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昔ながらの商店や居酒屋、オフィスビルが入り混じる、東京・東上野。昨年11月、野村不動産がこの地域にひとつのホテルをオープンしました。
名前を“NOHGA HOTEL(ノーガ ホテル)”と言います。

「地域に根付く」ことを大切に考え、地元・台東区でつくられたプロダクトを客室に取り入れたり、地域のものづくりの会社と共同でワークショップを行ったり。
宿泊客におすすめするお店もすべて、スタッフが実際にまちを歩いて訪れた場所です。
今回募集するのはフロントのサービススタッフと、マーケティング・プロモーション担当。まずは上野のスタッフとして、今後は秋葉原に来夏オープンする新店舗で働く可能性もあるそうです。
上野駅から5分ほど歩き、NOHGA HOTEL UENOに到着したのは朝の10時ごろ。
ちょうど朝食の時間が終わるようで、心地いいBGMのかかるラウンジでは数組のお客さんがゆったりと食後の時間を過ごしている。見たところ、海外からのお客さんがとても多い。
ホテルの外もこれから出かける人たちで賑わっていたし、以前訪れたときよりも格段に多くの人が集まっている気がする。
「稼働率も上がってきましたし、認知されてきた実感がありますね。約7割は海外からのお客さまで、ここでの宿泊を楽しみに訪れてくれているのを感じます」
そう話すのは、野村不動産ホテル事業部の長友さん。現在は、秋葉原にできる2号店の開発を担当している。

「僕は昨年の4月に入社して。上野の開業準備を手伝いながら、2号店のプロジェクトにも取り組んできました」
「でも実は最初のころは、NOHGA HOTELがどんなものを目指しているのか、はっきりと掴めていなかったんです」
前職は鉄道会社でホテル事業に携わっていた長友さん。国内外でビジネスホテルやシティホテルの開発を手がけてきたものの、NOHGA HOTELが目指すホテル像は既存のものとは違っていた。
「開業前に、フランスやイギリス、スウェーデンで50件くらいホテルを見てきました。そこでやっと『NOHGA HOTELがつくりたいのはこういうホテルなんだ』という像が見えてきたんです」
1000年以上の歴史があるヨーロッパのホテル文化。ホテルとその周囲に住む人たちの関係性が、日本とはまったく違っていた。
「地域の人たちがすごく気軽にホテルを使うんです。宿泊客でなくても朝食やディナーを食べにくるし、ラウンジでお茶やお酒を飲みながらビジネスのミーティングをしている。生活のなかに、当たり前にホテルがありました」
「これが『地域に根ざす』ってことなんだなって。僕らが目指していくのはこういう姿なんだと、はっきり感じることができました」

NOHGA HOTELでは、宿泊者に限らずラウンジを開いている。近所の人たちがランチに利用してくれたり、夜は気軽にお酒を飲みに来てくれたりするという。
「オープンなラウンジはNOHGA HOTELのベースとなるので、2号店でも大切にしていきたいと思っています」
2020年に2号店がオープン予定の秋葉原。上野とはまちの雰囲気がまったく違う。
最初に秋葉原と聞いたときは、少し意外に感じました。
「はじめて予定地を見に行ったときは、『すげえ場所でやるなあ!』と僕も思いましたよ(笑)。ただ、独自の地域性があるという点は上野と共通しています。カオスな感じが面白いんですよ」

電器店やメイドカフェがある一方で、神田明神や湯島から近く、下町の風情も残っている。
「通えば通うほど、いろんな顔が見えてくるんです。地域の歴史と新しい文化が融合しているのが面白くて。すでにチームメンバーで、地域の面白いお店の発掘をはじめています」
たとえば、どんなお店ですか?
「東洋計測器という、音や振動を計測する機器を専門に扱う会社があって。そこが夜になるとバーをやるんです。計測器のある店内で、いい音楽を聞きながらお酒を飲む“計測器バー”、面白いですよね」
ほかにも、秋葉原界隈には印刷会社も多く、活版印刷屋さんも何軒かあるという。
地域の会社とどのようなコラボレーションができるか、探っている最中だそう。
「上野は伝統的なものづくりのまちなので、プロダクトを通しての発信に力を入れてきました。秋葉原の場合は、より秋葉原のまちにフィットするかたちで地域を発信していきたいんです」
秋葉原にフィットするかたち?
「秋葉原って、カルチャーの発信地というか。二次元やアイドル、オタク文化のイメージが強いと思います」
「それに限らず以前の秋葉原は、電子部品やパーツ、レコードやオーディオ、スピーカーのマニアが多かったみたいで。このNOHGA HOTELは、世界中のクールでクリエイティブなオタクが集まるホテルにしたいと思っているんですよ」

