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言われるままに仕事をするよりも、相手に寄り添い、ときには核心を突いた提案をして、一緒につくり上げていく。
「またあなたにお願いしたい」と続いていく仕事はとても気持ちのいいものだと思います。
株式会社グリーンアップルは、まさにそうやってイベントをつくりあげています。
FUJI ROCK FESTIVAL、100万人のキャンドルナイト、ロハスフェスタ、渋谷区総合防災訓練 SHIBUYA BOSAI FES、渋谷ハロウィンごみゼロ大作戦、スポーツ・オブ・ハート…
グリーンアップルは、社会・環境・防災・サステイナビリティをテーマにしたソーシャルイベントを企画運営する会社です。
今回はここで、様々なイベントをゼロから組み立てかたちにしていく人を募集します。
東京・渋谷。
駅前の賑わいから離れた閑静な住宅街の中に、グリーンアップルのオフィスがある。
まずお話を伺ったのは、代表の中島さん。
中島さんにお会いして最初に思ったのは、とても明快な方だなぁということ。
頭の回転が速いからすごく早口だし、判断も素早い。遠回しな言葉は使わず、歯に衣着せぬ言い方はむしろ清々しい。
そんな中島さんがグリーンアップルを立ち上げたのは2011年。
その前は市民による日本最大級の環境イベント『アースデイ東京』の事務局長を務めたり、『不都合な真実』を書いたゴア元米副大統領の呼びかけで地球温暖化防止をテーマにした世界同時音楽イベント『LIVE EARTH』に携わったり。
振り返れば、高校生のころからイベントをつくり続けてきたという。
「僕は学生時代によく学園祭の実行委員長をやっていまして、お祭りとかイベントがもともと好きだったんですよ。それで高校生のときにせっかく学園祭をやるなら開催日数を増やしたいと思って、先生たちから賛同を得られることを考えたんです」
学園祭に社会的な意義を持たせたら先生たちも納得してくれるんじゃないか。そう考えた中島さんは学園祭でボランティア活動に参加できるようにしたり、学校全体でCO2削減に取り組んだり。ゴミを減らそうと、分別やリサクルができるゴミ箱の設置も計画した。
反対派の先生もたくさんいるなか、応援してくれる先生や友達を巻き込みながらなんとか実現したという。
「嫌な生徒だったんですよ(笑)」
「ただ、そのとき思ったのが、ボランティア活動って人にやらせるだけじゃダメだなって。やっぱり自分が参加しないと、友達は参加してくれない。それで学園祭でゴミ場を貸してくれた『A SEED JAPAN』という環境NGOにボランティアで入ったのが、今の仕事をするようになったきっかけなんです」
当時、A SEED JAPANは野外音楽イベントでゴミの分別活動を行っていた。
フジロック、サマーソニック、ライジングサンロックフェスティバルなど様々な夏フェスが立ち上がり、ゴミ問題やリサイクルにも取り組みはじめる、まさに創生記。
関係者やスタッフ、ボランティアの人たちと一緒になってつくりあげていくイベントという仕事に、中島さんは次第にのめり込んでいった。
「これまでずっとイベントをやってきて思うのは、イベントをうまくやるのってある意味簡単なんです。だけど、関わった人たちが来年もまたやりたいと思うかは全然別の問題で」
もしそれでイベントを続けられなくなれば、イベントを通じて伝えたかったメッセージも一過性のものになってしまう。
またやりたい!と何回も関わってくれる人がいれば、前回の改善点を活かせたり、チーム全体がイベントをより良くしていこうという気持ちになっていく。
「『来年もまたやりたい!』と思ってもらえるようにすることが、実は大事です。結果的に、主催者と来場者の期待に応える、効果の高いイベントとして息長く育っていくんです」
良いイベントにするために、グリーンアップルは企画段階からも入り込む。
言われるままにやる受注仕事ではなく、クライアントの思い描くイメージを一緒になって形にしていく。ときにはクライアントにきっぱり物言うことだってあるそうだ。
「たとえば、イベントって来場者数や売上が評価されがちなんです。当然増えたほうがいいけど、社会的なことを解決しようとしているのに無駄なものをつくって売上を上げるのは違いますよね」
「僕は『あなたの会社のイベント部』とよく言ってます。だからイベントの川上から川下まで一緒に寄り添って、こちらからも遠慮なく提案する。すると、クライアントからも『またあなたと仕事をしたい』と言ってもらえるんです」
ときには、まだ形になっていない段階からの相談もやってくるそうだ。
中島さんは「仕事の最大の報酬は仕事」だと話していた。
なるほど、確かにそうかもしれない。そうやって続いていく仕事は受注側も発注側も関係なく、同じものを目指す仲間として心地良く仕事ができるような気がする。
とはいえ、その関係を構築するためには、成果はもちろん、しっかり仕事ができることが大前提になると思う。
中島さんは、最初からできなくても大丈夫だという。現在のスタッフは新卒で入社した人や、以前は営業やショップ店員をしていた人など、ほとんどが未経験。他業界での経験や趣味で培ったスキルなども活かせるという。
いろんなイベントを実践しながら学んでいけば、1年くらいでコツをつかむことができるそう。ゆくゆくは先輩たちのように、クライアントに提案できるまでになってほしいという。
中島さんは、どんな人に来てほしいですか?
