求人 NEW

4つの島を楽しみつなぐ
新しい観光、はじめの一歩

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「まずは自分でいろいろ試して、暮らしを楽しんでみたらいいよ。それが仕事にもつながっていくはずだから」

そんな言葉を、この取材の間に何度も耳にしました。

訪ねたのは、隠岐諸島。島根県本土から北に約50㎞、4つの大きな有人島と約180の小島からなる諸島です。

個人の旅行者が少ない場所だから、どんなところなのか知らない人も多いかもしれません。裏を返せば、開拓の余地がまだまだ残されているということ。

今回は、隠岐諸島の観光コーディネーターとして働く人を募集します。

4つの島を自ら歩いて島の魅力を発見し、ツアーや体験プログラムなどの観光商品にする。そんな役割が求められています。

経験は問いません。まずは嘱託職員としてスタートし、その後は正社員登用の道もあるそうです。



まずは羽田空港から出雲空港へ。飛行機を乗り継ぎ、隠岐の島まではさらに30分ほど。あわせ約2時間の道のりだ。

車に乗り換えて、隠岐観光協会を目指す。

到着すると、事務局長の角橋(かどはし)さんが迎えてくれた。時折笑顔を見せながら真剣に応えてくれる方です。

「隠岐諸島には海士町、西ノ島町、知夫村、そしてこの隠岐の島町という4つの有人島があります。それぞれに観光協会があり、隠岐観光協会はその取りまとめという位置付けなんです」

「だから4島のPRや、島を横断した観光商品づくりなどが大きな役割になります」

隠岐諸島を訪れる人は、年間約13万人。とはいえ、交流人口は右肩下がりだそう。

「隠岐の宿泊施設も減っていますし、海外のお客さまからの認知はほぼ0です。このままではいけない、という危機感を私たちも持っています」

ただ、隠岐観光協会では闇雲に観光客を増やそうとは思っていない。

今後は、団体ツアーだけでなく個人のお客さんにも来てもらう工夫をしながら、旅先での出会いや体験を通じて地域を味わう「着地型観光」に力を入れていきたいと考えているのだそう。

「それには、4島が頻繁にコミュニケーションをとることが大事だと思っていて。観光コーディネーターには、その調整役を担ってもらいたいんです」

着地型観光では、地元の人にガイドをしてもらったり、土地の料理をふるまってもらったりと、地元の人の協力が不可欠。地元の人もきちんと収入を得ながら、観光客を受け入れられるよう体制づくりをしていくことも重要な課題だ。

「すでに海士町では、観光協会が人材を雇用し、マルチワーカーとして働いてもらう取り組みも進んでいて。ガイドをやりつつ、閑散期は加工品づくりの手伝いをするとかね」

「今後は、全島的にそうした仕組みを持つ必要があると思います。すぐには難しくとも、島にやってくる人にも迎える人にも良い循環をつくっていけるといいですよね」

観光だけでなく、島の未来を見据えて活動していく仕事みたい。具体的には、どんなことから始めればいいのでしょうか?

「最初の1年は、4島の現場にいる方々との関係づくりですね。観光協会や事業者さんと直接話したり、仕事を手伝ったりしながら様子を知ってもらう。2年目からは一緒に観光商品の企画を進めていきたいですね」



商品の企画は、どんなふうに進めていくんだろう。

教えてくれたのは、同じく隠岐観光協会の松井さん。前職は保育園の先生で、2児のお母さんでもある。

「当協会では、4島の観光事業者さんと一緒に『食』『女性向け旅行企画』など4つのテーマに基づいたワーキンググループを運営していて。そのグループごとに企画を考えていくことが多いですね」

たとえば、女性向けの旅行を考えるグループ。

メンバーは、商店の方や隠岐汽船の社員、各島の観光協会スタッフなどさまざまな立場で隠岐に関わる約15名。

「まずは、島に暮らす自分たちが『あったらいいな』と思うものを挙げてみます。今は隠岐でのサイクリングを商品化できないか考えているところです」

雄大な自然が身近に感じられる隠岐の島。レンタカーが少ないぶん、レンタサイクルをもっと活用できないか。

「すごく景色のいい展望所があるんです。でもそこまでは上り坂で、自力で行くのはしんどい。だから地元のバス会社やタクシー業者さんに協力してもらって、自転車を展望所まで運んでもらおうと考えました」

「そうすれば誰でも手軽だし、下りのコースなら体力に自信のない人も負担が少なく済みます」

企画後は、自分たちで体験してみる。コースに危険はないか、雨天でも決行できるか。実際に試すことで見えてくることも多い。

細部まで練り直し、地域の事業者を訪ねてプレゼンを行い、協力を仰ぐ。

「企画には、いろいろな立場の人の協力が必要です。フラットに話せるような土台をつくって、どう実現できるか一緒に考えていくんです」

相手の気持ちに寄り添い、お互いが気持ちを伝えられるような“あいだ”になる。

いろんな企画を並行して進めていくため、世に出るまで2年近くかかるものもあるのだとか。

これまでにも松井さんたちはさまざまな企画を実現してきた。

たとえばカフェセット一式を貸し出す「そとcafé」。島の好きな場所でマットを広げ、自然の中でカフェタイムを楽しむことができる。

もともとは、島内にふらっと立ち寄れるカフェが少ないことから生まれたアイデアだそう。

ときには、島の土産物をより手に取りやすいパッケージに変えたり、女性観光客やファミリー層におすすめ情報をまとめた冊子を作成したりと、企画の幅も広い。

進めていくなかで、大変なことはありますか。

「少ない人数で、みなさんほかの仕事をしながら関わっているので、提出物の締切に間に合わないことがあります。なるべく余裕を持ってスケジュールを組んだり、声がけをしたりと調整していきます」

