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デザインとアートが
街の日常に混ざり合う
30年後の東京

「僕たちがこれから30年かけて取り組みたいのは、アーティストやデザイナーが高いビジョンを持ってものづくりに取り組める環境をつくること。作品が発表できて評価される市場を広げていくことで、東京をひとつのクリエイティブハブシティに成長させることができると思うんです」

そう話すのは、DESIGNART TOKYOの運営代表である青木さん。

東京の街に新しいアートとデザインのイベントをスタートさせた発起人の一人です。

DESIGNART TOKYOは、表参道から原宿、渋谷、中目黒、六本木のエリアを中心に、作品の展示やイベント、パフォーマンスやトークなど、ジャンルや国籍などの垣根を越えてさまざまなクリエイションを体感できるイベント。

ものを見るだけでなく、来場者が作品を購入したり、アーティスト自身の声を聞いたり、ショップとのコラボレーションでアート作品が生まれたり。

表現する人と受け取る人が、相互に関わりながら新しい視点でデザインやアートに触れるための取り組み。

今回は、第3回となる2019年の開催に向けて、株式会社DESIGNART(デザイナート)の社員として一緒に運営に加わるスタッフを募集します。



話を聞きにいったのは、外苑前駅から徒歩5分のところにあるマンションの一室。DESIGNARTの事務局は、青木さんが代表を兼務する会社MIRU DESIGNのオフィスと共同になっている。

まずは青木さんと、昨年2018年のDESIGNART TOKYOを振り返る。

「DESIGNARTはもともと、デザインとアートを横断的に楽しめ、もっと感動のある暮らしを多くの人に体感してほしいという想いからスタートしています。家具やアート、そしてダンスもファッションもフードも、すべてが同じ場で楽しめる。東京らしい、ミックスカルチャーなイベントにしたかったんです」

「2017年にイベントが閉幕してみて、1回目は結果的に少しデザイン寄りだったという印象がありました。だから2年目はもう少しアートを色濃くブレンドしていけたらいいなと思って」

そこで2018年の開催に向けて作品制作を依頼したのは、アーティストの藤元明さんと建築家の永山祐子さんのふたり。

藤元さんが数年前から各地で展開している「2021」というプロジェクトのDESIGNART TOKYOバージョンが、青山のエイベックスビルを会場に展開されることに。

藤元さんはこれまでも、新国立競技場の建設予定地である千駄ヶ谷や、福島県いわき市など、さまざまな場所で「2021」という数字をかたどったオブジェクトを展示する活動を続けてきた。

オリンピック・パラリンピック開催が決まって以降、人々の意識が「2020」という一点にとらわれるなかで、「2021」という表現は“その先の東京”という時間軸を意識させる装置でもあった。

「2018年のDESIGNART TOKYOは、彼の活動を紹介するのにちょうど良いタイミングだと思って。いろんなものが単発的に生み出されては消費されていく社会のなかで、『もっと先を見よう』という彼のメッセージは僕らも一緒に伝えたいことでもあったから」

ガラスの壁に貼られた数字と、エントランスを入った大階段の雫状のバルーンでできた「2021」が、青山の街を歩く人たちにメッセージを投げかける。

「今回は彼の奥さんで建築家の永山祐子さんと一緒に、この『2021#TokyoScope』をつくりました。僕らは化学反応ってよく言いますけど、“アーティスト”と“建築家”という異なるもの同士が出会ったときに、想像を超えるものができるんじゃないかという期待があったんです」

正面から見ると「0」に見えるバルーンは、そのものが大きな鏡面になっていて、覗き込んだ観客を表現の一部に取り込んでいく。

バルーンにも映り込む赤いラインは青山の会場を貫き、千駄ヶ谷から六本木方面へ、つまり国立競技場と選手村となる、オリンピックの二大拠点を串刺している。

建築家である永山さんの視点が加わることで、作品の中に東京という街を強く意識させる都市軸が生まれた。

東京という街だからできる表現。

昨年の取材で話を聞いたとき、青木さんはこのイベントを「東京版町おこし」だと言っていた。

イベントとして集客するだけでなく、アートやデザインを通じて、東京や日本、社会に対する意識をクリアにしていく。

2年目のDESIGNART TOKYOを見て、青木さんの言葉の意味が少しずつ分かってきた気がする。

今年からは、銀座や新宿のエリアも展示会場として加わることになり、DESIGNARTというムーブメントは東京の街の中でますます拡張していく。

「初年度から比べると、会場も出展者も増えましたし、期間中は街全体にポスターやフラッグなどのサインが掲示されるようになって、都市を巻き込んでいるという一体感を感じてもらえるようになってきたと思います」

出展者数も、2年の間に約1.5倍に増え、海外からも多くの来場者が訪れるようになった。

作品が多くの人の目に触れる機会をつくっていくことは、DESIGNARTの目指すビジョンのひとつである、若手クリエイターの支援にもつながっている。

DESIGNARTには、30歳以下であれば出展料が免除される『UNDER-30』という仕組みがある。

「絵画や彫刻に限らず、感動を与えられるものであればジャンルは問いません。若い人たちが活躍するための起爆装置になったらいいと思うんです」

「今年そのUNDER-30の枠で参加していたアーティストで、雲の形をモチーフにした彫刻作品をつくっている南村遊さんっていう方がいたんです。展示中に海外のコレクターの目にとまって作品が売れて、この前『納品してきました』って報告しに来てくれたんですよ。うれしかったな」

