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「好きだから、はじめたんだよ」米澤社長のお話を聞いていると、そんな言葉が何度も出てきます。
この一言が、米澤製材所の姿勢を表しているように思いました。
株式会社 米澤製材所は、江戸時代から製材業を代々営んできた歴史ある会社。
最近は、樹齢150年以上の輸入木材を使うログハウス建築や、イタリア産オリーブの木でつくった食器を扱うブランドの”Daily table“など、米澤社長の「好き」がきっかけとなって、さまざまな事業に取り組んでいます。
浴室や洗面所など水回りのインテリアを扱うブランド、”KANEJIN”もそのひとつ。
木製の洗面台や漆塗りの浴槽など、そこにあるだけで空気が変わるような、存在感のあるインテリアを展開しています。

「次は、どんな仕事がやってくるんだろう」
そんな気持ちで、さまざまな仕事を楽しむことができる人には、ぴったりの会社だと思います。
東京・青山。外苑前駅から歩いて10分ほどで、米澤製材所の東京オフィスに到着。8月にはこの場所を閉じて、新しく蔵前に自社ビルを構える。
打ち合わせスペースで待っていると、カウボーイハットを被って、サングラスをかけた方が現れた。
この方が社長の米澤さん。

KANENJINをはじめたのは15年ほど前。輸入品の浴槽や洗面台を主に扱っている。
「海外の水回り関係のインテリアが好きで、やってみたいなと思ってね。当時は輸入品を扱っている会社が少なかったから、自分でやることにしたの」
日本製のものとは一線を画したデザインが評価され、高級マンションや有名ホテルにも数多く納品。現在は輸入品の販売だけでなく、デザイナーと協同でオリジナル商品を開発することも増えてきているそう。
たとえば、大理石製の洗面台。これも自分たちで開発したもので、問い合わせも多いそう。

「商品を扱わせてくれって海外の会社にメールしても、ほとんど返事がないんだよ。たとえ返事をくれたとしても、日本の無名な会社だから相手にしてもらえない。それからずーっと海外の展示会をまわって名刺配ったりしてね」
なんとか取り扱えることになっても、今度は販売に苦戦する。
「青山にショールームを構えたけど、オープンしてから4ヶ月くらいは、1週間に1つ売れたか売れないかっていう状態が続いて。正直、ここまで大変だとは思ってなかった」
やっぱり難しいのかと諦めかけたとき、あるデザイナーさんから留守番電話にメッセージが入っていたという。
「『ショールームの表に飾ってあった洗面ボウルが気になる』って。うれしかったねえ。そのデザイナーさんとは今でも付き合いがあって、一番の理解者って感じ」
その仕事がきっかけとなって、ほかのデザイナーさんや設計会社とつながりができ、付き合いが広がっていった。
今では星野リゾートやコンラッドホテルなど、名だたるクライアントから仕事を任されるまでに。
たくさんの苦労があったはずなのに、不思議と最後には楽しそうな語り口になる米澤さん。つらいときでも仕事を好きでいられる気持ちは、何より強い武器なのかもしれない。

そんなKANEJINが、新たにショールームをオープンする。
以前あったショールームは数年前に閉じてしまった。再びつくることを決めた大きな理由は、幅広いお客さんに訪れてほしいから。
「今、クライアントのほとんどは固定客で、設計事務所やインテリアデザイナーの方だし、案件もホテルとかマンションとか、大きいプロジェクト単位で動くことが多い」
「だけど、昔ショールームがあったときは、エンドユーザーさんも見に来てくれていたんだよ。それに、今もたまに個人のお客さんから問い合わせがあって。そういう人たちも大事にしたいからね、ショールームがあれば来やすくなるでしょう」
もっと幅広いお客さんに、KANEJINの商品を知ってほしい。実際に触れてみてほしい。
そんな思いのこもったショールームでは、KANEJINに加え、ベルギーの”SEMPRE”という会社の商品を大々的に取り扱う予定。
インテリアをはじめ雑貨や植栽、素材まで扱うのは、日本では初めてなんだそう。

「同じフロアに入るフィッシュ&チップスのお店も、SEMPREにデザインしてもらったんだよ」
…フィッシュ&チップス?そのショールームの中に入るんですか?
「そう。ショールームに入るのは、そのお店とKANEJINの商品、それにSEMPREのインテリア。あとは、富山でつくっている木材のサンプルも置こうかなって」
オフィスもこの場所になるから、どの職種の人も勤務地は蔵前になる。
「フィッシュ&チップスを揚げたいって子が、応募して来てくれてもいいんだよ(笑)」

