コミュニティをつくるヒト3-3

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当時、24歳だった4人の若者が立ち上げたバックパッカーズジャパン。現在では、下町情緒溢れる古民家を改装した「toco.」と6階建てのビルを丸ごと使った「Nui.」という個性的な2つのゲストハウスを運営。バーラウンジを併設した独自のスタイルで、さまざまな人々が行き交う新たなコミュニティを生み出しています。その代表を務めるのが、今回お話を伺った本間貴裕さん。今回は立ち上げ当初からのメンバーでCIO情報責任者でもある石崎嵩人さんにもご参加いただき、心地よい風の吹く、開放的なNui.のラウンジにおじゃましてきました。

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ケンタ 2012年の2月に物件の契約をして、9月にオープンですよね。

本間 契約は3月ですね。3ヶ月で準備してその後3ヶ月で改装。

ケンタ その間もね、賃料はかかるわけですし。

本間 マジでボディーブローをジャブでくらうくらいの感じですよ。

ケンタ 自信はあるけど、手応えがない中で、9月にオープンして、僕が聞いている限りだと早い段階で稼働率がいい状況だったと思うんですけど。

石崎 いや、最初の数ヶ月間は赤字を打ってますね。

ケンタ でも数ヶ月で黒字に持っていってるわけですよね?

本間 そうですね。

――すごいですよね。

ケンタ ほんとに。僕がすごく印象的だったのは、東京の人も泊まりに来ることがあったり、飲みに来てるでしょ? すごいなーと思います。

本間 もともと、外国人を元気にしたいわけじゃなくて、「日本人元気にしようぜ」っていうのが目的の一つにあって。外国人を起爆剤に「Yeah! Hello!」っていう雰囲気で、日本人でも特に若い人らに「すげーおもしろいじゃん!」ってなってほしいというのがあって。それはすごい大事ですね。

ケンタ そうですよね。なんかここに来ると楽しそうな予感がするというか。

本間 お客さんに助けられてるのはすごく大きいですね。

ケンタ コミュニティができているようにも感じます。

本間 でも僕らとしては、あんまりコミュニティはつくりたくないかも。開いていきたいので。

ケンタ あー、排他的じゃなくて。

本間 そうそう。いろんな人が通過していくようなイメージが一番いいんです。常連さんがバァーっていて、「俺らはバックパッカーズファミリーだぜ」じゃなくて。「文化を通過していく」っていうと大げさですけど、入って何かを感じて出ていく。それで、その感じるものが強ければ嬉しいなっていう。

ケンタ なるほどね。でも結果として、常連さんもいるんですよね、ここに泊まりに来る人も、近所のおじさんが飲みに来るみたいなこともあるでしょうし。

本間 それはすごいありがたいし、その人達が僕らの本当につくりたいものを伝えてくれてたりするのはありますね。

――今後はどういった展開をしていく予定なんですか?

本間 わかんないです。わかんないんですよね。ただ、現状維持はありえないので、プランは4つぐらい同時で進めてはいるんですけど。昔からそうなんだけどこういう風にしたいっていうのが、あんまり見えないタイプというか。

ケンタ ゴールがない、というかね。やってる限りが楽しいというか。

本間  はい。むしろそう。そのスタイルというか、姿勢を守っていきたいなというのはあります。慣れてダラダラになってっていうのは間違いなく嫌なので、しっかり「継続」にも力を入れつつ、何か変化をそこに持ってくるっていうのは続けていきたいっていうのはありますけど。それが、フェスっていう形になるのか、キャンプ場って形になるのか。日本で展開するのか、世界で展開するのか。そういうのをまったく捨てて、クオリティだけを深めていくような選択をとるのか。または、メンバーみんながバラバラに違うことをし出すのか。まだ全然固まっていないので。いまのところは、もうちょっと増やします。

――それは日本で?

本間 うーん。そこも含めて、増やすけどその先に何を見るかっていうのはちょっとわからないかな。ただ僕自身が強く思ってるのは、「変化」っていうのがすごくキーワード。

――変化というのは?

