求人 NEW

日常を輝かせる
日本のものづくり
おだやかな美を体感する場

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

考え抜かれたデザイン、熟練された職人の技術。

“いいもの”の背景にはたくさんの人の思考や時間が積み重なっていて、それは美しさや手ざわり、使い心地を通して使う人に伝わっていく。

積み重ねが伝わってくるものを手に取ると、気持ちがいいと感じるのはなぜだろう。

「本当にこだわって丁寧につくられたものは、生活を豊かにしてくれる。日常生活を輝かせるものはシンプルで、安心感のあるものだと思うんです」

そう話してくれたのは、NAGAE+(ナガエプリュス)の鶴本さん。

ナガエプリュスは日本のものづくりを横断し、発信しているプラットフォームブランドです。

ブランドがはじまって3年。日本各地のものづくりの技術をポジティブに組み合わせながら、アクセサリーやリラクゼーションツール、ホームウェアをつくってきました。

今回は11月にオープンした初の直営店の店長やイベント企画運営として働く人、そして販売スタッフとして働く人を募集します。

ブランドが積み重ねてきた価値を体感する場として、商品を使った飲食やイベントなども考えているそう。

自分自身も五感を使い、心地よさや上質さとはなにかを極めていくような仕事になると思います。

  

東京・外苑前。

大通りから1本入ると、カフェやライフスタイルショップが点在している。

ひっそりと佇む熊野神社の前を通ると、ナガエプリュスの本店が目に入る。

足を踏み入れてまず目に入ってくるのは、錫(すず)でつくられた壁面。

インパクトがありながらもシンプルな店舗には、落ち着いた雰囲気が漂っている。

「ブランドのコンセプトを全部つめこみました。ぶれない空間で働くって、すごく幸せで。私自身も、ずっとここにいたいくらいです」

そう話してくれたのが、ナガエプリュスの取締役兼COOであり全体のディレクターを務めている鶴本さん。

ブランドのコンセプトづくりから商品のデザイン、制作の進行管理までさまざまな役割を率先して担っている方。

取材でお会いするたびに、仕事の大変なことも楽しそうに話してくれるのが印象的。

「日本の美を感じさせつつもコンテンポラリーであり、サステナブル。上質な素材にこだわりつつ余白がある。商品をつくるときに大切にしていることを職人さんに伝えてこの空間ができました。細かなところまで付き合っていただいて、本当に感謝しています」

鶴本さんは現代アートのマネジメントを経験したあと、新潟・燕三条で真空チタンカップのブランド「SUS gallery」を立ち上げた。

その後、富山・高岡にある株式会社ナガエと一緒に生み出したのがナガエプリュス。

「美という光で世界を輝かせる」というキーワードを掲げ、日本各地の技術を活かしつつ、シンプルで現代的な商品をつくり続けてきた。

「たとえばこの錫製酒器は富山の金属加工の技術と、東京の町工場が持つ最先端の技術を組み合わせてつくりました。本来色が乗りにくいこの金属にこの鮮やかな色を出すのは大変で。何度も交渉して想いを伝えながらできたものなんです」

「今までにないものをつくるので、ときには職人さんに頼み込むこともあります。お願いしたからには、もちろん売る責任もあって。ようやくたくさんのお店で扱っていただけるようになりました」

目指しているのは生活を輝かせるあらゆるものが揃う、エルメスのようなプラットフォームブランド。

「日常に息づくおだやかな美を感じていただける日本のものづくりを、世界に伝えていきたいんです」

  

直営店をつくろうと思ったのは1年ほど前。

日本のものづくりを世界にPRしようと、フランスの展示会に出展していたときのことだった。

「ものであふれる会場で、一生懸命声を張り上げているかのような行為に疑問が湧いてきて。日本でブランドの世界観を感じていただいて、スタッフがものを語れる場をつくっていくほうが、私たちには大切なんじゃないかと思ったんです」

世界に広げていくためにも、まずは自分たちの価値を丁寧に伝える場をつくる。そこからはトントン拍子に話が進み、11月にこの本店がオープンした。

店内には鶴本さんが情熱を注いでつくってきたものが、静かに主張をしながら並んでいる。

「ネットでなんでも買えてしまう時代に、ここに来ていただく価値をつくる。それはスタッフから丁寧に商品を紹介することや、お客さまに質の体験をしていただけることだと思っているんです」

質の体験ができる場所。

その仕掛けの1つとして、店舗の奥にはキッチン付きの「小昼屋(こびるや)」と名付けられたスペースがあって、お菓子やお茶を楽しめるようになるそうだ。

「小昼というのは、北陸の職人さんたちがお昼ごはんの前後にとる小休憩のことなんです。お茶を飲んでおむすびを食べながら、自然とコミュニケーションが生まれる。そういう上質な小休憩をこの東京という都市につくりたいと思っていたんです」

「ここに座って、私たちがつくった茶器でお茶を飲んで過ごしていただく。そういう上質な時間を五感で体験していただくことで、ものの価値が伝わるといいなって。いいでしょう、このアイディア」

