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クリアなシェアハウス

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異なる考え方や文化を持つ人たちが集まれば、ものごとの捉え方もさまざまになるもの。

それぞれの考えを正直に伝えあい、お互いを理解しようとする。

そんなコミュニケーションをいとわないからこそ、いい関係性が育まれていくのだと、チューリップ不動産を取材して思いました。

チューリップ不動産は、女性専用のシェアハウスを運営している会社です。

女性がより良く暮らすために、どんな環境を提供できるだろう。

時代に合ったシェアハウスのあり方を、15年間、常に考え続けてきました。

ここで、ともにシェアハウスを運営していく新しい仲間を探しています。

 

都営大江戸線・練馬駅を出て、歩くこと5分。

住宅街の中に、赤いチューリップ模様の看板が見えてきた。

ここがチューリップ不動産のオフィス。

最初に代表の水谷さんに話を伺う。こちらの質問に一つひとつ丁寧に答えてくれるのが印象的。

「子どもの妊娠とともに、独立することを決めました。不動産会社の営業をしていた当時は、育休をたっぷりとるということはできなかった時代で」

子育てする時間を大切にしたいと、組織を離れ、起業する。

独立したてで育児しながら、両立できる事業って何だろう。

そう考えたときに思い浮かんだアイデアが、女性専用のシェアハウスだった。

「当時はまだ、日本において暮らしをシェアするという考え方はほとんど広まっていなくて。日本では主に外国人のあいだでメジャーなゲストハウスの形態を、日本の女性のために使いやすく再構築して世に出したらどうだろうと思ったんです」

水谷さん自身、東京に暮らすなかで感じてきた女性としてのハンデを、少しでも和らげたいという想いがあったそう。

今のようにポータルサイトはなく、マーケットも形成されていない状況の中、自分でホームページをつくったり、壁紙を貼ったり、一つひとつ手づくりしていった。

都心を中心に、今では19軒のシェアハウスを運営している。

「シェアハウスの業界としても市場は成長を続けています。ただ我々は、事業の拡大を目的にしているわけではなくて」

「その時代を生きる女性たちがより良く暮らすためには、どういうシェアハウスのあり方がいいのか。今、女性は何を必要としていて、不動産を扱う者として何を提供できるだろうと常に考える。そういう姿勢は、ずっと変わっていないかな」

そう言って、これまでを振り返りながら話してくれる。

以前は、日本の女性が安心して暮らしながら、夢に向かって自己投資ができるような住まいをコンセプトに、シェアハウスを運営していた。

「当時は、自己投資することによってワンランク上を目指していく考え方が多くあったと思うんです。そこからだんだん、そうじゃないものが求められるようになってきた気がして」

東京だけでなく日本全体を見ても、多様な国の人が街に混在するようになってきている。今後は日常生活でも仕事でも、英語で会話することを広く求められる環境になっていくはず。

「そう考えたら、日本人の女の子だけを対象にするよりも、我々のつくったルールを守れる人であれば誰でも入居できますっていうスタンスのほうがいいのかなと思って。180度方向転換して、海外の方にも門戸を広げていきました」

海外の人も受け入れるようになった当初、日本人の入居者からは反発する声もあった。

話を聞いていくと、何気ない振る舞いや文化の違いによって、入居者のあいだに摩擦が生じていることがわかった。

たとえば、食事中パンを机の上にそのまま置いたり、パンくずを下に落としたりすることは、ヨーロッパであればごく普通のことだという。ところが、日本人の中には「お皿の上に置かないなんて信じられない!」と怒る人もいる。

「日本でのマナーを教えてあげつつ、どうして自分が不快に思ったのかを伝えることで、相手の受け止め方は変わると思います」

「そのうえで、食後は机をきれいに拭いておくというルールを守るようにすれば、それぞれの文化は違っても、お互い気持ちよく過ごせるんじゃないか。そういうフェアなルールづくりを重要視するようになってきましたね」

ルールをつくれば、すべてのトラブルに対応しきれるわけではない。その都度コミュニケーションをとって、ルールを更新していくこともあるという。

大切にしているのは、関係性をクリアにしていくこと。

「以前は、入居者のみなさんが快く生活できるようになるなら、私たちは黒子となって動きます、という感じでした」

「今は、問題を解決したいのであれば、話し合う場はセッティングします。そこから先は、生活の主役であるあなたたちが、お互いの意見を伝え合ったうえで落とし所を見つけてください、という距離感なんです」

 

水谷さんの話を隣で聞いていた大和田さんも、会話に加わる。

大和田さんは、前回の日本仕事百貨の記事をきっかけに入社した方。働きはじめてもうすぐ1年を迎える。

入居者さんから相談を受けたときのエピソードを話してくれた。

「シェアハウスではゴミ出しの当番を、入居者さんが順番に回してくれています。あるとき海外の入居者さんから、『宗教上、アルコールが入っていた空き缶には触れられないから、ゴミ出しはできない』という相談があって」