普段は、各島の観光協会とのやり取りがメイン。

島同士が離れているぶん、密なコミュニケーションをとるのが難しそうです。

「そうですね。でも杓子定規なやりとりを重ねるんじゃなくて、少しでも距離を縮められるよう心がけています。私自身、ちょっと顔を見せに来てくれるだけでもうれしいし、些細なことで人との関係性が変わることを実感しています」

松井さんと商店街を歩いていると、いろんなところで声をかけられた。ちゃんと相手のことを気にかけている人だから、みなさんに好かれるのがよくわかる。

「みなさん職種は違えど、同じ目標を持って働けるのがうれしいです。島を訪れたお客さんが、楽しかったとアンケートに書いてくれたり、地域の飲食店に人が増えたという話を聞いたりすると、達成感もありますね」



一緒に仕事をしていくことになる、観光事業者さんにもお話を聞いてみます。

隠岐の島で旅行会社「隠岐旅工舎」を営む八幡さん。

この島の出身だという八幡さん。隠岐にはどんな特徴がありますか。

「この島は、農業も漁業も自前でまかなえる豊かな島なんです。だからこそ商売っ気がないのが、僕ら観光事業者にとっては難しいところだね」

商売っ気がない。

「うん。僕らは顧客のニーズを島の人たちにお伝えして、これくらいの値段でできますよ、と話すんだけど、そんなにもらえないと。どこかで自分だけが稼ぐことへの申し訳なさみたいなものがある。だから説得には、結構根気がいると思います」

そんなとき、八幡さんはどうしているんでしょうか。

「できるだけ具体的な話をする。3人のお孫さんに何か買ってあげられるじゃないですか、とかね。それは普段から接していないとできないことだから、仕事と切り離して考えるとうまくいかないかもしれない」

まずは自分自身でいろいろな体験をしてみることだと八幡さんは言う。田んぼの稲刈りを手伝うとか、重いものを運ぶとか、そんなことからでいい。

「そうすると、自然と自分に返ってくる。地域での役割を見出していくことが、地域に入っていくことだと僕は思う。だから『島を好きになってほしい』とかは言わないよ」

どういう意味でしょう。

「それだと、好きか嫌いかの関わり方しかできないから。でも役割があって、なんとなくここにいないとな、みたいなことを見出せるとまた違う感情で島を見られるんじゃないかな」

「俺だって、島が特別好きなわけじゃないよ。でも、よその人に島を褒められたらちょっとうれしい。自分の子どもが誉められると、ちょっとうれしいじゃないですか。好き嫌いとは違う次元。そんな感じかな」

だから気負わずに来てみたら。そう笑う八幡さんを見ていると、なんだか肩の力がすとんと抜けたような気がしました。



隠岐で出会う人たちは、背伸びしない等身大の人たちばかり。

最後に訪ねたゲストハウス佃屋の古川さんは、そんな島の人たちに惹かれてやってきました。

「私、隠岐のことは全然知らなくて。隠岐に来る前、28歳のときに会社にうまく馴染めないっていう経験を初めてしたんです」

「だから次を選ぶのにすごく慎重になってしまって。このままWeb関連の仕事を続けるか辞めるか、悩んでいました」

そんなとき、たまたま短期の仕事があると紹介されたのが隠岐の島だった。試しに1ヶ月間、ホテルに住み込みで働くことに。

その間よく通っていたのが、港近くのバーと雑貨屋さん。お店を営みながら、シーカヤックに乗ったり、山を歩いたり。みんな仕事をしながら暮らしも目一杯楽しんでいた。

「旬の食べものも当たり前に知っていて。自然とともに生きている感じがしたんです」

自分には都会よりも、こっちの暮らしが合っているかもしれない。そんな予感がして、隠岐で暮らすことを決める。

「旅好きの自分にとっては、離島っていうだけで一つのブランドになる。でも隠岐には私と同世代の旅人は全然いないなと思って。ゲストハウスなら始めやすいし、空き家もたくさんあるからまずはやってみようと思いました」

不安はなかったですか?

「なかったですね。捨てるものもなかったし、自分でやりたいという気持ちが強かったから」

古川さんは、夏場はゲストハウスの運営を中心に、冬場はWeb制作の仕事をしている。年間のお客さんは500人ほど。物件探しに苦労したものの、収入面は5年目の今まで順調なのだとか。

隠岐には、どんな人が向いていると思いますか。

「用意されたものを楽しむんじゃなくて、自分の好きなやり方で楽しめる人。私も地元の人たちに受け入れてもらえたのは、私自身が楽しんでいたからだと思っていて」

「素潜り、自転車や料理も。自分なりに楽しみ方を見つけられると、すごくいい場所だと思いますよ」



このあと、佃屋でみなさんと食卓を囲むことに。

その日とれた新鮮な魚を、泊まりに来たお客さんと料理する。

栗ごはんの栗は、古川さんが息子さんと拾ったもの。先日は、蝉が孵化している様子が間近で見られた。

そんな話を聞きながら更けていく時間は、とても心地よいものでした。

人と人との間に生まれるあたらしい未来や、自分の可能性。いろんなことが花ひらいていくご縁が、隠岐諸島にはあると思います。

10/13(土)には、しごとバー「島に流されてみナイト」を開催します。いきなり飛び込む前に、まずはざっくばらんに話を聞いてみるのもいいかもしれません。

(2018/9/10 取材 並木仁美)

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