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人と和、まちと輪、社会の環

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

都心へ通勤するお父さん。学校に行くのを毎日たのしみにしている子どもたち。ゆっくり趣味をたのしむおばあちゃん。そろそろ仕事に復帰したいな、と迷っているお母さん。

並ぶ住宅群からはなかなか想像しにくいけれど、まちにはたくさんの家族、そして1人1人の暮らしが集まっています。

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HITOTOWAは「都市の社会課題の解決」に取り組む会社。

首都圏・関西にてCSR・CSVコンサルティングとネイバーフットデザイン、そしてソーシャルフットボールという3つの事業を軸に展開しています。

防災減災、子育て支援、介護予防、高齢者の見守り、環境負荷削減など、生活する中で出てくるたくさんの課題に取り組んでいく仕事です。

いい社会はつくれる。そのために走り回っている人たちに出会いました。

  
東京・池袋から電車で15分。窓の外には、どこまでも続く住宅街。「東京の郊外」の風景が広がっている。

HITOTOWAのオフィスは前回の取材でお邪魔したコワーキングスペースから、駒場東大前へ移転中。そこで、今回はプロジェクトを進めているというひばりヶ丘を訪れた。

乗り継いだバスを降りると、集合住宅の団地が目に入る。その横には色彩が統一された戸建て住宅が並んでいる。

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その中にふと現れたのが「ひばりテラス118」。カフェやコワーキングスペースが併設され、コミュニティスペースと呼ばれる場所ではさまざまなイベントが企画されている。

2階では、仲良しママのグループが集まってお昼を食べている。子どもの賑やかな声がひびく中、迎えてくれたのは谷さんと、代表の荒さん。

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前回の取材ではネイバーフットデザインの事業としてマンションを中心にしたコミュニティづくりをしている話を聞いたけれど、このひばりが丘は規模が大きい。

ここは50年ほど前、人口増加にあわせて大規模な団地がつくられた。当時でいう最先端なセレブ層が住んでいたが、時間の経過とともに建物の老朽化が進んだ。20年ほど前から建て替えの計画がはじまっていて、HITOTOWAは2013年から関わることになった。

「旧住民と新住民が交じり合うことになります。そのコミュニティを再生、活性化をするために声をかけてもらいました。ディベロッパーはハード面での建て替えと再生はできるけれども、ソフト面を住民の方々と二人三脚でやっていくっていうことは私たちの方が得意なので、そこを担当しています」

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ディベロッパーや行政の人、住民。それぞれ同じ方向を向いているようで、実は違うことを考えていることも少なくない。違いを明確にして、議論をできる場をつくっていく。

「コミュニティって言っても人が想像するものはさまざまだし、ただ意味もなく人がつながっていくことにはあまり価値がないと思っているんです」

「子育て支援や防災、自然を大切にしようとか、ゴール設定をしていきます。なんのためにやるのか明確にしないと、結果として一過性のもので終わってしまうんです」

テーマを設定した後には、課題解決のためにイベントやワークショップを開催したり、まちの情報発信や施設の運営を行っている。

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今、HITOTOWAではひばりが丘のほかに、兵庫県の浜甲子園団地でも大規模な宅地の再生に関わっている。それを担当しているのが谷さんだ。

谷COLO 司会

谷さんがHITOTOWAで働きはじめたのは昨年の10月から。すでに7つものプロジェクトを担当し、現場を行ったり来たりする日々を送っている。

学生のころはアナウンサーを目指していたんだそう。

「アナウンサーとして働くにはいろいろな経験が必要だと思って、最初はリクルートに就職しました。そこで働きながら、防災ラジオという存在を知ったんです」

防災ラジオとは、災害時にはその地域限定の情報を流すことになる地域のコミュニティFMのこと。

「普段の生活が災害や事故でばさっと切られる、昨日まであんなに笑っていたあの子がいなくなってしまう。備えられるなら備えておきたい、という気持ちが強かったんです」

東京の葛飾区にあるコミュニティFMに関わり、番組を任されるようになった。パーソナリティーとして、地域で起きたこと、防災の情報などを伝えていく仕事がはじまった。

「けれど、そもそもコミュニティが崩壊している面もあって。20年以上町会長が変わっていなくて、若い自治会員もいない。これじゃ災害が起きたときに助け合えないと思いました。ラジオでしゃべってる場合じゃない、もっと仕組みのところからまちをつくらなくちゃいけないと思っていたとき、HITOTOWAで採用をしていると聞いて、これだ!って」

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「私プライベートでは、コミュニティでわいわいするとかそれほど得意じゃないんです。だから、めんどうくさいっていう人の気持ちもわかります」

近所にどんな人が住んでいるか知らなくても生活はできるかもしれない。

知っている人が増えると、しがらみに巻き込まれるような気もしてしまう。

「でもコミュニティの大切さは知っています。災害のときとか、子育てを1人でしているときに誰かが助けてくれたら、どれだけ助かるだろうって」

阪神淡路大震災が起こり、当時関西に住んでいた谷さん一家も被災。マンションのドアが開かずに出られなくなってしまった。混乱しつつベランダから顔をだすと、知っている顔が見えた。

「ものすごくほっとしたんです。薄くてもいいから、つながりは必要だなって」

「コミュニティと言うと密度の濃いものを想像するかもしれないけれど、人によって関わり方の濃さは違っていいと思うんですよ」

たまたま同じ場所に住むことになった人たちかもしれない。けれど、同じ場所に暮らしているからこそ、共に助け合えることがある。

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プロジェクトは、まず住んでいる人の話を聞くところからはじまる。

