求人 NEW

知の交流と創造
まちの潜在力を引き出す
コーディネーター

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

いろんな会社を取材していると、「求人」に正解はないなあと思います。

求めた通りの人が来てくれた。これは理想のように思えるかもしれません。けれども、まったく異業種から飛び込んできた人が大活躍することもあるし、思った通りの人がどうも合わずに離れていくケースもあります。

逆に考えてみれば、そのとき求める要件や人物像に合わないからといって縁が切れてしまうのは、なんだかもったいないことのように思えてきます。複業やリモートワークなどの働き方も多様化する今、少し工夫したり、違う角度から見たりすれば、よい出会いにつながるケースが実はもっとたくさんあるのかもしれない。

長野県塩尻市では、そんなミスマッチを、新たな価値や可能性へと変えていく取り組みがはじまっています。今回は、その中枢を担う関係人口創出コーディネーターを募集します。

過去のプロジェクトや人材募集を通じて、塩尻に関わりたい、何かはじめたいと手を挙げてくれた人たちに対し、さまざまな形できっかけをつくる仕事です。たとえば、一人ひとりへの深いヒアリングから、塩尻の企業や市役所で新たなポジションを創出したり、オンラインコミュニティを運営したり。

先行事例のほとんどない取り組みなので、はじめは戸惑うかもしれません。そんな環境であえて挑戦したいという人を待っています。

(取材はオンラインで行いました。写真は一部提供いただいたものを使用しています)

 

古くは宿場町として栄えた塩尻。たくさんの人が集い、津々浦々の産品や情報が交わされてきたこのまちのDNAは、現代にも生きている。

都市部の企業の社員と行政職員が一緒になってまちの課題解決を目指す官民協働プログラム「MICHIKARA」や、起業家育成や事業伴走の機能を備えたシビック・イノベーション拠点「スナバ」など。ここ5〜6年はとくに、まちの内外の人が交流して新しい価値を生むような、実験的なプロジェクトや拠点運営に取り組んできた。

昨年は、「複業」がひとつのテーマだった。会社を辞めずに、複業限定・短期間・リモートで地域の課題解決に向き合うというもの。

「入り口を開いたら、たくさんの反響がありました」

そう話すのは、塩尻市役所の山田さん。

「パーソルキャリアの『iXハイクラス副業』や日本仕事百貨での募集を通じて、180名近い方々が応募してくれて。これまで塩尻が“知の交流と創造”をブランド・アイデンティティとして、5〜6年かけて取り組んできたシティプロモーション活動が、ようやく実を結びはじめたんだなって」

「ふたりがかりで、ほとんどの方と直接電話したんじゃないかな。だって、うれしいから。とはいっても、実際に採用できる人数には限りがあります。今のぼくらでは受け切れないぐらい、塩尻に関わりたいという衝動を持った方がいる。飽和している状態なんです」

そこで、今回募集する関係人口創出コーディネーターの出番。

なぜ塩尻に興味を持ったのか。本当はどんな関わりをしたいのか。

一人ひとりの想いやビジョンにあらためて耳を傾け、情報を整理していってほしい。

「わたし、村上春樹さんが引用しているレイモンド・チャンドラーの言葉が好きで。『まず、デスクを定めなさい』って言うんですよ」

デスクを定める。

「文章を書くのに適した環境を用意して、書けても書けなくても、毎日そこに座れって。まったく言葉が出てこない日も、ほかのことはせずに1〜2時間、ただ座る。なぜなら、いい文章はすぐに思いつくとは限らないから」

いつ“そのとき”がきてもいいように準備しておく、ということでしょうか。

「そうそう。わたしの言葉でいうと、それはレディネスな状態をつくる、ってことなんです。地域がさあ困ったっていうときに、あの人に声かければいいじゃんとか、待ってましたわたしの出番です!みたいな、そういうコミュニティをつくりたいんですよね」

従来は、地域側の課題や「こうありたい」というビジョンを整理して、それに沿って人を募ることがほとんどだった。

もちろんそれも大切なのだけど、一方で外から関わる人の想いがまちに新たなプロジェクトを生む、という流れがあってもいい。

「求人に合う人たちは、ある意味想定内なんですよ。でも180人いたら、180通りの衝動があるはずで。募集から外れた人たちこそ、わたしたちがまだ見ぬ景色を見ようとしている人かもしれない」

「だから、第2のよこやんを見つけていくような仕事だよね」

 

「よこやん」というのは、一緒に話を聞いていた横山さんのこと。人材大手のパーソルキャリアと塩尻の地域おこし協力隊という、二足のわらじを履いて活動している方だ。

2年前にスナバのオープニングスタッフを日本仕事百貨で募集した際、エントリーしていた横山さん。当時は不採用になってしまったものの、1年ほど山田さんたちとコミュニケーションを続けるなかで、縁あって協力隊に。

パーソルキャリアでの経験を活かしながら、中小企業の経営や人材に関する課題解決に奔走している。

「塩尻での仕事をはじめたところから、自分のキャリアにも大きな影響がありましたね。経営者の方々とフラットな関係性で直接やりとりできたり、自分で一から立ち上げる経験がしやすかったり。組織としてのミッションや立場から少し距離を置いてみて、自分のやりたいこと、本当に必要だと思うことが、より明確になってきた感覚があります」

