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営業から
営業サポートへパス!
繊維108年目のバトン

“ホテル泊”ってわくわくする。

旅行で泊まる、仕事で泊まる。ホテル泊のわくわくを演出する舞台装置の一つが、「ホテルリネン」と呼ばれるタオルやパジャマ、シーツ。

ごろんとシーツの海に寝ころぶと気持ちいい。真っ白なバスタオルに顔をうずめて落ち着く。洗いたてのパジャマに袖を通すと心地いい。

人の感覚にまっすぐ働きかけるタオルやパジャマやシーツ。

そのはじまりは、お客さんの“ふわり”とした要望です。

「お客さんのいう“いい感じ”や“気持ちいい”ってどんな手ざわりだろう?どんな形をしている?何色?」

営業から営業サポートへいくつものバトンを受け渡し、ふわりとした要望を「ホテルリネン」に仕立てる仕事があります。

営むのは、株式会社ヤギセイ。晒(さらし)の一大産地である大阪で、地域に根ざした産元問屋(さんもとどんや)としてはじまりました。

創業は1919年。それから100年にわたって、自社工場を持たないファブレスの製造卸として繊維業をしています。

今回はホテルリネン事業ではたらく、営業と営業サポートを募集します。

 

大阪の地下鉄堺筋本町駅から徒歩2分。オフィスビルの一室にヤギセイの本社はある。

迎えてくれたのは、4代目社長の岡本静香さん。社員のみんなからは「しづかさん」と呼ばれている。

「水が豊富な大阪では、江戸時代に綿花栽培が発展してきました。水はけのよい土地で農家が木綿を育て、家族経営の工場で木綿生地に織る。その生地を水で漂白した晒が、ヤギセイのルーツです」

浴衣、てぬぐい、おむつ、ふんどし、ふきん、ガーゼ。晒はかつて、日本の衣食住のありとあらゆる場面において、欠かせない必需品だった。

そんな晒産業は1970年代ごろから衰退。布おむつが紙おむつに、ふんどしがパンツに、てぬぐいがタオルにとって代わっていく。くわえて、1982年には2代目社長が急逝。

「35歳だった岡本司(つとむ)が、3代目社長に就任したんです」

会社としての転換期を支えたのは、長いお付き合いのあるお客さんだった。

「旅館用浴衣のご注文が少しずつ増えはじめていた時期に、『これからの日本は観光が成長する。その分野を繊維で支えるホテル用の浴衣を開発して販売してほしい』とお声がけいただいたんです」

リッツ・カールトンや帝国ホテル、星野リゾートといったハイクラスな宿泊施設向けのタオル、シーツ、パジャマを製造販売する事業は、あらたなヤギセイの柱として成長。

リネン部では営業職8人、生産管理職4人、営業サポート4人がはたらいている。

ヤギセイは、リネンサプライヤーと呼ばれる企業にタオルやパジャマを納める。リネンサプライヤーは、タオルやパジャマをホテルへ貸し出す。使用後に回収して、洗濯して、再びホテルへ貸し出す。

ホテルリネンに求められることは、大きく2つ。ホテルに宿泊する方の気持ちを満たす手ざわりや色などのデザイン。そして、何十回と洗濯乾燥を繰り返してもふわりとした手ざわりが続く品質だ。

 

リネン部の猿渡(さるわたり)さんは兵庫県出身。

高校時代からの服好きが高じて、東京の文化服装学院で学んだのちに関西へ。百貨店向けの営業職を経て、2016年にヤギセイへ転職した。

前職との一番の違いをたずねてみる。

「前職では完成品を販売していました。今はお客さまの要望を聞いて、提案しています。一枚の生地を見て、袖は長袖か七分か。襟(えり)ありか、襟なしか。ありならスタンド、バンド、オープン?というように」

「相談をいただいた時点では、お客さまの頭の中にパジャマの形はないので、カタログをお渡しして打ち合わせを重ねながらつくっていきます。1ヶ月ちょっとで仕上げることも、2年後のホテル開業に向けて内容をつめていくことも」

「営業=売りこむ」というイメージがあったので、猿渡さんの話は目からウロコ。ヤギセイの営業は「お客さまの話を聞く」ことからはじまり、自分たちにできることを提案していく。

「口が立つかどうかは重要じゃなくて。それよりもお客さまの要望を聞き出せること、柔軟に対応できること。そして、まずは声をかけてもらうこと」

そう話す猿渡さんは、インタビュー中の受け答えも柔らかくて丁寧な印象。それでいて、的を得た言葉を返してくれる。特別なスキルや工夫はなくて、もっとシンプルなことだ。

相談されたことをレスポンスよく返すとか、実現が難しくても「できません」とつっぱねるのではなく代替案を提示するとか。そういうやりとりを積み重ねるなかで「この人、信頼できるな」と相手から思われるようになる。そして声がかかる。

「前任者とともに引継ぎの挨拶をしたあと、一人でお客さまを訪ねたときのことは忘れられません。人を見て商売される方が多いから、まずは相手を知ろうとする。一向に仕事の話がはじまらないんですよ。世間話や雑談だったりする。かと思うと、最後の10分で商談がはじまるんです。『猿渡さんこういうのできる?』って」

 

