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清掃リブランディング

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「日常には、考え方を変えたらもっと楽しくなるんじゃないかな、というものがたくさんあると思います。清掃という仕事もその一つ。僕たちは、清掃への考え方を変えることで新しいイメージをつくるきっかけになりたいんです」

ホテルや民泊など、国内外で宿泊業を手がける不動産会社トラストライブマネジメント

trust-01 ここで、この春新たに立ち上がった清掃業務の管理スタッフと、実際に宿泊施設内の清掃にあたるキーパーを募集します。

チームが目指しているのは、“格好いい清掃”。清掃は部屋のデザインにつながるというこれまでにない視点を取り入れ、新しい清掃像を一緒につくり上げていきます。

今まで清掃に関心を寄せたことがなくても、1からプロジェクトをつくり上げていくことに楽しさを感じられる人にぜひ知ってほしい仕事です。

一足先に、楽しみながらチャレンジしている皆さんを訪ねました。





訪れたのは、トラストライブマネジメントのホテル建設地のある京都。

待ち合わせ場所に現れた代表の牧野さんは、物腰がとても柔らかで、こちらの話を丁寧に聞いてくれる方だ。

trustlive01 まずは世間話から取材をはじめてみると、牧野さんがユニークな人生を歩んできたことがわかった。

自分の考えや工夫が形になることに魅力を感じて、留学先のロンドンの大学では建築学科に進学。

そこで、今までの価値観をひっくり返すような出来事に出会う。ロンドンのとある図書館のリニューアルだ。

その図書館は、利用者が年々減少し続けていた。活気を取り戻すべく、区はリニューアルに取り組み、“図書館”に代わって“アイデアストア”と名付けられたそう。

「置いてあるのは本とパソコン。以前と変わりません。けれど名前がアイデアストア、つまりアイデアの詰まった場所となることで、空間のつくり方がガラリと変わったんです」

まず、ディスカッションをするための机の幅がぐっと広がった。アイデアのヒントとなる本は近くにあるほうがいいから机と本棚が一連となって、さらにコーヒーも楽しめる休憩スペースが生まれた。

完成したアイデアストアには街全体から人が集まり、一気に街のハブとして蘇ったそう。

「ここで新しい交流が続々と生まれるのを、間近で見たんです。当たり前の考え方を変えると、世の中が少し面白くなる。なんてすごいんだろうと、衝撃を受けました」

いつか自分も、世の中の当たり前を少し変えてみたい。

その思いは、牧野さんも予想しなかったところで実現する。日本でコンサルタントとして働いていた5年前、ふとした思いつきからはじめた宿泊事業だ。

trustrive03 きっかけは、外国から友人が遊びに来たときの気づきだった。

欧州では、旅行者はホテルよりも、知り合いの紹介や掲示板での告知をもとに家を安く間借りするのが一般的。牧野さんも、留学中は家々を間借りしながら各所を巡っていたそう。

「せっかくの海外旅行ですから、最低でも1週間くらいは滞在したいですよね。けれど当時の日本では知らない人への間貸しは一般的ではなかった。でもホテルやウィークリーマンションに泊まると、それだけで10万円近くかかってしまいます」

「それにホテルのベッドは落ち着かないし、空調も過度だったり、反対にまったく設備がなかったり。1泊ならいいけれど、長く滞在するのは難しいと思いました」

ふと振り返ると、都内のワンルームマンションの家賃は8万円ほど。

これならば自分が借りた部屋を間貸ししたほうが友人たちも安く泊まれるし、過ごしやすい部屋をつくったらもっと面白いかもしれない、と考えた。

「まずは自分の隣の部屋を借りてみました。長く滞在するのなら、室内は普段生活している部屋に近いほうがいい。ベッドは安い商品ではなく眠りやすい高級な商品を選んで、家電もふだん家で使う多機能なものではなく、本当に必要な機能だけがついたシンプルなものを用意しました」

そうしてはじめた部屋貸しは、海外の友人やその知人の間で評判になる。要望に応えながら増やした部屋も、常に満室になるほどの盛況ぶりだった。

今でこそ民泊として広まっているサービスだけれど、当時はまだその概念もなかったような時代。

このことがきっかけとなり、不動産に関するありとあらゆる事業を手掛けているトライブホールディングスから声がかかった。いわば、トラストライブマネジメントの親会社。

現在は、牧野さんの得意とする民泊事業とホテル事業を主力として、国内外のマンションやビルを活用し、ホテルや民泊として長期的に運営している。

そうなるとますます気になるのが、今回募集する清掃業務のこと。

不動産と清掃は、正直イメージとしてあまり結びつかない。

それに、これまで建築や不動産に携わってきた牧野さんが、どうして清掃業務を始めようと思ったのだろう。

「きっかけは、生活するなかで目にする清掃スタッフの姿でした。駅でもホテルでも、みなさん早く仕事を終わらせるために処理的に作業をこなしているように見えて。楽しく働いている姿はなかなか見かけませんでした」

