コラム

つくえ探訪 #01
思ったことを、さらさらと
岡本華歩さん

普段なかなか人に見せることのない、机とそのまわりを紐解くコラム「つくえ探訪」。第1回は、「書く」ことを楽しむ人のためのブランド「カキモリ」の広報担当を務める岡本華歩さんです。仕事でもプライベートでも、文具を愛用する人の机を訪ねました。

シェアハウスに住んでいます。一人ひとり個室があるんですが、ちょっと狭くて。寮みたいな感じです。転職前に引っ越してしまって、世の中がこんなふうになる前は、蔵前のお店まで1時間半かけて通っていました。今はこの部屋で仕事もしています。

わたしの机。引き出しのない、ただの板の机なんです。収納ができないので、紙やインクは必要なときに棚から持ってきて使います。

これは、何でも書くノート。あまり人に見せる内容じゃないんですけど。自分の思ったこととか、体調のこと、ズラーっと書くのが好きで。気づいたこととか、反省点とか。書くと次に進める感じがして、それが好きですね。ずっと考えてると、頭がいっぱいいっぱいになっちゃうので。外付けハードディスクみたいなイメージです。

リモートワークに切り替わってから、仕事のことはほとんどiPadにメモしてます。共有とか検索するのに便利ですし、修正もシュシュって、すぐできるので。

でも、想いとかを書き出すには、ちょっともどかしい。なんでしょうね。やっぱり手書きにはかなわないなっていう感覚があります。機能的には問題ないんですけど、書くときの微妙な時差とか、液晶の硬さとかを感じてしまうのかな。

やわらかい紙に万年筆で書くと、思ったことをそのまま落とし込める感じがして。ペン先のしなり、インクの滑らかさ。頭と言葉がゼロ距離に感じる、っていうのはあるかもしれません。

道具はいろいろ使い分けてます。気持ちよく書きたいときは万年筆だけど、ラフ画とかアイデアをバーっと書きたいときは、多少雑に扱っても大丈夫なフェルトペンが便利。ガラスペンはゆとりがあるときに使うイメージです。インクを直接つけて、書き終わったら水で都度洗うので、この色で楽しみたいなっていうときに使います。

インクを溶いた水もきれいなんですよね。

昔から絵も描いてたんですけど、文章を書くのが好きで。他人に見せるというよりも、自分の思ったことをひたすら書くのが好きでした。

文具好きが加速したのは、万年筆をちゃんと使いはじめてから。PILOTの万年筆に出会って、書く量がそれまでの倍になったんです。「こんなに書きやすいんだ、万年筆!」って驚きが、まずあって。書くことないけど使いたいから書くか、みたいなつもりで書いていたら、そのうち書きたいことが次々と思い浮かぶようになっていきました。

紙とインクの相性も大事なんですよ。わたしはこのMD用紙っていう紙が好きで。使っているタイプのノートはすごく薄くて、持ち運びもしやすいんです。これが2018年だから…だいたい2年間で、このぐらいの量は使っていますね。

リピートしたくなるというか、無駄がない。使い心地がいいから、気づいたらなくなっていて、もう一度使いたいってなる。思ったことを、ストレスなく形にさせてくれる文具はすごいなって思います。

(2020/5/1 オンライン取材 中川晃輔)

カキモリ Webサイト

おすすめの記事