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いつも本気で、気持ちよく
まちにテントを
手に職を

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「うちの会社がテントの仕事で食べていけるのは、私も含め何かひとつの技術に長けているわけではなくて、最初から最後まで全部やれるから。手に職って、技を持っているだけじゃなくて、自分でその仕事を取ってくるところがはじまりだと思うんですよね」

そう話すのは三鷹テントの代表・菊地信和さん。

三鷹テントは、その名の通り東京・三鷹にあるテントの会社です。お店などの入り口部分に取り付けるテントのデザインから製作、施工までをすべて担っています。

今回募集するのは、その一連の仕事すべてに携わるスタッフ。

最初から最後まで、一貫して自分の手でものをつくりたい人に、ぜひ知ってほしい会社です。


JR中央線の三鷹駅。通常ならここから10分ほどバスに乗るのだけれど、この日は代表の菊地さんがわざわざ車で迎えに来てくれた。

三鷹テントを訪れるのは、前回の取材以来。

オフィスに到着して一息ついてから、あらためて最近のことを聞いてみる。

「たいして変化はないけどね。事務所と作業場がより散らかっているくらいかな。言い訳になっちゃうけど、片付けする時間がないんですよ」

そう言いつつ、どこか楽しげな菊地さん。忙しくも充実した毎日なんだろうなと伝わってくる。

菊地さんが、義理のお父さんの経営する三鷹テントに入社したのは12年前。

家具づくりの仕事に長く取り組んできた経験を活かして、それまで扱っていなかったデザイン性の高いテントにも積極的に取り組み、仕事の幅を広げてきた。

営業活動はしておらず、ホームページからの問い合わせを通じてはじまる仕事がほとんどだという。

お施主さんは、テントのことをまったく知らないという場合も多い。菊地さんたちはプロとして、希望を叶える方法を考えていく。

「大切にしているのは、『責任を持ってできる仕事なら、どんなことでもできる限り対応していく』ってこと。要望があれば、ファサードやテントに関係のない内装だってやるし、相手によって仕事内容も変わります。うちがやるのがベストだと思えば、ですけどね」

「たとえお客さんの要望でも、もっと良い案があると思ったら正直に言います。ときには『テント付けなくてもいいんじゃないですか?』とかね(笑)。いいものをつくるために、対等な立場で仕事をしていきたいと思っています」

どんなことにも信念を持って、はっきりと答えてくれる菊地さん。だからこそ、信頼して仕事を依頼できるんだと思う。

コロナ禍で、これまで仕事の大半を占めていた店舗からの依頼は減少。一方で、増加しているのは個人宅からの依頼。庭に日よけタープを設置するなど、家で過ごす時間を充実させるためにテントを選ぶ人が増えているのだそう。

加えて最近は、建築家の長谷川豪氏が参加したアートプロジェクトでのテントなど、難易度の高い仕事も多い。

「この作品は結構苦労しましたね。何度も打ち合わせて、理想通りにつくれるか模型も作成して確かめて。制作は社員総出でやりました」

アクリルの筒が床からすっと出ているように。上部の接合部分はすっきりさせたい。建築家さんのこだわりをどうすれば形にできるか、試行錯誤しながら進めていった。

「こういうイレギュラーな案件が、最近は全体の半数くらいになっちゃって。私もはじめて取り組むような仕事ばかりです。だからそれに合わせて、社員もスキルアップしていかないと厳しい」

「わからないことだらけでも、どうすればつくれるかっていう思考ができるように。お客さんとの交渉とか、外部の人との連携とかいろんなことが求められるので、すぐにできるとは思わないけど、そうなれる素養があるといいですよね」

現在三鷹テントで働くのは、菊地さんを含めて4人。取り付け作業で協力業者さんにサポートしてもらうことはあるけれど、基本的にはすべての仕事を、このメンバーで分担して行なっている。

菊地さんは、社員のみなさんにどんなふうに仕事を教えてきたんですか?

「どんなふうに? …そうね、教えられることはすべて教えますよ。ただ私だって、当然経験していないことはわからないんです」

「だからみんなには、まず『考えてみて』って言って、とにかく考えてもらう。困っていたらもちろんアドバイスはするし、手も出す。ただ最終的には、自分で考えて、自分で解決できるようになってほしいと思います」

お客さんに満足してもらえるものをつくるために。デザインや納め方、機能性、いろいろなことを考える必要がある。

誰かをあてにせず、自分で稼いでいく力を身につけたいって思える人だといいかな、と菊地さんは話す。

「自分が受注した案件で、お客さんの顔を思い浮かべながらつくると、生地の縫製ひとつでも気持ちの入り方が全然違ってくる。お客さんと最初から最後まで仕事をする機会を持てるのは、うちみたいな小さい会社のいいところなんですよね」

「テントの仕事は最低限ハサミとミシンがあれば開業できるし、ライバルも少ないから悪くない業界だと思うよ。ここで学んだことを生かして将来独立したっていい。『もし私が急に死んじゃったらどうする?』って冗談で聞くと、相馬くんは『自分でやる』って言いますから(笑)」


そんな相馬さんは、通信機器などの営業の仕事を経て、6年前にこの世界に飛び込んだ方。今は頼もしい戦力となっている。

「子どもが生まれたんですよ。だからもっとがんばんないとなって。最近はイレギュラーな案件に菊地さんが掛かりきりのことが多いので、個人宅の案件など僕ができるものは任せてもらっています」