本間 変わっていくじゃないですか。いろんなものが。せっかく変わっていくんだったら、その波の先の方で景色を見ていたいっていうのはありますね。「自分で変化をつくる」って言うと大げさなんですけど、時代の流れの変化の先頭に立って、景色を見ていたいっていうのが常にあるんです。

ケンタ たとえば、そのプロジェクトがお金儲けにつながるとしても、既存であるものをそのまま真似するようにやってもつまらん、と。

本間 それはそれでいいんですけど。それでお金を稼ぐのもありだし、自分がそれでやってスタッフが楽しいんだったらそれでもいいんですけど、自分がコアとしてやっていくものは、そうことではなくて、インパクトだったり、変化の先頭であったりが重要ですね。

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Nui.店内のバーの様子

ケンタ なるほどなー。僕が「リトルトーキョー」をやるのも、似ているかもしれない。シェアオフィス的なものをつくることもできたんですけど、それではつまんない。街にして、自分たちで自治しながら、いろんなことをやっていったら、面白いなぁと思って。将来的には、その街をもっと増やしていきたい。そこにゲストハウスとかあっても面白いかもしれないし、住めたりするのも楽しいなぁと思ったり。ワンブロックぐらい借り占めたい(笑)。

本間 面白いと思う!

ケンタ それともうひとつ面白いと思うのは、最初に「場づくりはそこに愛を持った人が大切だ」って本間くんも言ってたけど、こういう場をつくる人が、不動産やディベロッパーでもなく建築家でもない、場づくりで言うと「素人のヒト」が、圧倒的なものをつくっているのが、僕はすごく面白いと思うんだよね。こういうのって、今後増えていくと思うんですよ。こういうモノというよりもノリというか。

本間 それは感じるよね。みんな「できる!」と思いはじめてきてるというか。そういう流れは面白いですよね。業界を超えるというか、業界に縛られない動きみたいなのは。

ケンタ ゲストハウス業界にずっといると、もしかしたらゲストハウスっていう枠を超えられないかもしれないですけど、次何やろうかっていうのは、なんでもありだからね。

本間 僕らの理念は「あらゆる境界線を越えて、あらゆる人々が集える場所を」なんですけど、その職業観でも、そういうボーダーをなくしていくスタイルっていうのは面白い。

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石崎 小回り利く方が強いよね。

本間 強い強い。

石崎 大企業ばかりが時代をつくる時代じゃないんだなって。

ケンタ 本当にそう思う。

本間 逆説的だけど、いまの時代を生きてる大企業は小回りが利くよね。要は、それぞれが強い意志を持った個人の集合体っていうのが強い企業になっていってるから。

ケンタ 確かになぁ。たとえば、仕事に対してオンオフがある人もいれば、仕事だから割り切るっていう人もいるけど、割り切らないじゃないですか。もちろん休んでるときは休んでると思うけど。本間くんでいえば、プライベートで海外旅行に行っても、すごいゲストハウスを発見したら、すぐに仕事モードになりますよね?

本間 なりますね。

ケンタ そういう感覚ってオンオフがない働き方なんじゃないかなーと思うんです。ここで働いているスタッフも、プライベートなのか仕事なのかみたいな瞬間があるんじゃないかな。

本間 それはけっこうそうですね。スタッフもよく飲んでるし。

ケンタ 時間軸で言っても未来にとらわれているわけでもなく、さっき言った「未来が見えない」もそういうことだと思うし。いまを中心に連続性を持って生きている感じがするし、ボーダレスな感じもする。

本間 積み上げていくイメージよりか、芯をシャープにしていくようなイメージがありますね。はっきりさせていく。自分の言葉を使えるようになるであったり。時間を重ねていく中で、こう来たときにはこう避けるっていうのができるようになっていく感覚を磨いていきたい。あのときの経験則でっていうような積み上げ方ではなくて、自分の感覚として。これは好きで、これは嫌いで。これは俺らっぽいし、これは俺らっぽくないねっていうのをわかって進んでいけば、そうそう大きくずれないんじゃないかなと。

石崎 きっといろいろやって探していったら、だんだん狭まっていくと思うんですよ。より自由に。そういう風になっていくと思うんです、道筋って。

ケンタ ゲストハウスに泊まるバックパッカーだと、自分探し的な旅になっちゃいがちかもしれないけど、自分の中にあるものはあるし、その輪郭をはっきりさせることでしかないんでしょうね。

本間 それも人それぞれでやってもやらなくてもいいんでしょうけど、僕は、会社というよりも個人的に、自分にとってその作業が大切なので。

ケンタ わかる! 僕もそうだな。

――今後の展開もとても楽しみにしています! 今日はお忙しい中ありがとうございました。

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