「イベントの調整役って大変なんですよ。下からも上からもプレッシャーはあるし。けど、そこでうまくバランスをとれると、仲間がどんどん増えていく。だから一番楽しい仕事だと思うんですよね。僕らのやっていることに関心があれば、どなたでも」
アシスタントプロデューサーの二家本(にかもと)さんは、そんなグリーンアップルの仕事に興味を持って2017年4月に新卒で入社した。
学生のころは東京芸術大学に通っていた二家本さん。
アートイベントの企画運営をたくさんする活動的な学生だったそうで、似たようなことができる仕事はないかと探していたときに、日本仕事百貨での募集記事に出会ったという。
「入ったばかりのころは何も分からないまま打ち合わせに同行させてもらって。京都の『祇園祭ごみゼロ大作戦』っていうプロジェクトなんですけど、NPOの人や実行委員会の人、はじめての人ばかりのところにいきなり入ったのが私の最初の担当でした」
祇園祭ごみゼロ大作戦は、お祭りの中で問題になっていた大量に出るゴミの対策ために立ち上がった、お祭りと並行で行われるプロジェクト。2017年で4回目を迎え、毎年グリーンアップルが進行管理を担ってきた。
二家本さんは先輩からこのプロジェクトを引き継いだわけだが、はじめてのことばかりで何も分からない。最初は先輩にフォローしてもらったり、現地の実行委員の人たちに助けられることが多かったという。
「前の年の資料があるので、それを参考にできたりするんですけど、イベントって毎年やっているものでも、毎回違ったりするんです」
「たとえば、このプロジェクトではゴミを回収するエコステーションを町中につくるんですけど、スペースを借りられる場所が変わると、別のところを探さなきゃいけないし、それに合わせて当日のオペレーションも計画する必要があって」
作成する運営マニュアルには、詳細な地図から当日の動き、トランシーバーでの連絡網、備品欄など、これを見ればイベントのすべてが分かるようにまとめているそう。
以前の資料を参考にできるとはいえ、考えるべき項目があまりにも膨大でなかなか大変だ。さらには主催者、施工会社、ボランティアなど、様々な人たちを調整しながらまとめ上げていく必要がある。
「このときの記憶があまりないくらい(笑)目の前のことをやるのに一生懸命でした。実行委員の方や関係者の方々にはかなりお世話になりつつ、中島から『自分のやり方で考えていいんだよ』と言ってもらえたので。やれることはやろうって感じでした」
二家本さんはまだ入社して1年も経たないなか、既にいくつものイベントを担当してきた。
大学でやっていたことをさらにプロの仕事として学べるのが楽しいのだという。
「グリーンアップルってクライアントから相談されることが多いです。こういうことやりたいんですけど、どう思いますか?ってことをかなり聞かれます」
これでお願いね、じゃないんですね。
「そう、違うんですよ。たとえば、イベントでグッズをつくるのにどんなものがいいのか、アドバイスを求められることもあって」
グリーンアップルに聞けばどうにかなる、というクライアントからの厚い信頼があるのだと思う。
そういった評判は口コミで広まりやすく、いろんなところから依頼がやってくる。
「日本仕事百貨の記事を見て私が一番気になったワードは、『来年も続けられるイベント』ってところ。学生のときにイベントをやってたけど、継続でやったことがなくて、ここに入ってみて実感するんです」
「事前の打ち合わせからクライアントと話をしている先輩たちの姿を見て、学ぶことはすごく多いですね」
二家本さんと同じく2017年に新卒で入社した花堂(はなどう)さんも、こんなことを話していた。
「中島って、どんなに偉い人やすごい会社の人でも、違うなと思ったときにはハッキリと伝えるんですよね。相手方からしたら多少ムカってなるかもしれないけど、最終的にそのほうが一緒に仕事をして安心できる。そうやって信頼関係をつくっているんだなって感じていますね」
花堂さんは2017年の10月に入社したばかり。彼女も、二家本さんと同じく学生のころは自分でイベントをよく企画していた。
いまははじめて担当になったイベントのおかげで毎日がワクワクだという花堂さん。
心からこの仕事を楽しんでいる様子だ。
「先輩に指摘されて『ああ、イベントってそこまで考えなきゃだめなのか』って学ぶこともあれば、入ったばかりの私でも提案できることがあって。人によって見方が全然違ったりするので、今まで何回もやったイベントでも改善できることがあったりするんです」
「先輩たちからは『どんどん言ってね』ってよく言われます。間違えたらちゃんと違うと言ってくれるし、良ければいいねと言ってくれるんですよね」
花堂さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?
「日々の安定に幸せを求める人じゃなくて、毎日自分で発見していくことにワクワクするような人。それで楽しくなっちゃうような人がいいなと思います」
いろんな立場の人の間に立って調整するというのは大変な役割です。イベント当日は朝早くに準備をはじめて夜遅くまで片付けをしたりと、タフさも求められる。
けど、そんな大変な仕事だからこそ、仲間と共に成功させたときの喜びは大きいはず。
イベントを成功させる度にまた一緒にやりたいと思える仲間が増えていくような、そんな仕事なのかもしれません。
(2017/12/4 取材 2019/1/25 再募集 森田曜光)