過去の複業プロジェクトを見ても、報酬の額にかかわらず、成長したい、経験やスキルをほかの形で還元したいといったモチベーションで応募する人が多いという。

関東経済産業局の事業「複活」では、これまでに工業やIT、建設や伝統工芸である木曽漆器の工房など、さまざまな分野の事業者と外部人材とのマッチングを実現してきた。

「複活を通して思うのは、受け入れ態勢が万全ですとか、こんな素晴らしいことやってますっていうよりも、リアルな課題感やありのままの姿が人を惹きつけるんだなってことです」

ある製造会社は、下請けで家族経営。3人兄妹の一番下の娘さんが跡継ぎになったそう。

取引先に怒られながらでも、なんとか畳まずに残したい。そんなひたむきな姿に、当時複業人材を募集した企業のなかで、もっとも多くの人が集まったという。

「ほかにもイトウプリントさんという会社は、微細な加工技術を持っていて。それをアートとかファッションの分野に活かせないか、と提案してくれた方がいました。知り合いにものすごく細かい絵を描いている人がいて、それを金属で表現できたらおもしろいんじゃないかって」

「そんなふうに、想定はしていなかったけれども、スキルや人脈が掛け合わさることで、新しい何かが生まれるような。そのきっかけをつくっていく仕事になると思います」

コーディネーターがまずできることといえば、過去のプロジェクトや募集で興味を持ってくれた人へのヒアリングがある。

そこからいきなり複業やプロジェクトが生まれるケースは少ないかもしれない。それでも、少しずつ関係人口の相関図を構築していくことには意味がある。それこそ、山田さんの言う“レディネスな状態をつくる”ということだと思う。

と同時に、地域側との接点も増やしていかないと、いざというときにつなぐことができない。

「ぼくたちと一緒に企業や地域を回ったり、スナバのメンバーと交流したり、飲み会やイベントに顔を出したりして、ネットワークを広げてもらいたいですね。最初の半年から1年くらいは、とくに。毎日のように大小さまざまなイベントや会がある地域なので、オンオフの切り替えは難しいかもしれません」

いろんな人と出会い、たくさん話を聞く。一見楽しそうだけど、体力や気力も必要な仕事だと思う。

 

塩尻市役所の三枝さんは、スナバの運営を通じて、塩尻で事業をはじめたいという人たちと関わってきた。

今回募集するコーディネーターとも近しい役割を担っている方。

これまで、スキルも経験も、経歴もさまざまな人たちと関わってきたと思うのですが、そのなかで三枝さんが大事にしてきたことって、なんでしょうか。

「これはスナバの文化でもあると思うんですけど、“なぜ”っていうのを大事にしたいと思っているかな」

“なぜ”を、大事にする。

「なんで塩尻に関わりたいと思ったのか。Whyの部分に、一人ひとり違った原体験やストーリーがあるはずで。その根っこを共有したうえで、複業なり、プロジェクトなりをはじめたほうが、自然と目線が合うんです」

たしかに、スキルや経験があってもすれ違ってしまうのは、そもそもの動機ややりたいことがバラバラだからかもしれない。単発の仕事ならまだしも、それでは長い関係は築けない。

人と真摯に向き合う姿勢は、新しく入る人とも共有したいもの。

一方で、今いるメンバーとは少し違った感性を持った人を求めているという。

「わたしとか山田さんは、ウェルカム!って言いながら『で、なんで来たんですか?』って聞いちゃうタイプで(笑)。全然違う経歴や目線を持った人、たとえばベンチャーにいましたとか、アーティストとか。経歴は問いませんが、やわらかく深掘りと壁打ちができる人がいいですね」

 

最後に話を聞いたのは、塩尻CxO Labを運営している濱本さん。パナソニックに勤めながら、大企業の若手人材による団体ONE Xや複業推進プラットフォームJOB HASHの運営など、幅広く活動している方。

塩尻CxO Labは、このまちの関係人口を増やしていくにはどうすればいいか考え、学び、実践していくためのオンラインコミュニティ。隔週での座談会や、毎週金曜日の朝に山田さんが塩尻の今を語るラジオの配信などを行っていて、現在は27名が在籍している。

会費を支払って参加していることもあり、メンバーの熱量は高いし、一人ひとりが何かのプロフェッショナル。

今回募集する人にとっては、ここからヒントを得たり、何か思いついたことを投げかけたりできる、貴重な場になると思う。

そんなコミュニティを運営してきた濱本さんの目から見て、今回はどんな人に来てもらいたいですか。

「こういう越境系のプロジェクトには、いろんなことを関連づけてつなげられる頭のやわらかさが必要だと思います。あとは自信と謙虚さのバランスですかね。上から目線になった途端、地域の企業さんも、複業人材も、その人と一緒に走れなくなってしまうので」

衝動、リアルな想い、“なぜ”、目線。

みなさんから出てくる言葉は、どれも定量化できない。

「わたし、よく『友だちと仲間』って話をするんです」

友だちと仲間。

「友だちは、過去を語り合える関係。それに対して仲間は、同じところに立って一緒に未来を見れる存在かなと思っていて。その人がどっちを向いているのかは、結構気にしていますね。今回でいえば、やっぱりほしいのは仲間になれる人だと思います」

肩書きに囚われず、既存の枠組みに当てはめず、まっさらな気持ちで目の前の人と対峙していく。

そんなコーディネーターがまちにひとりいるだけで、いろんな可能性が広がっていきそうです。

(2020/12/18 オンライン取材 中川晃輔)

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