新しく入る人が、オープニングスタッフとして働く可能性もある秋葉原店。
長友さんは、どんな人と一緒に新しいホテルをつくっていきたいですか?
「前向きで積極的な人ですね。新しい場所なので、チャレンジングなことができますし。いいホテルをつくっていくためのアイデアをどんどん出してくれる人と働けたらうれしいです」
今、NOHGA HOTELで働いているのは、どんな人たちなんだろう。
フロントサービスの仕事について教えてくれたのは、佐藤さん。昨年の7月に入社し、開業準備の段階からNOHGA HOTEL UENOで働いている。

NOHGA HOTELのコンセプトを知ったときに、ここなら自分が思い描く接客ができるように感じたそう。
日々の仕事は、フロントでのチェックイン・チェックアウトや、宿泊客に対してのコンシェルジュ業務がメインになる。
「コンシェルジュ業務では、お客さまからおすすめのお店を聞かれることが多いです。ちゃんと実体験に基づいたご案内ができるように、スタッフには毎月調査費が支給されるので、自分たちもよく地域のお店を訪れています」
今までに訪れたお店についてスタッフが書いたレポートは200枚にものぼるそう。それをみんなで回覧し、案内に活かしている。
「わたしはパン屋さんが好きなので、自分がプライベートでも行くお店を紹介します。逆にラーメン屋さんとかお寿司屋さんにはあまり詳しくないので、レポートが参考になりますね。近くのお店だったらちょっとフロントを抜けて案内に行くこともあります」
「これを紹介するべきとか、紹介してはダメとか、そういう制限はないので、自分たちが本当におすすめできる場所をお伝えしています。お客さまと話すときも、自分が話していて楽しいと思えることを話題にできるので、気負うことなく接客ができるんですよね」

つい最近、「想像していた部屋と設備が違う」という声をお客さんから受けたそう。
まずは話を聞き、要望に合いそうな代わりの部屋をいくつか探して案内した。ここまでは、決まった対応のやり方。
「ご案内をしながら少しでも空気を和らげようと思って、フライトどうでしたか?って思い切って話しかけてみたんです。そこからだんだん会話が広がって、いろいろな話をするうちに心を開いてくれたように感じました」
滞在中もそのお客さんを見かければ、必ず声をかけて、困っていることがないか聞いていたという佐藤さん。だんだんと名前で呼んでくれるようになり、チェックアウトのときには、握手をして別れるような関係になれたそう。
お客さんと従業員という決まった関係ではなく、人対人として向き合っているような感覚なんだと思う。

今回募集するもうひとつの職種が、マーケティング・プロモーション。
現在担当しているのが、この場所の立ち上げから関わっている中村さん。コンセプトの決定や地域の人たちとの関係性づくりなど、NOHGA HOTELの基盤をつくってきた方だ。

「マーケティングやプロモーション業務に関わること全般ですね。Web サイトやSNS、その他制作物関連のデザインやディレクションから、テキスト作成や写真撮影、広告出稿といった日々の運用まで。サイトのPV数や滞在時間、予約完了まで至ったかどうかを国別に分析して、ひとつずつ改善しています」
「宿泊予約チームと一緒に宿泊プランを考えたり、レストランチームと一緒に季節ごとのメニューを考えたり。プレスリリースの作成や取材対応、イベントの企画・運営も僕らの仕事ですね」
話を聞いていると、仕事はかなり幅広いし、ホテル全体のブランディングに関わる責任重大な仕事に感じる。立ち上げから関わってきた中村さんが担当しているのにも頷ける。
新しく入る人は、どんなスキルや経験のある人だといいのでしょうか。
「さっき挙げたことのなかでひとつでも経験があったら理想的です。ただ、“地域とのつながり”とか、お客さまとフラットに関わる感覚とか、そのあたりの価値観に共感していることのほうが大事だと思っていて。NOHGA HOTELの顔になるとも言える仕事ですから」
これまでも、同じ台東区の会社である「トーキョーバイク」と一緒に地域を案内するツアーを開催したり、文具店「カキモリ」の万年筆で手紙を書くワークショップを企画したり。
中村さんたちマーケティング・プロモーションチームの主導で、毎月のように地域に関わるイベントを開催してきた。

「ここが完成する前から思っていることなんですけど、ゲストはもちろん、まちの人からも好かれるホテルになってほしいと思うんですよね。あのホテルができてよかったって、誰からも言ってもらえるような」
新しいホテルの存在は、少なからずその地域の景色に変化をもたらすことになる。
地元の人との関わりを大切にしながら、景色の一部に溶け込むようなホテルをつくっていけるといいのかもしれない。

NOHGA HOTELで働く人たちは、まず自分がその関わりを楽しんでいるような気がします。
スタッフが楽しんでいれば、訪れるお客さんも良い気分になるだろうし、またここに来たいと思うきっかけにもなるかもしれません。
まちを歩いたり、いろんな人と会話をしたりするのが好きな人なら、きっといい空気をこのホテルに持ち込むことができると思います。
(2019/5/17 取材 9/24再取材 増田早紀)