浜甲子園では、まさに今「聞く」というフェーズの真っ最中。

「声の大きな人の話もありがたいのですが、どちらかというとサイレントマジョリティの声を引き出すことも大切にしています。実際にこのまちが今どういう状況なのか、きっちり言語化していくんです」

すると谷さんは印象的な共働きのママに出会うことになった。

「顔はいきいきしてるんですけど、まずは子どもが第一。ご自身の身なりは後回しという様子でなんだか大変そう、というのが第一印象でした」

そのママの1日のスケジュールを聞いてびっくりした。

朝は4時から7時の間にパートに出る。帰ってきたら3人の子どもを起こし、お弁当をつくって小学校や幼稚園に送り出す。家事を終えた2時には幼稚園のお迎えに行き、小学生を習い事に送り迎えする。夕食や寝る準備を済ませると1日が終わる。

「けっこう衝撃を受けました。でも子どものために必死なんです。そういうママが実はたくさんいるんですよね」

この話を聞いて、そんなママがもう少し安心して暮らせる仕組みができないだろうか、と考えているところだという。

たとえばコミュニティスペースを使って、子ども向けの食事を提供できるような食堂をつくる。ママがいそがしくてつくれないときはそこで食べてもらったり、いつもは1人で食事をしているシニアの方が食事をしながら、ママの話を聞いてくれる。

こんなふうに、住民に聞くことからテーマの設定、具体的な課題の解決策の提案、実施までを行うのが仕事になる。

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一方でHITOTOWAのクライアントは住宅のディベロッパーであることが多い。住民から聞いた話をまとめ、提案をしながら進めていく。

今後は首都圏でも関西でもこの役割を担える人にも仲間になってもらいたい。

谷さんも試行錯誤をしているそうで、住民のみなさんと話をするのとは、また違う顔が必要になるような気がします。

「私、提案用の資料をつくるのが正直苦手なんです。でも話を聞かせてもらった団地の人の顔が浮かぶんですよね。わたしもがんばらなくちゃって。その人たちにありがとうって言われると、なんでもやりますよ!って。そして育ててくれた葛飾に恩返しがしたいんです」

まちにどんどん好きな人が増えていく。たのしそうだけれど、想う人が増えていくのは少し大変な気もする。

ひばりが丘でのプロジェクトはすでに3年目。子育て、高齢者の生きがいの創出、災害時に助け合えること、の3つを中心のテーマにしてプロジェクトが進んでいる。

人が集えるイベントを開催したり、まちのことを知る広報誌をつくったり、日々の施設の運営をしたり。この場所にHITOTOWAのスタッフが2名常駐し、まちの中からアルバイト、ボランティアを募って運営をしているそうだ。

「いろいろな声が入ってくるし、やろうと思えばいくらでもやることはあります。でも僕らがやりすぎてもいけない。バランスが難しいんです」

やりすぎてはいけない?

「ずっとここに常駐するわけではないんです。仕事としては、あと4年もすればいなくなる。僕らが全部やってしまうと、このまちにはなにも残らないんです。まちのことを一緒に考えて、一緒に悩む人が増えていくのが大事かなって」

「なにか1ついい取り組みをして課題を解決しても、次の課題が当たり前に出てきます。人がつながることによって、また新しい課題が生まれることもある。そのとき、住民が話し合ってみんなで解決していく風土が、まちの力としては本物だと思うんです」

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HITOTOWAの社員は現在3名。今年から来年にかけて倍増する計画だ。ほかにも業務委託やインターンという形式で、20人ほどの人がプロジェクトに関わっている。

荒さんは1つ1つをよく考えながら進めるタイプ。

一方で谷さんは「直球勝負」をするタイプのようです。

「いい関係とは言えない2人のキーパーソンがいて。私はその2人を合わせる場を無邪気に設定したんです。そしたら荒さんにすごく反対されて」

「さすがにもうちょっと慎重に進めたほうがいいんじゃないかって。でも結果、大成功だったんですよ。僕のやり方だけではなくて、ほかのスタッフが関わることによって、異なるやり方を学べるのはとても楽しい。たくさんのメソッドが蓄積されてきています」

プロジェクトを行う場所が多岐に渡ってきた中で、今は首都圏・関西にて社員としてじっくり関わる人を増やしていきたいと考えているところ。

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「荒さんはけっこう厳しいんです。静かで目つきも鋭い。でも意外と暗くないんですよ(笑)」

「性格が明るくて素直なのは採用基準ですね。それと合理的な考え方や論理的思考力も、まちにいる多様な関係者と渡り合うには必要です」

荒さんが話す冗談と、明るい谷さんの会話。2人の話を聞いているだけで、会社のいい雰囲気が伝わってくる。

  
最後に谷さんが話していたことがとても印象的だった。

「よい言い方をすれば困りごとを共助によって解決していく仕組みづくり。でもよくない言い方をすると、みなさんの生活をかき回すところもあるのかも。中途半端な気持ちではできないですよ」

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ひばりが丘再開発地区の中を歩きながら帰る。この1戸1戸に人の生活があると思うと、なんだか目が回りそうになる。

けれどこれから家族の形がますます小さくなり、高齢化が進むとき、共助のできる関係があるまちは必要になってくると思います。

より多くの人が健やかに暮らせるように。そんな社会をつくっていく仕事です。

(2016/3/18 中嶋希実)

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