「いろいろやってるから、『何屋なんだ?』ってね(笑)ただ、ショールームだけやっても人が集まりにくいっていう現実もあって。だから、フィッシュ&チップスでも食べながら、これ面白いねってお店を眺めてくれたらいいなと思っています」
この話を聞いて「なんだか面白そう」と思えるような人が、きっとこの会社には合っていると思う。
今回募集する職種はどういうものなんですか?
「営業事務は、主にSEMPRE担当。商品の管理とか輸入、メールでのやりとりをしてもらいます。ショールームに立つこともあるかもしれないね。輸入の仕事はだんだん覚えていけばいいけど、英語ができる人のほうがいいかな」
webデザイナーは、主に会社のwebページと、プレゼン資料やカタログなどのデザインを担当。米澤製材所の図面設計などを手伝うこともある。今の担当の方が結婚を機に退職してしまうので、後任を探しているんだそう。

「まずはショールームに立ってお客さまを案内したり、一緒に打ち合わせに同席してもらいます。基本的には俺が道筋をつくるから、その通りにやれば大丈夫。慣れたら、自分でデザイン会社に売り込みにも行ってほしいな」
輸入品やオリジナルを含め、扱う商品の数は多いから、覚えるのは大変だと思う。
「全部覚えるのは大変だから、まずは自分の好きなものとか得意なものを見つければいいんだよ。そこから広げていけると思うし」
「商品の名前とか、この型にはこの水栓が必要とか、基本的なルールさえ覚えれば応用が利くから。1つ1つを覚えるというよりは、メカニズムを覚える感じかな」

「やっぱり、ものに興味を持たないと。マニュアルどおりに話したところで、お客さんの心には響かないし。聞かれたらある程度語れるくらい、好きにはなってほしいね」
はじめはできるところから。面白そうだなと思う気持ちを持っていることが大切だと思う。
「好きなものなら自分から調べるし、触ってみたくもなるじゃない。その気持ちって、やっぱりお客さんにも伝わる。『この子、商品に対して熱いな』ってわかるんだよ」
次にお話を聞いたのが、営業として働く人の上司になる迫本さん。計6人が働く東京営業所の責任者として、KANEJINと米澤製材所の両方の仕事をこなしている。

何十台も浴槽を入れるような、ホテルやマンションなどの大型プロジェクトは、完成までに2、3年かかることも。予算や納期の話からはじまり、特注品ならその収まりや仕様について細かな打ち合わせが必要になる。
「打ち合わせには社長が同席してくれることも多いので、不安にならなくていいと思いますよ。私も、今日もこれから社長と2人でクライアントと打ち合わせです」
長いプロジェクトでは、完成したときの喜びもひとしお。大変なときもあるからこそ、商品を好きだと思えることは大切になる。
迫本さんもクールな雰囲気のなかに、そういう気持ちがきっとあるんだろうな。
「商品のことがだんだんわかってくると、売っていて楽しいですよ。営業だと売上を見られる部分もあるかもしれないけれど、出来上がりを見るのがモチベーションになります」
「飽きっぽい性格なので、東京以外の地域に出張したり、直接クライアントさんとやりとりしたり、いろいろなことができる会社なのは面白いなと思います」
たとえば、最近の迫本さんは木材の営業に行くこともあるそう。
レストランのテーブルやカウンターなどに使う一枚板の加工方法をデザイナーさんと図面でやりとりしていく。サンプル制作などで、富山にある米澤製材所の工房にも頻繁に足を運んでいる。

「ずっと同じ業界にいるので、入社して大きなギャップは感じませんでした。ただ違うのは、やっている仕事が幅広いところ。これから入る人も、水まわりの会社だと思って入社したら、木とか雑貨とか全然違うこともやっているので、びっくりするかもしれません」
フィッシュ&チップスも?
「そうですね(笑)ただ、私とかはもう『ああ、社長やりそうだよなあ』って思うので、別に驚いたりはしないですね」

すると、横で聞いていた米澤さんが一言。
「大事なのは、社長と馬が合うかだよなあ!」
それを聞いて、笑いながら頷く迫本さん。その様子を見ていると、何か新しいことが起きても動じなさそうだし、どこか社長とのやりとりを楽しんでいるようにも見える。
馬が合うってこういうことなのかもしれないな。
「まあ、大きい会社じゃないから、一緒に支え合って、つらいときでも頑張ってほしいね。社員みんなが楽しみながら、でもパリッと仕事ができる雰囲気を一緒につくってくれたらいいかな」
「あとは、一緒に美味しいフィッシュ&チップスをやりましょう!なんてね」
(2018/05/29取材 増田早紀)