求人 NEW

主役は地域
まちづくりを支える
黒子の黒子

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表には出ないけれど、実は活躍する人を裏で支えている。そんな黒子のような働きをかっこいいと思う人、いるのではないでしょうか。

目指すべき方向にむかって全力で走れるよう、ときにやさしく、ときにきびしく声をかけてサポートする。

今回紹介するのは、まさにそんな働きをしている人です。

株式会社NOTEは、全国各地で古民家活用を軸にした地域活性事業を手がけている会社。

地域の課題を探り、ときには地域の人と一緒にまちづくり会社を立ち上げ、一蓮托生で事業を進めていく。一時的な効果ではなく、地域の人たちの力で継続するまちづくりをめざして伴走しています。

今回は、全国各地で活動するメンバーを影で支える財務経理スタッフと、地域で事業を進めるプロジェクトアシスタントを募集します。


NOTEの本社があるのは、兵庫県の丹波篠山(たんばささやま)。大阪から電車で1時間弱で行ける城下町で、一部にかつての武家や商家を残す、趣のあるまち。

その町並みの一角にあるのが、NOTEのオフィスとインキュベーションセンター。もともと和菓子屋さんだった古民家を改修し、今年の7月にオープンした。

なかは広々とした木の空間で、大きな窓からは参道と神社が見え、心地いい。

1階は作業スペースとNOTEのオフィス、2階は会議スペースなどが設えられている。

「10月からはシェアオフィスとして使えるように、準備を進めているところなんです。コロナもあっていろいろな働き方の選択肢が出てきたので、地方で働きたいっていう人の受け皿になれたらいいなと思っていて」

そう話してくれたのは、NOTE代表の藤原さん。

NOTEが取り組んでいるのは、古民家などの地域資源を活かしたまちづくり。“なつかしくて、あたらしい、日本の暮らしをつくる”という理念を掲げ、全国各地に眠る古民家を、宿や飲食施設として再生している。

2009年からはじまったこの事業は「NIPPONIA」と名付けられ、全国20地域に展開。古民家の持つ歴史的な雰囲気や、和紙や着物など地域ごとの文化を取り入れた施設が国内外の人に人気だそう。

「ぼくたちがNIPPONIAで目指しているのは、地域に残る歴史文化を、現代の制度や事業スキームを駆使して継承していくことなんです」

現代の制度、ですか。

「たとえば、フロントと客室が地域内に分散している『分散型ホテル』という仕組みを、NIPPONIAの施設では活用してるんよ。お客さんに地域を回遊してもらうことで、ホテルだけじゃなく地域内のお店にも足を運んでもらえたらええなと思っていて」

お客さんはフロント棟でチェックインしたら、地図で紹介されているお店やスポットを巡りながら自分の部屋へ向かう。通りを行くと地ビールが飲めるバーがあって、その向こうには地元出身アーティストによるクラフトショップがある。

そんなふうにまち全体をひとつのホテルに見立てることで、宿泊施設だけでなく地域全体に消費活動を循環させ、持続可能な地域社会をつくりあげていくのが、分散型ホテルの大きな強みだ。

「まちとの関わりが密接だからこそ、地域の人もぼくたちも覚悟を持って取り組む必要がある。うちのメンバーは地域と一蓮托生の気持ちで事業を進めているし、ときには自ら役員になって、地域の人と新しい会社をつくることもあるんよ」

古民家の調査や持ち主との交渉、補助金申請や銀行借り入れなどの資金調達、さらには宿のコンセプトやオープン後の運営計画まで。地域に入りこみ、とことん寄り添って伴走する。

来年度には新たに9地域でNIPPONIAをオープンする予定だそう。今後事業を拡大していくためにも、現場を支える財務経理部門を整えたい。

現在は主に公益事業を担っている一般社団法人ノオトにNOTEの財務業務を委託している。今回募集する人は、まずその仕事を引き継いでいくことになる。

「資金繰りやキャッシュフローのことがわかるっていうのは、最低限必要なスキルかなと思っていて。いま会社の状況がこうだから、銀行の借り入れこうするのはどうですかね? 最後の判断はお任せします、みたいな。実務もできて、ある一定の判断もできる。だから会社でいうと部長課長クラスに近いんかな」

「いまは社団法人の代表をしてる伊藤ちゃんがそれをやってくれてるから、引き継ぐところは引き継ぎつつ、新しく部署をつくるくらいの気持ちでやってもらえたらありがたいね」


そう話しながら紹介してくれたのが、一般社団法人ノオトの代表を務める伊藤さん。講演などを通して、まちづくり事業で得た知見を社会に還元する活動をしつつ、NOTEの財務経理の仕事も担当している。

「わたし、社内のメンバーに猛獣使いって言われたことがあって(笑)。それぞれの現場で暴れまわるNOTEのメンバーを、うまく馴らしてくれているって」

「がんばれーって応援しながら、ちょっとそこまずくない?ってポイントで言ってあげるみたいな。契約書をチェックしたり、決算書類をつくったり、現場をサポートしながら会社全体のお金の流れを見ている感じですね」

伊藤さんはもともとIT企業で働いていたそう。都会で働き続けることに違和感を持ち、2013年からNOTEに参画した。

「最初にお金のことを任されたときは大変でしたよ。まったく未経験だったけど、人がいないからわたしがやります!って(笑)。どうしたらいいですか?って藤原に聞いたら、まずこういう会計ソフトがあるから、それをインストールして…みたいなところからのスタートでした」

