ゐ処をひらく
2023/2/6
2月6日 月曜日
この間降った大雪は、集落や道、遠くの山もしばし真っ白にした。
玄関の足元には隙間風で雪が吹きつけ、見るからに寒い。そんな日のストーブで精一杯暖められた空間は、一層落ち着く場になっていた。

ゐ処に居ると、ふうと呼吸がたやすいように感じる。それはきっと、古民家そのものに大らかさがあるからなんだと思う。
呼吸なんて、常に繰り返していることだから大袈裟な話の様だけれど、きっと要になっている。
思い返せば、これまでにも幾度と足を運んだり、長いこと居られた場所というのは、気を張らずに済む場所だった。
そう当てはまる幾つかの一つに、地元の銭湯がある。

東京の練馬に、貫井浴場という銭湯がある。その銭湯の素敵なところは、風呂上がりに利用できる食堂が併設されていること。
食堂で頼むものといったらいつもお決まりで、ラーメンにポテト、それと生ビール。番台で会計をして札をもらい、それを食堂に居るじいちゃんに渡すとつくってくれる。
じいちゃんは、オーダーが入っていない時には客席よりもハイグレードな椅子に座っていて、気の緩んだ良い顔をしながらTVを観ている。
そんな様子を見ながら飲む生ビールには、何故だかいつもほっとさせられた。

もうちょっとゐ処もそんな場に近づきたいけれど、自分自身が銭湯のじいちゃんの様にはなかなかなれずにいる。
まずあれこれと考えてしまっていることがもういかんのだけれど、何処かうかつで、抜け目のある地元の銭湯のような場にずっと憧れている。
『ゐ処をひらく』は、日本仕事百貨のメールマガジンで紹介してきた『山のサハラさん』シリーズの続編。全国を旅するように働いてきた店主の佐原さんが、滋賀・永源寺で開業した飯屋『ゐ処』の日常を綴った日記です。