。周辺に住む人が、地元を知る機会や、つながりを感じられることも大切にしている。

それらを5名いる営業部企画課から2人一組で企画運営していく。このとき高橋さんは、企画後の準備から当日運営に携わった。
「工場の壁に子どもたちが自由にペインティングできるブースも設けていたんです。でも、心理的に真っ白な壁だと描きにくいんですよね。アーティストさんに頼んで下絵を描いてもらうように手配することもありました」
当日の運営には、ほかのスタッフも参加するため、スムーズに動けるようマニュアルづくりや、会場の安全管理のため、立ち入り禁止の場所を現場監督と確認。警備員を配置するために行政に書類を出すなど、さまざまな調整役も担った。
「ウェットティッシュが足りないと近所の100円ショップを巡ったり(笑)。少数なので、なんでもやるんです。私は、現場でこうやって動いているときが楽しいなと感じます」

当日は2,300名を超える来場者が集まった。
「解体祭の翌日から解体作業が始まる。それで終わりではなくて、解体されても地域との関係が続くことが都市テクノの醍醐味で」
たとえば、下落合のマンション解体祭後には、敷地内にあって伐採せざるを得なかった思い出の桜の木を、林業会社と協力して切り出し、丸太の染め物アートへとアップサイクル。新しく竣工するマンションに納品される予定だそう。
「人と人との関係って、本来はゆっくり時間をかけて築いていくものですよね。そう考えると、解体祭という1日に向けて準備する3ヶ月って、長いようで短いなと思うんです」
「だから、今後はクライアントさんや地域との関係性をもっと長い目で、一過性ではなく地続きで築いていける企画を考えていけたらなって」

そんな高橋さんが、今まさに新しい可能性として注力しているのが「病院や福祉施設」へのアプローチ。
「病院は地域に密着しているぶん、建て替えの際の騒音や振動に対して非常に神経質になります。でも、もともと地域向けの文化祭やお祭りを大切にされている病院も多くて」
「病院の建て替え計画は何年もかけて進むものだからこそ、もっと長いスパンでお手伝いできることがあるはず。地域と結ぶ、つながる手段として解体祭を提案したくて、今はヒアリングや営業を重ねています」
単なるイベントで終わらせず、中長期的なスパンでまちと関わる新しい事業の種を、それぞれがプレイヤーとして仕込んでいる。
「個人で持っているプロジェクトも多いので、みんなマネージャーでありプレイヤーみたいな感覚ではあると思いますよ」
そう話すのは、同じ営業部企画課の小林さん。
前職は広告代理店に16年ほど勤め、コロナ禍を機に退職。4年ほどフリーターとして過ごし、昨年、都市テクノへ入社。

「僕たちの軸は、広告代理店やイベント屋ではなく、あくまで『解体屋さん』。建設会社として、地域とどう結びつき、どう巻き込むか。そこがブレないように意識しています」
社内では、社長や役員から突拍子もないアイデアが降ってくることも多い。
「たとえば、解体のときに出る産業廃棄物の問題。うちはマンションやビルなど大型物件を扱うことが多いので、建物の8割がコンクリートなんです。なので、できるだけ再生しようとプロジェクトが動いていて」
東大と研究を進めている、産業廃棄物となるコンクリートを100%リサイクルする大型プロジェクトもその一つ。

さらに最近では、熊本の天草にある空き家の古民家を再生し、地域創生に繋げるプロジェクトも動き出している。
「僕たちは、本業である『解体』の技術や目利きがベースにある。危険な箇所は安全に解体しながら、建物が持つ歴史や、価値ある貴重な古材は、ひもといて残す。そうして抽出した地域の資源をどう活かし、地域創生やデベロッパーへの新たな提案へ結びつけていくか考えていくんです」
「アイデアがどんどん降ってくるので、正直いま、僕がキャパオーバーになりそうなんです(笑)」と、小林さん。
「新しく入る方には、僕のパートナーとして隣で一緒に動いてもらいたい。まずは、僕が持っているプロジェクトの打ち合わせに同席したり、企画書やルールブックといった会議資料づくりの手伝いから始めて、少しずつ仕事の流れを掴んでいってほしいなと思っています」

華やかな広告業界から、嫌煙される「解体屋」へと転身した小林さん。外から飛び込んでみたからこそ、この仕事が持つ独自の社会的価値を、強く感じている。
「1つの建物を解体するには、億単位の費用がかかります。でも、都市テクノに頼めば、解体祭を通じて地域につながりが生まれて、近隣の苦情が減る。その後のまちづくりがスムーズになるんです。デベロッパーさんにとっても付加価値なんです」
「いろいろな立場の人が関わるから、学生時代にみんなで文化祭をつくるのが好きだったような人は、きっとワクワクできる環境だと思いますよ」
相手の温度感を汲み取りながら、多くの関係者を巻き込んでいくこの仕事。
「まずやってみよう、というカルチャーです。自分で仕事を見つけて、前向きに、ちょっと泥臭くても楽しんで動ける方が来てくれるとうれしいですね」
これから先も、都市は形を変え、あちこちで新しい風景が生まれていく。
その移り変わりの最前線で、建物の記憶を丁寧に「ひもとく」ことから始めるのが、都市テクノの仕事です。
100円ショップへウェットティッシュを買いに走る泥臭い1日も、億単位のプロジェクトを動かすダイナミックな瞬間も、すべては地続き。
壊すことから始まる、新しいまちの未来を一緒につくっていきませんか。
(2026/06/10 取材 大津恵理子)


