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林業×デジタル×デザイン
森から伐りだす未来のしごと

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

これからどんなふうに働いて生きていけるか。

豊かな山に囲まれた高知県佐川町(さかわちょう)で、未来のしごとをつくる取り組みがはじまっています。

そのキーワードとなるのが、「自伐型林業」と「さかわ発明ラボ」です。

自伐型林業とは、山の所有者の許可を得て個人で伐採や搬出を行い、持続的に山林を育てていく林業のこと。大型の林業機械を導入せず、手軽な投資ではじめられる参入障壁の低い林業として注目されています。

また、伐り出した町産材を活かすため、レーザーカッターや3Dプリンターなどの先端機器を備えたさかわ発明ラボを開設。

佐川町では、林業とデジタルファブリケーションのかけ合わせによって、新たなものづくりの生態系をつくっているところです。

今回は、自伐型林業とさかわ発明ラボの運営、それぞれに携わる地域おこし協力隊を募集します。

いずれの職種でも専門的な知識や経験は問いません。むしろまったく異なる分野で培った強みが活きることも。週4日勤務のため、ほかの仕事との兼業も実現しやすいと思います。

 

高知空港からバスと特急を乗り継ぎ、1時間ほど。

山と川が織りなす風景を眺めながら揺られていると、あっというまにJR佐川駅に到着。

役場の方の運転で、町内の斗賀野地区へと向かう。

やがて一般道から外れ山道へ。急な斜面も車でぐいぐい登る。

3分ほど登ったところに作業中の人影が見えた。挨拶をすると、手を止めて降りてきてくれた。

昨年10月に協力隊を卒業後、自伐型林業家として独立した滝川さんだ。

東京の出版社で8年ほど編集の仕事をしていた滝川さん。

以前はチェーンソーに触れたことも、ユンボに乗ったこともなかった。高知県には一度も来たことがなかったという。

なぜここで、自伐型林業をやることに?

「自伐型林業推進協会という組織の事務局長が、たまたま大学のサークルの先輩で。その人から話を聞いたんです。初心者からはじめられるし、儲かるよって。そこから興味が湧きました」

もともと一次産業には興味があったし、子育てのことを考えても、佐川町がよかった。

自伐型林業に関するサポートも手厚く、作業道を1mつくるごとに2,000円の補助金が出ているそうだ。機材は1日500円という格安の値段で町からレンタルしている。

「今は手取りで月30万円ぐらいの収入ですね。4歳と2歳の子どもがいて、土日は家族タイムになりますし、雨が降れば作業はできないので、山に入る日数は月あたり15日ほど。1日の作業時間は5〜6時間です」

「体力も、それほどなくても大丈夫じゃないですか。ぼく、ガリガリでしたから(笑)。女性でもやっている人はいますし」

自分の身長の何倍も高い木を伐り倒すわけだから、林業は危険も伴う仕事だ。

だからこそ、無理をしない。休憩もこまめにとる。

なんとなく体力的にきつそうなイメージを持っていたので、滝川さんの言葉は意外なことの連続だった。

「ただ、」と滝川さんは続ける。

「今のところ、収入の内訳は補助金がほとんどです。手つかずの山林に作業道をつけることにはもちろん意味がありますが、補助金に頼り続けることもできないので、どう稼ぐかはこれから考えていかないといけません」

皆伐といって、すべての木を一斉に伐ってしまえば、楽に儲けることもできる。とはいえ、山の保水力を担保している木がなくなれば、土砂崩れなどの自然災害が起こりやすくなるし、数十年というスパンで育つ森を子や孫の世代にどうつなぐか、という視点も必要だ。

目先のことだけを考えれば“食べていける”けれど、より長期的に俯瞰した目線で森や次世代を見通したとき、未来を担う責任が林業家にはあるのだと思う。

「これからの林業は、もっと自分で経営していかないといけないんですよ。ちゃんと売れるような仕組みをつくって、営業や販売もできたほうがいい。そう考えたときに、発明ラボがあることはアドバンテージですよね」

もともと歯科医院だった建物をリノベーションし、レーザーカッターや3Dプリンターなどの先端機器を備えるさかわ発明ラボ。林業×デジタル×デザインの、新しいものづくりのプラットフォームを目指している。

「ラボはね、惜しいところまではきていると思うんです。森を知っている人がいて、デジタル系でものづくりができる人たちがいて、アーティストもいる。いい素材もある。ただ、それらがまだつながっていなくて」

「職人肌な人が多いんです。みんなそれぞれにやっているから、このままいくと平行線。もっとつながり出したら面白くなるんじゃないかな。そういう人、来ないですかね。みんなのパイプ役になれる、指揮者みたいな人」

 

それってどんな人だろう。

考えながら山をあとにし、今度は加茂地区の集落活動センターへ。

ここでものづくりワークショップをラボのみなさんが開いているということで、見学させてもらうことに。

つくっていたのは、土佐和紙を使ったしおり。

少年の手元をやさしく見守るラボスタッフ2年目の山千代さんに話を聞いた。

「普段はラボで週に一度、『放課後発明クラブ』という町内の小中学生を対象にしたワークショップを開いています。今回は、普段なかなか来れない加茂地区の子どもたちに向けた出張イベントという形ですね」

ほかにも、町内の小中学校の授業の一環として、楽しみながらデザインやプログラミングを学ぶ「ロボット動物園」を毎年開催したり、ものづくりの依頼窓口として「ものづくりコンシェルジュ」というサービスを開始し、町内の瓦屋さんと一緒にジュエリーを製作したり。

