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「遠く離れた海外のものでも、インターネットで手軽に買えるようになって。だからこそ旅に出る目的は、ものじゃなくて“体験”を得ることが中心になっていくと思うんです。映像やVRでは味わえない、文化や情報、人との出会い。ホテルは、そんな体験を得られる重要な場のひとつになっていくと思います」そう話すのは、株式会社グローバルエージェンツの代表・山﨑剛さん。
グローバルエージェンツは、“ソーシャルアパートメント”を企画運営してきた会社。ワンルームマンションでありながら、充実した共用部を持つソーシャルアパートメントは、入居者同士の交流を重視したライフスタイルを送りたいという若年層を中心に、人気を集めています。
そこから派生し、人と人との出会いや交流を生む空間設計やサービスにこだわったホテルや飲食店も展開。ホテルは現在、全国に13棟を構えています。

接客に加えて、人事労務から会計、マーケティング・PRなど、仕事は多岐にわたるものの、ホテルでの勤務やマネジメントの経験は問いません。
取り組んだことのない業務の知識やスキルについては、ほかのスタッフがサポートしてくれるので、働きながら学んでいけば大丈夫。
今までマネージャーという立場になったことがなく、これから挑戦してみたいという人にも、門戸は開かれています。
渋谷駅から玉川通り方面へ10分ほど。大通りから脇道に入ると、賑やかだった空気がガラッと変わり、落ち着いた雰囲気になる。
マンションや小さな飲食店が並ぶ通りの一角に、グローバルエージェンツのオフィスを見つけた。

地下のミーティングルームでお話を聞いたのは、代表の山﨑剛さん。
フランクな雰囲気でありながら、一つひとつ丁寧に、しっかりと説明をしてくれる方。

学生時代、留学先のロンドンでルームシェアをしていたことをきっかけに、人が集まる場所をつくり出したいと思うようになった。
「住む」だけでなく、「交流」が生まれる場に。そんな考えから生まれた、新しい居住スタイルであるソーシャルアパートメント。
年齢や国籍、職業も異なるさまざまな人たちの出会いは、入居者にとって刺激になり、ときには自分の仕事や人生を考えるきっかけになることもあるという。

そんな想いから、ソーシャルアパートメントで培った経験を活かしてはじめたのがホテル事業だった。
「旅先での出会いってすごく大きなもので、旅の一番の思い出になることもあるじゃないですか。しかも今は、SNSを通じてその後もつながりを持ち続けやすくなった」
「これだけ多くの国から人が集まってきて、かつ地域の人でも気軽に入りやすい場所って、ホテルくらいだと思うんです」
たしかに、偶然出会って意気投合した旅行者や、親切にしてくれた現地の人のことは、その後もふと思い出すことがある。
「人との出会いはもちろん、その土地ならではのデザインやアート、文化との出会いも含めて、最大限の価値を提供できる施設をつくっていきたいと思っています」
たとえば、1980年以降に生まれたミレニアル世代をターゲットとした進化型のカプセルホテル“The Millennials”や、テクノロジーを活用したサービスやDJによるライブイベントなど、あらゆる面から非日常体験を演出する “THE LIVELY”など。
グローバルエージェンツは、2013年の1号店のオープン以来、出会いを生む場づくりを重視し、ホテル業界の常識にとらわれない個性的な施設を運営してきた。

ビジネスホテルのように宿泊に特化したホテルがほとんどのなか、宿泊者以外も利用できるレストランやバー、コワーキングスペースなどを併設し、定期的にイベントを開催するなど、交流を生むための取り組みを続けている。
接客マニュアルもつくっていない。均質で整ったサービスというよりは、スタッフそれぞれが自分で考え、目の前のお客さんに対してベストなサービスを行うことを心がけている。

接客スタイルもなるべくカジュアルに。まずはスタッフに話しかけやすい雰囲気をつくることから、リラックスした場の空気が生まれていく。
ホテルのバーでは、フリードリンクの時間を設けたことで人が集まるようになり、個人の旅行者同士がつながりやすくなった。ラウンジで開催されるアコースティックライブやワークショップなどのイベントも、非日常の体験をともにすることで会話が生まれるきっかけになっている。
余白のある空気感が、ゲスト同士のつながりを生みだしてきた。
「意図的につなげようとしなくても、いい空気が流れていれば自然と交流は生まれていくんです。隣の人とちょっとした会話が生まれたり、そこにビリヤードがあったら一緒にやってみたくなったりね」
たしかに、「隣の人に話しかけていい場所なんだ」とわかると、コミュニケーションも生まれやすくなるかもしれない。
旅先だとオープンな気持ちになりやすいから、ちょっとしたきっかけさえあればいい。