10年にわたって関西・関東エリアを担当しているのが、中林さん。

2泊3日の関東出張から戻ったばかり。神奈川県での営業を終えて、この日は関西のお客さまとの電話応対が続いていた。

「出張は月に3回ほどあります。基本は自動車での移動になりますね。どういうルートでお客さまを訪ねるかは、自分で決めていきます」

新卒で入社して、3年目にリネン部へ異動。ホテルリネンにはなじみが薄かったけれど上司について仕事を覚えていった。ホテルリネンの仕事は11年目を迎える。

「長いお付き合いのお客さまが多いんですよ。お客さまは『どの商品を買うか』と同じくらい『誰から買うか』を大事にしている。仕事が人に紐づいているなと感じます」

取引は数億円規模から、月に一度発注をいただく先まで大小さまざま。大口のお客さまともなれば、毎日のように連絡をとりあうことも珍しくない。

担当が変わると売上げが落ちる、ということもあるそうで、中林さんが担当について間もないころ、あるお客さまとの取引が減ることがあった。だけど、ほかのお客さまとの取引は増えた。

「お客さまは、ヤギセイという会社以上に、ぼく自身を見てくれているのかな」

営業職は、扱うものによってやりがいも大きく変わる仕事。会社と会社の取引というよりは、個と個の関係を大事にして働きたい。そんなふうに関係性をつくるのが好きな人には楽しいと思う。

また、観光の動きを肌で感じる仕事でもある。

「以前、家族とテレビを見ていたら、関西で新しくオープンするホテルが特集されていたんです。そのなかで、ぼくがウェアを担当させていただいたホテルのスイートルームが紹介されていて。誇らしかったな」

パジャマ生地一つをとっても、ワッフル、ストライプ、ヘリンボンなど30種類以上から選ぶ。さらにえりの形、スリットの有無、ボタンの色などを考えていくと、可能性はますます広がる。

「肌ざわりよく」や「気持ちよく」といったお客さまの要望を営業が受け取り、そのバトンを手渡していく積み重ねが、リネンという形になる。

そんな営業職のみなさんが頼りにするのが、営業サポート。4人の小さなチームで、現在は全員が女性だという。



その一人が済木(さいき)さん。

大学で外国語を専攻したのち、ホテル業界へ。兵庫・大阪のホテルで10年働いてきた。

「わたしはもともと人を喜ばせるのがすきで。人に尽くせる究極の仕事として、ホテルが浮かびました」

現場での接客にはじまり、ブライダル、インバウンド向けのコンシェルジュなどの仕事も経験してきた。レストランの朝食準備で、5時台から勤務することも。体力的には大変な場面もありつつ、仕事にたしかな手応えを感じる日々。しかし、自身のライフステージも変化するなかで、生活リズムを整えやすい仕事を探すように。

そうしてヤギセイと出会った。取り扱うのは、ホテルに欠かせないリネン。名だたる高級ホテルへ納品していることへの誇りも感じた。

営業サポートという名の通り、営業の仕事の黒子として動くこともある。たとえば見積書や在庫表を作成してお客さんにメールする。メーカーに商品を発注する。

「でも、わたしはお客さんと直接やりとりすることも多いんです」

そういって見せてくれたのが、「Linentowa」のプロジェクト。民泊をはじめ、比較的小規模のお客さまへリネンを提供している。ECサイトも展開しており、小規模ホテルや民泊を運営している事業者や、ホテルステイが好きな個人もホテルクォリティの商品を購入できる。

済木さんはそのECサイトの管理も、在庫管理や発送も行っている。

「リネンサプライのお客さまだけでなく、ホテルや個人の方とも直接やりとりをするので、長く接客業に携わってきたわたしにとっては、とてもやりがいを感じ、楽しく働くことができています」

メールを中心にやりとり。開業案件も多いので、スピード感を持って対応すると喜ばれる。

ヤギセイに転職すると、中小企業でありながら、働きやすい職場だと感じた。

代表のしづかさんは率先して新しいこともどんどん取り入れている。AIを導入して、業務の効率化を進め、チーム全体でサポートできる体制を整えている。歴史ある会社が続いていくのは、変化し続けるからだ。

また育休復帰後に時短勤務となったメンバーが現れたことをきっかけに、営業と営業サポートがペアを組んで業務に臨む体制を見直した。チーム全体で営業サポートを行うことにより、仕事の平準化が進んだ。

また、グループリーダーの萩原さんは「ワークライフバランスの充実に取り組みつつ、みんなが仕事を通じて成長できるように」という思いの方。2025年度には思い切って、有給取得をして1週間の旅行に出かけてみた。こうして率先して行動していることも大きい。育児中のメンバーが子どもの急な体調不良にも配慮した環境が整いつつある。

安心して働けるから、仕事にも前向きに取り組んでいける。

「旅行をするときには、自分たちが商品を納めているホテルを選んで泊まることもあります。知らないホテルに泊まったときも、無意識に、リネンの種類や素材、タグを見たりする変な癖がついてしまいました(笑)。でも、それだけ仕事と自分がつながっているのだと思います」



ごろんとベッドに寝ころぶと気持ちいい。真っ白なバスタオルに顔をうずめると落ち着く。洗いたてのパジャマに袖を通すと心地いい。

人の心にダイレクトに働きかけるホテルリネンを、形にしている人たちがいます。

(2024/08/08 取材、2025/03/18更新、2026/07/07再編集、大越 元)

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