この場所だから起きる出会いが、デザインやアートを担う若手のチャンスになっていく。

そんなきっかけは、運営組織のなかにもある。

「僕も若いころにイベントのボランティアを経験してこの業界に入ったからわかるんですけど、イベントだから出会える人ってたくさんいるんです」

DESIGNARTではこれまで、広報やリーフレット制作、当日の運営まで、多くの業務をボランティアスタッフが担ってきた。

ボランティアでは、実際に現場を体験できる。クリエイティブ業界での仕事を考えている人にとっては、収穫の多い場だと思う。

「僕らは結構おせっかいが好きなので、ボランティアで来てくれた方の進路の話を聞いて、その分野の人を紹介したりもできます」

「ボランティアに参加してくれる人たちは本当に真面目。だからこそ、大切な仕事の関係者を紹介できるんです。みんなで一緒に苦労しているから結束力があるし、年齢も近いからすごく仲良くなる。僕とかたまに寂しい気持ちになるくらい(笑)」

頼りがいのあるボランティアも多いことから、昨年までは多くの業務をボランティアの力でまかなってきた。

のべ12万人規模のイベントにもかかわらず、実は、事務局は青木さんを入れても常に片手で数えられるほどの人数。

もう少し事務局組織を内側から強化していきたいという思いから、今回新たに社員としてこのイベントに関わるスタッフを加えることになった。

募集するのは、ガイドブックなど配布物の進行を担う制作担当と、プレス対応などのPR担当の2職種。

「やっぱり好きこそものの上手なれっていうのはあるので、どちらもデザインとアートに関心が高いことは前提になりますね。そのなかで制作担当は、出展者さんとの丁寧なやりとりや、短い期間で印刷物の進行管理などもあるので、几帳面な人」

「もう一方のPR担当は、よりコミュニケーションに特化した仕事が多くなる。アートやデザイン、ファッションなど、媒体の特性に合わせた情報を届けられる人っていう感じですね」

どちらも、運営の核になる部分。これほど大きなイベントなのに、今まで業務委託やボランティアだけで対応していたとは。



「少ない人数で運営するのは大変だって覚悟していたんですけど、思った以上に大変でしたね(笑)。ただ、その大変さをしのぐくらい、いいイベントにできたかなと思うんです」

そう応えてくれたのは、昨年から実行委員長を務めている谷川さん。

ここで働くようになる前は、パブリックアートや展覧会企画、照明設計の仕事を経験してきた谷川さん。

もっと街や人に開かれた場所で、自由にアートを体感できる仕組みをつくりたいという思いが、この仕事をはじめるきっかけになった。

ギャラリーのような展示専門の施設だけでなく、ショップやショールームなど、いつもは違う顔を持つ会場も表現の場になるDESIGNARTは、まさに開かれたアートを実践している。

普段は入りにくい高級ブランドのショップにも、作品を見るためという「口実」があることで足を踏み入れることができる。

「そう言ってもらえるとうれしいですね。新しい人の動きを生み出すことは、僕たちの狙いのひとつでもあるので」

オフィスなど、プライベートな空間の多いビルが展示会場になることもある。

「デザイン雑誌を発行するアクシスが運営している、六本木のビルでも展示をしたんです。もともとギャラリーも入っているビルなんですけど、デザイナートの期間中は、建物全体が展示会場として使用できることになって」

中庭の吹き抜けにテキスタイルの作品を展示したり、お店の中に照明の展示をしたり。

そこに作品があることで、プライベートな空間が街や人に対して開かれていく。

「普段はビジネスのために使われる場所に突然作品が現れて、空間を変えてしまう。いつも仕事で訪れる人も、その変化に驚いたはず。都市という舞台ならではの面白さも感じてもらえたんじゃないかと思います」

「美術館やギャラリーじゃなくても、街の中でおもしろい体験ができるっていうことを実感してもらえたらいいですね」

ただ、専用の施設以外の場所での展示には、法的な手続きや安全面の配慮など、細心の注意を払うケースも多かった。

新しい試みを成功させるために、事前にしっかり準備をしておくことも、事務局の大切な役割になる。

「これから出展者も増え、エリアも拡張する。規模が大きくなる分、しっかり丁寧にやらないといけないなということはありますね。つくっている人と受け取る人、その間をきちんと橋渡しするのが僕らの仕事だと思うから」

「デザインもアートも、受け取り方は人それぞれ自由でいいと思う。僕たちはきちんと『感じたままでいいんだ』っていうことを伝えていきたいんです」

アートやデザイン、知識や場所に対する敷居を越えて、もっと楽しめる環境をつくっていく。

ただ単に一過性のイベントではなく、社会と表現の関係を問い直すための取り組みでもあります。

アートやデザインが日常に当たり前のように存在する。東京がそんな街になる日まで、DESIGNARTの挑戦は続きます。

(2019/1/22 取材 高橋佑香子)

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