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【西粟倉11の挑戦:その5】
村のなかの点と点をつなぎ
歩き方をデザインする

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

ここ数年の間にいろんなモノやコトが生まれている岡山・西粟倉村。

在来産業である林業や木工だけでなく、食やデザインなどといったさまざまなジャンルのローカルベンチャーが、村のあちこちで立ち上がっています。

一方で観光地ではないため、コアな魅力に触れるためには、誰かのアテンドが必要な面も。

そこで今計画が進んでいるのが、村の新しいインフォメーションセンターづくり。今回は、このセンターの担当者として、村の魅力をつなぎ発信する人を募集します。

最初の3年間は地域おこし協力隊として、その後はプロジェクトを運営する一般社団法人グリーンカラーのメンバーとして活動することが可能です。


この計画について話してくれるのは、村役場で働く藤川さん。オンラインでお話しするのは2回目。いつも画面越しに明るい雰囲気が伝わってくる方だ。

「西粟倉村では2008年から『百年の森林構想』として、この村の山林や自然環境を未来に残す取り組みを進めてきました。さらに在来の林業だけでなく、村で起業するプレイヤーを育てるローカルベンチャー事業によって、持続する村であり続ける道を進んでいます」

過疎から一転、先進的な取り組みを進める地域として視察や見学のニーズは多いものの、今は一括して問い合わせを受けられる窓口がないという。そのため希望者は、個々の企業に直接連絡をとってツアーの段取りを組んでいるのが現状。

たとえば森づくりに関わる企業でも、林業や製材、木工、さらに燃料としての活用など、いろんな事業があるものの、複数の会社で連携しようとすると、調整役の負担が大きくなってしまう。

訪ねる側としても、一つひとつ情報を集めるのは手間がかかるし、宿泊や食事場所の事情がわからず、村外で済ませてしまう人も多いという。

「西粟倉に興味を持ったとき、まずは気軽に相談できるインフォメーションセンターがあればということで、対外的な情報発信を担う観光案内所と、村の事業者同士の連携を担う拠点をつくろうとしていて。名前は、“西粟倉5050(ゴーゴー)ステーション”です」

ゴーゴー?

「まだ“仮称”なんですけどね(笑)この村の『百年の森林構想』っていうのはもともと、50年前に先人が植えてくれた木を、次の50年につないでいこうというもので。このプラットフォームも、歴史と未来をつなぐ拠点になれたらという願いを込めて、名前をつけました」

今起きていることだけでなく、歴史や背景を踏まえて、人と人、情報がつながる方法を考えていく。

まずはこれまで各企業が担ってきた視察ツアーや、役場がまとめていた情報発信など既存の仕事を巻き取りながら、さらによいものへブラッシュアップしていけるといい。

最初は役場のなかに席を設け、藤川さんたちと協働しながら必要な事業スキームを考えることになる。


そこで心強いパートナーとなるのが、一般社団法人グリーンカラーの福島さん。

普段は関西や中国地方の企業や行政のコンサルティングをしていて、西粟倉の隣の美作にも拠点がある。

もともと緑化の分野から大阪の公益法人を運営していた福島さん。公園や街路樹は行政財産として緑を整備する一方、民間の農地や森林は管理が行き届かず荒れていく姿に心を痛め、農林業を担う事業を立ち上げた。

独立後はグリーンカラーのメンバーとともに、地域の人材育成や一次産業のサポートとか実業もしている。西粟倉には友人が移住した縁で、数年前から遊びに来たり、事業の手伝いをしたりするようになっていた。

ちょうど1年ほど前、この5050ステーションの計画を知り、自らプレイヤーとして携わりたいと手を挙げた。

当時このプロジェクトは「村の魅力を面的に伝える」という目的と、名前以外ほとんど決まっていない状態。福島さんにとって、何がモチベーションだったのでしょう。

「この村には『何かをしたい!』っていう気持ちで集まってきた人たちがたくさんいて。彼らをサポートしたり、手が回らない部分を手伝ってあげたり。プラットフォームみたいなものの必要性を感じていたんだと思います」

「そういう公益的な事業ってお金儲けになりにくいけど、誰かがちゃんと担う必要がある。ちょうど僕もこの村に関わりたいなと思っていたし、住民のみなさんのお役に立てるなら、っていう気持ちで。本当に裏方というか、公務員的なマインドと共通する部分もあると思います」

一方で、いずれは自分たちで収益事業をつくり運営していける形が理想だと福島さんは考えている。

この村で自主事業をやるとしたら、どんな可能性があるでしょうか。

「すでにいろんな起業家さんがいるけど、その隙間の領域や、地域課題はまだたくさんあって。たとえば、生活サービスに消費しているお金が村外にかなり流出しているんですよ。居酒屋代とか、スーパーの買い物とかも。コンビニもないしね」

都市部の人がイメージする、フランチャイズのコンビニそのままではなく、地域の人がふらっと寄る「コンビニ的」な場所も必要なのかもしれませんね。

よろず屋さんのような商店をしながら、村の窓口になるというのもおもしろそう。

「オールマイティになんでもできる人じゃなくていいから、人のために動くやりがいを感じられることのほうが大事。僕は大阪と岡山の二拠点生活をしてるので、現場で一緒に動きますし、新しい方と二人三脚でなんとか形にできたらなと思います」

村内の点と点をつなぎながら、その隙間にあるニーズを自主事業として磨いていく。

まずは、村のいろんなところに顔を出し、人と関わりながらヒントを探るといいのかもしれません。

(2021/2/1 オンライン取材 高橋佑香子)
※取材はオンラインで行いました。写真はご提供いただいたものを使用しています。



※特集ページでは、西粟倉村という地域のこと、村内のほかの企業についても紹介しています。合わせてご覧ください。
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