「ほかの入居者さんにも理解してもらうのがいいのか。みんなで守っているルールだからと相談された方に納得してもらうのがいいのか。宗教に反するかもしれない行為を求めることがその人にとってどれほど暴力的なのか。センシティブな事柄だからこそ、私だけでは簡単に判断がつきませんでした」

そこで、自分で宗教の決まりごとについて調べたり、海外出身のスタッフからの視点で意見を求めたり。一緒に働く人たちと相談しながら対応を考えていった。

「最終的には、シェアハウスのみなさんに、飲み終わった空き缶は必ず洗って捨てることを徹底してくださいとお願いをして。相談してこられた方にも、改善策を伝えたうえで、ゴミ当番に協力してもらうようにお願いしました」

「そのときの伝え方ひとつ取っても、自分がいいと思う表現に対して、ほかの人はどう読み取るだろうというところまで考えて話し合うんです。そうやって社内のみんなの認識をすり合わせたうえで、入居者さんに伝えるようにしています」

その後、困っているという連絡は来ていないそう。相手の気持ちを汲み取った真摯な対応が伝わったんだと思う。

「コミュニケーションをいちばん大事にしています。入居者さんとお互いの常識に対する認識が違っていたりすることもよくあります」

「そういうとき、なんて説明したら相手に伝わるんだろう?シェアハウスの管理会社としてどういう立場をとるべきか?ということは、毎回悩みますね」

お話を聞いていると、仕事を通してそういう場面に向き合うことが多いような気がします。

ネガティブに思うことはないんでしょうか。

「そうですね。正直、思うことはありますよ(笑)」

「一人で抱え込んで、どうしよう…と思ってばかりだと辛いと思います。それがここでは、『こんな相談が来てるんですよ、どうしましょうか』って投げかけると、『また?』『それはこうするのがいいんじゃない?』って応えてくれる人がいる。一緒に話をしながら着地点を模索できるんです」

何か気になることがあれば、とにかく話し合うのが「チューリップ不動産のスタイル」だと大和田さんは話す。

「風通しのいい会社です。基準がグローバルスタンダードというか、日本っぽくないなというイメージはありますね。そういう感覚に合う人がいいと思います」

ちなみに、8人いるスタッフの半数は海外出身とのこと。シェアハウスに暮らす人たちも、多様なバックグラウンドを持った人が増えてきている。

新しく加わる人も、英語を流暢に話せる必要はないものの、間違いを恐れずコミュニケーションする気持ちは持っていてほしい。

以前はCG制作会社に勤めていたという大和田さん。

チューリップ不動産では、どんな仕事からはじめていきましたか。

「はじめは、掃除や備品管理など基本的なことからですね。それと並行して、入居者さんからの連絡に対応したり、入退去の手続きなども覚えていきました」

「今は、お金に関することも把握するようになってきて。どこかのシェアハウスで水道代が高すぎるなと思ったら、訪れたときに、水を出しっぱなしにしている人がいるよと伝えたり。そういったことも少しずつ注意を払えるようになってきたと思います」

日中は、シェアハウスを訪問することがほとんどだという。

入居者さんがどういうことを気にしているか確認しつつ、シェアハウスでの暮らしがより良くなるように、幅広く対応していく。

「毎日やらなきゃいけないことはそれなりにあります。掃除だったり、これからの時期は頻繁に除草しないといけません。地道な仕事が多いですし、体力的に大変なところはあると思います」

ここでふたたび代表の水谷さん。

「シェアハウスの運営って聞くと、華やかなイメージがあるかもしれませんが、実際はほど遠いものです(笑)」

「それからうちは、あまり面倒見はよくないほうだと思います。それは、雇われている、言われた仕事をこなすというより、自分も会社を運営していくチームの一員だと思ってほしいから。慣れてきたら自分で考えて行動していく。そういう人と長く一緒に働いていきたいと思っています」

 

自分ごととして、チューリップ不動産をより良くしていってほしいという考えから、外国人スタッフの方には自分の得意分野でプロジェクトを持ってもらうという。

最後に話を伺ったジャンさんはタイ出身。

日本に来たばかりのころ、シェアハウスを探していたときにチューリップ不動産のことを知り、3年前から働いている。

デザイナーの仕事をしていた経験を活かし、シェアハウスの内装デザインや、Webマーケティングなどのプロジェクトを担当しているそう。

「水谷さんとはじめて会ったときに、シェアハウスのことや日本での暮らしのことをいろいろ教えてもらって。誠実で、親しみやすい人だなと感じました」

「日本の会社は、オーバーワークとか、ちょっとダークサイドの印象もある(笑)。でもここはみんな優しいし、自分の仕事をちゃんとしたら、いろんなプロジェクトができる。だから続けてこられたかな」



基本的には、根気強く積み重ねていく仕事だと思います。

華やかなことのほうがずっと少ないです。

ただ、困ったときには気軽に相談できるチームがここにはあります。お互いの考えを率直に交わし合うから、気持ちのいい関係性でいられるのかもしれません。

(2018/05/15 取材 後藤響子)
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