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奥大和で挑戦
心の声に正直に
自分の暮らしをつくっていく

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

家で過ごす時間が増え、自分の生き方についてあらためて考えたという人も多いと思います。

本当はずっと挑戦してみたいことがある。

心の片隅にあったそんな想いに正直になるなら、今がそのときなのかもしれません。

今回は奈良県宇陀市、「奥大和」と呼ばれる地域で挑戦する人を募集します。

サポート役として伴走してくれるのが、Next Commons Lab(以下、NCL)のみなさん。さまざまな活動を展開するなかで、とくに地域で起業を目指す人、通称「ラボメンバー」の支援に力を入れています。

2017年から始まり、今では東北から九州まで、全国10拠点に広がっているNCLの活動。奥大和のテーマは「食と農」です。「ビール」や「ジェラート」「馬のアクティビティ」など、地域資源を活かした10の起業プロジェクトが進行しています。

今回は新たに、奥大和で店舗開業をめざす「店舗型提案」、商品や製品などを開発する「プロダクト型提案」、自ら提案できる「自由提案」という3つのプロジェクトを担う人を募集します。

また、青森県弘前市、岩手県遠野市、福島県南相馬市でも、ラボメンバーを募集中です。

(新型コロナウィルスの感染拡大を受け、オンラインにて取材を行いました。なお、現地の写真は提供いただいたものを使用しています)

 

「こんにちは、はじめまして東(ひがし)です」

NCL奥大和の事務局メンバー、東さんが画面に登場すると、バーチャル背景に緑豊かな自然の風景が映っていた。

「これ、事務所の目の前の写真なんです。山のすぐ近くにオフィスがあって。宇陀市は、奈良県の北東部にある中山間地域なので、夏は涼しくて冬はかなり寒いんですよ」

この3年間でさまざまな活動をおこなってきたNCL。

その活動のうちの一つが、起業家の誘致や支援。全員がなんらかの「起業家」として、事業を通じて地域に経済循環を生み、地縁や血縁ではなく価値観でつながるような、新しい共同体づくりを目指している。

スタートして3年が経つ現在、拠点は全国10箇所に。その2拠点目として、2017年4月にスタートしたのが奥大和だった。

「NCL奥大和では『食と農』を起業プロジェクトの共通テーマにしています。この地域は、有機農業がさかん。それに、人口3万人ほどの小さいまちなので、飲食店が一つできるだけでも、まちの雰囲気が結構変わってくるんですよ」

「プロジェクトを始めて3年が経って、まちにジェラート店やビール店ができた。そうやって目に見える形になってやっと、地元の人たちが僕たちの活動を徐々に理解してくれるようになりましたね」

ラボメンバーと地元の人で商品のコラボ企画が始まるなど、少しずつ関係性が深まっているのを実感しているという。

事務局やラボメンバーの挑戦の輪を、今度は地域の人たちにも広げていくため、東さんたちは新たなプロジェクトもいくつか進めている。

たとえば、昨年は私設図書館を設立。

「知識や構想を得て新たな挑戦のきっかけにしてほしい」という想いから、食と農に特化した300冊ほどの本が集められている。

今後はフードイベントも積極的に開催して、新しいつながりが生まれる空間にしていきたいそう。

「今は、図書館の駐車場でマーケットを開きたいと考えていて。外部から講師を招きつつ、事務局やラボメンバー、地元の人を有志で募って、いろいろな人たちとともにマーケットをつくっていきたいと思っています」

「地元の人や移住者はもちろん、1日だけ奥大和で何か挑戦してみたい人とか。どんな立場の人も、気軽に自分のやりたいことにチャレンジできて、その輪がどんどん広がっていくような地域にしていきたいですね」

今回募集するラボメンバーも、自分のやりたいことにこの地で挑戦する存在。

事務局では、ラボメンバーに対してどんなサポートをしているんですか。

「移住にまつわるお手伝いや、事業の相談、必要に応じて専門家の紹介などをしています。NCLのネットワークは全国に広がっているので、ほかの地域にもっと詳しいコーディネーターやメンバーがいたら、その人に相談することもできますよ」

全国各地で、それぞれの地域資源を活かした70以上のプロジェクトを進行させているNCL。先行事例がたくさんあり、いつでも話を聞くことができるのは、ラボメンバーになる大きなメリットだと思う。

また、最大で3年間、月額17万円程度の支援金をもらいながら、挑戦を続けていくことができる。

さらに、空き店舗活用や地元発の商品開発は、宇陀市としても課題を持っていたところ。

行政も、補助金制度を整えたり、商品を特産品としてふるさと納税の返礼品に採用したりと、起業の後押しをしてくれている。

とはいえ、事務局や行政ができるのはあくまでもサポート。物件探しや資金調達にしても、「自分で切り開いていく力が大切」と東さんはいう。

「支援金があるからちょっと余裕をもって起業できる、くらいに思っていたほうがいい。3年かけて形にするんじゃなくて、1年目や2年目にはリリースして、支援金をもらいながらテストオープンしていくような。そんな意識でいてもらえたらと思います」

「起業に挑戦するハードルは高いと思うけれど、事務局ができる支援は最大限していきたいし、すでに行動しているメンバーの存在もかなり助けになると思う。自分が今夢中になっていること、ずっとやりたかったことに、ここで存分にチャレンジしてほしいですね」

 