「ホテルのマネージャーって、一部署のトップというより、一つの会社の社長みたいなものだと思うんです」
社長、ですか。
「表に立つフロントから、裏方の経理や清掃まで、一つのホテルのなかにはさまざまな仕事をする人がいます。いろんな機能のチームをまとめ上げるトップになるわけですから、求められることは幅広いです」
ざっと実務を並べてみても、会計管理や分析からスタッフの人事労務、ゲスト対応、マーケティングやプロモーションなど。さまざまな面から、ホテルの運営に必要なことを担っていく。
ある程度の経験がないと難しい仕事に感じます。
「たしかに関わる仕事は多岐に渡ります。ただ、全部の経験を持っている人なんていませんから。はじめてのことは学んでいけばいいし、ほかのスタッフとうまく役割分担してもらえればと思っています」
マネジメント経験やホテルでの勤務経験もなくていい。
これも、従来のホテルの形にとらわれないグローバルエージェンツならでは。
「ホテルで働いたことがないなら、アルバイトと一緒に接客を学ぶところからはじめていいと思っています。ただ何かしら、バックグラウンドとして積み上げてきた得意分野は持っていてほしいですね」
たとえば今マネージャーとして働いている人のなかには、ローカルなつながりを活かして、その土地ならではのイベントをどんどん開催している人もいれば、そういったイベント企画はスタッフに任せて、裏方の人事管理を得意としている人もいる。
どんなパターンでもいいので、その人自身の強みを活かして働いてほしいという。
「自分が今まで培ってきた経験を活かしながら、マネジメントを一通り学べる機会として、チャレンジしてみたいという人は歓迎ですね。人が良ければ組織は大失敗しないので、心配しなくて大丈夫ですよ」

新しくマネージャーとして入る人も、これまで働いてきたスタッフたちへのリスペクトを持ちながら、自分らしいやり方を考えていけばいいと思う。
山﨑さんはどんなふうにスタッフと接しているんですか?
「話すときはフランクな雰囲気ですし、些細な相談もたくさん受けます。それと、スタッフには自分で考えて行動できるようになってほしいので、何か相談されたときに判断を伝えるだけでなく、そこに至った考え方まで伝えています」
考え方まで伝える。
「考え方を理解していれば、似たようなケースに遭遇したときに、今度は自分で考えて答えが出せるようになるんです。そうすると裁量が広がって成長につながるし、任せられるから結果として僕自身も楽になる」
ホテル事業部では毎週、山﨑さんと全施設の社員でオンラインミーティングを行っていて、トラブルの報告や判断に困るような問い合わせがあった場合は、その場で解決していくという。
たとえば最近は、キャンセルNGのプランを予約したお客さんから、用事ができてしまったので代わりに友人を宿泊させてもいいか、という問い合わせがあった。
この場合どうするべきか、相談を受けた山﨑さんは「許可しない」という判断をした。
「一見問題なさそうに見えますよね。でも、一旦このリクエストを受けると、オペレーションがすごく煩雑になってしまうんですよ。受けたスタッフと、当日のフロントスタッフの間の引き継ぎにミスがあると、トラブルになる可能性もありますし」
「どこまでお客さんのためにやってあげるか、逆にどこまでをルールだからと断るか。僕自身も、いまだに難しいなと思います。会議で多くの事例を共有することで、その線引きをみんなで共有しています」
マニュアル通りという対応がないぶん、今までの事例をもとに、スタッフそれぞれが自分で考えて判断する必要がある。
マネージャーとして入る人も、スタッフとともに考えながら、ホテルを形づくっていってほしい。

「以前はホテルって、旅行代理店が用意したラインナップから選ぶものだったんです。でも今は個人で予約するのが当たり前になって、好みのホテルをちゃんと選びたいという人たちが増えている。旅におけるホテルの重要度が大きくなっているんです」
「だからこそ、共感してくれる人たちにきちんと訴求して、選ばれるホテルをつくっていきたい。既存の価値観にとらわれずに、新しい形のホテルを一緒につくりたいと思う人に来てもらえたらうれしいです」
グローバルエージェンツが目指すホテルの形から、社内のコミュニケーションのあり方まで。さまざまなお話を聞くことができた取材でした。
もし山﨑さんの考えやグローバルエージェンツがつくりたいものに共感したなら、次のチャレンジの舞台に、ここを選んでみるのもいいかもしれません。
(2019/12/6取材 増田早紀)