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集うクリエイティブ

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

ロフトワークの仕事を一言で説明するのはむずかしい。

依頼を受けてWebサイトの制作をしているものの、社内にデザイナーがいるわけではない。自社開催のイベントタイトルには「イノベーション」や「ハッカソン」など、聞きなれない言葉が並んでいる。最近は林業や農業にも関わっているみたい。

なによりロフトワークのプロジェクトには、誰が社員なのかわからないくらい、いろいろな人が参加している。

どのプロジェクトにも共通していることは、きっとそこに集まったコミュニティの可能性を信じていることなんだと思う。

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株式会社ロフトワークは「クリエイティブの流通」をミッションに掲げスタートした会社です。

100名の社員の半数がディレクター。クライアントや外部のデザイナー、クリエイターとともにプロジェクトチームをつくり、目的に沿ったクリエイティブソリューションをデザインしています。

ここで新たにディレクターとして働く人を募集しています。経験は問いません。

わくわくするようなプロジェクトを生み出す裏には、論理的な思考とディレクターの試行錯誤する姿がありました。

  
ロフトワークのオフィスがあるのは東京と京都、そして台湾。今回は渋谷・道玄坂を上がったところにある東京オフィスに向かいます。

ビルの2階にあるコワーキングスペースで、代表の諏訪さんにお会いした。

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共同創業者である林千晶さんとの出会いから話をしてくれた。

「大学を卒業したあと、ラジオ制作に関わっていました。そのころに、おもしろい人がいるからと紹介してもらったのが林千晶です。当時彼女はマーケティングをやっていて、僕はどちらかというとデザインの人間で。一緒に飲んでは喧嘩をするような仲でしたね」

「2人とも同じタイミングで留学をして、僕はニューヨークでアートを学びました。半年後にデザイナーとして働きはじめたんですけど、ツテを頼って営業することに不便さを感じるようになって」

独立した当時は、オークションサイトeBayやAmazonなどが広がりを見せ、インターネットを介していろいろなものが流通しはじめたころ。

クリエイティブもプラットフォームができれば、インターネットを通して流通するんじゃないか。そう考えた諏訪さんが林さんを誘い、2000年に立ち上げたのが、「loftwork.com」

クリエイターがポートフォリオをサイト上で公開し、デザインやイラスト制作などを頼みたい企業などが、クリエイターと出会うことのできるプラットフォームづくりをスタートした。

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今では2万5000人ものクリエイターが登録をするサービスになったけれど、思うように進まない時期もあったそうだ。

「最初はオンラインだけで解決するモデルを考えていました。でもやりとりは発生するものの、どうもうまく進まない。僕らが仲裁に入って労力をかけないといけないことが多かったんです」

そこからはじまったのが、プロジェクトマネジメントの導入。

企業が求めていることは何なのか、クリエイターが制作をする際にどんなことを意図しているのか。ディレクターとして両者の間に入り、プロジェクトがスムーズに進むようにサポートをする。

ロフトワークに依頼をすれば、最適なクリエイターのチームをつくって制作をしてくれる。その信頼は紙やWebのデザインを越えて、さまざまな領域に広がってきた。

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日本の地域にある技術を海外に伝える「MORE THAN プロジェクト」や飛騨古川で立ち上げた森林再生のプロジェクト。渋谷の街の未来を考えるスペース「100BANCH」の立ち上げ。

単に企業からオーダーを受けてからなにかをつくるのではなく、スタートは課題の相談を受ける。プロジェクトの前提から、一緒に考えることが増えてきた。

必要に応じてクリエイターだけでなく、建築家や学者など、さまざまな分野の人たちとチームをつくることも少なくない。

3Dプリンターやレーザーカッターを利用できるFabCafeではものづくりに関心のある人たちのコミュニティも生まれて、さまざまなチームを組むことができるようになった。

「いろいろなデザインファーム、クリエイティブエージェンシーが存在していると思います。でもここまでコミュニティ・オリエンテッドな会社は、そうはないんじゃないかな」

「1人の才能あるデザイナーの能力に依存することから、複数の人間が寄り集まって作業するプロセスのなかで、アウトプットをつくっていく有効性へ。オープンイノベーションを取り入れようとする日本企業は増えてきていますね」

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手掛ける領域は幅広くなってきたけれど、本質的にやっていることは変わらない。

「相変わらずデザイナーは社内に1人もいなくて、クリエイティビティを提供するタレントは外にいる」

「僕らはさまざまな手法、フレームワークを身につけて、チームで生み出すクリエイティブをデザインをしているんです。ロフトワークは、プラットフォームであり、その時々にあわせて戦略的なコミュニティを提供する組織です」

  
誰を巻き込んで、どう進めていくのかはそれぞれのディレクターに委ねられている。

紹介してもらったのは、3年前に日本仕事百貨で記事を読んでロフトワークに入社したディレクターの2人。

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関口智子さんは、前職では営業事務として働いていた。専門学校でグラフィックデザインを学んだあと、ロフトワークに入社した。

「もう時効だと思うんですけど…実は私、1年目で辞めたいって言ったんです」

何があったんですか?