ラボメンバーとして活動しているのは、どんな人たちなんだろう。

奥大和でジェラート屋さんをオープンした栢森(かやもり)さんにお話を聞いた。

「高校まで、奥大和の隣町に住んでいました。その後はずっと東京で暮らしていたんですが、帰省するたびに少しずつ衰退していく地元の姿が悲しくて。地元の活性化に関わることがしたい、という気持ちが強くありました」

「それに、自分の商品をつくってお金をもらい、自分の力で生きていけるようになりたいと心の片隅では思いつづけていて。ただ、会社を辞める勇気がなかなか出ず、長いあいだ行動できていないままだったんです」

そんなときにNCL奥大和の募集をたまたま知り、勇気を出して応募。そこから起業へ向けたチャレンジが始まった。

「最初はオーガニックのベビーフードづくりに挑戦していたんですが、工場との兼ね合いで中止になってしまって。何をつくるか、1から考え直しました」

「いろいろリサーチしていたときに、テレビで農家さんが自分たちの野菜をつかったジェラートをつくっているのを見て、これだ!と思ったんです」

地域でとれる野菜をメニューにいかせば、地元の農家の力にもなれる。そう感じた栢森さんは、ジェラート屋を開くことを決意。

技術を学ぶためにイタリアの学校へ通い、ジェラートに使う茶葉を決めるために、奈良のお茶の研究所にも足を運んだ。

オープンまでの道のりのなかで、一番大変だったのはお店づくりだったそう。

「思っていた以上に、考えることや用意するものがたくさんあって。物件を探して、お店のコンセプトやデザインを考えて、機材の調達をして…。それを全部自分で進めていくわけですから」

「特にデザイン面はまったくわからなかったので、事務局に相談してデザイナーさんを紹介してもらいました。不慣れな私のために、デザイナーさんとのやりとりの間には事務局のメンバーも入ってくれましたね」

初めて起業をするなかで、慣れないこともたくさん出てくる。すべて完璧にできる必要はないし、わからない部分は素直に事務局を頼っていい。

そして、2019年8月にお店がオープン。

奈良県だけでつくられている“やまとみどり”を使った「大和抹茶」や、地元のとうもろこしやトマトを使ったジェラートなど、季節にあわせて種類豊富なジェラートを提供している。

「地元の人に『このまちにジェラート屋さんができてうれしい』と言ってもらえたのが、とてもうれしかったですね。若い子がお店の前で写真を撮っていたりもして。最近では、農家さんから『うちの野菜使わない?』って声をかけてくれるようになったんですよ」

「まだまだ売上も伸ばしていかないといけないし、地元にももっと貢献したい。県外のお客さんがここを目指して奥大和に遊びにきてくれるような、そんなお店にしていきたいですね」

 

長く会社勤めをしたあと、新しく起業の道を歩みだしたラボメンバーもいれば、キャリアの一歩目にNCL奥大和を選んだラボメンバーもいる。

最後にお話を聞いた川原さんは、大学卒業のタイミングでNCL奥大和に加わった。

「着任して1年が経ちます。今は来年の春のオープンに向けて、築100年以上の古民家を改修したゲストハウスの準備を進めているところなんです」

宿泊業に携わるのはこれが初めてだという川原さん。どうして宿を始めようと思ったんですか。

「私はずっと、“自分と向き合う時間”を気軽に提供できる仕事がしたいと思っていました」

「心理カウンセラーの母親の影響で、小さい頃からカウンセリングを受けることがとても身近で。私にとってカウンセリングは、自分に素直になる時間。その時間が、心の健康につながっているなと感じていたんです」

しかし、病院へ行ってカウンセリングを受けることに抵抗のある人も多い。もっと気軽に自分と向き合う時間をもってもらうために、まず何ができるのか。

そう考えたときに「心の状態や想いと向き合って、自分を大切にする方法を見つけられる場所をつくりたい」と思ったんだそう。

「手編みをしている時間も、すごく自分と向き合う時間になっているなと感じていて。この宿では、糸の生成や草木染、編み物をはじめとした、手仕事の体験ができるワークショップを考えています」

支援金が使えるとはいえ、それだけですべて賄えるわけではない。クラウドファンディングやビジネスコンテストに応募して改修費用を集め、工事を進めている。

「移住してきたばかりのころは知り合いもいないし、人と話すときは営業など仕事の話がほとんどで。心を許せる相手がいないことが、かなりストレスでしたね」

「だから、ラボメンバーの存在に本当に救われたんです。月に一度、メンバー全員が集まるミーティングがあって。その場をきっかけに交流ができるので、個人的に連絡をとりあうメンバーもできました」

同じ道を歩んできた先輩たちだから、田舎暮らしの困りごとから起業のノウハウまで、いろいろと教えてくれる。

アドバイスをもらえるありがたさはもちろん、苦労や悩みを共有できる存在が身近にいるだけで、とても救いになるんだろうなあ。

「クラウドファンディングのときは、栢森さんとコラボして限定フレーバーのジェラートをつくりました。そんなふうに、仕事の面でもお互いに協力しながら、より地域の力になることを考えていけたらと思っています」

「自分らしい生き方というか、自分が実現したい未来を考えたときに、NCLで地域に移住する選択肢があった。この地域でしたいことや、自分の軸が何なのか。それにちゃんと向き合って自分の道を選べたことが、一番幸せだなって感じているんです」

 

自分の暮らしや生き方について、こうありたいという想いさえあれば、経験も年齢も関係ありません。いつからでも、挑戦を始めることはできます。

自分の人生を歩むためにチャレンジし続けている仲間たちが、奥大和で待っています。

(2020/6/25 オンライン取材、10/1再募集 鈴木花菜)

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