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【西粟倉10の生き方:その7】
この村で、同じ時間を生きる
ごちゃまぜ社会のつくり方

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

手がかかる子どもの笑顔に元気をもらったり、おばあちゃんの話し相手になるつもりが、いつの間にか自分の悩みを聞いてもらっていたり。

障がいのために周りより作業のペースがゆっくりでも、人一倍集中力を発揮できる人がいたり。

どちらか一方が「してあげる」関係ではなくて、お互いを認めて、お世話をしたり元気をもらったりし合いながら一緒に暮らしていく。

NPO法人じゅ〜くが活動のテーマにしている「ごちゃまぜ社会」というのは、たとえばそういうことかもしれません。

障がいのある人が生き生きと暮らしていくために。

NPO法人じゅ〜くでは、「就労継続支援B型作業所」と「相談支援」、小・中学生を対象とした「放課後等デイサービス」の3つの事業を運営しています。今回はここで一緒に働く人を募集します。

ちなみに、遊び心のある法人名の由来は、「社会に出るための塾」とのこと。

小さな村ではじまった、福祉の挑戦。気になったらぜひ、読んでみてください。


向かったのは、岡山県・西粟倉村内にある旧影石小学校の2階。歴代の校長先生の写真がずらりと並んだ教室が、NPO法人じゅ〜くの事務所になっている。

話を聞くのは、お父さんと一緒に法人を立ち上げた大橋由尚さん。とても穏やかで優しい話し方をしてくださる方です。

西粟倉で生まれ育った大橋さんは大学で福祉を学び、一度神戸で就職。その後村に戻り、高齢者向けのデイサービスで働いていた。

「最初は介護なら食いっぱぐれないだろう、くらいの気持ちだったんです。今振り返ってみると、うちは兄が知的障がいを持っていたり、おばあちゃんが認知症になったり、母が養護教諭で姉が看護師っていう、医療や福祉に縁のある家庭だったなあ」

法人設立の話を持ちかけたのは、役場で働いていた大橋さんのお父さん。資格も活かせるし挑戦してみようと、手探りで事業をスタートさせた。

まずは、学校の1階で就労支援のための作業所「プラスワーク」を。翌年には、障がいのある人の生活をサポートする相談支援の事業「コネクト」がはじまった。

「当時は立ち上げることに精一杯で、活動を維持するために事業を大きくしていくことばかり考えていました。それが、村のなかでいろんな人と話をするうちに、本当に自分がやりたいことがわかってきて」

本当にやりたいこと。

「障がいのある人たちのいいところを、もっと発信していきたいんです。踊るのが大好きな人や、最高の笑顔を見せてくれる人、面白い絵を描く子もいる。彼らの一瞬の表情とか生き生きとした姿を、一緒に面白がれる仲間をもっと増やしたいんですよね」

物販やイベントなどの場づくりやSNSでの発信など、新しく入る人も一緒に届け方を考えられたらいいのかもしれない。

「僕はずっと障がいがある人に対して、何かしてあげないといけないと思っていたんです。一般的な福祉施設でも、どの職員も同じ『サービス』を提供しているような部分も多くて。それが悪いとは思わないんですけど、じゅ〜くではもう少し、それぞれの持っている力を大切にしたいんです」

たとえば作業所のなかでも、紙折の作業をずっと続ける集中力のある人や、パッと見ただけで物の数がわかってしまう人など、その能力に驚くことも多いという。

「一人ひとりに合わせた活動を」という思いはあるものの、人手不足で対応しきれない部分もあるのが現状。

「できればそれぞれの事業のヘルプに入れる人がいたら助かります。資格を持っている人だとうれしいけど、ここに来て働きながら資格を取るというのもいいと思います。今、相談支援の仕事をされている方も、もともとはヘルパーだったんです」

福祉関係の資格に限らず、保育士や学校の教員免許を活かせる仕事もある。

昨年の6月からスタートした新しい事業、放課後等デイサービス「Awesome!!(オーサム)」は、障がいを持つ子どもたちのための学童保育のようなもの。

「放課後や休日に子どもたちが通ってきて、ここで自由に自分のやりたいことをやる。障がいのある子は、学校のような大きな集団に適応できなくて、窮屈な思いをしていることもあって。それを発散する場になったらいいなと思うんです」

雪遊びをしたり、木工の端材や段ボールを使って工作をしたり。

西粟倉には自然もたくさんあるし、ものづくりをしている起業家も多い。その豊かな環境のなかで、本当に自分が楽しいと思えるものを見つけてほしいと大橋さんは言う。

そういう場所があることが、生活の支えになっている子もいるはず。

「ただ、僕はデイサービスを地域の学童と分けることにすごく違和感があって。いつかは一緒にできたらいいなと思うんです。やることは分けてもいいけど、時間と場所を分けないっていうのが一番大切じゃないかな」

「子どもだけじゃなくて大人もそうなんです。グループホームのような生活の場も、障がいのある方だけじゃなくて、高齢の方が一緒に暮らしていたり、子どもが出入りするような仕掛けをつくったりしたほうがいいと思う」

大人も子どもも、障がいのある人もそうでない人も、ごちゃまぜに。たしかにお互いに助けたり、元気をもらったりし合いながら関わっていくほうが、自然なのかもしれない。

とはいえ、仕組みの整った専門の施設にはない大変さがあるようにも思う。

ここで働くなら、どんな人がいいでしょう?

「そもそも人口の少ない村で、障がい者福祉をやっていくこと自体がチャレンジなので、あんまり枠にとらわれすぎなくてもいいかなと思っています」

「それに田舎特有の自由さもあるし、役場との距離感も近い。村全体が応援してくれているっていう感じはあります。僕らの挑戦を見て『地域でも、できるんや』って感じてくれる人が増えたらいいですね」

いつかできたらいいなと思う社会のこと、この小さな村なら実験できるかもしれません。

(2019/2/8 取材 高橋佑香子)

※NPO法人じゅ〜くも参加する、西粟倉村内の企業の合同説明会「小さな村のしごとフェス」が3/21に、大阪・心斎橋のW CAFEで開催されます。

日本仕事百貨では、イベントに参加する9つの企業を紹介しています。いろんな仕事があるので、西粟倉のことが気になったら、まずは読んでみてください。

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