求人 NEW

目の前でいのちが育つ
問いが生まれる
日常が変わる

戦争、難民、エネルギーや環境、格差について。

ニュースを通して知る社会の課題は、遠くで起きていることのようで、現実味がないように感じることがある。

けれど普段わたしたちがなにを買って、なにを食べるのか。

それぞれの考え、一つひとつの選択が、巡り巡ってこれらの課題につながっている。

それは、一人ひとりが未来を変えていくことができるということでもあると思う。

「自分たちがなにを食べて生きているのか。商品として手にとるだけでなく、生産にまで意識が届くように。いのちの循環を可視化できる場所をつくろうとはじまったのが、このKURKKU FIELDSです」

KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)は、千葉県木更津市にあるサステナブルファーム&パーク。

広大な敷地では農業や酪農、養鶏などが行われていて、訪れた人は農業体験をしたり、おいしいものを食べたり、アート作品を鑑賞したり。

自然のなかで過ごし、いのちの循環について考える場所になっています。

今回募集するのは、宿泊施設の運営、お店での販売、料理、広報などそれぞれの役割で、この場所の体験をつくり、伝えていく人。

目の前の人にどう関わるかで、小さくても、着実に未来が変わっていく。

そんな日々を積み重ねていくような仕事です。

 

東京から千葉の木更津へは、アクアラインを渡れば車で40分ほど。

エントランスをくぐって歩いていくと、レストランやパン屋、丘の上のホテル、土のなかに埋まったような図書館など、敷地のなかに点在するさまざまな施設が見えてくる。

さらに進むと、アート作品の向こうに畑。その奥からは「メェー」とヤギの声が聞こえてきた。

話を聞こうと丘の上で待ち合わせしたのは、佐藤剛さん。

「People & Culture」と名付けたチームで、組織全体のことを考える役割を担っている。

周りにいた大人や読んでいた本の影響を受け、環境への意識を強く持っていた子どもだったそう。

奄美大島でネイチャーガイドをしたり、パタゴニアやオーガニックスーパーで働いたり。独立して革製品をつくっていた時期もある。

子どもと大人が一緒に遊べる場づくりをしていたとき、KURKKU FIELDSに出会った。

「僕がやってきたことを全部活かせる仕事だなって。環境や未来をよくしていくためには、1人でやるより、ここでみんなと働くほうがより多くの人に届けられる。世の中が変わるスピードが早くなると思ったんです。未来は自分たちで、楽しみながら変えていけるんだと伝えるのが仕事になりました」

丘に沿って設置したソーラーパネルでは、太陽のエネルギーを集めて活用。

水牛やヤギ、ヒツジたちの排泄物は、堆肥場で野菜を育てるための肥料に変わっていく。

レストランから池に向かって流れる小川は、バイオジオフィルターという、水の循環をつくる設備。微生物や植物の働きで、低い位置にある池に流れ着くまでに、ろ過さたれきれいな水になっていく。

訪れる人はここで育てた野菜やできたてのチーズを使ったピザを食べたり、アート作品を鑑賞したりと、ただただ楽しく過ごすこともできる。

そのなかで循環に気づくきっかけが散りばめられていて、関心を持った人は、より深く学べるようになっている。

「いつも食べているものが、循環のなかでできているんだと知る。自然は関係ないものではなくて、人間も自然の一部なんだと感じる。僕らが中心に置いている『食』って日常の延長にあるものだから、自分ごとになりやすい」

「そこから、問いが生まれて意識や行動が変容するきっかけになる。考えが変わっていく瞬間が生まれやすい状況が、できはじめているんじゃないかと思います」

当初は10名ほどのメンバーが集まって、開拓するようにつくってきたKURKKU FIELDS。

オープンして7年目を迎えた今では、約120人もの仲間が働いている。

「僕らが場づくりに活用しているパーマカルチャーの考え方で、組織運営ができないだろうかと話していて。すでにある考え方のいいところは使いつつ、僕ららしいものを生み出せないか。試しはじめているのが、対話をすることです」

「どんなことに関心があるのか、どうありたいか。ときには夢みたいなことを聞かせてもらいながら。その想いをどうこの場所に落とし込んでもらうか、ここで表現してもらうのか。話をしながら、成長を支援していけるような関係ができないかって思っているんです」

場内の活動だけでなく、地域のなかで新しいプロジェクトが立ち上がるなど、近隣の人たちと関わる機会も増えている。

活動を続けていくために、どんな仕組みがあるといいか。一緒に想像しながら、つくっていきたい。

「僕らがやろうとしているのはとても壮大で、生半可じゃ実現できないことで。たくさんのことが動いていて、すべてがうまくいっているわけでもありません。仲間として一緒に考えていける、方向性を握りあえている組織になっていきたいですよね」

この場所は牧場として使われていた時期もあれば、東京の産業廃棄物を受け入れていたこともある土地。

なにもなかったところに施設を建てて、土を掘って小川をつくり、植物を植え。さまざまな生物が暮らせる環境を、自分たちの手でつくり続けてきた。

立ち上げ当初からここで活動し続けている人の1人が、岡田綾乃さん。

地元の木更津で、旦那さんと一緒にジビエ料理を得意とするフランス料理店を営んでいた。

夫婦でKURKKU FIELDSの立ち上げに参加して、今はソーセージやハムなどのシャルキュトリーが並ぶ店舗の運営を担当している。

ショーケースにきれいに並んでいるのは、豚や鹿、猪などのジビエに季節の野菜が練り込まれたソーセージやパテ。

この日は「アナグマ」や、北海道の友人から届いたという「ヒグマ」の肉を加工したものもある。

「最初は、ジビエは臭いが気になる人も多くて。試食して味を知ってもらったり、すごく工夫していたんです。当初から比べて、先入観なしに受け入れてもらえるようになった実感がありますね」