「私にはプロジェクトマネジメントの経験もなければ、Web制作の知識もない。社会人経験はあるのに、ここではメールもうまく打てなくて。周りにはすごいプロジェクトを動かしている先輩もいる。自分がそこにたどり着ける気がしなかったんです」

Webサイトの制作をするときには、クライアントの窓口から、ライターやカメラマン、デザイナーやシステムエンジニアなどと連絡をとったり、タスクやスケジュールの管理もする。

それぞれがパフォーマンスを発揮するには、どのタイミングで、どんな連絡をするのか。どんな伝えかたをするとプロジェクトはいいかたちで進んでいくのかを考えていく必要がある。

「すごく細かいことに聞こえるかもしれませんが、関わる人たちとのコミュニケーションを設計することが、ディレクターとしてとても大切なことなんです。お願いするのではなくて一緒につくる。そうすることで、自分でも責任を持てるようになった感覚があります」

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大変なことが多かったようですが、続けてこられたのはどうしてなんでしょう。

「『コミュニケーションが丁寧だね』と言ってくれる先輩がいて。自分ではそんなつもりがなかったから、うれしかったですね。今はようやく、自分の仕事の方向性が見えてきて」

「プロジェクトを通じて沢山の方に出会い、密なやり取りをするなかで、最近は人の温度を感じる仕事をしたいと思うようになりました。エディトリアルに関わる仕事で声をかけてもらうことも増えて、さまざまな人とお仕事させていただいています」

ロフトワークのディレクターには、それぞれに特技を仕事にしながら、専門分野を開拓していく人が多い。

最初から得意なことがある人もいるけれど、関口さんのようにたくさんの仕事をがむしゃらに進めていくうちに、自分の方向性が定まっていく人も少なくない。

今、関口さんがロフトワークで担当している仕事の1つが、岡村製作所のWebメディア「WORK MILL」の運営。取材をして、いろいろな人の働き方を紹介しているメディアを、クライアントとチームを組んでつくっている。

「相手のことを調べたり、聞いた話をまとめているうちに、その人のことが大好きになるんです。プライベートでも友人の相談を聞いているうちに、プロジェクトを手伝うことになっていたりして。ついつい、おせっかいをしちゃうんですよね」

関口さんは最近、仕事で身につけたプロジェクトの進め方を活かして、友人のミュージシャンのPRを手伝っているそう。仕事もプライベートも、境目のない生活が心地よいと話してくれた。

  
相手の情熱に共感して同じ目線で考えていく関口さんとは対象的に、北尾さんは俯瞰して冷静に業務を進めるタイプ。

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前職ではメーカーで新聞広告のディレクションを担当していた。淡々と仕事の話をするけれど、同じように、なやむ時期があった。

「正直、最初の2年くらいは失敗ばかりでした。いろいろなディレクターがいるなかで、僕の発想は平凡だと思っていて。自分にできることを考えたとき、“失敗すること”なんだと思ってから、方向性が見えてきました」

  
「1人で正解を出すんじゃなくて、一緒に考えて失敗しながら進めていく。僕もクライアントも想像していなかった方向にプロジェクトが進んで違う世界が見えたとき、成功やなって思うようになりました」

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「クリエイティブって言うくらいだから、最初は感性が必要だと思うかもしれません。実際にはとても論理的に考えることが多いです。原因と結果、本質を追求することが求められます」

見かけのいいものをつくったり、楽しくプロジェクトが進めばいいというわけではない。誰がどう見ても、納得できるものをつくる。

そのために、これまでに社内で蓄積されたフレームワークや手法を参考にしながら、プロジェクトを進めていくことになる。

常に「どうして?」を考えながら、プロジェクトが設計されていくそうだ。

「ロフトワークでやっている仕事はすべて一緒です」

すべて、ですか?

「そうです。Webでも空間設計であっても、ブランディングでも『プロジェクトマネジメント計画書』をつくって、フレームワークに沿って進める。アウトプットにいたるルートが違うだけで、やっていることは全部プロジェクトマネジメントなんです」

これまでに蓄積されてきた技術を使って、自分らしい進め方を見つける。

実際に手を動かすのはクリエイターかもしれないけれど、中心に誰がいるかで、チームの雰囲気やプロジェクトの進み方は大きく変わっていくと思う。

チームをどうつくっていくのかが、プロジェクトマネージャーの腕の見せどころ。さまざまな人を巻き込みながら仕事をしていくスキルを活かして、自分でプロジェクトを立ち上げたり、独立していく人も少なくないそうだ。

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諏訪さんはディレクターの仕事を「頂上につくまできれいな風景が見えない、山登りのようなもの」と話していました。

アウトプットを見ていると、ロフトワークの仕事はどれも楽しそうに見える。けれどその裏では、日々、試行錯誤が繰り広げられています。

先頭を切って進んでいくような人もいれば、周りの人と地図を見ながら、迷いながら頂上を目指してもいい。自分なりの方法で旗を振り、チームの仲間たちと山を登っていくディレクターの姿は、とても健やかに見えました。

(2017/10/17 中嶋希実)

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