さらに会社のホテル清掃を依頼している人たちと話すなかでも、清掃スタッフは自らの興味よりも給与や待遇といった条件面で仕事を選んでいるのでは、という印象を受けた。

そもそも支給される掃除機は吸い込みの悪いものだし、制服のデザインもイマイチ。それでいてきれいに掃除するのは当たり前と、仕事ぶりを認められることはほぼない。

「それを聞いて、考え方を変えてみたらどうだろうと思ったんです。まずは社内で清掃業務を始めて、方向性を探っていきました」

そのなかで生まれたのが、“ルームデザイン”という考えだった。

「汚れたものを片付けるというのは清掃の一面に過ぎません。それよりも大切なのは、部屋のデザインやブランドをキープしているという役割です」

「それを僕たちは『ルームデザイン』と言い換えました。お客さんに『写真と実際の室内の印象が違った』と言われないのも、清掃の方、つまりキーパーたちがクッションの置き方など細かいところまで考えてきちんとデザインをキープしてくれるからです」

trust-04 実際に、この考え方が生まれてからさまざまなものが変わり始めているのだそう。

「まずは掃除用具です。実際に安いものも使ってみたのですが、これでは今までと変わらない。一流のメーカーから、使いやすいものを探して導入しました」

すると現場からは“掃除をしやすくなった”と好評の声。

「それだけでなく、効率も段違いに良くなりました。仮にひと部屋の清掃時間が5分短くなると、人件費のコストが削減されて年間で数百万円もの利益が生まれるんです」

考え方を変えると、道具や効率、それに収益も変わるのですね。

「ええ。ビジネスである以上、考え方を変えるだけでなく利益も重要です。けれどそればかりを追い求めるのではいけない。僕たちは、清掃への考え方を変えるきっかけになりたいんです」

決して安易な思いつきではない。

今は社内の業務の一つだけれど、軌道に乗ったタイミングで事業化し、領域を広げていく予定だそう。

「始まったばかりで、どうすれば格好良い清掃をつくれるだろうと、まだまだ模索中です。ルームデザインという考えが広く浸透する日は、もう少し先のことかもしれません。だからこそ、もっと魅力的なものにしたい。皆、その日のために試行錯誤してくれています」



現在、清掃チームを取りまとめている小柴さんもその一人。

「もともと清掃って、あまり人気のある職種やないですよね。だからルームデザインという考え方が広まることで『清掃って格好ええな』って思ってもらえたら絶対に面白い」

trust-05 もともと個人事業主として、著名な飲食店のプロデュースを長年手がけてきたという実績の持ち主でもある小柴さん。

今回募集する管理スタッフも、まずは牧野さんや小柴さんと一緒に業務をブラシュアップしていくことになる。

具体的には、どういう仕事をするのでしょうか。

「まずは、すでに動き始めている業務の管理ですね。キーパーさんたちの人員配置や、実際に部屋を回りながら、どこにどれくらいの時間がかかっているのかを算出して次の目標を設定したり、より効率的な清掃方法を考えたり。業務の定量化です」

例えるなら、コントロールセンターのようなイメージだそう。

同時に、清掃業務のイメージもつくり上げていく。

「いわば、プロデュース業務です。事業として成功するには、部屋がきれいになるということだけでなく、外から見たときに特徴のあるイメージをつくることが必要になってきます」

そのためにはホームページを制作して内外に向けてコンセプトをアピールすることも重要になってくるだろうし、新たな道具を探したり、つくったりする必要も出てくると思う。

まだ誰もやっていないことだからこそ、自由な発想を求められるのかもしれない。

「すでにあるものではないから、よその真似はしません。片目では現場を見て、もう片目では大きなビジョンを見る。僕も毎日頭を抱えています(笑)でも、そこが面白いんやないかな」



最後にお話を聞いたのは、社員のヘリさん。今は民泊事業のオペレーションを兼ねながら、キーパーとしても活躍しています。

trust-06 「私たちって、シーツにシワひとつ残さないんですよ。素早く完璧にシワを伸ばす。チェックアウト後にどれだけ汚れていても、必ずホームページに掲載された写真とまったく同じ状態に戻すんです」

ただ掃除をしておしまい、というのではないみたい。

「もちろん。埃がないのは当たり前。部屋のデザインを任せてもらえるキーパーですから、自分たちから提案もします」

聞くと、キーパーのアイデアをもとに自分たちで改良した家具もあるのだそう。

たとえばベッドは、足と床の隙間についたてを立てて埃が入り込まないように改良した。時間が大幅に短縮されたし、掃除もしやすくなった。

trust-07 現場から、少しずつ工夫を重ねているんですね。

「そう。すごくワクワクしますよ。ビジネスとしても成功させたいから、新しく入る方にも清掃を真剣に考えて、行動してほしい。自分たちで生み出したものが格好良い清掃になったらいいですよね」



楽しんでいるけれど、楽観的というわけではない。新しい清掃イメージをつくりたいという思いと同じくらい事業として成功させるという強い信念があって、決してやみくもには進まない。

むしろ全員で自分たちの位置を確認しながら、少しずつ着実に進んでいるイメージ。

牧野さんたちは本気です。

ぜひ一緒に、変化の仕掛け人になってください。

(2017/11/22 遠藤真利奈)

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