ものを売るというよりも、価値を体感できる場所。

お茶やお菓子などを取り寄せて日本の地域性を感じたり、酒器を使ってお酒の飲み比べをしたり。さまざまなイベントも考えていきたいそうだ。

「華やかな仕事に見えるかもしれません。でもね、お客さまやブランドが輝くように、黒子に徹する必要があるんです。それは結果として自分が輝くことにつながっていきます」

日々の掃除やイベントの下準備など、よい空間をつくるためには地道な仕事を積み重ねることが大切だという。

「中途半端にしたこと、妥協してつくったものでは人は感動しません。本当にこだわり抜いてつくるからこそ、ナガエプリュスらしいものになるんです」

店舗の運営はまだはじまったばかり。一緒に働く人とともに、どんな場所にしていくか、細かなオペレーションなどを考えていきたい。

そんな話をしていると「TIN BREATH」と名付けたピアスを身に着けた方が来店。「これをつけるとふだんの私と違うのよ」とうれしそうに話してくださった。

「こういう反応があると、本当にうれしくって。また新しいものをつくる、険しいイバラの道に進んでいく原動力になります。こうやって、いい形で自分に返ってくるんですよね」

近所で働く人が手をふって通っていったり、近くのギャラリーに来たという外国の方がふらっと立ち寄ったり。路面店だからこそ、さまざまな人が行き交う場所になりつつある。

いい気の巡る場は、どうやって生まれているんでしょう。

「近くに神社があること。常にクリーンな状態にすること。あとは、感謝の気持ちですね」

感謝の気持ち。

「お客さま、つくってくださった職人さん、関わってくださる方々。そして一緒に働く人への感謝の気持ち。小さな会社なので、すべてが揃っている環境ではないんです。大変なことも、どう楽しむか。そうやってポジティブに考えられる人と一緒に働きたいです」

鶴本さんと話していて気持ちがいいのは、このおしみない感謝の姿勢が伝わってくるからなんだと思う。

「無限の可能性がある場所でなにをしていくか。地道に、真面目に取り組んでいく人がいれば、いきいきとした場になっていくと信じています」

  

今、この場をつくっている1人として紹介してもらったのが販売スタッフの風間さん。凛とした雰囲気が印象的な方。

「私、いわゆるバブル世代なんです。いいものは高い、高いけどいいっていう価値観を持っていました。でも出産してから生活が変わって」

「娘が落書きするからいい本は買えないとか。壊してもいいお茶碗にするとか。どうしても消費的なほうに意識が向いていきました。大量で安いものがざっと並んでいるお店に頼りきって生活をしていた時期があったんです」

自分がいいと思うものを使う生活に変えたい。

そう考えるようになった風間さんは、職人とともに質の高い日用品をつくっている「東屋」で働くことに。ものづくりの現場に立ち会い、あらためて使うものを選びたいと思うようになったそう。

「職人さんが1つのものをつくるのにどれだけ時間をさいているのか、愛とプライドを注いでいるのかを目の当たりにしました」

「さらにその技術を活かして、今の世の中で通用するデザインを考えていく行程がある。買いに行く手間や値段で『まあいいか』ってものを選んでいたけれど、そうじゃないんだって実感したんです」

引き続き日本のものづくりに触れていたいと思い、知り合いの縁で働くことになったのがナガエプリュス。

店頭に立っていると、老若男女さまざまな人が立ち寄ってくれる。

長くナガエプリュスのものを使っている方から、商品のことを教えてもらうこともあるそうだ。

「目の前のマンションでデザインの仕事をしていらっしゃる方が、オープンしてすぐに来店してくださいました。すごくセンスのいい男性で。お店に入って商品を一通りみたあと、金のダルマを即決で買ってくださったんです。なんかいいねって」

「審美眼のある方にそう思っていただけることで、とっても自信がついたというか、すごくしっくりきたんです」

鶴本さんを訪ねて有名店のシェフや一流のデザイナーなど、 “いいもの”を知っている人が訪れることも少なくない。

「鶴本の熱意も入っているし、ものができるまでの想いの集大成が商品になっていて。その丁寧さや温かい重みが、商品を見たり触れたりすることで伝わるんだと思います」

ちゃんと積み重ねのあるものは、使う人に伝わっていく。

それはふだんの生活でも感じることがあるそうだ。

「娘も和食器にふれるうちに『この曲線がいいよね』とか言うようになったんです。いいものを大事に使っていくことが、次の世代にも伝えていくことになるんだなって」

「せっかくいいものがある国だから、気持ちいいものを使わないともったいないじゃないですか。もちろんシチュエーションによって使うものは変わります。私は少し背伸びしながらでも、使いたいものを選んで使いたいと思うんです」

  

取材を終えてほっと一息、淹れてもらったお茶を飲もうと湯呑みを手にとる。

うすい和紙のような手触りで、口当たりがとても軽やか。

湯呑み1つでお茶を飲むことがこんなにも心地よくなるものかと、びっくりした。

情熱を積み重ねてつくったものを伝え、手にとってくれた人の日常を輝かせる。

ここは日本のものづくりが生む心地よさや上質さを世界に伝えていくために、さまざまな挑戦を重ねる場になっていくんだと思います。

(2018/11/27 取材 中嶋希実)

2019年1月23日には、鶴本さんをお招きして「しごとバー 金属世界ブランドナイト」を開催します。どなたでも参加できますので、お気軽にどうぞ。

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