コラム

つくえ探訪 #2
好きか嫌いか、それだけ
石田 勇介さん

普段なかなか人に見せることのない、机とそのまわりを紐解くコラム「つくえ探訪」。第2回は、自分らしい空間をつくるための建材やパーツ、アイデアを提供している会社toolboxの石田勇介さんに聞きました。かっこいい机って、どうしてかっこいいんでしょう?

いま部屋の工事をしていて。壁とか天井も、自分でぺたぺたやってます。

外出自粛中にできればいいかなと思っていたんですけど、あと1、2ヶ月はかかるんじゃないかな。やってるうちにデザインが変わるんですよ。考えながらつくるからなかなか終わらない(笑)。

昔から自分で何かつくるのは好きでした。ずっとそうやって繰り返して、淘汰されてきたものだけが残ってる、みたいな感じはあります。

このデスクなんかもそうですね。

合板にキャンバスの生地を張って、気分に合わせて色変えてみたり、汚れたら塗り変えたりとか。けっこう使いやすいんですよ。もう15年ぐらい使ってるかもしれない。

昔は友だちが来たときに、キャンプ用のテーブルの脚だけ持ってきて、これを天板にして食事出したりとか。ちゃぶ台みたいな使い方をしてました。

基本は机の周りに好きなものしか置いてなくて。もともと映像制作会社にずっといたので、カメラとかの機材も好きなんです。Photoshopのようなソフトをいじるための機材もあります。

あとは真鍮とか、大谷石とか。素材のサンプルとしても置いてるんですけど、気がついたらディスプレイの台になってたりします。上に乗せる植物も、その日によって入れ替えて。

これはインゴ・マウラーっていうデザイナーの照明で。身の回りによくあるようなマテリアルを使ってつくられてるんです。もともとはデスクにクリップするタイプなんですが、少し離れたあたりからニョキっとさせたいなっていうことで、いらない古材を柱にして、ビスでひっかけて。

ちょっと高さが足りなかった隙間には、海で拾ってきたサンゴをはめて、これぴったりじゃん! みたいなことをやったりしてます。

「ぴったり」も好きなんですよ。こういう高さとか、この幅にぴったりじゃんとか。自分で手を動かしていると、そういう発見がおもしろかったりするんですよね。お、いいね〜みたいな。

いろんなものが並んでて雑多に見えますかね? でもぼく、ストライクゾーンはめっちゃ狭いと思いますよ。

よく空間やインテリアに対して、~系とか、〜調とか、言うじゃないですか。ぼくはそういう基準で選んでいないんです。軸は、好きか嫌いか。

統一されてる感覚って、たぶんつくられたもので。誰かがつくったテイストに当てはめて、統一されてる・されてないって判断するのは、じつは結構浅い状態なんですよね。個々の感性とかスタイルって、もっと深いところにあるものだと思うんで。

ストリートスナップとか見てても、自分の着こなしを持ってる人って、雰囲気があるじゃないですか。ぼく、服も好きなんですけど、こういう感覚ってファッションも空間も同じだと思っていて。同じものがあったとしても、配置とか間のとり方だけで、全然感じ方が変わってくるんですよね。

なんでしょう、洋服着てて、たまに靴下がはまらないときありません? そんな感じで、植物を何度も置き換えたり、段ボールから昔のもの引っ張り出してきたり。いろいろ試してる間が楽しいんです。あ、これはまったな、とかね。

(2020/5/18 オンライン取材 中川晃輔)

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▼石田さんの手がけたプロジェクト
マンション向けパッケージリノベーション”ASSY”

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