教育やアート、テクノロジーなど、領域を横断してさまざまなものづくりに取り組んでいる。

また、自伐型林業の協力隊で仲のいい斉藤さんという方とともに、山の中の作業場を再現した「木こりパーク」というイベントを開催。業務外の時間を使って、山林資源との交換を目的にした「キノコイン」という仮想通貨をつくるなど、日々いろんな企てをしているのだとか。

「一番大切にしているのは、やってて楽しいこと。いつまで佐川にいるかはわからないですけど、楽しいことだったら続けられるねって、斉藤さんとよく話していて」

ラボの協力隊には、今のところ3年の任期を終えた人がいない。林業であれば、滝川さんのように独立することも想像できるけれど、ラボは卒業後のモデルケースがない分、不安に感じることも多いだろうと思う。

それでも山千代さんは、まだ形になっていないことも含め、楽しそうに語る。

「待ちの姿勢では難しいと思います。やりたいことを軸に開拓して、仕事も自分で見つけていけるような人のほうが向いているかもしれませんね」

 

同じくラボスタッフの亀井さんは、今まさに自分の役割を開拓しているところ。

大学時代の留学先で環境学を専攻し、知り合いの起業したベンチャー企業で食料廃棄の削減に取り組む。その後、日本仕事百貨の記事を読んで興味を持ち、4月から佐川町へ。

デジタルファブリケーションに関しては、まったくの素人だった。

「みんなが忙しそうにしているとき、もっとわたしにできることがあればプロジェクトを分けてもらえたりしたのかなって。存在意義じゃないですけど、最初はすごく考えていたし、悩ましいときもありました」

「でもきっと、その人が持ってることと掛け合わせられることがあると思うので。あまり苦手意識を持たずに飛び込んでくれたらいいと思います」

今は、まちの人に機材の使い方を教えられるぐらいにはなってきたそう。

やりたいことがあれば、ほかのスタッフの力を借りながら実現していく。

亀井さんは今、もともと興味のあった食にまつわる場づくりに力を入れている。

「こっちに来てまず取り組んだのは、山千代さんが企画した燻製ワークショップのお手伝いでした。材にならないような小径木の活用方法として、いろんな木で燻製チップをつくり、味比べをしてみよう、と」

佐川町産のトマトや高知名物のカツオなど、地元の食材を使用。猟師さんからもらったイノシシ肉は、塩漬けのベーコンにするところからつくった。

ゆくゆくは燻製を商品化し、販売していくこともできるかもしれない。

また、大皿に鮨や惣菜を盛り合わせる皿鉢(さわち)料理など、土佐の伝統的な料理文化に触れる機会も増やしていきたいと亀井さん。

どんな人に来てほしいですか。

「イベントやワークショップにしても、集客はひとつの課題で。なかなか広報には手をかけられていないのが現状です」

「ただ以前、燻製ワークショップが新聞で取り上げられたとき、次回の草木染めワークショップのことに触れていただいたおかげで、町外からのお客さんが増えたことがあります。そういった広報やプレスリリースに強みのある方に来てほしいですね」

 

その晩、ラボの山千代さんと自伐型林業の斉藤さんに誘ってもらい、一緒にご飯を食べることに。

東京で鍼灸院を開業し、5年経って佐川に飛び込んできた斉藤さん。

依頼があれば、今も鍼治療の相談を受け付けているそう。

「今日なんてまさに、朝から夕方まで山入って、夕方から鍼打って、今ここなんで。1日でコンプリートした感じですよね」

軽やかに日々を楽しむ、アイデアにあふれた方だなあ。

「東京生まれ東京育ちのぼくにとって、佐川町ってめちゃくちゃ面白いんですよ。正直、東京にお盆とか年末とか帰ったりするんですけど、5日ぐらいすると佐川町帰りてえなって。それ、なぜだろうなと思うんですけど」

「自分たちでつくっていくのが基本的に好きなんだと思うんですよ」と山千代さん。

「ないからつまらないっていうよりは、あったらいいねって妄想話をして」

これに斉藤さんが応える。

「たしかにな。え、ランチ食べるところもそんなにないの?観光に来る人たちはどうしてるの?みたいなことも余白じゃないですか。余白があるから面白い」

薪を使って、火おこしでまちおこしなんてのもいいね。

キノコインで山を買って、バーベキュー場とかキャンプ場、ツリーハウスができていく。仮想上のシムシティが現実になっていく、みたいなこともやりたいな。

その後も、ふたりの企み話は解散するまで続いた。

「付き合わせちゃってすみません」

いえいえ。話を聞いていて、なんだかワクワクしてきました。

「ぼくらふたりだけで話していることもたくさんありますし、これからいろんな人を巻き込んでいきたいなと思っていて。新しく来る人も、一緒に楽しみながら関わってもらえたらうれしいですね」

何が未来の“しごと”になるかはわからない。

頭で考えてばかりいるよりも、目の前の環境を面白がり、どんどん形にしていくなかで生まれていくものなんじゃないかと、おふたりと話していて思いました。

10月31日(水)には、山千代さんと斉藤さんを東京・清澄白河のリトルトーキョーに招いてしごとバー「森から未来を伐りださナイト」を開催します。今回の募集に興味を持った方、なんとなく佐川町が気になりはじめた方も、気軽に足を運んでみてください。

(2018/9/19 取材 中川晃輔)

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