「決算も税理士さんに助けてもらったし、銀行の窓口の人にも『資金繰り表ってなんですか?』って聞いて。そうやって日々の経理と決算を繰り返すうちに、ようやく財務の仕事がわかってきましたね」

現在は、会社全体の資金調達を藤原さんがデザインし、それを踏まえた日々の経理業務や決算を、伊藤さんが責任者として管理している状態。

基本的な経理のスキルに加えて、契約書や決算書のチェックや、銀行との資金繰り調整など、会社や事業全体のキャッシュフローを把握して財務的な判断をすることが求められる。

また、NOTEは各地域の人と一緒にまちづくり会社をつくることがあるため、それぞれの子会社の状況もある程度把握する必要があるそう。

「関連会社はいま24社くらいあって。もちろんすべての財務を見ているわけではないんですが、どれだけNOTEから出資していて、メンバーの誰が役員に入っているか。最低限の情報は頭に入れておく必要があると思います」

「常に把握していなくても、これってどうなの?って思ったときにちゃんと追っていこうとする姿勢は必要だと思っていて。わかりませんで終わらせずに、どうなってるん?って担当メンバーに確認する。そのコミュニケーションをできるかどうかは大切ですね」

たとえば、最初の計画では税抜きの条件で出していた金額を、現場で契約書を作成する際に、誤って税込みと表記してしまった場合。

「売り上げが8%合わへんなと思ったら、税金ぶんうちが負担してるやん!とかね(笑)。最後の最後のところで、おかしいなって気づけるかどうか。わたしたちがそこを的確にサポートすることで、現場のメンバーも安心して動くことができると思うので」

伊藤さんは財務経理に加え、労務や総務なども担っているそう。いきなりすべてを引き継ぐわけではないけれど、一緒にバックオフィス全体のよりよい管理方法を考えてもらえたら、と伊藤さん。

「わたしが担当している業務はしっかり引き継ぐので、そこは安心してほしいなと思います。NOTEで財務をやっていて思うのが、お金を扱う仕事って利益をいかに最大化するかに集中しがちじゃないですか。でも、たぶんNOTEではそうじゃないのかなと感じていて」

そうじゃない、というと?

「うちのメンバーって、地域を元気にしたいっていう思いや、NIPPONIA事業に関わる人をしあわせにしたいっていう、数字だけじゃ計れないことに価値を感じて飛び込んできてくれる人がほとんどなんですよ。もちろんわたしもそうで」

「主役である地域の人を、現場のメンバーが伴走して支える。そのメンバーをさらに支えているのがわたしたちなんです。黒子の黒子みたいな役割ですが、支える側だからこそ、地域の思いに共感して取り組むことが一番やと思います」


思いをおなじく、裏方として支える。言葉にするのは簡単だけど、モチベーション高く保ち続けていくのはなかなか大変だと思う。

伊藤さんのもとで経理やバックオフィス業務を担当している溝上さんにも話を聞いてみる。

「子会社を立ち上げるサポートをしたり、会社を辞めたあとは学習塾を自分で立ち上げたりと、いろいろな経験をしてきました」

前職のときから藤原さんと知り合いだった縁で、2年前にNOTEへ。子育てもあるため、東京からフルリモートで働いている。

溝上さんが担当しているのは、現場のメンバーから送られてくる契約書や経費書類のチェックなど、営業事務のような仕事。それに加え、社内システムの設定や労務管理にも関わっているそう。

「社内のクラウドシステムを通して契約書などが送られてくるので、過去に出してもらった書類を参照して、内容が間違っていないかチェックします。そのあと伊藤さんに送って最終確認をしてもらう、という流れですね」

今回募集する人は丹波篠山に常駐して働くことになる。篠山には経理のパートスタッフが数人いるため、普段はその人たちとコミュニケーションをすることが多い。また、溝上さんや全国で活動するメンバーなど、離れた場所にいる人とオンラインでコミュニケーションを交わす機会も多いそう。

「一番うれしいのは、施設が無事オープンしたっていう話をメンバーから聞かせてもらうときですね。わたしたちって、事業のことは契約書とかの書類上で見ることが多いので、具体的にどんなふうに進んでいて、どんな場所になるのかは、形になるまでは見えないことが多くて」

「とくに印象に残ってるのは、今年オープンした福岡の八女市かな。オープン日を知らなかったんですが、たまたま新聞で紹介されてる記事を見たんです。ちゃんとオープンできるんだ!って、すっごくうれしくて。思わず担当の人に『記事見ましたよ!』って連絡しちゃいました(笑)」

自分の仕事が、まわりまわって地域を支えるものになる。

日常の業務では目に見えないことも多いからこそ、手元にある書類の先にどんな未来が広がっているのか、想像することが大切なのかもしれない。

「わたしは現場でバリバリ事業を進めるタイプじゃないと思うので、各地のメンバーががんばっている姿を見て、密かによろこんでるのがいいんですよね」

「事業も予定通りにいかないことがあるので、期限ギリギリに契約書が送られてきたり、数字が合わない原因を考えたり、裏方としてしんどいときは正直あります。そのしんどさも楽しめる人、っていうのかな。地域を支えているやりがいを感じて楽しめる人と一緒にできたらうれしいですね」


地域のために働きたい。その想いの叶え方には、いろいろな形がある。

第一線で活躍する人は、それを支える人がいるからこそ、全力で走り続けていくことができるのだと思います。

(2020/8/20 取材 稲本琢仙)
※撮影時にはマスクを外していただいております。
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