KURKKU FIELDSをオープンした当初から、木更津市と共同で食肉処理場を運営。

地域の猟師さんたちと連携し、捕獲後、止め刺ししてから30分以内に運び込まれた個体のみ精肉にしている。

時間や処理の方法、加工していく製法など。さまざまな工夫することで、害獣駆除などのために仕留めた命を、臭みがなくおいしい状態でいただくことができる。

「『アナグマって食べたことない!』って、みんな驚きを持ってショーケースを眺めてくれるのがおもしろいんですよ。野菜も卵も、すぐそこで育てているものだから、誰がつくったのか顔がすぐに浮かぶ。自然と言葉になっていくんです」

「素材のこと、地域のこと、つくっている人のこと。話すことはいくらでもあるので、接客が好きな人にとってはおもしろい場所だと思いますよ」

シャルキュトリーで販売を担当しているとはいえ、仕事は接客だけではない。

テラスの掃除や草刈りは毎日のこと。

店頭に並ぶワインも、ソムリエの資格を持っている綾乃さんが選んでいる。

「扱う商品のバリエーションが増えたり、農業のチームからいっぱい採れすぎた野菜をどうするかって相談を受けているなかでおかずをつくることになったり。野菜の下処理や選別なんかもやっています」

「今年は少ないと思っていた梅がどんどん集まってきているから、ここではどう扱えるかなとか。今は袋が不足しているから、詰め方を変えるとか、量り売りにしようかとか。いつもそんなことを考えています」

野菜の苗を植えたり、牛の搾乳をしたり、パンを焼いたり。

毎日同じようで、毎日のように変わり続けるこの場所での仕事のなかで、来場者と関わる時間が多いのが宿泊チーム。

責任者として、今年の1月から働いている小笠原さんに話を聞かせてもらう。

「小さいころから植物や自然、動物がすごく好きで。高校のときには環境対策をしているNPOでボランティアをしていました。KURKKU FIELDSのことも開業前から知っていて。インターンとして数日間来て、土を掘っていたこともあります」

ここで働くことを想像したものの、まだまだ立ち上げフェーズだったこともあり、力不足だと感じたそう。

まちづくりに関心があったことからホテル業に就職。その後はECサイトの運営や事務、さらには植物を扱う仕事など、幅広い経験をしてきた。

「昨年デンマークに留学して、パーマカルチャーの授業を受けました。そこで、自然の移り変わっていく美しさに感動して。やっぱり気持ちがいい場所で仕事をしたいなって思うようになりました」

帰国後、日本仕事百貨が開催していたイベントに参加。

そこで偶然、KURKKU FIELDSのメンバーと再会した。

「正直、最初は働くつもりはなかったんです。でも話を聞くうちに、これ以上の場所はないんじゃないかって気持ちになってきて。宿泊施設の責任者として声をかけてもらって、今の自分にならできることがあるんじゃないかと思えたんです」

自然に近い距離に泊まる「TINY HOUSE VILLAGE」は、7月のリニューアルに向けて、着々と工事が進んでいるところ。

丘の上に佇む「cocoon」は、独立した7棟のヴィラが立ち並ぶ宿泊施設。

繭に包まれているような客室からは、KURKKU FIELDSで流れる時間を眺めることができる。

宿泊する人は、まずファームツアーに参加して、この場所の循環について学びながら、場内の畑で自分が食べる野菜を収穫する。

料理をしたい人はキッチンを使い自分でつくってもいいし、料理人の手によるコース料理として食べることもできる。

希望者は一緒に料理をすることもあって、昨日は家族連れのお子さんと一緒に、ストーブでカブとニンジンを煮込んだそう。

「ホテル業界では諦めてしまっていたことも、ここだったら優先できる。対応一つひとつ、言葉一つでも思いが宿るようにしたい。目の前の人に楽しんでもらうのが仕事なのは、すごく幸福なことだなと思うんです。この場所の宿泊はどんなものがいいのか、一緒に考えていきたいですね」

農業のこと、料理のこと、循環のこと。

畑に出たりファームツアーに参加したりしながら、KURKKU FIELDSについて学んでいる最中だと話す小笠原さん。

おすすめの場所を尋ねると、敷地の真ん中にある池、「マザーポンド」を紹介してくれた。

「大きな木が生えていて。周りの環境や自分の心がどうであろうと、ただそこに居させてくれる。ただそこにあって、毎日違う姿を見せてくれる。ここで風を感じるのが、すごく好きなんです」

「クリエイティブなことをしなくちゃって思うと焦るし、不安にもなります。だけど、ここで日々地道な仕事をしながら、お互いに思ったことを話す。そのなかで湧いてきたものを実現していけたらいいなって思っています」

この写真は、自然を撮るのが好きだという小笠原さんが送ってくれたもの。

さまざまな視点を持つ人が集まっているからこそ、お互いに力を出し合って、社会をつくっていく。

ここで、できることがあるかもしれない。

そう思ったら、まずはぜひ、木更津に足を運んでみてください。

(2026/5/25 取材 中嶋希実)

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