入社当時はまったく経験がなかった縫製の工程も、今では難なくこなせるようになった。

「そんなに難しくないんですよ。ミシンの扱い方がわかれば、あとはまっすぐ縫うだけなので、縫製未経験の人でも大丈夫だと思います」

テントづくりで大切なのは、細かな縫い目の精度よりも、取り付けたときにシワなく、美しく見えること。

逆に言えば、それだけ最後の取り付けの工程が大切、ということでもある。

今相馬さんは、そんなテントの取り付けのほとんどに関わっているという。

「現場では、協力会社の職人さんとの作業が多いです。ひとつ取り付けるのに、1〜3時間。一日2件行くこともあるし、複雑なものだったら一日がかりのこともあります。遠いところだと早朝に出発することもあるので、それは少し大変ですかね」

以前の取材で、現場は夏の暑さが大変だという話を聞きました。

「ああ、そうでしたね。でもそのあと菊地さんがいろいろ買い揃えてくれて(笑)。今はいい扇風機もあるし、空調服もあるし。最近は離れた位置からも話ができるようにレシーバーも導入されて、どんどん快適になっていますよ」

取り付け作業は力仕事。人によっては、難しい部分もあるのでは?

「小さいテトから経験してコツを掴めば、難しくはないと思います、考えた通りにきれいに納めるには自分自身での作業が必要ですね。自分たちだけでは難しい大型テントなどは外部委託して、管理にまわることもあります。ただ、やっぱり直接現場に行かないとわからないことはありますからね」

すべての工程に関わることを強要するわけではないものの、自分のできる範囲で、前向きに関わることが大切だと思う。


最後に話を聞いたのは、日本仕事百貨の記事をきっかけに、3年前に入社した川島さん。

もともと美術大学でテキスタイルを学んでいたこともあり、ものづくりの仕事に興味があったそう。

「新卒では、ものづくりに関わる人たちを応援する仕事がいいなと思って、雑貨屋さんで働いていました。だんだんと自分でも何かつくりたいと思うようになっていたころに、偶然三鷹テントの記事を見つけたんです」

実際に働く人たちに会ってみたいと、応募前には日本仕事百貨主催のしごとバーにも参加した。そのイベントのときから「この会社は自分に合っている!」とはっきり感じていたんだそう。

三鷹テントのどんなところに惹かれたんですか?

「ものづくりの仕事はもちろんですけど、それだけじゃなくて。デザインや納まりを考えるのには頭も使うし、現場では身体も使う。すごく人間らしい仕事だなと思ったんです」

「それと、まちづくりにも興味があって。テントってまちの景観をつくるものだから、ちょっとでも好きなまちの一部に関われたらうれしいなって。今、思った通りの仕事ができている感じがして、すごく幸せです」

最初は縫製の仕事から。その後は見積や図面作成の手伝いなど、できることを少しずつ増やしてきた。

入社して半年ほどで、担当の案件を持つように。現場の仕事は相馬さんにも手伝ってもらいながら、一連の仕事に携わっている。

少人数の会社だから、一人ひとりの裁量も大きい。たとえ新人でも、お客さんの要望に応えられるなら、仕事のやり方は自由に考えて進めていいという。

「信頼して任せてくれているなって感じます。今までの自分だったら、何か経験のないことに取り組むときに不安になっていたんですけど、今は『やってみないとわかんないし!』って。まず挑戦してみることが当たり前になってきました」

自分で考えながら仕事のすべてに関わる。目の前の人と向き合い、テントを一つひとつ形にしていくなかで、川島さんは成長してきたんだと思う。

「これ、はじめて担当した案件なんです」と、一枚の写真を見せてくれた。

小平市の住宅街にある、アンティーク雑貨のお店なんだそう。

「個性的な柄でしょう。店主さんの希望だったんですけど、生地単体で見たときは『どんな仕上がりになるだろう?』って少し心配でした」

でも、しっかり馴染んでいる感じがします。

「それが、実際取り付けてみたらすごくお店の雰囲気に合った素敵なものになって。お店の方と力を合わせて、いいものができました」

内装の世界観や、建物全体とのバランス、お店の人の想いなど。さまざまな要素を考慮しながら、お店の顔となるテントをつくっていく。

前垂れのフリルの形状ひとつとっても、いろいろなパターンがあるという。

「一緒に洋服を選ぶみたいに、おしゃれなデザインを提案できたらいいなって。派手な作業ではないけれど、すごく楽しいです」

川島さんは、三鷹テントで働くならどんな人がいいと思いますか?

「やっぱり、社長の話に納得できる人ですかね。基本的にすごく優しいけれど、『ここ直して』とか『もっと考えて』とか、必要なときははっきりと言う方なので。菊地さんの考え方好きだなって思えたら、きっと頑張れると思います」



テントづくりの最初から最後まで関わる仕事。地道にコツコツ取り組む作業もあれば、クリエイティブな発想が求められるときもある。

どの仕事にも責任を持って取り組むからこそ、ここでしか得られない技術や経験を身につけることができるはず。

三鷹テントのみなさんは、とても気持ちよく仕事をしているように感じました。

ものづくりが好きで、生業にしたいと思う人が、この仲間に加わってくれたら嬉しいです。

(2019/10/25 取材、2021/11/30 再編集 増田早紀)

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