屋根の上のサハラさん
2020/12/7

12月7日 月曜日

元気にやっています。

京都は美山に来て、茅葺き職人さんのアシスタントとして働きはじめてから、早3週間が経ちました。

素人のわたしがやらせてもらえる仕事は、茅や道具を運んだり、掃除くらいかと想像していたけれど、それ以上に様々なことをやらせてもらえて面白い。

職人さんから新しい作業を教えてもらっては、はりきって取りかかります。

茅葺きは使う道具自体が重たいものも多く、それらを持って屋根の上へ下へと移動しながらの作業。こんなにも一日身体をめいっぱい使うことなんて、遊ぶことに一生懸命だった小学生ぶりかもしれない。

毎日、仕事を終えるとお腹がへって仕方がありません。おいしくごはんを食べられることが、何よりしあわせに思う。

仕事の合間、お茶の時間。職人さんがこんな話をしてくれました。

「手に職をつけるということは、自由になることなんや。しっかり根っこの部分を育てれば、まったく新しいことにも枝葉を広げることができる。たとえ失敗して枝が折れたって、根っこがあれば大丈夫。安心して冒険ができるんやで」

就活を控えていた、まだ学生の頃のわたしには、働くことは仕事に縛られて不自由になることなんじゃないかと感じていたことを思い出す。

それを職人さんに言ったら、

「勘違いしている人が多い、その逆や。けどな、一人前になるまでは、最低でも5~6年は自我を無くして先輩らから技を吸収せなあかんで」

職人さんから見たわたしは、まだまだ根っこを育てている途中だといいます。

根っこかあ…わたしも自由になりたい。

美山での仕事と暮らしは、大晦日までつづきます。

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「屋根の上のサハラさん」は、日本仕事百貨のメールマガジンから生まれたコンテンツ。全国を旅するように働く佐原真理子さんが綴る日記です。